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「神」の失墜─萩尾望都さんと原発事故

2012-04-05 21:48:28 | マンガ
作家らが「女性と原発」シンポ─「小説を考える手だてに」
女性作家たちが、原発事故と創作との関わりなどについて考えるシンポジウム「女性と原発」が3月24日、東京都内で開かれた。日本ペンクラブの女性作家委員会などが主催。作家の中島京子さん(↓写真の右)や、漫画家の萩尾望都さんらがパネリストとして登壇し、脱原発の立場で、震災後の活動について語った。
一昨年、『小さいおうち』で直木賞を受賞した中島さんは「私は社会派作家ではなく、原発のことにもきちんと関心を払ってこなかった。けれど事故後はこのことを毎日考えるようになった。小説家だから、ではなく一人の大人として、市民として、そうしなければいけないと思う。だからこの場に出てきた」と、率直な思いを明かした。
また日本ペンクラブの会員ら52人が文章を寄せた『いまこそ私は原発に反対します。』(平凡社)に掲載されている自身の短編「よい未来のための小説」について説明。この中では、子どもたちが守るべき生活の決まりの一つとして《どろんこやおちばにさわらない》という項目が登場する。中島さんは「東京では、過剰反応と思う人もいるかもしれないけれど、子どもに落ち葉を触らせたくないお母さんの気持ちはよく分かる。どろんこや、落ち葉を触っちゃダメ、と叱らなくてはいけない事態が起きた。そのことに対する哀しみや怒り、それに私たちができることを考える手だてになればと思って書いた」と話した。
萩尾さんも、この本に「福島夢十夜」という小説を寄せたほか、原発事故を題材にした作品集『なのはな』を発表するなど、積極的に活動してきた。それらの作品に込めた思いについて「放射線の影響は何十年も後になって出るといわれている。経験したことのない時間軸で物事を考えていかなければならなくなった。今の話だけれど、未来のことかもしれない。事故の後、SFの世界が現実になったような錯覚を覚える」などと語った。 ─(よ、東京新聞4月3日夕刊)



おがわ甘藍さんを執筆に迎えた同人マンガ誌制作が、いよいよ大詰めに差し掛かってるんですが。
それとは別にpixiv上で知り合った方々にも、個人の楽しみのため、あるいはいずれ同人誌まで拡げるためと、いくつか声を掛けて制作を打診したりも。最近はわりと快く受けてくださる方が続いてたものの、先日とあるBL専門らしき女性の作家さんが「パチンコ機種向けのオリジナルのキャラを作ってみたい」とツイートしてらしたのを目にして、すかさず類似のお仕事をお願いしたところ、けんもほろろに断られて。
思い出したですよ。女は自分の世界を安売りしない傾向があるし、ましてどこの馬の骨とも知れぬ男個人の依頼なんて受けるのは沽券に関わるでしょうな。
20年ほど前の会社員時代にも、労組の役員をやってた関係で「がん保険」の勧誘を、女の新入社員に行ったところ、「私はそういうのは一切いいですから」とキッパリはねつけられた記憶が。
やがてそいつ東大卒の同期の男と社内結婚しやんの。そりゃあがん保険なんかより、よっぽど強い保険で結構ですなァ~



女の、きっぱりとしたところ。
1970年代に「花の24年組」を中心に、少女マンガで新しい試みが盛んに行われたのは、商業性を気にする編集者に対し「だったら私は描きません。描きたいことを描きます」と自分を貫いた結果でもあろう。
まあ、凄かった。男のマンガ好きもだいたい少女マンガの名士には一目置いてたし、中でも萩尾望都(はぎおもと)さんは別格だったね。
昨年、地震・津波・原発事故の Triple Disaster が巻き起こり、放射能が押し寄せてくるのではないかという逃げ場のない恐怖を味わった時、不謹慎な部分があったので撤回したものの、最初のブログ更新で↑萩尾さんの『11人いる!』からの画像を使わせていただいた。
閉鎖空間での恐怖、追い詰められた人間の心理を、これほどまでヴィヴィッドに伝える作品を、今にいたるまで他に知らない。また『11人いる!』はそれにとどまらず、男女どちらになるか決まっていない登場人物や貴族出身者も配して、社会や政治についても鋭く問いかける傑作だった。
映画や小説に枠を広げるとしても、わが国の創作SFでは随一の存在とも思われた当時の萩尾さんは、しかし作中で「女の子にはSFは分からないと言われている…」などとも述べて。
SFは男のもの─という偏見は、「女は現実的な生きものである」という一面の真実でもあったろう。
悪人かもしれなくても、稼ぎのある強い男と結婚して、子種をもらって主婦になれば「亭主元気で留守がいい」というような。
元気で稼いでくれれば、公共工事がらみの悪事に連座しようが、その金で愛人囲おうが、感知しない。
2009年秋、池袋西武の『萩尾望都原画展』に出向いた際、来ていたお客が、ほとんど40~50代の専業主婦っぽかった。
普通、私は清潔そうな女をエロいと感じるんだけど、そいつらは清潔で上品でもぜんぜんエロくなかったね。危険なことには手を出さない、安全地帯を決して踏み外さないような空気。そんな女たちが、「子どもたちのためにも女性として原発には反対」とか言ったってよォ、単なる結果論だろ。事故が起こんなかったら絶対言ってねェーだろ。
萩尾望都さんの「なのはな」も、そうした忠実な読者に向けたおためごかしに過ぎないと感じた。若き日の私の心を震撼させた鋭さや雄大な視点は影をひそめていた。
神様のようだった萩尾望都さんは、教祖のようなものに堕落してしまったのだった。

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