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Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

虎か真理か(トラフシャコ)

2016-12-02 18:59:15 | エビ・カニ類

時間と共に北風が強まった印象の、本日のやんばるです。

でも時間と共に、陽光もタップリになった一日でした。

それでもエキジット直後は、ヒンヤリしましたが…。

まあでも、週末は夏日になりそうです。

風は北東。曇のち晴れ。

〈トラフシャコ科トラフシャコ属トラフシャコ Lysiosquillina maculata 16年10月26日 沖縄島安和〉

日本人に多い名前は、男性だとヒロシ、女性だとケイコなのだそう。たぶん古いデータだと思いますけど…。

こういうデータというのは、誰が、あるいはどこの機関が調べるのでしょうね。

そして何故こういう偏りって生まれるのでしょうねぇ…。

本種の学名種小名の maculata もかなりたくさんの種に用いられている名前です。

日本産魚類だけでも6種、接尾辞が変化したものまで加えると17種に用いられていますから。

その他本種のような甲殻類やウミウシ類や貝類、蜘蛛類やキノコ類にも…。

で、その種小名は『斑紋のある』の意。

斑紋とは、まだらの模様のこと。まだらとは、種々の色や濃淡が入り混じっていること。ぶち。

しかし和名からも解るように、この場合のまだらとは虎斑(トラフ)とも繋がる斑(まだら)なのでしょうね。

まあ画像ではすっかり地中に隠れてしまっていますが、その体には虎のような横縞模様がありますから。

ところで、一説によるとまだらの語源は曼荼羅なのだとか。

もちろん仏語の曼荼羅のことで、仏の悟りの境地である宇宙の真理を図示したもの。

それを思うと、少々神秘性を感じたりも。

その身に纏うのは、虎か真理か…。

水中で全身を観察できる機会があれば、じっくりと考察しないとね…。

 

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擬態暗号(コマチコシオリエビ)

2016-11-29 19:17:53 | エビ・カニ類

朝は放射冷却の影響でヒンヤリ…。

でもそれは雲がないということですから、日中は日差しタップリだった本日のやんばるです。

この先も朝晩の寒暖差が激しい日が続きそうです。

風は北東。晴れ。

〈コシオリエビ科コマチコシオリエビ属コマチコシオリエビ Allogalathea elegans 16年10月18日 沖縄島安和〉

スマートエレガンス、あるいはカジュアルエレガンスという言葉をご存じでしょうか。

ご存じの方はなかなかに富裕層なかたなのかも…。

スマートエレガンスやカジュアルエレガンスはドレスコードの種類です。

ドレッシーでフォーマルなスタイルをスマートエレガンス、それなりにドレッシーなスタイルをカジュアルエレガンスというのだそう。

どちらも僕には縁のないスタイルですが。

ドレスコード、すなわち服装規定のあるレストランに行ったのは25年くらい前に一度だけ、冠婚葬祭にも10年以上参加してませんから。

さて…

本種はウミシダ類の巻枝付近を住処とし、ウミシダとの共生関係は、はっきりしていないようですがどうやら片利共生のよう。

そして本種は宿主の色彩に合わせた体色を纏います。

隠蔽擬態ですよね。

その上、宿主が変わることがあると、新しい宿主の色彩に合わせるように、ゆっくりとですが自身の体色を変化させていくのだそう。

まるでドレスコードを厳守しているように思えたり。

ある意味命にかかわるドレスコードですから、そりゃあ厳守しますよね。

しかしどういうメカニズムで、そういう変化が可能なのでしょうか。

宿主の色素を取り込んでいるのでしょうか。どうやって?

これはドレスコード(隠蔽擬態暗号)だな…、とか思えたりも…。

〈同種同一個体 同日 同ポイント〉

おっと忘れるところだった……

そもそも何故2種類のドレスコードの話から始めたのかを。

本種の学名種小名がエレガンスだったからでした。

『優雅な、美麗な』という意味です。

 

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水の中の炎(ミナミクモガニ)

2016-11-25 18:59:41 | エビ・カニ類

予想以上に十分な日差しがあった本日のやんばるです。

風はまだやや強めでしたけど、まずまずの心地よさでした。

気象庁から3ヶ月予報が発表されました。

それによると、平年並みか、やや寒い冬になりそう…。

現在発生しているラニーニャ現象がまだ継続する影響のよう。

ラニーニャにより偏西風が蛇行し、寒気の南下が強くなるからなのだとか。

ここまで、平年より暖かい日の方が多い印象でしたけど、年末に向けてぐっと冬らしくなるのかもしれません。

風は北~北東。晴れ時々曇。

〈クモガニ科クモガニ属ミナミクモガニ Oncinopus neptunus 16年9月21日 沖縄島安和〉

ローマ神話の海の神はネプトゥーヌスという名で、これは英語読みだとネプチューン。

英語読みの方が圧倒的に有名ですね…、まあ有名なのは海神の方ではないかもしれませんが。

ネプチューンは泉や河川、湖沼を司る神でもあるらしく、水全般の神様のようです。

また馬の神様でもあるのだそう。これはギリシャ神話のポセイドンと同一視されていることからなのだとか。

さて…

ネプトゥーヌスは長母音を省略してネプトゥヌスとも表記されるそうですが、それはそのまま本種の名前。

本種の学名種小名は『海の神、水の神、ネプチューン』

画像検索でネプチューンの彫像や絵画を見ましたけど……。

〈同種別個体 16年10月13日 沖縄島安和〉

ネプトゥーヌスは、古いインド・ヨーロッパ語族系神話の水神に、その起源があると考えられているのだそう。

それらは、類似した神話を持っているのだとか。

それは…

『水中に神聖な炎があり、穢れのない者以外は触れてはいけなかった。しかしあるとき、資格のない者がその炎を手に入れようとして失敗した。すると炎の周りの水があふれ出し、そこから河川が生まれた』

だそうです。

で、この物語がどのように水神に繋がるのか、よく解らないのですが…。

水の中の炎ってなんでしょうね。

って考えながら画像を見てると、全身に付着させている藍藻類が、体から燃え上がる炎のように見えたり見えなかったり…。

 

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非主流…(ケフサゼブラヤドカリ)

2016-11-08 18:27:56 | エビ・カニ類

冷風は非常に弱く、本日もポッカポカだったやんばるです。

が、明日の天気予報を見て…。

寒気の影響で一気に寒くなりそうな…。

まだ全然衣替えをしてないので、とりあえずの何かを引っ張り出さないとなぁ…。

まあ、一時的な寒さのようですが。

風はごく弱い北。晴れ。

〈ホンヤドカリ科ゼブラヤドカリ属ケフサゼブラヤドカリ Pylopaguropsis fimbriata 16年9月26日 沖縄島安和グスク〉

白と赤紫のストライプ模様が特徴的な本種ですが、名前に採用された特徴はそこではなく右のはさみ。

ここに剛毛が生えていることが、和名の『ケフサ』の由来なのだそう。

また学名種小名は『総のある』の意。

これも同じ右のはさみから。

他にも学名種小名には『フリンジのある』という意味も。

フリンジ(fringe)はファッション用語で、糸や紐をたらした総飾りを意味するのだとか。

本種の学名、つまりラテン語のフィムブリア(fimbria)がその語源です。

どんな感じの飾りなのかと画像検索をかけてみると、ずらずら~と海外ドラマの画像が…。

どうやら〈FRINGE〉というタイトルのドラマがあるようで。

こちらの方はファッションのfringeではないようです。

英語のfringeには総飾りの他にも『主流逸脱者・極端論者・過激派』という意味があるのだそう。

なんか、今最終局面にある海の向こうの選挙…、その候補者の一人が浮かんだり…。

それはともかく、ドラマの方は〈fringe science〉のfringeだそうで、〈非主流科学〉を意味するのだとか。

YouTubeで予告動画を見たら、もろ好みのドラマだったり…。

それはさておき、本種のこのはさみ、『非主流の』の意味の種小名でもあってるような気もするのですが…。

 

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石花色は…(フトユビシャコ属の1種)

2016-11-04 19:00:13 | エビ・カニ類

日差しは十分にパワフルでしたけど、ヒンヤリした風も十分に強かった…って感じの本日のやんばるです。

まあそれでも夏日なんですけどね…。

明日は風が弱まりそうなので、ポカポカな天気になるのではないでしょうか。

風は北西。晴れ。

〈フトユビシャコ科フトユビシャコ属の1種 Gonodactylus sp. 16年9月21日 沖縄島安和〉

シャコの和名は、シャクナゲが由来なのだそう。

ツツジ科ツツジ属のあのシャクナゲのことです。

まあ、シャコ科シャコ属シャコの話ですが。

茹でると紫褐色になるところからだとか。

つまりそれがシャクナゲの花の色のようだということ。

実際に江戸時代には、シャクナギ(シャクナゲ)と呼ばれていたのだそう。

シャクナゲは、石楠花・石南花、あるいは石花と書くそうで、その石花(シャクカ)がシャコに変じたのだとか。

そういえば…

シャクナゲといえば、『夏の思い出』

夏が来~れば思い出す~♪ で始まる歌のことですよ。

『しゃくなげ色にたそがれる はるかな尾瀬 遠い空』

という歌詞がありますよね。

シャクナゲの色は、夏の夕暮れ空の色でもあるのですね。

そう思うと、ちょっとセンチメンタルな気分も感じたりするかも…?

シャコを見たとき、どちらを思い出します?

寿司ネタのシャクナギ色?

それとも、夏の黄昏の空の色?

〈同種 同一個体 同日 同ポイント〉

 

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鎧…(トゲコマチガニ)

2016-09-30 19:35:24 | エビ・カニ類

朝から日差しガンガンで暑~い一日だったやんばるです。

少し前に感じられてた秋っぽさはどこへやら…って感じです。

ただ、この暑さは台風が近づいていることに起因しているのだとか。

で、台風18号…

もうまっすぐに沖縄島を目指して北上中です。

今シーズン最初の接近台風は、直撃台風になりそうです。

もっとも、これが直前で進路変更してそれたりしたら、それこそ今年の沖縄島は神がかってる…って感じになりますけど…。

まあ、そういうことはなさそうです。

風は北東のち南東。晴れ。

〈ケブカガニ科ムラサキゴカクガニ亜科トゲコマチガニ属トゲコマチガニ Tiaramedon spinosum 16年8月7日 沖縄島安和〉

非常に特徴的な甲を持つ本種。

鋭そうな棘を纏ったその姿は、防護服というか鎧を着ているようですね。

はたして、この形は本当に鎧として機能しているのでしょうか。

例えば大型のブダイ類なんかが、パクッと口に入れて飲み込もうとしたとき、この棘が口の中や喉に刺さって……

『イテテ…』

と吐き出す、なんて光景を妄想してみる。

どうでしょう? あんまりありそうに思えないけど。

〈同一個体 同日 同ポイント〉

撮っているとき、気性荒そうにはさみ脚を振りかざし続けたのですが、目の上の棘が角に見えて鬼っぽかったり…。

学名種小名は『棘の多い』の意。

その名の通り、甲だけでなくはさみ脚や歩脚にも棘を持っているので、以外と強気な性格なのかも?

〈同一個体 同日 同ポイント〉

さて、本種はウミシダ類を住処にしています。

和名のトゲコマチの〈コマチ〉は、ウミシダ(の属名の学名)が由来なのだとか。

そういえば、ウミシダ類と共生するエビ・カニ等で〈コマチ〉が名前に入ってるのは結構いますもんね。

鬼のような姿なのに小町(評判になるくらい美しい娘)って言いたかったのに、言えなくなっちゃった…。

 

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cast off #2(甲殻類脱皮殻)

2016-09-23 19:18:38 | エビ・カニ類

秋分の日も過ぎ、世間は秋彼岸の真っ最中ですね。

暑さ寒さも彼岸まで…

なんて言葉通り、ここ何日かでかなり秋っぽさを感じるようになってますやんばるです。

特に朝晩に…。

まあ、日中は相変わらず真夏日ですけど。

そして17号が…。

またうねりだしそうです。

風は北東。晴れ。

■■

で、前回の続き…

甲殻類にとって脱皮は不可欠。

脱皮が行われなければ、成長も行われないわけですから。

画像では判りにくいですが、10cm位のサイズ。

このてのエビの成体は、30cmに達するそうですから、それまでにあと何度脱皮するのでしょうか。

あるいは、ここまでに何度脱皮してきたのかな。

とか、脱皮殻を見ると思ってしまいます。

つまり、脱皮殻にドラマあり…って感じ。

それも、脱皮殻を撮らずにいられない理由かな。

例えば…

これなんか、せっかく集めたものをすべて捨てて脱ぎ去る。

脱いだ後にもう一度利用しようとは思わないのですね。

引っ越しのときに荷物を全て処分してしまうような感じかな。

宵越しの金は持たないぜ…みたいな…。

この子の場合はどうでしょう。

もう一度貝殻を着たのでしょうか。

それとも脱皮後に成長して、別のに着替えたのかな。

そういうときって、あらかじめ新しいのを用意してから脱皮するのでしょうか。

あとこの画像はかなりのお気に入りで、その理由は目です。

目の脱皮殻が先端まで完全に残ってるでしょう。

これは溜まらん。

このスケスケ感が…

なんかすごくセクシーじゃないですか。

と、結局そこに戻ってしまったり…。

 

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cast off #1(甲殻類脱皮殻)

2016-09-20 19:51:45 | エビ・カニ類

台風16号はまだ各地で猛威をふるっているようですが、沖縄島に関しては海を揺さぶっただけで過ぎていきました。

というわけで、本日もまだうねりありな感じです。

しかし逆に言うなら、そのうねりがなければ16号の存在を感じられなかったわけで…。

本当に今年の沖縄島は、何かに守られているのか…とか思えてきたり…。

風は北。晴れ一時弱雨。

■■

人にはいろいろな嗜好がありますよね。

法的や倫理的に完全にアウトな嗜好もあれば、ささやかなというか些末なこだわり的嗜好もあるでしょう。

あるいは、今まで気づかなかった自分の嗜好に、ある日気づいて戸惑ってしまったり…ということもあるかも。

何の話かというと……

最近画像を整理していてふと気づいたのです。

『甲殻類の脱皮殻の画像が多いな』

…と。

脱皮とは、ある種の動物において、自分の体が成長していくにつれて、その外皮がまとまって剥がれること。

水中ではこの脱ぎ捨てられた殻によく出会いますよね。

エビ・カニ・ヤドカリなどの甲殻類は、成長につれて脱皮を繰り返します。

彼らはクチクラの外骨格を持ち、脱皮の際にはそれを全て脱ぎ捨てるわけです。

因みにクチクラはラテン語。英語ではキューティクル。哺乳類の毛の表面にあるあのキューティクルです。

脱ぎ捨てられた殻は、もちろん元の甲殻類の外形全てがそのままですが、それだけではなく、その内側には気管などの内部構造まで脱皮しているのだそう。

さて…

で僕が脱皮殻を少なからず撮ってしまっているのは何故かと考えてみると…。

この脱皮という哺乳類が持たない生態について、科学的好奇心を強く抱いてしまっている………

訳ではなく…

なんかすごくセクシーじゃないですか、脱皮殻って。

これなんかどうです。

すごくセクシーに思えません?

こういう全てがそろったセクシーな脱皮殻に出会うと、もう撮らずにはいられません。

あと外骨格という響きもカッコいいし…。

タイトルを見ていただくとわかると思いますが、これ#2に続きます。

 

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隣星…(ホシゾラワラエビ)

2016-09-16 19:16:57 | エビ・カニ類

台風16号は順調に北上していますが、本日は嵐の前の…という感じでした。

昨日よりうねりも少し落ち着いてましたし。

16号は当初より西側にずれたコースで、東シナ海を北上していきそう。

沖縄島は暴風域に入ることはなさそうです。

まあそれでもこれから海況は……でしょうけど。

風は南東。晴れ。

〈ワラエビ科ワラエビ属ホシゾラワラエビ Chirostylus stellaris 16年7月28日 沖縄島ホーシュー〉

はさみ脚や歩脚に散在する小白点模様を星空に見立てたのが、和名の由来だとか。

学名種小名は『星のような』の意。

これも同じような由来なのでしょうか。

ずいぶん細長い夜空だなぁ…と思ってしまうのは僕だけでしょうか。

恒星、惑星、衛星、彗星、流星等々、星にはいろいろありますけれど、我が地球に最も近い星は月。

まあ、地球の衛星ですからね…。

昨日の夜は中秋でしたね。

当地では綺麗な十五夜お月様が見られました。

ただ満月は明日の夜なのだそう。

十五夜=満月というイメージだったのですが、必ずしもそうなるわけではないそうで…。

今夜は十六夜ですが、月は見られそうにない夜空模様です。

明日以降はどうでしょう…。

明日はともかくそれ以降はぐずついた感じになりそう。

めぐりあいて 見しやそれとも わかぬ間に 雲かくれにし 夜半の月かな

そんな夜が続きそうです。

 

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出身地は南の島…(アカシマシラヒゲエビ)

2016-08-23 19:33:44 | エビ・カニ類

予想通り台風10号は発生しましたが、今のところかなりの牛歩で、今後の展開がよく解りません。

しかも過去40年の台風の観測史上、こんなコースで動く台風は初めてなのだとか。

現段階での予報だと、沖縄島は強風域にも入らないのでは…、とも思えたり。

もう少し長期の予報だと、この週末に沖縄島の手前で見事なほどのUターンをしそうですし…。

まあ、長期の予報の精度は低いのかもしれませんが…。

それにしても、10号おまえもか…って感じです。

どこまでうねりが入るかなぁ…。

あ、そうそう、本日も変わらず灼熱~なやんばるです。

風は北~北東。晴れ。

〈モエビ科ヒゲナガモエビ属アカシマシラヒゲエビ Lysmata amboinensis 16年7月1日 沖縄島安和〉

学名種小名は『アンボン島の』の意。

タイプ産地がインドネシアのモルッカ諸島アンボン島なのでしょう。

タイプとは、生物の分類学において、ある生物の新種記載を行う際に、その生物を定義するための記述の拠り所となった標本(あるいは図解)のこと。

つまり本種の分類学上の出身地がアンボン島だということ。

もっとひらたくいうと、アンボン島に因んだ学名だということですね。

さてこの amboinensis という種小名を持つ生物は意外と多いです。

いかにも南国という感じの花や鳥、トカゲや亀にソフトコーラル。

そしてもちろん魚にも。日本産魚類だけでも7種います。

アンボン島は新種の宝庫といえる島だったのかも…。

ところで、本種は魚をクリーニングすることが知られています。

この特徴的な鮮やかな体色と模様は、標識色として機能しているのでしょうか。

つまり『わたし、掃除屋ですよ』ってアピールになっているのでしょうか。

この画像を撮影したときも、リュウキュウウツボをせっせとクリーニングしていました。

ところが、カメラを向けるとウツボを離れて一直線にカメラに…。

僕のカメラ、そんなに汚れてたのかな……。

 

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危機管理意識…(アワハダキモガニ)

2016-08-19 20:32:18 | エビ・カニ類

相変わらず表層に少々うねりあり、陸上は灼熱~なやんばるです。

風が弱いのも相変わらずで、基本どのポイントも凪の範囲内って感じです。

天気図には8号・9号と台風が現れていますが、これらは沖縄島には関係なしのよう。

その周りにもいくつかの熱低およびその卵があり、そこから発生する台風(10号?)が、沖縄島に影響する雰囲気です。

まあ今年に関しては、こういうことを書いて本当に影響が出たことがまだ一度もないですが…。

一応今のところは、来週の中頃に…って感じです。

風は北東~東。晴天。

〈オウギガニ科キモガニ属アワハダキモガニ Cymo quadrilobatus 16年6月27日 沖縄島崎山〉

学名種小名は『四つの裂片のある』あるいは『四つの耳たぶ形の突起のある』という感じの意。

甲の額が四歯なのだそうなのでここからきているのか、それとも前側縁が顆粒でおおわれた不明瞭な四歯なのだそうでここからきているのか、というところでしょうか。

どちらにしても〈体を表す系〉の学名なのでしょう。

僕的には名前に取り上げる特徴がそこなの…というのが正直な気持ちです。

どう見ても、全身を覆ういぼ状顆粒の方が特徴的に思えますから。

和名のアワハダは〈粟肌〉すなわち〈粟立つような肌〉ということでしょうか。

粟立つとは、恐怖や寒さのために毛穴が収縮して、皮膚一面に粟粒ができたようになること。

つまりは鳥肌、あるいはサブイボ。

こっちの方がピッタリですよね。

鳥肌を表すラテン語あるいはギリシャ語はなかったのでしょうか…とか思えたり。

まさか海外では鳥肌の概念自体がないなんてことはないですよね。

goosebumps という英語がありますもんね。

ところでこの肌、というか甲と脚、隠蔽擬態として機能しているとしか思えません。

住処にしているミドリイシ類やハナヤサイサンゴ類の表面と非常に似ているように思えますから。

ただでさえ枝状サンゴの狭間で安全を確保しているのに、その上で隠蔽擬態もというのなら、相当に危機管理意識の高いやつらなのかもしれません。

 

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宝石を纏う…(アオボシヤドカリ)

2016-08-12 19:04:07 | エビ・カニ類

天候やコンディションのことを書こうとすると、前回までと同じ文章の繰り返しになってしまう…。

そんな相変わらずな毎日が続いてますやんばるです。

今夜はペルセウス座流星群だそうで。

沖縄島は晴れのようで、バッチリ見られそうですが…。

ピークが日付を越えた午前2時から3時頃なのだとか。

それまでず~っと起きてる自信はまったくなく、その時刻に起きられる自信もないなぁ……。

風は東~北東。晴れ。

〈ヤドカリ科ヤドカリ属アオボシヤドカリ Dardanus guttatus 16年6月27日 沖縄島崎山〉

学名種小名は『斑紋のある・点滴状の・斑点のある』の意。

歩脚とはさみ脚の腕節にある青色斑紋のことを指しているのでしょう。

和名のアオボシもこの斑紋が由来だそう。

そのまんま過ぎる……とか思えたり。

僕には、この斑紋が『水酸化銅アルミニウム燐酸塩』にしか見えません。

おっとこれは化学的な名称。一般的にはターコイズ、トルコ石と呼ばれています。

トルコ石は人類が初期に掘り出した宝石の一つであり、エジプト・アステカ・ペルシャ・メソポタミア・インダスや中国などの多くの古代大文明に愛されたのだとか。

かつてペルシャと呼ばれた地(現代のイラン周辺地域)が主要な産地で、それがトルコを経由してヨーロッパに広まったことでトルコ石と呼ばれるようになったのだそう。つまりトルコではトルコ石は産出されないのだとか。

で、僕には本種が、トルコ石を纏っているように思えたり。

腕節だけではなく、頭頂部(というか背面部?)にまでありますから、豪華に着飾ってる感を感じたり。

多くの文明では、トルコ石にお守りのような特質を信じていたそうで、悪い運の力から着用者を守ると考えられていたそうですから、この子も捕食者から守護されているのかも…。

あるいは、トルコ石を身につけると射撃の正確さが上がると信じていた民族もいたそうで、この子自身の捕食成功率を上げているかも…。

なんてね……。

 

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らしい雨…(ウスイロサンゴヤドカリ)

2016-06-03 18:49:03 | エビ・カニ類

後半雨…な本日のやんばるです。

梅雨らしい感じの雨…。

ただムシムシ感はなく、涼しい一日でした。

風は東~南東。曇のち雨。

〈ヤドカリ科サンゴヤドカリ属ウスイロサンゴヤドカリ Calcinus vachoni 16年4月27日 沖縄島崎山〉

この個体はおそらく雄。

〈同種別個体 同日 同ポイント〉

そして、この個体がおそらく雌。

何故そう思うのかといいますと……

こんな感じになって…

さらに…

こんな感じから…

こうなってしまいましたので。

さて、ヤドカリは5対の脚を持ちます。

第1胸脚がはさみ脚。第2胸脚と第3胸脚は歩脚として使われ、第4胸脚と第5胸脚は貝殻を保持するために使われるのだそう。

雄の生殖孔は第5胸脚の付け根にあり、上の画像ではおそらくそこを雌に接近(接触?)させていると思われ…。

すると貝殻の保持が難しくなるのか……

貝殻が外れそうになり、見えてはいけない部分が見えたり。

約40分後に終了。

いったい内部ではどういう位置関係で、どんな風に生殖行動が行われていたのでしょうか。

 

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のち陽光…(コノハガニ)

2016-04-15 19:13:11 | エビ・カニ類

早朝はパラパラ雨交じり…。

でも時間とともに晴れ渡っていった本日のやんばるです。

風は北寄りでややヒンヤリでしたが、陽光はパワフルで夏日になりました。

明日以降も夏日が続きそうですが、ゆっくりと下っていくような予報…。

今年の梅雨入りは早まるかも…、なんて予想も聞こえてきたり…。

風は北東。雨交じりの曇、のち晴天。

〈クモガニ科コノハガニ属コノハガニ Huenia heraldia 16年3月24日 沖縄島安和グスク〉

夜間に活発に活動し、昼間は海藻の根本付近に隠れすむという本種。

撮影時間は日中ですので、隠者の姿です。

額に海藻をくっつけ、隠蔽型擬態中です。

『うつらうつら』という感じなのでしょうか。それとも『ぐーすか』という感じなのでしょうか。

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

ところで、昼間はどのくらい不活性なのでしょう。

例えばこの画像を撮影した3月の後半は、日の出が6:30過ぎくらい、日没が18:30過ぎくらい。

この間、ず~っと、じ~っと潜んでいるのでしょうか。

なぜそんなことを思ったかといいますと…

活性から不活性へと移る早朝(あるいは未明かも)や、不活性から活性に移る夕暮れ時(あるいは午後遅く)に、この額の隠蔽型擬態が、捕食に対しても有利に働いていないだろうか…なんて思えたりもするのです。

自身が捕食者から隠れるためと同時に、捕食対象から自身を隠すためにも働いてはいないだろうか、と。獲物を容易に接近させるという意味で。

つまり攻撃型擬態としても機能していたりしないのかなぁ…とか考えてみたり…。

防衛のための擬態と攻撃のための擬態は、実は表裏一体なのでは…とか思えたりもするのです。

 

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少々ヒンヤリ…(プセウドパグリステス・モノポルス)

2016-04-12 18:45:02 | エビ・カニ類

季節が後退した……というほどではないですが、少々ヒンヤリした本日のやんばるです。

しかしながら風はゆる~く、海は凪。

後半は日差しもありで、ポカポカ感もありな一日でした。

明日はまた夏日になる予報です。

風は北東のち東。雨のち曇、日差しあり。

〈ヤドカリ科ミギキキヨコバサミ属プセウドパグリステス・モノポルス(和名なし) Pseudpaguristes monoporus 16年3月10日 沖縄島安和〉

『人を呪わば穴二つ』

ということわざがあります。

なんだかおどろおどろしい響きに思えることわざですが、人に害を与えようとすれば、やがて自分も害を受けるようになるという意味だそう。

この場合の穴とは、墓穴のことだとか。

つまり誰かを呪い殺せば、自分も報いを受けて命を失うことになり、結局墓穴が二つ必要になるということ。

やっぱりおどろおどろしい…。

穴の話で始めたのは、本種の学名種小名が『一つの穴』の意味だから。

さて本種の方のこの穴とは何の穴なのでしょう。

まあ墓穴でないことは当然として、それが一つであることが本種の特徴なのでしょうか。

例えば鼻の穴が一つだとか、耳の穴が一つだとか、口の穴が…いやこれはもともと一つだった…。

まさかと思いますが鍵穴が一つだとか。いやこれも一つが当然ですよね。

鍵が二つの生物は知っていますが、鍵穴が二つの生物は僕は知りません。

もちろんヤドカリ類は鍵穴二つがスタンダードだ、なんて話も聞いたことがありません。

ここでいう鍵や鍵穴は、当然本来の鍵や鍵穴のことではありません。

なんというか……

例えばあるフジツボの雄の鍵は本体の8倍の長さがあって、これは体のサイズに対する相対比で動物界最長とか…。

また例えばサメやエイ、いわゆる板鰓類の雄の鍵は二つがスタンダードとか…。

鍵穴の方は研究が進んでいなくて、こういう例えはあげられなかったり。

まあそもそも、鍵穴にはあまりバラエティーがないのかもしれませんが…。

もう、お分かりですよね…。

 

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