Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

鎧…(トゲコマチガニ)

2016-09-30 19:35:24 | エビ・カニ類

朝から日差しガンガンで暑~い一日だったやんばるです。

少し前に感じられてた秋っぽさはどこへやら…って感じです。

ただ、この暑さは台風が近づいていることに起因しているのだとか。

で、台風18号…

もうまっすぐに沖縄島を目指して北上中です。

今シーズン最初の接近台風は、直撃台風になりそうです。

もっとも、これが直前で進路変更してそれたりしたら、それこそ今年の沖縄島は神がかってる…って感じになりますけど…。

まあ、そういうことはなさそうです。

風は北東のち南東。晴れ。

〈ケブカガニ科ムラサキゴカクガニ亜科トゲコマチガニ属トゲコマチガニ Tiaramedon spinosum 16年8月7日 沖縄島安和〉

非常に特徴的な甲を持つ本種。

鋭そうな棘を纏ったその姿は、防護服というか鎧を着ているようですね。

はたして、この形は本当に鎧として機能しているのでしょうか。

例えば大型のブダイ類なんかが、パクッと口に入れて飲み込もうとしたとき、この棘が口の中や喉に刺さって……

『イテテ…』

と吐き出す、なんて光景を妄想してみる。

どうでしょう? あんまりありそうに思えないけど。

〈同一個体 同日 同ポイント〉

撮っているとき、気性荒そうにはさみ脚を振りかざし続けたのですが、目の上の棘が角に見えて鬼っぽかったり…。

学名種小名は『棘の多い』の意。

その名の通り、甲だけでなくはさみ脚や歩脚にも棘を持っているので、以外と強気な性格なのかも?

〈同一個体 同日 同ポイント〉

さて、本種はウミシダ類を住処にしています。

和名のトゲコマチの〈コマチ〉は、ウミシダ(の属名の学名)が由来なのだとか。

そういえば、ウミシダ類と共生するエビ・カニ等で〈コマチ〉が名前に入ってるのは結構いますもんね。

鬼のような姿なのに小町(評判になるくらい美しい娘)って言いたかったのに、言えなくなっちゃった…。

 

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失われるまえ…(ミスジアカヒレイシモチ)

2016-09-27 19:24:54 | テンジクダイ科

17号の強風域からも抜け、早朝から蝉時雨が騒々しかった本日のやんばるです。

時間とともに風波は落ち着いていってますが…。

うねりって入ってくるのかなぁ…。

そんな気配は今のところないのですが。

風は南東。雨のち晴れたり曇ったり。

〈テンジクダイ科アカヒレイシモチ属ミスジアカヒレイシモチ Pristicon trimaculatus 16年8月7日 沖縄島安和〉

画像は幼魚。

学名種小名は『三つの斑点のある』の意。

えーと、鰓蓋上に一つありますよね。

尾丙部にも一つありますよね。

さてもう一つはどれでしょう…。

体側後部に見える薄~いやつでしょうか。

でも成魚にはこんな斑点は見られないですよね。

あるいは、和名にもなっている体側背部の3本の鞍掛状黒班のことでしょうか。

3本と数えてる時点で班点と考えるのはどうかと思えたりもしますが。

しかしこの黒班は成長とともに筋模様ではなくなり、短い斑紋になりますからひょっとして…。

というか、そうであるならそもそも何故和名がミスジなのかと思えてきたりも。

何にしても、この黒色模様(もう斑点とも斑紋とも言わないことにします)は、幼魚のときに特に明瞭なのだそう。

つまりこの子は〈纏うまえ系〉の反対ということですよね。

〈失われるまえ系〉とでも、呼んでおきますか…。

結構地味な子なのに、成魚よりも強い模様を纏っているなんて、少し不思議な気もしたり…。

 

 

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cast off #2(甲殻類脱皮殻)

2016-09-23 19:18:38 | エビ・カニ類

秋分の日も過ぎ、世間は秋彼岸の真っ最中ですね。

暑さ寒さも彼岸まで…

なんて言葉通り、ここ何日かでかなり秋っぽさを感じるようになってますやんばるです。

特に朝晩に…。

まあ、日中は相変わらず真夏日ですけど。

そして17号が…。

またうねりだしそうです。

風は北東。晴れ。

■■

で、前回の続き…

甲殻類にとって脱皮は不可欠。

脱皮が行われなければ、成長も行われないわけですから。

画像では判りにくいですが、10cm位のサイズ。

このてのエビの成体は、30cmに達するそうですから、それまでにあと何度脱皮するのでしょうか。

あるいは、ここまでに何度脱皮してきたのかな。

とか、脱皮殻を見ると思ってしまいます。

つまり、脱皮殻にドラマあり…って感じ。

それも、脱皮殻を撮らずにいられない理由かな。

例えば…

これなんか、せっかく集めたものをすべて捨てて脱ぎ去る。

脱いだ後にもう一度利用しようとは思わないのですね。

引っ越しのときに荷物を全て処分してしまうような感じかな。

宵越しの金は持たないぜ…みたいな…。

この子の場合はどうでしょう。

もう一度貝殻を着たのでしょうか。

それとも脱皮後に成長して、別のに着替えたのかな。

そういうときって、あらかじめ新しいのを用意してから脱皮するのでしょうか。

あとこの画像はかなりのお気に入りで、その理由は目です。

目の脱皮殻が先端まで完全に残ってるでしょう。

これは溜まらん。

このスケスケ感が…

なんかすごくセクシーじゃないですか。

と、結局そこに戻ってしまったり…。

 

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cast off #1(甲殻類脱皮殻)

2016-09-20 19:51:45 | エビ・カニ類

台風16号はまだ各地で猛威をふるっているようですが、沖縄島に関しては海を揺さぶっただけで過ぎていきました。

というわけで、本日もまだうねりありな感じです。

しかし逆に言うなら、そのうねりがなければ16号の存在を感じられなかったわけで…。

本当に今年の沖縄島は、何かに守られているのか…とか思えてきたり…。

風は北。晴れ一時弱雨。

■■

人にはいろいろな嗜好がありますよね。

法的や倫理的に完全にアウトな嗜好もあれば、ささやかなというか些末なこだわり的嗜好もあるでしょう。

あるいは、今まで気づかなかった自分の嗜好に、ある日気づいて戸惑ってしまったり…ということもあるかも。

何の話かというと……

最近画像を整理していてふと気づいたのです。

『甲殻類の脱皮殻の画像が多いな』

…と。

脱皮とは、ある種の動物において、自分の体が成長していくにつれて、その外皮がまとまって剥がれること。

水中ではこの脱ぎ捨てられた殻によく出会いますよね。

エビ・カニ・ヤドカリなどの甲殻類は、成長につれて脱皮を繰り返します。

彼らはクチクラの外骨格を持ち、脱皮の際にはそれを全て脱ぎ捨てるわけです。

因みにクチクラはラテン語。英語ではキューティクル。哺乳類の毛の表面にあるあのキューティクルです。

脱ぎ捨てられた殻は、もちろん元の甲殻類の外形全てがそのままですが、それだけではなく、その内側には気管などの内部構造まで脱皮しているのだそう。

さて…

で僕が脱皮殻を少なからず撮ってしまっているのは何故かと考えてみると…。

この脱皮という哺乳類が持たない生態について、科学的好奇心を強く抱いてしまっている………

訳ではなく…

なんかすごくセクシーじゃないですか、脱皮殻って。

これなんかどうです。

すごくセクシーに思えません?

こういう全てがそろったセクシーな脱皮殻に出会うと、もう撮らずにはいられません。

あと外骨格という響きもカッコいいし…。

タイトルを見ていただくとわかると思いますが、これ#2に続きます。

 

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隣星…(ホシゾラワラエビ)

2016-09-16 19:16:57 | エビ・カニ類

台風16号は順調に北上していますが、本日は嵐の前の…という感じでした。

昨日よりうねりも少し落ち着いてましたし。

16号は当初より西側にずれたコースで、東シナ海を北上していきそう。

沖縄島は暴風域に入ることはなさそうです。

まあそれでもこれから海況は……でしょうけど。

風は南東。晴れ。

〈ワラエビ科ワラエビ属ホシゾラワラエビ Chirostylus stellaris 16年7月28日 沖縄島ホーシュー〉

はさみ脚や歩脚に散在する小白点模様を星空に見立てたのが、和名の由来だとか。

学名種小名は『星のような』の意。

これも同じような由来なのでしょうか。

ずいぶん細長い夜空だなぁ…と思ってしまうのは僕だけでしょうか。

恒星、惑星、衛星、彗星、流星等々、星にはいろいろありますけれど、我が地球に最も近い星は月。

まあ、地球の衛星ですからね…。

昨日の夜は中秋でしたね。

当地では綺麗な十五夜お月様が見られました。

ただ満月は明日の夜なのだそう。

十五夜=満月というイメージだったのですが、必ずしもそうなるわけではないそうで…。

今夜は十六夜ですが、月は見られそうにない夜空模様です。

明日以降はどうでしょう…。

明日はともかくそれ以降はぐずついた感じになりそう。

めぐりあいて 見しやそれとも わかぬ間に 雲かくれにし 夜半の月かな

そんな夜が続きそうです。

 

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not the flower but the …(ハナゴンベ)

2016-09-13 19:04:37 | ハタ科

中心気圧900hPaの猛烈な台風14号からなのか、少々うねりありな本日のやんばるです。

しかし空は青色。風は夏色。

暑気持ちいい~一日でした。

14号からのうねりは数日続きそう。

そして16号がとても気になる……。

風は東~南東。晴れ。

〈ハタ科ハナダイ亜科ハナゴンベ属ハナゴンベ Serranocirrhitus latus 16年7月28日 沖縄島ホーシュー〉

画像はやや幼い個体。

ハナゴンベのハナは〈花〉でしょうか。

それとも〈華〉でしょうか。

僕には〈華〉に思えたり…。

華やかあるいは華麗なという意味で。

つまり

not the flower but the splendid…

という感じかな。

まあ magnificent でもいいかなという気もしますが。

それに〈華〉という文字には妖しさやかぶいた印象もあったり。

つまりちょっと行き過ぎた華麗さ、という感じかな…。

まあハナダイ亜科の魚には、異様なほど綺麗な種が他にもたくさんいますけどね。

学名種小名は『幅の広い』の意。

きっと体高のことなのでしょうか。成魚は横から見ると、ほぼ卵型ですから。

発見から約30年間ゴンベ科に誤同定されていたのも、その辺りが一因になっていたのでしょうか。

そういう経歴もまた、かぶいている印象に加わっていたり…。

 

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遁術…(ツマジロオコゼ)

2016-09-09 19:58:49 | ハオコゼ科

とりあえずウエットスーツを着てからでないと外に出る気にならない……

そんな豪雨で始まった本日のやんばるです。

滝のような雨…という感じでした。

まあ、朝だけでしたけど。

雨が上がると風が強まる…、というパターンになるかと思ったりもしましたがそうはならず、海は安定してました。

風は南のち北東。強雨のち曇。

〈ハオコゼ科ツマジロオコゼ属ツマジロオコゼ Ablabys taenianotus 16年7月19日 沖縄島安和〉

どこにいるか、判りますでしょうか?

頭が隠れていると、かなり判りづらいですね。

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

ちぎれた海藻類が溜まっているところに潜り込んでいたのですが、保護色になってますか。

あるいはそこには似たような形の枯れ葉等も混じってましたから、隠蔽擬態でしょうか。

あるいは風景に溶け込んでいるという方法に目を向けるなら、カモフラージュなのかもしれません。

何にしても、こういうことを考えるときいつも気になるのが、自身はどこまで自分の体色を認識しているのかということ。

認識していなければ、保護色であっても隠蔽擬態であってもカモフラージュであっても、うまく機能しないように思えるのですが。

認識しているとすれば、どうやって知るのでしょうか。

どの段階で知るのでしょうか。

〈同種同一個体 同日 同ポイント〉

あるいは本種に関しては、自身はそういったことはまったく意識していないのかも、とも思えたり。

体色や形や、目立つ・目立たないじゃなく、ただ潜むという行動そのものだけを意識しているのかも。

とりあえず隠れることが、自身の生存率を高めるのだということを認識しているという意味で。

つまり忍者の遁術のような感じ……かな。

 

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逆玉…(ミズタマハゼ)

2016-09-06 17:32:19 | ハゼ科

台風13号の強風域に巻き込まれ中の沖縄島です。

今年初めての接近台風、今年初めての強風域…、ようやくって感じです。

予想波高が6mなので、海もかき混ぜられるでしょう。

沖縄近海では暴風域もなく、今夜中に過ぎ去っていきそう。

ちょうどいい韋駄天台風って感じに思えたり…。

風は強い南~南西。断続的に強雨。

〈ハゼ科ハゼ亜科クロイトハゼ属ミズタマハゼ Valenciennea sexguttata 16年7月14日 沖縄島崎山〉

画像は幼魚。

学名種小名は『六つの斑点のある』の意。

頭側面にある小水色点模様のことなのでしょう。

画像の幼魚には、その模様はまだはっきりと現れていません。

もっとも成魚の頭側面の斑点模様は、六つ以上あるのが普通な印象なのですが…。

6といえば…

ラテン語の6は sex ,これは英語の sex と繋がりがあるのだとか。

昔々その昔、神様が土からアダムをつくりました。

そしてアダムの肋骨からイブをつくりました。

神様は自身に似せてアダム(男性)をつくり、それを分割してイブ(女性)をつくりました。

その昔、12は〈完全な数字〉とされていました。

神様は完全な存在ですから、数字でいえば12。

アダムは神様に似せてつくられましたから、最初は12でしたけど、その後イブとに二分割されてしまいましたので…

12÷2=6

すなわち、アダムもイブも数字でいえば6=sex.

そして分割された男性や女性という性のことも6=sex. になったそう。

もちろんこれ、一説によると、という類いの話ですが。

和名の方は、頭側面の水色斑点模様からですね。

しかしながら、水玉模様とは本来、黒地・紺地・赤地に白く玉を抜いた模様のことなのだそう。

白地に黒・紺・赤またはその他の色の玉を抜いたものは、逆玉模様というのだとか。

じゃあ本当は、ギャクタマハゼと呼ぶべきなのでしょうか。

しかし逆玉だと、違う意味に思えてしまったり…。

〈同種同一個体 同日 同ポイント〉

 

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あどけなさ…(ハタタテサンカクハゼ)

2016-09-02 19:33:02 | ハゼ科

昨日唐突な感じで台風12号が発生しましたが、今日には去って行きました。

といっても、そもそも沖縄島にはそんなに接近してないので、去って行ったという表現は正確ではないかもしれませんが。

で、沖縄島は北寄りの風にもかかわらず、少しムシッとした灼熱~な感じでした。

風は北東。晴れ。

〈ハゼ科ハゼ亜科サンカクハゼ属ハタタテサンカクハゼ Fusigobius inframaculatus 16年7月14日 沖縄島崎山〉

画像は幼魚。

本種はミニチュア型幼魚で、成長過程で体色・模様が大きく変化するわけではありません。

しかしながら、画像をじっと見つめると、確かに幼魚であること、幼魚らしさを感じたり…。

撮影時、この個体を見つけたときには、その大きさから幼魚であることは明らかでしたけれど、ファインダーを覗き込んだ瞬間に…

『あどけないなぁ…』

と思ったりしたのです。

うまく説明はできませんが、この感覚って何でしょうね。

〈あどけない〉という言葉は、〈あどない〉という言葉が語源で、それが変化したものなのだそう。

で〈あどない〉とは、一説によると、幼児の足下の不安定さをあらわす言葉なのだとか。

そこから『無邪気な・子供っぽい』という意味で用いられるようになったよう。

すると〈あどけない〉は、元々動作あるいは立ち居振る舞いを指して使う言葉なのかな。

となると見た瞬間にあどけないと感じるのは、少しおかしいのかも。

でも、確かにその姿に、あどけなさを感じたりするのですけどねぇ…。

 

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