I wish you a Happy New Year.
一日中ドンヨリ曇りな感じの予報でしたけど、案外青空あり、日差しありだった本日のやんばるです。
日が暮れてからも一部に雲が残ってましたけど、なんとか皆既の時刻には雲が晴れ、赤銅色の月も見られました。
明日明後日は雨交じりの空模様みたい。週末は晴れ空になりそうです。
風は北東。曇一時日差し。
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『mate』
メイトという英語には、友達、仲間といった意味があります。クラスメイトとか、チームメイトとか……。
でもこの言葉には別の意味もあります。それは『交尾の相手』という意味なのだとか。
あるいは動詞では『交尾する・繁殖する』という意味もあるのだそう。
というわけでこの言葉に『season』がくっついた『mating season』だと、繁殖するシーズンすなわち発情期、交尾期、繁殖期という意味になります。
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2020年のブログで、キオネミクティス・ルメンガニィの交尾期について書きました。
〈ヨウジウオ科ヨウジウオ亜科Kyonemichthys属Kyonemichthys rumengani 22年9月24日 沖縄島安和〉
キオネミクティス・ルメンガニィは、この撮影ポイントでは年間を通して出会うことが出来ますし、ペア個体に出会うこともあり、卵保護個体に出会うこともあります。
でも2020年は9月後半から10月の前半にかけて劇的に出会う個体数が増えたので、この時期に交尾期があったのではないかと推測したわけです。
〈同種別個体 同日 同ポイント〉
しかし2021年には同じ時期(9月後半から10月前半)に、劇的に個体数が増加したという状況にはなりませんでした。
〈同種別個体 同日 同ポイント〉
だから、2020年が何か特別な状況だったのではないかと考え直したりもしました。
ところが……
〈同種別個体 同日 同ポイント〉
今年2022年再び9月後半から10月前半にかけて出会う個体数が劇的に増えたのです。
その増え方も2020年とほぼ同じ感じに。
〈同種別個体 同日 同ポイント〉
やっぱり、キオネミクティス・ルメンガニィには交尾期があるのでしょうか。
〈同種別個体 同日 同ポイント〉
では何故去年は明確な個体数の増加を観察出来なかったのでしょう。
隔年で起こる現象なのでしょうか?
〈同種別個体 同日 同ポイント〉
というわけで、来年の9月が待ち遠しかったりしています……。
大陸から張り出した高気圧の周辺部だった沖縄島の本日は、ドンヨリな空模様でした。
当然寒気の影響で、肌寒~い一日に。
週の中頃は少し暖かくなりそうですが、週末にはまた寒気の影響が出そうな予報…。
クリスマスイブまでちょうど一ヶ月ですもんねぇ…。
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さて前回の続き…
日付が進んで9月の後半に入ると…。
〈ヨウジウオ科ヨウジウオ亜科Kyonemichthys属Kyonemichthys rumengani 20年9月24日 沖縄島安和〉
完全にペアだと確信できる距離に接近している個体の割合が急上昇し、さらには…
〈同種別個体 同日 同ポイント〉
卵保護をしている個体にも出会うようになりました。
〈同種別個体 同日 同ポイント〉
もちろん出会える総個体数も20個体前後の数字を維持したままです。
〈同種別個体 同日 同ポイント〉
おそらくこの時期に、求愛期から交尾期に移行したのではないでしょうか。
というのも9月の前半には3個体が接近していることもあったのですが、この時期にはそういう光景に出会わなくなった印象がするのです。
〈同種別個体 20年10月5日 同ポイント〉
10月に入っても多くの卵保護個体に出会うことが出来ました。出会える総個体数も多いまま。
〈同種別個体 20年10月16日 同ポイント〉
10月の後半に入ると、またペアは距離を取り始めたような印象。
あるいは卵保護個体には出会うけれど、そのペア個体は見当たらないとう感じに。
〈同種別個体 20年10月22日 同ポイント〉
そして徐々に出会える個体数が減っていきました。
ピークは9月の後半から10月の前半だったようです。
少なくとも今年については、9月・10月が本種の繁殖期だったのではないかな、という印象です。
ちなみに11月に入っても…
〈ヨウジウオ科ヨウジウオ亜科Kyonemichthys属Kyonemichthys rumengani 20年11月16日 沖縄島安和〉
卵保護個体には出会います。
週が明けて鋭い日差しの日が続いてるやんばるです。
風はやや強めですが、風向は悪くなく、コンディションもグッド。
気温は夏日で、涼風が心地良い一日でした。
明日からは南寄りの風になるそうで、週の後半も晴れ空の夏日予想になってます。
風は東。晴れ。
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『ディスタンス』という言葉があちらこちらで聞かれるようになって、半年以上が経ちますが…。
今年の新語・流行語大賞のノミネート30語にも確か含まれてましたよね、『ソーシャルディスタンス』が。
僕もここ最近、水中で気になるディスタンスを観察してました。
気になり始めたのは9月に入ってすぐくらいですが、最初に記録したのは9月10日のこと…。
〈ヨウジウオ科ヨウジウオ亜科Kyonemichthys属Kyonemichthys rumengani 20年9月10日 沖縄島安和〉
通称『ピグミーシードラゴン』とか『スレッドパイプフィッシュ』とか呼ばれている本種ですが、僕の記録では第1ペアAとなってます。
〈同種別個体 同日 同ポイント〉
そしてこちらは第1ペアB。
本種はペアに出会うことはそんなに難しくありません。
〈同種別個体 同日 同ポイント〉
記録によるとこの子は第2ペアA。
〈同種別個体 同日 同ポイント〉
この子は第2ペアB。第1ペアも第2ペアも今一つ成熟度が低いような気がして、しかもAとBの距離が30~50cmくらい離れていたので、少し違和感を感じたり。
この日はさらにもう1ペアとペアを確認できなかった1個体にも出会ったのですが、その1ペアも何か微妙な距離感。
〈同種別個体 20年9月14日 同ポイント〉
日が変わってペア個体のA。
〈同種別個体 同日 同ポイント〉
ペア個体B。
日付が進んでも、やっぱり距離感は詰まらない感じ。でもペアとしか思えない距離。この距離は彼らにはどんな感じなのかな…。どちらかがどちらかに求愛しようとしているのかな…とか考えてみたり。それにしては30~50cmくらいの距離感を保ったままだったり。
〈同種別個体 20年9月17日 同ポイント〉
しかしさらに日付が進むと…。
〈同種別個体 同日 同ポイント〉
距離感はまあ相変わらずなのですが、出会う個体数が爆発的に増え、1日で20個体に出会うことに。
〈同種別個体 同日 同ポイント〉
しかもそのほとんどがペアと思われる距離感。微妙な距離感ではありますが…。
〈同種別個体 同日 同ポイント〉
これはやっぱり何かが始まってるような…、と考えたわけです。
そしてさらに日付が進むと…。
この先は次回に。
朝の時点では後半雨交じりな空模様になりそうな予報だったのですが…、雨の欠片にも出会えず灼熱~な感じだった本日のやんばるです。
遠くの方に雨雲っぽいのは見えたんですけどねぇ…。
明日は気圧の谷の影響で、しっかりと雨が降る予報で、雷もともないそう。
そして週末は再び灼熱~な感じになりそうです。
風は南~南西。晴れ。
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生物の種、および分類につけられる世界共通の名称を『学名』といいますよね。
僕たちは普段魚の名前を『和名(標準和名)』で呼んでいますが、これは当然日本人の間でしか通用しません。
学名には規則があり、動物の学名であれば『国際動物命名規約』というものがあり、いろいろなルールが決められています。
例えば、ラテン語の文法に則ったラテン語形で表記されるとか、種の学名すなわち『種名』は『属名+種小名』で構成されるとか。
あるいは、一つの種に対して有効な学名は一つ切りでなければいけないとか。
とはいえ、二つの異なる種だと思われていて二つの名前がついていたけれど、実はその二つは同じ種だったことが判明した、何てこともあるじゃないですか。
このように同一の種が異なる名前を持つことは、『シノニム(異名・同物異名)』と呼ばれます。
このため、国際動物命名規約では学名の後ろに命名の情報を付加することを推奨しています。
具体的には学名の後ろに命名者を付加し、学名と命名者の間には句読点を打たず、命名者の後ろに公表の日付を付加し、命名者と公表の日付の間にはカンマを打つという書式を強く推奨しているのだとか。
つまり同一の種に別々の人物が異なる学名を命名して記載論文を発表した場合、この日付に従い、原則として先に発表された学名が有効となるのだそうです。
これは先取権の原則と呼ばれています。
もっとも分類学関連の著作以外では省略して構わないことになっているそうで、僕らが使う普通の魚類図鑑なんかだと、学名(属名+種小名)のみの表記になっていますよね。
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さて…
〈ヨウジウオ科タツノオトシゴ亜科タツノオトシゴ属ユリタツノコ Hippocampus pontohi 20年5月22日 沖縄島安和〉
画像の個体は以前ならHippocampus severnsi だとされていました。
しかしその後遺伝的データによって、H.pontohi とH.severnsi は同種内の体色変異であることがわかりました。
つまりシノニムであったわけです。
国際動物命名規約に基づき先取権があるH.pontohi が正式名とされ、H.severnsi は異名とされました。
従って画像の個体は、ユリタツノコの体色変異型となったわけです。
毎日毎日真夏日が続くやんばるです。
今日は比較的雲量が多めな空模様でしたが、灼熱~な感じを和らげてくれることはなく…。
この先も灼熱~な日々が続きそう。日曜辺りから戻り梅雨な雨交じりの天気になりそうですが、それでも真夏日は続きそうです。
風は南西。晴れ。
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現在、日本で記録されているピグミーシーホースは5種なのだそう(僕は4種じゃないかと思っていたりもするのですが、それはまあ置いといて…)。
そのうちの1種に、去年の8月に『ハチジョウタツ』という和名がつきました(因みに学名は Hppocampus japapigu に)。
そして今年の3月に、さらに2種のピグミーシーホースに和名がつきました。
一つは Hppocampus denise で、和名は『カクレタツノコ』。生息場所の八放サンゴにうまく擬態していることから『隠れ竜の子』という意味なのだそう。
もう一つは Hippocampus pontohi で、和名は『ユリタツノコ』。水の流れに合わせて体をユラユラと揺らしていることから『揺り竜の子』という意味なのだそう。
また姿・色合いが標本採集地である沖永良部島の『えらぶ百合』を連想させることから、それにも因んでいるのだとか。
ピグミーシーホース(ヨウジウオ科タツノオトシゴ亜科極小種グループ)は、体が小さいことが他のタツノオトシゴとの大きな違いですが、それ以外にもこのグループだけが持つ特徴があります。
それは他の大型のタツノオトシゴたちが持つ、発達した育児嚢(雌が生んだ卵を雄が保護するための構造)を持っていないことです。ピグミーシーホースが卵保護をするための構造は完全にお腹の中(腹腔)です。この構造は独立した起源を持つと考えられていて、タツノオトシゴの主要な系統とは進化のかなり初期で分岐したことが示唆されています。
いずれにしても、本グループに関する分類法・体系・分布に関する情報がまだ少なく、解剖学的にもさらなる研究が必要なようです。
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さて…
〈ヨウジウオ科タツノオトシゴ亜科タツノオトシゴ属ユリタツノコ Hippocampus pontohi 20年4月7日 沖縄島安和〉
学名種小名は『ポントヒ氏の』の意。
インドネシアのスラウェシ島のダイビングガイド、ヘンス・ポントヒ氏(Hence Pontoh)に因んでいます。
ピグミーシーホースの中では比較的浅い水深(当地では20m弱から5mくらい)で出会えるので、じっくりと撮影できます。
ですが、その名の通り本当にユラユラと揺れ続けるので、構図やピントが難しかったり…。
朝から気持ちいい青空。風はどちらから吹いているのかよく分からないくらいにゆるやか~だった本日のやんばるです。
朝は少し冷え込みましたが、日中はとても過ごしやすい感じでした。
明日以降は数日雨交じりのようですが、週末にかけては日差しが戻り夏日になりそうな予報です。
風は南、のち西~北西。晴天。
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〈thread,yarn,string,line〉
上記の四つの英単語は全て『糸』を表す語です。といっても、それぞれに細かな意味は違います。
〈thread〉は『縫い糸』のことで、〈yarn〉は『紡ぎ糸』のこと。〈string〉は『たこ糸』や『楽器の弦』を指し、〈line〉は『釣り糸』のことです。
用途によって呼び方が違うということですね。
ところで…
〈ヨウジウオ科ヨウジウオ亜科Kyonemichthys属Kyonemichthys rumengani 20年1月20日 沖縄島安和〉
一般的に『ピグミーシードラゴン』の通称で知られる、まだ和名のない本種。
英語のサイトをいくつか見ていると、〈Thread pipefish〉と呼ばれているサイトが多い印象…。
前述の通り、〈Thread〉は『縫い糸』ですから糸のような、というか糸のように細いパイプフィッシュということでしょうか。
何だか、『ピグミーシードラゴン』よりも似合っているような気がしたりもするのですが…。
もっとも、スレッドパイフィッシュやピグミーシードラゴン以外にも、ピグミーパイプフィッシュ、レンベシードラゴン、パイプホース、ピグミーパイプホースやピグミーシーホースなどとも呼ばれているようで、まあ海外では本種の呼び方はかなり揺らいでいるようです。
それから考えると、ピグミーシードラゴンで統一されている感のある日本の方が解りやすいですね。
しかしながら…
1属1種の本種の属名『Kyonemichthys』は、ギリシャ語の『kyo=ふくれた』、『nema=糸』、そして『ichthys=魚』で構成された名前なのだそうで、糸のように細長い身体にふくらんだ胴という形態を表しているのだそう。
それを知ると、やっぱり『スレッドパイプフィッシュ』のほうが似合っているのでは…、とか思えたりも。
〈同種別個体 同日 同ポイント〉
最初の画像の個体とペアでいた個体。
ふくらみが胴だけではない抱卵中の雄個体。
〈同種別個体 20年2月4日 安和〉
この画像は幼魚個体。
まだ胴にも目立ったふくらみを持たない単なる糸ですね…。
昨日はこの時期にしては珍しく南寄りの風が吹き、半島北側のポイントに行ったりしてました。
多分今年半島北側で潜るのは最後かな…なんて思いながら。
その後前線通過と共に風は北寄りに。さらに強まり、最高気温が一気に5~6℃下がることに。
昨日の夕方の天気予報で気象予報士のお姉さんが、「明日は風がバーバーに吹きます」って言ってましたけど、本当にバーバー吹いてる本日のやんばるです。
風は強めの北~北東。くもり、一時雨。
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ヨウジウオ科ヨウジウオ亜科イシヨウジ属イシヨウジは一夫一妻の魚種で、本種および近縁種では挨拶行動と呼ばれる行動がペア雌雄間で見られるのだそう。
この行動は繁殖期・非繁殖期を問わず、毎日日の出直後にペアごとにおおよそ決まった場所で行われるのだとか。
毎日数分間行われるこの行動以外の時間は、雌雄はバラバラに行動していて、ほとんど接触はないのだそう。
つまり雌雄のペアはこの挨拶行動によって一夫一妻の夫婦の絆を維持していると思われるのだそうです。
一日数分間しか接触しないと考えると、冷めた夫婦生活っぽく思えたりもしますが、その数分間で夫婦の絆が維持できるということは、その数分間に互いがよっぽど濃厚な愛のシグナルのようなものを出し合っているのかも、と思えたりも。
あるいは、会えない時間が愛育てるのさ…、みたいな要素もあるのでしょうか…。
〈ヨウジウオ科ヨウジウオ亜科イシヨウジ属クチナガイシヨウジ Corythoichthys schultzi 19年9月1日 沖縄島安和〉
同じイシヨウジ属の本種。撮影時には、挨拶行動のCross的な行動をしていました。
ただし撮影時刻は11:02と記録されていますので、これは挨拶行動ではなく求愛行動のような繁殖行動の一つなのかも。
これからペアになって繁殖して、挨拶行動を繰り返す関係にまで発展するのかもしれません。
〈ヨウジウオ科ヨウジウオ亜科Kyonemichthys属Kyonemichthys rumengani (通称ピグミーシードラゴン) 19年10月4日 沖縄島安和〉
寄り添い見つめ合うカップル。こちらもおそらく求愛中なのではないでしょうか。
〈同種同一個体 同日 同ポイント〉
見ているこちらが恥ずかしくなるくらい、イチャイチャしてチュッチュしてました。
このカップルの間にも愛のシグナルが出まくっていたように感じました…。
風は北寄りでしたけど、日差しはタップリで湿度も高め…。
寒さはとくに感じなかった本日のやんばるです。
インターバルでは、スーツを半分脱いでいても快適に過ごせました。
今週はこんな感じの空模様が続きそうです。
風はやや強めの北東。曇のち晴れ。
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『奴』
この漢字にはたくさんの読み方があるみたいです。
『やつ』、『しゃつ』、『つぶね』、『ど』、『ぬ』、『め』、そして『やっこ』…。
今回は『やっこ』について。
といっても『奴(やっこ)』には、11個もの意味があるのだとか。
その1、下僕・召使い・家来。その2、目下の者を卑しめて呼ぶ語。その3、奴豆腐の略。
その4、奴凧の略。その5、近世の武家の奴僕。中間(ちゅうげん)のこと。その6、近世初期の侠客。
その7、遊女などが奴(武家の中間)の風をまねること。またその遊女。その8、近世の刑罰の一つ。その9、近世の身分刑の一つ。
その10、近世の魚屋の符丁。その11、奴頭(武家の中間)の髪形のこと。
いや多すぎる…。もっとも繋がり合う意味もあるようで…。
その5の武家の中間は身分の低い者だったらしいですから、その1・その2が本来の意味で、そこから中間のことも奴と呼ぶようになったよう。
武家の奴は四角形を染めた半纏を着ていたそうで、四角に切った豆腐も奴と呼ばれるようになり、その3に繋がるわけです。今でも冷奴って呼びますよね。
中間の筒袖姿を模したものが奴凧で、その4に繋がりますし、遊女や芸者が『○○奴』と呼ばれたのは奴の言行をまねたから、でその7に繋がり、その11は、その奴の髷のこと。
多くは武家の中間に関連しているようですね。すると奴=中間のイメージで、まあいいのかなと思えたり。
で、中間のイメージってどんなものが浮かびます?
僕的には、時代劇の参勤交代で荷物を運んでる人、あるいは江戸の武家屋敷で門番してる人、って感じです。
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さて…
〈ヨウジウオ科ヨウジウオ亜科ウミヤッコ属ヒメホソウミヤッコ Halicampus dunckeri 18年9月13日 沖縄島安和〉
学名種小名は『Duncker 氏の』の意。つまり献名です。
Georg Duncker はドイツの魚類学者です。
台風一過、ギラギラ日差しの本日のやんばるです。
台風24号は各地で様々な猛威を振るっていったようですが、それは当地でも…。
台風が近づくなかあっさりと停電し、今日の午前まで約45時間停電してました。
まだ完全な復旧は完了していなくて、電気の供給は不安定な状態です。
今この瞬間にも停電してPCがダウンするかも…とドキドキしながら書いていたり…。
というわけで、速やかに更新しないと…。
風は北。晴天。
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さてもう前置きなしに直ちに画像に…
〈ヨウジウオ科ヨウジウオ亜科ヒバシヨウジ属ヒバシヨウジ Doryrhamphus (Doryrhamphus) excisus excisus 18年8月24日 沖縄島新里〉
画像は幼魚。
〈ヨウジウオ科ヨウジウオ亜科ヒバシヨウジ属ヒバシヨウジ Doryrhamphus (Doryrhamphus) excisus excisus 18年6月14日 沖縄島安和〉
そして成魚。
幼魚のモノトーンに対して、成魚は鮮やかなバイカラーって感じですね。
幼魚は生き残るために、枯葉や枯枝の切れっ端、あるいは千切れた樹皮に擬態しているのでしょうか。実際に水中では一見無生物に見えたりします。
無彩色で生き残り、成長して彩色され繁殖するわけです。画像の成魚は腹部に体外運搬型卵保護中です。ということは雄ですね。ヨウジウオ科の卵保護は、雄が担当しますから。
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彩色といえば…
〈イサキ科コロダイ属コロダイ Diagramma pictum 18年7月24日 沖縄島新里〉
画像は幼魚。
白と黒。いわゆるモノクロームの無彩色。
しかし学名種小名は『彩色した・多彩な』の意。
まあ成魚は鮮やかな色彩・模様を纏い、成長の過程でもかなり多彩に色彩・模様を変化させたりもします。
ところで、何故最初は白黒の無彩色なのでしょう。
ヒバシヨウジのように何かに擬態しているようには思えませんよね。
あるいは分断色でしょうか。白ないしは黒のどちらかの色が目立っって、全体の形を判りにくくしているとか…。
相変わらず暑~い日々が続いてますやんばるです。
風もゆる~く、海も凪続き。
本日の熱中症指数が厳重注意。そして明日は危険レベルの予報。
まだ暑~い日は続きそうです。
海上の熱帯低気圧が、明日には台風に発達しそうです。
進路はまだ解りませんが、来週の後半沖縄島に近づくかもしれません。
風は南~南西。晴天。
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魚の学名種小名には、語尾が ‐ae や ‐i で終わるものが結構ありますが、これは献名と呼ばれる慣習です。
つまりその種小名から語尾の -ae や -i を取り除くと人名になるわけです。
例えば…
〈ヨウジウオ科ヨウジウオ亜科イシヨウジ属クチナガイシヨウジ Corythoichthys schultzi 18年8月20日 沖縄島安和〉
クチナガイシヨウジの学名種小名は schultzi ですので、i を取り除くと schultz となり、これは Leonard P.Schultz (レオナルド・P・シュルツ)さんというアメリカの魚類学者の名前です。彼に献名された学名だということですね。
献名とは、魚類だけに限らず、生物の種を記載し学名を命名するのに際して、命名者が特定の人物に敬意を表して名前を織り込む慣行のこと。
この特定の人物とは、記載された種を採集して命名者に提供した人物というケースが多いのだとか。
しかしそれだけではなく、命名者が個人的に恩義を感じている人物や、個人的に尊敬している人物である場合もあるのだそう。
分類学者が、自分の発見した新種の生物に自分の名前をつけるケースもあるにはありますが非常に稀で、やはり多くは前述のようなパターンで直接的あるいは間接的に敬意を表するのだとか。
個人的に尊敬しているというパターンは結構バラエティーに富んでいて、イギリスのヴィクトリア女王やアメリカのバラク・オバマ前大統領、ドナルド・トランプ現大統領等の王族や政治家に献名されていたり。
あるいはジョン・レノンやオジー・オズボーンなどのミュージシャンに献名されていたりもします。
日本ではインドネシアに分布するハゼの一種の学名は、長年ハゼの分類学的研究を行っている今上天皇に、またコトクラゲの学名は標本を相模湾より採集した昭和天皇に献名されていたりもします。
ではそもそもどうして献名という慣行が始まったのかというと、これは分類学的研究に多大な経済援助が必要だった19世紀に、研究者が援助者への謝意を示すために行ったものであったそうです。
研究ってお金かかりますもんねぇ…。
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さて…
〈ヨウジウオ科タツノオトシゴ亜科タツノオトシゴ属ヒポカンパス・ポントヒィ Hippocampus pontohi 18年8月20日 沖縄島安和〉
学名種小名の語尾が -i ですから、本種の学名も献名です。
インドネシアのスラウェシ島のダイビングガイド、Hence Pontoh(ヘンス・ポントヒ)さんに因んでいます。
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ところで…
本種は最初、Hippocampus severnsi として新種記載されました。
しかしその後遺伝的データによって、H.pontohi と H.severnsi は同種内の体色変異であることがわかりました。
国際動物命名規約に基づき、優先権がある H.pontohi が正式名、H.severnsi は異名とされたそうです。