Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

まだできない…(ヒレグロベラ&キツネベラ)

2016-06-28 18:53:42 | ベラ科

連続して発生した熱帯低気圧は、結局どちらも台風1号にはならず…。

これはいよいよ7月まで発生しないのかなぁ…。

ただ発生したとしても、太平洋高気圧の張り出しが強く、沖縄島に近づけそうにありませんが。

その高気圧の勢力のために、沖縄近海の海水温は高温のまま推移している模様。

サンゴが心配です…。

いや、サンゴだけではなく人間にも影響が。

高い海水温のせいで夜になっても気温が下がらず、夜間熱中症に注意が必要なのだそう。

暑すぎる夏になってきたやんばるです。

風は南。晴天。

〈ベラ科タキベラ亜科タキベラ属ヒレグロベラ Bodianus loxozonus 16年5月11日 沖縄島安和グスク〉

画像は幼魚。

本種には、幼魚ステージの姿がとてもよく似た近縁種がいます。

〈ベラ科タキベラ亜科タキベラ属キツネベラ Bodianus bilunulatus 16年5月9日 沖縄島安和〉

画像はもちろん幼魚。

この2種は成魚もそんなにかけ離れた姿をしているわけではありませんが、それでも幼魚は相似的なくらいに…。

そして同じ時期に出会う印象。

もう生存戦略的な意味を感じずにはいられませんよね。

混泳している印象はまったくありませんが、それでもほぼ同じ姿を纏うことで、有利に働く何かの効果が得られるのでしょうか。

日本産のタキベラ属は16種いるのに、何故この2種にだけ、このような淘汰圧的なことが起こったのでしょう。

あるいはこの色彩・配色に意味があって、この2種がそれを手に入れたという可能性はどうでしょう。

けれどこの2種はここからの成長過程のステージも、とてもよく似た姿をしています。

だからやっぱり、相似的であることに意味があるのでしょうね。

 

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1号になるかな…(シライトウミウシ)

2016-06-24 18:29:11 | ウミウシ

本日も暑~い……、真夏度全開のやんばるです。

肌がヒリヒリする…。

沖縄のはるか南西の海上で、ようやく昨日熱帯低気圧が発生しました。

明日には台風1号が発生するかも。

もし台風になれば、観測史上3番目に遅い台風の発生記録になるのだそう。

ただまあ、台風になったとしてもそのまま西進して、沖縄島にはまったく近づかないようですが。

平均水温29℃状態のダイビングが、当分続きそうです…。

風は南~南西。晴天。

〈イロウミウシ科コモンウミウシ属シライトウミウシ Chromodoris magnifica 16年5月9日 沖縄島安和〉

画像は幼体。

そしてペイル・フォーム。

『蒼ざめた馬を見よ。これに乗るものの名は死。黄泉これに従う』

ヨハネ黙示録第6章第8節の聖句。

前半部を英語で表記するとこんな感じに…

I looked, and there was a pale-colored horse.

ペイル・フォーム(pale form)は、日本語では淡色彩型と呼ばれますが、pale という言葉には、『淡い色・薄い色』という意味の他にも『青白い・青ざめた』という意味もあります。

本種の本来の色は黄色や黒が目立つ体色ですから、このペイル・フォームは淡色彩型というよりは、青白色彩型という方がしっくりくるように思えたりします。

ただ、本種の学名種小名は『華美な・光輝ある』の意。

華美とは、はなやかで美しいこと。

これに関しては、ペイル・フォームはかなり違和感がある容姿に思えたり。

まあ清楚な美しさは感じたりしますが…。

 

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夏至(ヒゲニジギンポ)

2016-06-21 19:05:37 | イソギンポ科

今日は二十四節気の夏至。これを書いている今19時を過ぎてますが、まだ外は十分に明るい感じです。

相変わらず夏全開の日が続いてますやんばるです。

水温もグイグイ上昇中で、湾内のポイントでは-20mくらいまでいっても27℃だったり…。

未だ台風の発生はなく、そろそろシリアスな状況になりつつあるような……。

アメリカ海洋大気局(NOAA)が、今夏以降サンゴの死滅につながる大規模な白化現象が起きる恐れがある、という分析結果を発表したのだとか。

う~~ん、まいったなぁ…。

風は南~南西。晴天。

〈イソギンポ科ヒゲニジギンポ属ヒゲニジギンポ Meiacanthus grammistes 16年5月9日 沖縄島安和〉

画像は幼魚。

学名種小名は『外科用の器具』のことなのだそう。

本種の何がどういう風に外科用器具に繋がるのか、よく解りません…。

しかもこれ、探っていくと不可思議な現象に出くわしたり。

grammistes はギリシャ語由来の言葉のようですが…

まず『grammistes 、意味』という二つのキーワードで検索してみると…

striped という言葉がヒットするのです。

striped は『縞模様の』という意味ですが、確かに本種は縞模様。

さらに本種と同じ学名種小名を持つ魚に、イチモンジハゼがいます。

このハゼは、頭から尾鰭にかけて筋模様。

striped には、縞模様の他に筋模様の意味もありますから、二種には共通点を感じたり。

しかしstriped と grammistes の繋がりが解らない…。

『grammistes 、和訳』とか『grammistes 、日本語』とかの組み合わせで検索しても『striped』がヒットする。

何だろう? 何とも不可思議な気分に捕らわれたり…。

 

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いきなり全開…(キクロポルス・ウェネトゥス)

2016-06-17 18:48:15 | 水中生物

昨日沖縄地方の梅雨明けが発表されました。

平年よりは7日早く、去年よりは8日遅い梅雨明けで、梅雨の期間は31日間だったとか。

そして本日は、もういきなり真夏全開な陽光に…。

風裏のポイントは、早くも灼熱~な感じになってました。

週間予報にも晴れマークしかなく、予想気温も真夏日しかない…。

当分はいい感じのコンディションが続きそうです。

風は南。快晴。

〈エウリレプタ科キクロポルス属キクロポルス・ウェネトゥス Cycloporus venetus 16年5月9日 沖縄島安和〉

画像は極小幼体。

丸い形をしていますが、ヒラムシです。

ミニチュア型の幼体で、だから成体はこんな感じ↓

〈同種 別個体 16年4月11日 沖縄島安和〉

さて…

水の色はと問われれば無色透明ですが、水色という色は確かに存在しますよね。

実際の川や湖や海も、青だったり緑だったり青緑だったり、それこそ水色だったり。

それには複数の原因があるそうで、水色という言葉は、平安時代から見られる色名なのだそう。

本種の学名種小名は『水色の・青色の』の意。

画像を見れば、まあその通りという感じです。

種小名 venetus の複数形は veneti で、この名を持つ種族、つまり veneti 人が住む国のことを venetia と呼んだのだそう。

ラテン語の venetia はイタリア語では venezia です。

そう、水の都ヴェネツィアのことです。

現在はイタリア共和国北東部の都市ですが、中世にはヴェネツィア共和国の首都だったのだそうです。

水の都の他にも、『アドリア海の女王』あるいは『アドリア海の真珠』という別名も持つ都市なのだとか。

僕的には、世界三大映画祭の都市ですけど…。

 

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梅雨もそろそろ…(ツユダマガイ)

2016-06-14 18:58:39 | 水中生物

毎年梅雨の末期には激しい雨が降る沖縄島ですが、この2~3日そんな強雨が続いてます。

で、本日もまた雨交じりだったやんばるです。

そろそろ梅雨が明けそう…。

早ければ今週末に明けそうな雰囲気です。

風は西のち南。雨が降ったりやんだり。

〈コゴメガイ科ツユダマガイ属ツユダマガイ Crithe nipponica 16年4月27日 沖縄島崎山〉

生物の唯一の名前(種名)は学名です。

国際的に、学術的にという意味で。

学名の種名は、属名と種小名から構成された表記法で、これを二名式命名法(二名法)といいます。

この表記法で統一されたのが1758年1月1日とみなされているため、現在の国際動物命名規約では、この日以後にこの形式で命名された種名を有効な名称としています。

つまり国際動物命名規約的には、1758年1月1日以前には、生物(この場合は動物)の唯一の名前というものはなかったわけです。

さて、学名は基本的にラテン語で書かれます。

基本的にというのは、結構ギリシャ語が多く混じっているから。まあこれ、僕の勝手な印象ですけど。

種小名の意味を探ってると、ラテン語だと思ってた言葉が、そのまんまギリシャ語だったというケースに結構出くわしたりするのです。

そのまんま…といったのは、そのまんまじゃなければ、もう世界中の言語が入っているから。

それはつまり、どんな言語もラテン語化することができるのです。

で、本種の種小名は『日本の』の意。

日本語である『nippon』の語尾を変化させて、ラテン語化しているわけです。

さらにはまったく変化させない例も。

鳥のトキがそれ。学名は『 nipponia nippon

種小名はそのまんま『日本』です。

でもじつは、これもラテン語化されているのです。

漢字の『日本』がアルファベットの『nippon』になっているでしょう。

つまりアルファベットで表せば、それだけでラテン語化されたとみなされるそうです。

複雑なのか単純なのかよく解らなくなってきたり…。

 

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弱雨…(アカヘビギンポ)

2016-06-10 19:22:24 | ヘビギンポ科

後半雨交じりだった本日のやんばるです。

といってもあっさりした雨でしたけど。

そろそろ梅雨も後半なので、もっとドバッと降ってもよさそうなのですが。

もちろん降って欲しいわけではないですけど。

まあでも、ムシムシ感は十分に梅雨してます。

風は弱~く、ベタベタな凪の一日でした。

風は南東。曇一時弱雨。

〈ヘビギンポ科ヘビギンポ属アカヘビギンポ Enneapterygius phoenicosoma 16年4月27日 沖縄島崎山〉

約1年前に新種記載された本種、標準和名も当然そのときにつけられたわけですが、『アカヘビギンポ』のキーワードで検索したりすると、『アヤヘビギンポ』ではないですか? と検索エンジンに問われたりする…。

まだ名前が定着していないのでしょうか?

もっとも『赤ヘビギンポ』で検索すると『アカヘビギンポ』が多数ヒットする。

というのも本種は長らくダイバーの間で『赤ヘビ』という通称で呼ばれていたから。

標準和名の『アカヘビギンポ』もこの通称と無関係ではないのでしょう。

じつは前回のコジカイソハゼも、和名のない頃からダイバーにコジカという通称で呼ばれていたことから和名がついたそうで、本種も同じような形なのでしょう。

さて……

本種の学名種小名 phonenicosoma はphonenico と soma がくっついた言葉。

soma の方は以前にもたぶんでてきたと思いますが、『身体』の意。

そして『phonenico』は『深紅の』の意。

つまり『深紅の体』

これも通称と無関係ではないのでしょうね。

 

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ガッツリ感…(コジカイソハゼ)

2016-06-07 19:06:09 | ハゼ科

降るときはガッツリ降り、晴れるときはガッツリ晴れる。

例年そんなガッツリ感が半端ない沖縄の梅雨空ですが、ここ数日がまさにそんな感じに…。

昨日のガッツリ雨から一転、今日はガッツリ陽光が降りそそぎました。

北寄りの風だったのに、まったく涼しさを感じられない本日のやんばるでした。

明日もガッツリ晴れそうです。

風は北東。晴れ。

〈ハゼ科ハゼ亜科イソハゼ属コジカイソハゼ Eviota pellucida 16年4月27日 沖縄島崎山〉

コジカは子鹿からだそうで。

褐色の体に白い斑点が、子鹿のようだからだそう。

つまり鹿の子模様のようだから、ということなのでしょうか。

ただ画像をじっと見ていると、体内部の鹿の子模様より体表の小赤色点模様のほうが目についてきたりも…。

まるで透明な素材の裏側からも表側からも模様が描かれた衣を纏っているように思えたり。

まあ、イソハゼ属の多くはこんな感じですが。

でも本種の学名種小名は『透明な』

本種に関しては、模様よりも衣がメインなのかなぁ…、とか思ってみたりも。

しかしなぜ透明な体を手にしたのに、二重の模様も持つことになったのでしょうか。

透明だけの方が目立たないはずなのに。

まあ、同種間では目立つ必要があったのかなぁ…。

因みに鹿の子は夏の季語です。

 

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らしい雨…(ウスイロサンゴヤドカリ)

2016-06-03 18:49:03 | エビ・カニ類

後半雨…な本日のやんばるです。

梅雨らしい感じの雨…。

ただムシムシ感はなく、涼しい一日でした。

風は東~南東。曇のち雨。

〈ヤドカリ科サンゴヤドカリ属ウスイロサンゴヤドカリ Calcinus vachoni 16年4月27日 沖縄島崎山〉

この個体はおそらく雄。

〈同種別個体 同日 同ポイント〉

そして、この個体がおそらく雌。

何故そう思うのかといいますと……

こんな感じになって…

さらに…

こんな感じから…

こうなってしまいましたので。

さて、ヤドカリは5対の脚を持ちます。

第1胸脚がはさみ脚。第2胸脚と第3胸脚は歩脚として使われ、第4胸脚と第5胸脚は貝殻を保持するために使われるのだそう。

雄の生殖孔は第5胸脚の付け根にあり、上の画像ではおそらくそこを雌に接近(接触?)させていると思われ…。

すると貝殻の保持が難しくなるのか……

貝殻が外れそうになり、見えてはいけない部分が見えたり。

約40分後に終了。

いったい内部ではどういう位置関係で、どんな風に生殖行動が行われていたのでしょうか。

 

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