Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

影は光(ホシカゲアゴアマダイ)

2020-09-29 18:29:16 | アゴアマダイ科

変わらず北寄りの風の日が続いているやんばるです。

この風は『ミーニシ』でしょうか? 少し早いような気もしますけど…。

この風のおかげで陸上は過ごしやすい日が続いています。

水面は少々パシャついていますけど…。

風は北西。晴れ時々曇。

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夏の暑い日、ダイビングのインターバルには『ひかげ』で休憩したいですよね。

さてこの『ひかげ』は、『日陰』でしょうか? それとも『日影』でしょうか?

答えは『日陰』です。

陰と影。物に遮られて光の当たらないところや目につきにくいところを陰といい、物体が光を遮ったときに光と反対側に出来る黒い形や光が反射して水面などに映る物の姿を影というのだとか。

つまり陰は場所と、影は姿形と関係が深い言葉なのだそう。だから例えば『かげに隠れる』ならそれは場所なので『陰に隠れる』となり、『見るかげもない』なら姿ですから『見る影もない』となるのだそうです。

しかしながらそもそも古代では、『かげ』という言葉はきらきらとした輝きや明滅する光、あるいは揺らめく光を意味する言葉だったのだとか。

そして後に、光そのものを意味するともに、その光に照らされるものの像や、その背後に出来る闇の部分を意味する言葉にもなったのだそう。

つまり影は光だったわけです。

それは影という漢字にも現れています。影の左側は光を意味する景という字、右側は彩りや模様に関する文字を作るさんづくり(彡)です。

だから『月影』といえば『月光』を意味し、『火影』といえば『灯火の光』を意味しますよね。

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そして『星影』といえば…

〈アゴアマダイ科アゴアマダイ属ホシカゲアゴアマダイ Opistognathus solorensis 20年5月8日 沖縄島安和〉

画像は黄色個体。

学名種小名は『ソロール島の』の意。

インドネシアのソロール島に因んでいます。

標準和名の『ホシカゲ』は、星影すなわち星の光のことで、身体に散在する白く明るい斑点模様を指しているのだそうです。

 

 

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世界図の技法(ケボリガイの仲間)

2020-09-22 20:38:16 | 水中生物

早朝は少し雨交じりでしたが、時間と共に青空が広がった本日のやんばるです。

このところ北寄りの風が続き、鋭い日差しを浴びても灼熱~な感じではなくなっています。

秋分の日の今日も、秋めいた一日になりました。

ただ、向こう一週間は平年並みか平年より暑い日になりそうな予報ですが…。

二つの季節が鬩ぎ合っている感じのこの頃です。

風は北~北東。雨のち曇、のち晴れ。

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『ブッダーヴァタンサカ・ナーマ・マハーヴァイプリヤ・スートラ』と聞いて、何かをイメージできる人はまあまずいないでしょうね。

これは梵語で、日本語にすると『大方広仏華厳経』のこと。大乗仏教経典の一つ。つまり仏教の、釈迦が説いた教えを記録した聖典の一つです。

この華厳経には『華厳蔵世界』という世界観が説かれているのだとか。それによると、世界には『香水海』という清い真水の大海の上に一輪の巨大な蓮華があり、その上は大地になっているのだそう。

そしてその大地にはさらに無数の香水海があって、そのそれぞれに一輪ずつの大蓮華があるのだとか。そしてさらにその上に無数の大地があり、そのそれぞれに無数の世界があり、無数の世界には無数の仏国土があるという世界観なのだそうです。

複雑怪奇な世界観にも思えますが、綺麗なイメージが浮かぶ世界観です。

東大寺盧舎那仏像、いわゆる奈良の大仏様。その大仏の坐する蓮弁には、この華厳蔵世界図が毛彫りによって表されているのだとか。

毛彫りとは金属に線を彫る彫金の一手法で、もっとも基本的な技法なのだそう。

古くは弥生時代の『銅鐸』にはじまり、古墳から出土した兜や馬具の金具、室町時代以降には刀装具の彫刻などにもこの技法が使われているのだそうです。

東大寺には小学生のときに遠足で行っているのですが、蓮弁の記憶はないなぁ…。

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さて…

〈ウミウサギガイ科ケボリガイの仲間 Ovulidae sp. 20年8月7日 沖縄島安和〉

毛彫り技法のような線刻を、殻全体に纏っている貝です。

イソバナ類の上でじーっとしているイメージの本種ですが、画像の個体は活発に動いてました。

「赤いだけに3倍速いのか?」とか、「こいつ、動くぞ!(あっ、これはライバルの方のセリフだった)」とか思いながら撮影してました…。

 

 

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百合と愛(ウミシダウバウオ)

2020-09-15 18:51:49 | ウバウオ科

台風10号の影響が消えた後、凪の日が続いているやんばるです。

フィリピン付近に熱帯低気圧が発生しており、今後台風になりそうですが、西進していきそうな雰囲気です。

まだまだ凪のコンディションが続きそうです。

風は弱い南西。晴天。

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『愛する』

男女の間のセクシャルな意味で使われることもあれば、家族や友達、動物に対してや仕事や趣味に対しても使われる言葉ですよね。

この言葉、日本語として定着したのは明治以降のことなのだとか。

明治以降文学作品を通じて西欧から『ラブ(love)』という言葉が入ってきたとき、当時の翻訳家たちがそれに直接対応する言葉として漢語から『愛』という言葉を引用し、『ラブ』の対応語にあてたのだそう。

つまり『愛・愛する』はそのとき生まれた造語だったようです。

ではそれまで愛情を表現する言葉が日本にはなかったのかというと、もちろんそうではありません。

異性に対する愛情を表現する言葉は、『恋する』、『慕う』、『思う』、『焦がれる』、『惚れる』等々、状況によって細かくありすぎたわけです。しかもこれらは家族や友達には使えません。

そういう関係には、『慈しむ』や『可愛い』等、やっぱり細かな別の表現があったわけです。

現在僕たちはどんな対象にも万能に使える『愛する』という言葉を普通に使っていますよね。きめ細かな使い分けは失われつつあるのかもしれませんが、愛すること、愛情を伝えることが昔よりたやすくなったような気もします。

『愛する』

明治の翻訳家たちの偉大な発明のように思えたり…。

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さて…

〈ウバウオ科ウミシダウバウオ属ウミシダウバウオ Discotrema crinophilum 20年7月20日 沖縄島安和〉

学名種小名は『分離する+愛する』の意。

あるいは前半は『百合』の意で、『百合+愛する』の可能性も。

なんかぐっとGL的な雰囲気になってしまう気もしますが…。

住処のウミシダはウミユリ綱で別名を無茎ウミユリ類とも言われますから、そちらからの意味なのかも。

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

ユリの中で愛し合うペア…です。

 

 

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美食家…?(ミナミゴンベ)

2020-09-08 20:44:34 | ゴンベ科

台風10号は沖縄島を暴風域に巻き込むことなく過ぎ去ってくれました。

もちろん海は大荒れになりましたが、それも急速に回復しています。

今日は風も十分に弱まり、明日には凪の海況になりそうです。

風は弱い南~南西。晴れ。

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『食通』という言葉をご存じでしょうか。

料理の味や料理に関する知識について詳しいこと。または料理の味や料理に関する知識に詳しい人物のこと。

世界的には『gourmet(グルメ)』というフランス語が用いられるのだとか。

グルメはまた美食家とほぼ同義で用いられるのだそう。美食家とは人並み外れて美食(贅沢で美味しいもの)を追求する人物のこと。そのあまり、捕獲が禁じられている動物を食材として食べてしまうという違法行為を犯してしまう事例もあるのだとか。あるいは美食を探求した結果、寄生虫に冒されたり有毒部位を食したりして死亡するような事例もあるのだそうです。ある意味すごいのかもしれませんが…。

ところで近年、世界一の美食都市として東京が挙げられているのだとか。あのミシュランガイドでも、東京が世界で最も多くの星を得ている都市なのだそう。因みに第2位はパリで、第3位は京都なのだそう。つまりベスト3のうち2つは日本で、我が国は現在美食の国なのかもしれませんね。

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魚たちももちろん食事はするわけで…

〈ゴンベ科オキゴンベ属ミナミゴンベ Cirrhitichthys aprinus 20年7月20日 沖縄島安和〉

食事中に遭遇。

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

近寄っても離すことなく。

美味しいのでしょうか? 僕にはあんまり美味しそうには見えませんが…。

食しているのはウミケムシ類のよう。体側の毛に毒を持っているのですが、甲殻類や魚類は普通に食するようです。

やっぱり美味しいのだろうな、とか考えながら見ていると…

別の個体がやって来て奪い合いに。

彼らにとっては、贅沢で美味しい獲物なのかもしれません。

 

 

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鬼神から善神(ヤシャベラ)

2020-09-01 09:35:10 | ベラ科

台風9号の暴風雨が続いているやんばるです。

今のところ停電はしていませんが…。

今日一日は激しい風雨が続きそうです。

風は激しい南東。暴風雨。

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三蔵法師、というキャラクターをご存じでしょうか。いやもちろんご存じですよね。

中国四大奇書の一つ、『西遊記』に登場する僧侶。主人公『孫悟空』の師匠です。西遊記はSFですから三蔵法師は架空のキャラクターですが、そのモデルとなった実在の人物がいます。

それが『玄奘三蔵』という唐の時代のお坊さんです。唐からインドに17年間かけて旅をして、大般若経などの経典を持ち帰った人物です。その旅をSFにしたのが、西遊記です。

しかし実際の旅の様子を伝えた書物にも、実はSF的な伝説が残っているのだそう。

それは玄奘三蔵がインドから唐への帰国の途中に、川のほとりで鬼神に出会うというお話です。

その鬼神の名は深沙大将(じんじゃだいしょう)。彼は玄奘三蔵に、法師は六回前の前世から衆生を救うためにインドに行かれているのですが、経典をたずさえた帰り道に、私は六度法師を殺しその経典を奪ってきました。今こうして法師とお目にかかるのは七度目です。以前にも増して多くの経典を持って帰られた法師の姿を見て、その仏法に寄せる情熱を私はようやく理解することが出来ました。六世もの間法師に犯してしまった罪を心から後悔しています。

という感じで、泣きながら謝罪したそうです。

玄奘三蔵はもちろんその行いを許し、深沙大将は以後未来永劫経典を守護し、経典を信じる者を援護すると硬く誓約したのだとか。

こうして仏法および仏教徒を守護する『護法善神』が誕生したという物語。つまり鬼神であった深沙大将が善神になったという物語ですね。

この場合の鬼神とは古代インド神話に登場する鬼神、つまりは『夜叉』のことです。この夜叉が仏教に包括され、守護善神になったという物語です。

因みに深沙大将は、西遊記には『沙悟浄』として登場しているのだそうです。

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さて…

〈ベラ科モチノウオ亜科モチノウオ属ヤシャベラ Cheilinus fasciatus 20年7月17日 沖縄島新里〉

画像はまだ幼い個体。

学名種小名は『帯(状斑紋)のある』の意。

幼魚も成魚も、体側に暗色系の帯状模様を纏っています。

 

 

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