Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

亀の甲より…(ハシナガウバウオ)

2019-02-26 18:18:57 | ウバウオ科

日中は気持ちよく晴れた本日のやんばるです。

数字よりも暖かく感じる一日でした。

南の海上では台風2号が発生してますね。今後勢力を弱めながら西進を続け、月が変わる頃には台風でなくなるようです。

この台風が発生した渦域と赤道との距離、これと同じときに発生していた南半球の渦域と赤道との距離、この二つの距離がほぼ同じだったのだそう。

これが何を意味しているかというと、この2号が今シーズンの最初の台風だということ。確か今年のお正月くらいに台風1号が発生してますが、これは昨シーズンの最後の台風だったのだとか。これも、両半球の渦域と赤道との距離で判断できるのだそう。

というわけで、当地の冬は終わったのではないでしょうか。水温は現在23℃。もうこれ以上下がることもなさそうです。

風は北東。曇のち晴れ。

■■

昔話に『うばすてやま』というのがありますよね。

昔あるところに『老人は山に捨てなければならない』というお触れがあって、息子が老いた母親を捨てるために山に登っていくのですが、結局捨てることが出来ず、家に隠して暮らします。ある日隣国が難題をふっかけてきて、クリアできなければ攻め込むぞと言ってきます。困った殿様が国中に良い知恵はないかと問いかけます。そのときに老いた母親がナイスなアイデアをだして難題を次々と解決していき、それを知った殿様は姥捨てのルールを撤廃する、というお話。

『亀の甲より年の功』ってことですね。

子供の頃、『まんが日本昔ばなし』で見た記憶があります。

この『姥捨山伝説』にはいくつかのパーンがあるのだとか。僕が記憶していた前述のパターンは、『難題型』と呼ばれるものなのだそう。

他には、妻が憎むので姥を捨てに山に行くのですが、なんだかんだで山の神から打ち出の小槌をもらうことになるという『老婆到富型』、あるいは山に登る途中に背負われた親が、帰りに子が迷わぬようにと木の枝を折る『枝折り型』、さらには親を運んだもっこで逆に諭される『親捨てもっこ型』などがあり、この4型とその複合型が多いのだそう。

捨てに行く理由が妻が憎むからって…、それはちょっとひどいですよね。今なら確実に事件ですよ…。

『難題型』はインドに起源があるのだとか。日本では枕草子に『複合型』の完成された形での記述があるそうで、日本でもかなり古い時代に成立した物語のようです。

またアジアやヨーロッパでも古くから見られるもので、エスキモーやネイティブ・アメリカンにも見られるのだとか。

もっとも、古代から近世までにおいて、姥捨てやそれに類する法令などがあったという公的記録はないのだそうです。

■■

さて…

〈ウバウオ科ハシナガウバウオ属ハシナガウバウオ Diademichthys lineatus 19年1月3日 沖縄島安和〉

学名種小名は『線のある』の意。

確かに特徴的な縦線模様。

そして和名の通り嘴が長いのが特徴。まあ、嘴じゃなくて吻ですけど。

本種は1属1種で、ウバウオ科の特徴である腹吸盤の発達は悪いのだそう。

確かにいつも泳いでいて、どこかにくっついているという印象はありませんね。

 

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体毛と脳(ハダカコケギンポ)

2019-02-19 18:56:36 | コケギンポ科

朝から湿った南風が吹き、なんと気温が夏日になった本日のやんばるです。

やんばるだけでなく、ほぼ沖縄全域が夏日になったのだそう。

特に前半は日差しもけっこう強かったので、とても2月とは思えない天気でした。

実際5月上旬並みの天気だったのだそうです。

後半は一転強めの雨に…。

スーパームーンも見られそうにありません。

風は南のち西。晴れのち雨、のち曇。

■■

「あの人は裸の王様だ」

と言えば、それは対象となる人を揶揄する言葉ですよね。

直言する人が周りにいないために、自分に都合のいいことだけを信じ、真実を見誤っている人という意味の表現。

デンマークの童話作家、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの作品である『裸の王様』から生まれた表現です。

人間の心理の弱点を辛辣に捉えた寓話とされていますが、まあ僕の記憶の中にはコミカルな印象しか残っていません。

ところでこの童話、原題をそのまま日本語にすると『皇帝の新しい衣装』なのだとか。

つまりタイトルの主体は衣装の方で、王様の方ではないよう。『裸の王様』というのは日本で定着したタイトルで、「あの人は裸の王様だ」という表現も、日本でしか通用しない表現のようです。

それはさておき、この童話が成立するのは人間に体毛がほとんどなく皮膚が剥き出しになっているから。ヒトの身体は毛皮を纏ってはいず、それは霊長類の中でヒトだけが持つ特徴です。

ヒトはなぜ体毛を失ったのでしょう。多くの哺乳類が体毛を持っているのは、そこにメリットがあるから。それを捨ててまでも得られる別のメリットがあるということなのでしょうか。それはどんなメリットなのでしょう。

ヒトが体毛を失った理由は諸説あるようですが、有力なものは『過熱の防止』なのだそう。

かつて森から草原に進出したヒトの祖先は、食べ物を求めて長距離を歩いたり走ったりするようになりました。活発に動き回っても体温が上がりすぎないための仕組みが必要だったのだとか。

その仕組みとして無毛化が進んだり、熱の発散に効果的な水分の多い汗をかくようになったのだそうです。

さらにこの仕組みは脳の大型化にも一役かったのだとか。そしてヒトは巨大な脳を武器に、地球全土で繁栄したのでしょうね。

160万年前に初期ホモ属が現れたころには、すでに無毛化が進んでいたと考えられているそうです。

■■

さて…

〈コケギンポ科コケギンポ属ハダカコケギンポ Neoclinus nudus 18年12月27日 沖縄島安和〉

学名種小名は『裸の』の意。

和名も学名も『はだか』な本種。

『はだか』という言葉はそもそも『はだあか』だったのだとか。

『はだあか』は『肌赤』あるいは『肌明』で、『肌が何にも隠されず、あからさまになっている』という意味なのだそう。

コケギンポ科の魚は鱗と側線が退化していて、なかでも本種が最も退化しているのだとか。

まさに『はだか』な魚ですね。

 

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365分の1…ではなく…(ヒメイカ)

2019-02-12 19:06:31 | イカ・タコ類

数日間、ドンヨリ小雨交じりの寒い日が続いていましたが、今日は陽光ありで数字以上に暖かく感じたやんばるです。

明日からはまた雨交じりな日々に戻りそうな予報ですが、気温の方は暖かな日が続きそう。

さらにその先は日差しありの暖かい日が続く予報になってます。

暖かい日が多いのは大歓迎ですが、2月の天候としてはどうなのかな…とか思えたりも。

水温は22℃くらいですが、これが今シーズンのボトムなのかなぁ…。

風は北東。曇のち晴れ。

■■

ある学校のあるクラス、生まれ年がうるう年ではないクラスのお話。

そのクラスには23人の生徒がいます。生徒のA君とBさんは誕生日が同じでした。

1年は365日ですから、誕生日が一致する確率は365分の1。二人は運命を感じて大はしゃぎし、それが切っ掛けでつき合うことになりました。

というこのエピソード、どう思います? もしあなたがA君かBさんなら、運命的なものを感じたりしますか。それとも、違和感を感じたりしますか?

パラドックスという言葉をご存じでしょうか。日本語では『矛盾・背反・逆説』を意味する言葉です。

見かけ上の真偽と実際の真偽が逆転している説、ということ。

つまり『一見すると正しそうなのに、実際には正しくない説』や『一見すると間違っていそうなのに、実際には正しい説』なんかがあるわけです。

有名なところでは『アキレウスと亀』のパラドクス。説明の詳細は省きますが、駿足のアキレウスが亀に追いつくことが出来ないというパラドックス。似たようなもので『飛んでいる矢は止まっている』なんてパラドックスもあります。この二つは『運動のパラドックス』とも呼ばれていて、説明を聞くと正しそうに聞こえたりします。

でも実際にはアキレウスはあっという間に亀を追い抜きますし、飛んでいる矢は確実に動いていますよね。

で、前述の誕生日の話。

これは確率の問題で、数式にあてはめて解くことが出来るのだとか。23人のクラスの場合、同じ誕生日のペアがいる確率は50.7パーセント。つまり約50パーセントになるのだそう。

運命を感じるほど珍しい確率では……ないですよね。

これは『誕生日のパラドックス』と呼ばれていて、直感的には366人のクラスならば誕生日が同じペアがいる確率が100パーセントになりそうなのですが、実際には70人で99.9パーセントを超え、50パーセントを超えるのに必要な人数はわずか23人であるというもの。

結果が一般的な直感と反しているというパラドックスです。

■■

さて…

〈ヒメイカ科ヒメイカ属ヒメイカ Idiosepius paradoxus 18年12月17日 沖縄島安和グスク〉

学名種小名はパラドックス、すなわち『逆説的な』の意。

頭足類では最小の種を含むヒメイカ属の種で、普通で2cm以下、小型のものでは1cmを下回るサイズです。

 

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賢い女性(トンガリハゼ属の1種)

2019-02-05 20:16:19 | ハゼ科

朝から一日中雨交じりの空模様だった本日のやんばるです。

冷たい雨のお正月になりました。そう、今日は旧正月です。

前線の影響ですっきりしない空模様が続いてますが、明日から少し暖かくなりそう。

立春も過ぎ、暦の上では春ですから…。

風は北東。雨が降ったり止んだり。

■■

世の中にはいろいろなものを蒐集する方がいるようで、イギリスには工事用のコーンを集めている人がいるのだとか。

工事用コーンとは、大抵は赤い色をした三角錐の道路に置かれてるあれです。そのイギリス人はこれまでに137種類のコーンを集めているのだそう。これは実に世界にあるコーンの種類の2/3にあたる種類数なのだとか。

するとコーンは世界中に約200種類あるということですか。というか200種類しかないんですね。意外と少ない印象だったり。

ところで魔女って、コーンによく似た形の帽子、とんがり帽子を被っていますよね。ハロウィンなんかで魔女に仮装するときには欠かせないアイテムだったり。

魔女ってどうしてとんがり帽子を被っているのでしょう。

あの帽子は、三角形の形が角を表しているのだとか。悪魔が山羊のような角を持っているので、その配下であるという意味のシンボルなのだそう。

あるいは、三角という形は魔術の象徴だったという説もあるのだとか。魔女を描写するときに神秘的なものであるというイメージを持たせるために画家が考えたのだそう。

どうもとんがり帽子は、魔女が宗教的に弾圧されたときからのもののよう。つまりそれまでの魔女は、とんがり帽子を被っていなかったようです。

本来の魔女は、薬草などに精通していて民間医療を行うことが出来た『賢い女性』のことを差していたのだとか。ヒーラー的な役割で、産婆的な役割も担っていたのだそう。

ただ出産を助けるだけでなく、生まれた子供が魔物に狙われないようにおまじないをしたり、死産の場合は浄化したりする、といった役割も担っていたのだそうです。

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さて…

〈ハゼ科ハゼ亜科トンガリハゼ属の1種 Oplopomops sp. 18年12月17日 沖縄島安和グスク〉

学名の属名は、『武器』・『蓋』・『容貌』という三つが言葉がくっついて出来ています。

どうしてそんな風になったのかは知りませんが、『武器に蓋する容貌』などと繋げてみると、どこか抽象画か前衛アートの作品名みたいに思えてしまったり…。

 

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