Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

toxin(ドクウツボ)

2021-11-30 19:30:28 | ウツボ科

朝の時点では昼過ぎから雨交じりになりそうな雰囲気だったのですが、結局日が沈む頃まで降らなかった本日のやんばるです。

というか日中は心地よい晴れ空、さらには南寄りの風が気持ちのいい一日でした。

日が沈む頃に横殴りの雨になりましたけど…。

明日は『師走だなぁ~』って感じの寒さになりそうです。

風は東のち南、のち北西。晴れときどき曇、のち強風雨。

■■

『シガテラ』

熱帯の海洋に生息するプランクトンが産生する毒素に汚染された魚貝類を摂取することで発生する食中毒のこと。

もともとはキューバに移住したスペイン人が、カリブ海でシガと呼ばれるニシキウズガイ科の巻貝による食中毒のことをシガテラ(ciguatera)と称したことに由来するのだとか。

その後、巻貝だけでなくカリブ海で獲れた魚貝類による食中毒をさすようになり、現在ではカリブ海に限らず熱帯および亜熱帯海域の、主にサンゴ礁周辺に棲む魚によって起こる死亡率の低い食中毒の総称とされているのだそう。

長い間魚貝類の毒化機構は不明だったそうですが、1977年に東北大学などの研究チームが新たに発見した渦鞭毛藻からシガテラ毒のシガトキシンとマイトトキシンを単離したことによって、これが毒の起源であることが証明されたのだとか。

中毒症状は多彩で、食後30分から数時間ほどで、消化器系、循環器系、神経系に異常があらわれるのだそう。

最も特徴的な症状は、『ドライアイスセンセーション』と呼ばれる知覚異常なのだとか。これは冷たい感じをドライアイスに触れたときのように、あるいは電気ショックを受けたように感じ、暖かいものを冷たく感じるのだそう。

シガテラ毒を保有する生物は300種とも500種ともいわれているそうですが、同じ種でも全ての個体が毒を持っているわけではなく、毒を持つ個体を外見から見分けることも出来ないのだとか。

厄介ですね…。

因みに当地ではシガテラ毒魚に関する言い伝えがあって、例えば『冷凍保存すると毒がなくなる』だとか、『痩せた魚は有毒である』とか、『黒ずんだバラフエダイは有毒である』とか…。

しかしこれらは検証の結果、科学的な信憑性は否定されています。

■■

さて…

〈ウツボ科ウツボ亜科ウツボ属ドクウツボ Gymnothorax javanicus 21年8月27日 沖縄島安和〉

学名種小名は『ジャワの』の意。

本種のタイプ産地がジャワ島のパチタンであることから。

和名の『ドク』はシガテラ毒のこと。

厚生労働省のウェブサイトで、その毒性は猛毒に指定されています。

 

 

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まだらの間(カスリフサカサゴ&ニテンエソ)

2021-11-23 19:24:20 | 水中生物

前半はドンヨリ、でも後半は心地よい陽光がたっぷりだった本日のやんばるです。

気圧配置の影響で、冷たい風が強まりましたけど…。

明日以降はそれも和らぎ、週末にかけて晴れアイコンが並ぶ感じになってます。

まあ、早朝の冷え込みは続くようですが…。

風はやや強めの北。曇のち晴れ。

■■

『曼荼羅(まんだら)』

密教の経典にもとづき、主尊を中心に諸仏諸尊が集会する楼閣を模式的に示した図像。

シンボリックな図柄なのですが、言葉だけでは分からないものごとの真理や仏への道を説いているのだとか。

曼荼羅のような図柄を使って直感的に悟れるのも密教の特徴の一つなのだそう。

この曼荼羅、一説によると『斑(まだら)』の語源なのだとか。

図柄の中に種々の色が入り混じり、種々の仏が描かれていたりする様が、種々の色や濃淡が入り混じっているという意味の『斑』に音変化したのだそう。

しかしこの説には弱点があって、曼荼羅が日本に伝わる以前の万葉集に、『まだら』という語が見られるのだそう。

とするともっと前からあった言葉ということになりますね。

他の説によると、『間離(まはだら)』の略という説や、『間処有(まとあり)』の意味、『間加不足(またらざる)』の意味という説など…。

それぞれの言葉を検索してみてもよく分からなかったのですが、古語なんでしょうか…。

なんにしても『間』という言葉が共通していますので、あいだやすきま、一様ではない状態に関係する語源があるのかもしれません。

■■

さて…

〈フサカサゴ科フサカサゴ亜科マダラフサカサゴ属カスリフサカサゴ Sebastapistes cyanostigma 21年10月4日 沖縄島安和〉

学名種小名は『暗青色の斑点』の意。

斑点とは表面にまばらに散らばった点。

確かに体表に微少な白斑が密に分布しています。

〈エソ科アカエソ属ニテンエソ Synodus binotatus 21年10月8日 沖縄島安和〉

学名種小名は『二つの斑紋のある』の意。

斑紋とは斑の模様。それが二つあるはずなんですが…。

吻端の2黒点のことなのでしょうか。

和名のニテンのほうがしっくりくるように思えたり…。

 

 

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petal(ハナビラミノウミウシ)

2021-11-16 19:34:41 | ウミウシ

気持ちのいい青空が広がった空模様。ポカポカとした心地よい一日だったやんばるです。

明日はドンヨリな感じで雨交じりになるかも…。それが数日続くような予報です。

今日のような晴れ空は、週末まで待たなければいけないような雰囲気です。

その週末には夏日になりそうな予報です。

風は北東。晴れ。

■■

『花びら』

花冠を構成している花葉のこと。

花冠とはまあ、僕らが花をイメージするときにパッと思い浮かぶ花の全体像で、その主要な構成要素が花びらということのよう。

もともとは葉であったのが変形したもので、だから花葉なのでしょう。

花びらは色鮮やかなものが多く、それに飾られた花は人の目を引きますね。

もちろん本来は人の目を引くためではなく、鳥や虫などの目を引くためのもの。花粉の輸送にそういうものたちの力を借りなければならないからですね。

そういうものたちを誘うために、美しい花びらで飾られた花の構造が発達したのだそう。

花粉とは生殖細胞。つまり花びらを含む花冠は、生物学的には種子植物の生殖器官なのです。

平安時代後期から、ただ花といえばそれは桜の花のことを指すのだとか。

来春にはまた賑わうかもしれないお花見も、だから生殖器官を皆で愛でているわけです。

そう考えると、不思議な気分になったりも…。

■■

さて…

〈Myrrhinidae科クセニアウミウシ属ハナビラミノウミウシ Phyllodesmium poindimiei 21年9月26日 沖縄島安和〉

学名種小名は『ポワンディミエの』の意。

ニューカレドニア東海岸のポワンディミエかな…。

『花びら』は、美しい背側突起からなのでしょうか。

 

 

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泳げない人(トックリガンガゼモドキ)

2021-11-09 20:10:38 | 水中生物

冬の先触れのような北西風が吹き抜けた本日のやんばるです。

前半は空模様も冬曇のような曇天でした。

まあ後半には陽光が降り注いで幾分心地よくなりましたけど…。

明日以降もこんな日が続きそうです。

風は北西~北。曇のち晴れ。

■■

泳げない人のことを『金槌』と言いますよね。

これは金槌を水に入れると即座に沈んでいき、浮かび上がらない様子からなのだとか。

同じように泳げない人を指す言い回しに『徳利』というのがあるのだそう。お酒を入れる容器の、あの徳利ですよ。

これは泳げない人が息継ぎが出来ずに沈んでいく様が、水中に徳利を入れたときと似ているからなのだとか。

小さな口から空気を吐きながら沈んでいく様子が…ってことでしょうか……。

それはさておき、『とっくり』って独特な響きに思えますけど、何故お酒を入れる容器が『とっくり』なんて呼ばれるようになったのでしょうか。

その語源には諸説あるようで…

例えば、注ぐときの『とくりとくり』という音に由来する説とか。あるいは、ハングルで酒壺を意味する『トックール』に由来する説とか。

または見た目以上に多くの酒が入り、この器で飲むと『徳となる』『利となる』と言うことで『徳利』になったという説も。

さらには『雲具理(どんくり)』を意味するという説も。『雲』は深い瓶のことで、『具理』は酒壺のことなのだとか。

結局のところよく分かっていないということのようです…。

個人的には『とくりとくり』説を推したいのですが、じゃあ注ぐまでは何と呼んでいたのだろうという素朴な疑問が浮かんだりも…。

■■

さて…

〈ガンガゼ科ガンガゼモドキ属トックリガンガゼモドキ Echinothrix calamaris 21年9月19日 沖縄島安和〉

一見眼球を思わせる発達した肛門が特徴の本種。

誤解を恐れずに言うと、じつにフォトジェニックな肛門ですよね…。

和名はこの肛門を徳利に見立てたのだとか。

僕のイメージする徳利は、こんな形じゃないけどな…とか思って検索してみると、徳利にはいろいろな種類があるよう。

酒器だけではなく、花器として使われるものもあるのだそうで、その中の『蕪徳利』がこの肛門のように丸い形をしてました。

茶の湯の席で一輪挿しとして用いられる徳利なのだそうです。

 

 

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小袖と鎧と将軍の駕籠(コシジロテッポウエビ)

2021-11-02 20:09:33 | エビ・カニ類

早朝はドンヨリしてましたけど、日中は気持ちよい青空が広がった本日のやんばるです。

風は北寄りですが、陽光たっぷりで夏日になりました。

次の週末には雨交じりになりそうな気配ですが、それまでは心地よい日差しの日が続きそうです。

風は北東~北。曇のち晴れ。

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『腰白(こしじろ)』

字面を見る限り、腰が白い何かなのだろうな…っていう感じですね。

調べてみると三つの意味がありました。

その一…、小袖の一種。腰のあたりを白地のままにし、肩と裾を色で染めて、刺繍などを加えたりすることもある小袖。

小袖とは、現在の和服のもととなった袖口の小さく縫いつまっている衣服のことなのだとか。

当然大袖というのもありまして、これは礼服で、小袖はその下に着る衣服なのだそう。背広の中に着るシャツみたいな感じですかね。あるいはこれからの季節に活躍するヒートテックみたいな感じ?…、違うか…。

その二…、鎧、腹巻きの類いの威(おどし)の一種。色威で胴のあたりを白威としたもの。

威とは鎧を連結する糸と革のことなのだとか。平安時代以降の鎧は小札(こざね)という小板を繋ぎ合わせた物だったようで、その連結素材ですね。ステッチみたいなものをイメージすれば良いのでしょうか? まあもっと頑丈なものでしょうけど。

その三…、近世の駕籠、なかでも乗物の一種。駕籠と乗物の違いは分かりますでしょうか。時代劇なんかで商人が乗っているのが駕籠。武士やお姫様が乗っているのが乗物なのだとか。

つまり駕籠のなかでも引き戸付きで装飾が施された高級なものを乗物と呼ぶのだそう。

網代(あじろ)で張り包んで溜塗(ためぬり)とし、腰の部分を胡粉(ごふん)で白くしたものが腰白なのだとか。うーん…全くイメージ出来ません…。

とにかく公家や将軍クラスが利用する高級な駕籠のことのようです。

ありふれた字面の言葉にいろいろな意味があって、ちょっと驚きだったり…。

■■

さて三つの意味の『腰白』ですが…

〈テッポウエビ科テッポウエビ属コシジロテッポウエビ Alpheus sp. 21年9月19日 沖縄島安和〉

ダテハゼ属やオニハゼ属と共生する、相利共生の代表格である本種。

第1腹節の白い帯状斑紋が特徴です。

どの『腰白』でしょうか。

体表を見るかぎり和服のようにも思えますし、甲殻類ですから鎧にも思えたり。

まあ、駕籠ではなさそうですね…。

 

 

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