Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

太陽の赤、海の青(ハナガサクラゲ)

2017-05-29 19:29:46 | 水中生物

昨日の雨から一転、本日は気持ちよく晴れたやんばるです。

眩しい青空と凪の海…、気温も夏日でいい感じでした。

明日まではこの天気が続きそう。

その後はまた梅雨に戻りそうな予報です。

風は北東。晴天。

■■

神の依り代となる奉納舞踊では、踊り手は頭部を覆う被り物をしたり、仮面や覆面で顔を覆ったり、厚化粧をしたりして踊るものなのだとか。

これは、日常とは異なる状態を表しているのだそう。

笠を被っても顔が隠れることから、笠を被って踊ることも神の依り代になることを意味することになると考えられているのだとか。

さて、このとき用いられる笠が装飾されている場合、その笠は『花笠』と呼ばれるのだそうです。

また、花笠そのものを神の依り代と見なし、花笠の回りで輪踊りをして悪霊を取り憑かせた後、焼却したり海に流したりして悪霊退散を願う例もあるのだとか。

花笠にはこの手の儀式的イメージはまったくなかったですけど、まあ祭りや芸能関係ですからやっぱりか…って感じも…。

因みに、全国にある花笠のほとんどは笠を生花や造花で装飾したものですが、当地の琉球舞踊の花笠は笠そのものが蓮の花をモチーフにしています。

色は赤と青の二色がメインですが、赤は太陽を、青は海を表しているのだそうです。

■■

さて…

〈ハナガサクラゲ科ハナガサクラゲ属ハナガサクラゲ Olindias formosa 17年4月18日 沖縄島安和グスク〉

何というか、ギミック感を強く感じたり。

カラフルなギアを組み合わせて遊ぶ知育玩具みたいに思えたりして…。

あるいは我が家にはケースが透明なペンダント型の時計があるのですが、それに似たメカニカル感を感じたりも…。

何にしても綺麗ですよね。

学名種小名は『美しい、麗しい』の意。

その通りです。

■■

ところで…

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

本種の泳ぎの美しさは花笠踊りに喩えられる……らしいのですが、泳いでいるというか中層を漂っている姿に出会ったことが一度もありません。

今まで出会った個体は、すべて砂底や砂礫底にじっとしている姿ばかり。

どんなときに泳いでいるのでしょうか。

それともただ単に間が悪いだけなのでしょうか…。

 

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ボブと鼠と血色の門(ボブサンウミウシ&オオクロネズミ&ミカドウミウシ)

2017-05-26 18:42:26 | ウミウシ

梅雨の中休みが続いてますやんばるです。

風は北寄りで涼しく、雲も多めの空模様…、けれど陽光は強烈。

ときどきの晴れでも十分に暑い一日でした。

月末までは中休みが続きそうな雰囲気です。

風は北~北西。晴れたり曇ったり。

■■

三つのウミウシの組み合わせで、ちょっとダークなファンタジー風、あるいはグリム童話風のタイトルにしてみましたが、三つのウミウシに特筆すべき関係性があるというわけではありません。

一つ一つではボリューム不足だったので、並べてみただけで…。

■■

というわけで…

〈イロウミウシ科Goniobranchus属ボブサンウミウシ Goniobranchus roboi 17年4月13日 沖縄島安和〉

ボブといえばボブカット。

動物の尾を短く切ることをボブというのだとか。

短く切られて少しカールした犬や馬の尻尾のことも、ボブというのだそう。

そこから、短く切りそろえた髪をボブカットというようになったよう。

といっても、これはいくつかある説の一つです。

もっとも面白い説は、第一次世界大戦のとき、アメリカ兵のボブがヘルメットからはみ出した目立つ金髪を、ヘルメットを被ったままカットしたら、ヘルメットを脱いだときに今でいうボブカットのスタイルになっていた…というもの。

このアメリカ兵のボブ、きっとボブはニックネームで、本名はロバートだったのではないでしょうか。

そうだとすると、本種との繋がりを少しは感じたり…。

以前にも書きましたけど、本種の学名・和名はロバート博士への、つまりニックネーム『ボブ』への献名です。

■■

〈カノコキセワタガイ科ニシキツバメガイ属オオクロネズミ Chelidonura sp. 17年4月13日 沖縄島安和〉

〈クロネズミ=黒鼠〉には、体毛が黒いネズミという意味のほかに別の意味もあります。

主家の金品をごまかしたり、主家に害を与えたりする雇い人、という意味だそうで。

あるいは頭の黒い鼠ということわざもありますね。

頭が黒い、すなわち人間のことを鼠になぞらえて、鼠のように物をかすめ取る人のことをいうのだとか。

どちらにしてもいい意味じゃないなぁ…。

大黒鼠だと、どこか大泥棒的なイメージも浮かんでしまったり……。

そんなイメージをガラリと変えるような学名種小名について書きたかったけど、まだこの子はそれを持っていません。

■■

〈ミカドウミウシ科ミカドウミウシ属ミカドウミウシ Hexabranchus sanguineus 17年4月13日 沖縄島安和〉

〈ミカド=帝〉とは、古くは〈御門〉と書き、皇居の〈門〉の尊称だったのだとか。

そこから皇居、または朝廷を指すようになり、さらに天皇の尊称となったのだそう。

学名種小名は『血紅色の』の意。

確かに成体はそのような赤色をしていますが、画像は幼体なので、まだそのような赤は纏っていません。

〈血紅色の帝〉だと、非情な暴君みたいなイメージになりそうですけど、画像のような幼体だと、まだ戦を知らない皇子って感じのイメージかな…。

ところで…

このようなミカドウミウシの幼体に出会うと、何故かフルーツポンチが食べたくなるのです…。

僕だけでしょうか……。

 

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茨の森(トゲトゲウミウシ)

2017-05-22 19:18:37 | ウミウシ

雨交じりですが海はベタ凪…、そんな日が続いてますやんばるです。

日差しもときどきありで、気温も夏日…。

心地よい一日でした。

風は北東~東。曇ときどき弱雨、ときどき晴れ間。

■■

『きれいなバラには棘がある』という慣用句がありますよね。

棘という字は『とげ』と読みますけど、『いばら』とも読めますね。

『いばら』とはとげのある低木の総称で、それはつまりバラのことでもあります。

そもそも〈バラ〉という言葉の語源も〈いばら〉なのだとか。

冒頭の慣用句は、「外見の美しさに気を取られると危険な目に会う事がある」という意味ですが、〈バラ〉という言葉の意味を知っていれば、自然と危険を回避することになるのでは…とか思えたり…。

■■

さて…

〈コヤナギウミウシ科コヤナギウミウシ属トゲトゲウミウシ Janolus sp. 17年4月13日 沖縄島安和〉

学名種小名はsp.ですから『まだ名前なし』ですね。

だからそれについて書くことは何もありません。

■■

というわけで、どんどんズレていったり…

グリム童話に『茨姫』というお話がありますよね。

『茨姫』という題より『眠れる森の美女』という題のほうが有名かもしれませんが。

といっても、この二つが同じ物語だということを、実は知りませんでした。

さらに物語の詳細もよく知りませんでした。

『眠れる森の美女』を〈眠れる森〉にいる〈美女〉だと思ってましたから。

つまり、眠ったり起きたりするような、ファンタジックビースト的な森にいる美女の物語かと…。

実際には魔女の呪いで眠らされ、茨で閉ざされたお城にいる美女の話だったのですね。

すると城を閉ざした茨=森で、〈眠れる森〉の〈森〉は〈茨だけの森〉ということですよね。

童話によるとその茨は鉄条網のようで、侵入を試みた者は皆それに絡み取られ落命したのだそう。

じゃあ森に対するビースト的なイメージは、そんなに間違ってなかったかも…とか思えたりも…。

■■

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

棘とは…

『生物または人工物の表面における、固く細長く頂点の鋭い円錐形の突起のこと』

『生物体または人工物を保護する役割で存在することが多い』

この子の背面突起の棘は、この定義には当てはまらないでしょうね…。

ただ棘の定義には続きがあります。

『棘が必要以上に多いと思われるときは「とげとげ」という擬態語で修飾される』

こちらはこの子に当てはまりますね…。

 

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赤い心臓(フシデサソリ)

2017-05-19 18:37:07 | 水中生物

梅雨の中休み…な空模様が続いてますやんばるです。

湿度は低く、乾いた風とタップリの陽光がとても気持ちいい…。

海も心地よい凪の一日でした。

次の梅雨前線は、日曜日辺りに沖縄島に近づきそうです…。

風は東。晴天。

■■

アポロンの息子パエトーンが、父親の太陽の戦車を強引に借りて運転したときのこと。

一匹のサソリが馬の足を尻尾の毒針で刺しました。

そのとたん馬たちが制御不能になり、天と地を焼き尽くしそうになったために、雷神ゼウスが戦車に雷を落としました。

そしてパエトーンはエリダヌス川に落ちてしまいました。

と、これはさそり座にまつわる神話です。

さそり座の神話は、狩人オリオンとの話のほうが有名ですが、こういう話もあるそうで。

さそり座は、夏の星座ですね。

最も明るい星は、α星のアンタレス。赤く輝く1等星です。

ラテン語では〈コル・スコルピイ(Cor Scorpii)〉といいます。

『さそりの心臓』という意味だとか。

夜空のサソリは赤い心臓を持っているようです。

■■

さて…

〈スイショウガイ科クモガイ属フシデサソリ亜属フシデサソリ Lambis scorpius scorpius 17年4月11日 沖縄島安和〉

一見、生息する場所というか背景に溶け込むような姿の本種。

でもひっくり返すと…↓

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

意外と派手な模様が印象的です。

あと目もかなりユーモラスだったりします。

たまに間違ってクモガイをひっくり返して、ちょっとガッカリしたり…。

■■

学名種小名は『サソリまたはサソリ座』の意。

形がサソリに似ているからだそう。

まあ、似ていなくもないかなぁ。

この子の心臓は何色でしょうね…。

■■

神話でも現実でも猛毒で知られるサソリですが、人間に対して致命的な毒を持つものは、全世界に約1000種いるサソリの内の25種なのだとか。

因みに日本にも2種類のサソリが生息しています。

ヤエヤマサソリとマダラサソリ。

前者は無毒といってもいいほど毒が弱く、後者はミツバチ程度の毒なのだそうです。

 

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平和な海(ウデフリツノザヤウミウシ)

2017-05-15 18:56:39 | ウミウシ

朝からカラリと晴れ上がった本日のやんばるです。

日差しも強く海はベタ凪、いい感じのコンディションでした。

後半は少々雨交じりな空になりましたが、一瞬一瞬の弱雨で、梅雨感はそんなになく…。

もっとも大気は不安定なようで、沖縄島周辺海上の数カ所で竜巻やその卵の漏斗雲が発生していたようです。

そして明日は激しい雨の予報。

ハッキリと梅雨を感じることになりそうです。

風は北東~東。晴れのち一時雨。

■■

フェルナン・デ・マガリャンイスという人物をご存じでしょうか。

ポルトガルの人で、当然この名前はポルトガル語。

英語名にすると、〈フェルディナンド・マゲラン〉。

日本では〈フェルディナンド・マゼラン〉として知られている人物。

そう、『マゼラン海峡』や『マゼラン星雲』や『マゼランペンギン』などに名を残すあのマゼランです。

1520年から1521年に、マゼランは世界一周の航海をしました。

1520年の10月から11月にかけて、彼は南アフリカ大陸南端とフエゴ島とを隔てる海峡を通過します。

もちろんこれが後のマゼラン海峡ですが、このときそれまで航海してきた荒れ狂う大西洋に比べて、通過後の海が格段に穏やかだったことから、その海を〈El Mare Pacificum〉すなわち〈平和な海〉と表現したのだとか。

そうこれ、〈太平洋〉のことです。〈太平な(泰平な)洋〉とは、マゼランの表現をほぼそのまま日本語化したものなのだそう。

英語でも太平洋は、〈Pacific Ocean〉。〈pacific〉は『平和の』または『泰平な・穏やかな』の意味ですから、これもそのままですね。

■■

さて…

〈フジタウミウシ科フジタウミウシ亜科ミズタマウミウシ属ウデフリツノザヤウミウシ Thecacera pacifica 17年4月11日 沖縄島安和〉

見つけたときには、思わず「ゲットだぜ!」と言ってしまうとかしまわないとか…。

撮影時には鰓両側の指状突起を大きく振ってました。

■■

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

学名種小名は、『太平洋の、または平和な』の意。

たぶんタイプ種の生息域からかなにかなのでしょうけど、水中で出会うと平和な気分になったりしませんか…。

太平洋という名称はマゼランが名付けたもので、それは『平和な海』を表していたとは…、どちらもこの子に出会うまでは知りませんでした。

 

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空間充填立体(モザイクウミウシ)

2017-05-12 18:27:29 | ウミウシ

南風に鋭い日差し、お昼には強い一時雨…。

真夏っぽい天気だった本日のやんばるです。

足踏みしていた水温も明確に上がり始めました。

まあ、本当の真夏の前に梅雨がありますけど…。

最新の気象情報によると、明日の後半からは雨模様。

そのタイミング、つまり明日中には梅雨入りが発表されそうな雰囲気。

まさに秒読み…、な状態です。

風は強めの南。晴れときどき曇、一時強雨。

■■

『小片を寄せ合わせて絵や模様を描き出し、壁や床を装飾する美術手法』

そう、モザイクのことです。

小片には石や陶磁器のタイル、有色無色のガラスや貝殻や木などが使用されて、宗教画や幾何学模様が描かれたり…。

その歴史は非常に古く、だからその内装・外装がモザイクで装飾された有名な宗教的建築物が多い印象があります。

一方、モザイクには数学的な側面も。

平面充填と呼ばれる数学の問題で、平面内を有限種類の平面図形で隙間なく敷き詰める操作なのだとか。

この平面充填は、テセレーション(tessellation)ともいいます。

■■

さて…

〈ツヅレウミウシ科ヒオドシウミウシ属モザイクウミウシ Halgerda tessellata 17年4月7日 沖縄島安和〉

学名種小名は『モザイク模様の』の意。

〈モザイク模様〉は英語で〈mosaic〉

なのに〈モザイク模様の〉は英語で〈tessellated〉

何故こんなにかけ離れているのでしょう。

『の』が付いてない方が和名に、『の』が付いてる方のラテン語が種小名に、という感じになってます。

モザイクを構成する小片のことを〈テッセラ(tessera)〉というそうなので、この辺りにその由来があるのでしょうか。

数学的には3次元ユークリッド空間の充填もテセレーションというそうで、それによって構成された立体(すなわちこの子のような)は、数学的には〈空間充填立体〉というのだそうですよ。

 

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わざをき(ハナオコゼ)

2017-05-07 18:39:34 | カエルアンコウ科

前半は強雨を浴び、後半は鋭い日差しを浴びる…、そんな感じだった本日のやんばるです。

終わりよければすべてよし的な感じも…。

まあ、海は一日を通して凪でしたし。

立夏も過ぎて、そろそろ梅雨かなぁ…。

風は北東。雨のち晴天。

■■

『わざをき』という言葉をご存じでしょうか。

古事記や日本書紀を起源とする言葉で、のちにこの言葉にあてられた漢字が『俳優』なのだとか。

だから今でも『俳優』は、〈はいゆう〉だけでなく〈わざをき〉あるいは〈わざをぎ〉と読んだりもするのだそう。

滑稽な動きで神々や人々を楽しませる人のことを意味するのだとか。

そもそも『俳』一文字で役者を意味し、太古の昔には神事や祭事で仮面を付けて踊る人のことを指したのだそう。

芸能に関する言葉をさかのぼると、必ず神事・祭事に辿り着きますねぇ…。

現在の俳優さんも、役という仮面を付けて自分以外の存在になりきり、人々を楽しませる人…という感じですね。

■■

さて…

〈カエルアンコウ科ハナオコゼ属ハナオコゼ Histrio histrio 17年4月7日 沖縄島安和〉

画像は幼魚。

水面付近の流れ藻にくっついている印象の強い本種ですが、この個体は水深-15mの底面にいました。

以前にも似たような状態の個体に出会ったことがありますが、幼魚はこんな感じなのでしょうか。

この後、どういう過程を経て流れ藻に辿り着くのかな…。

■■

学名の意味に行く前に、その並びを…

属名と種小名が同じ綴りの繰り返し、つまり本種の学名はトートニムです。

例えばニシゴリラ(Gorilla gorilla)とか、アメリカバイソン(Bison bison)なんかがそう。

あるいはなんかすごく惜しい感のあるジュゴン(Dugong dugon)とかいうのも…。

トートニムって反復型オノマトペっぽくて、なんか好きなのです。

まあ、それだけです…。

■■

話を戻して…

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

学名種小名は『役者・俳優』の意。

この学名は、獲物を追跡する際の行動を表しているのだとか。

俳優のような追跡の仕方って、どんな感じですか…。

〈わざをき〉的な滑稽な動き?

〈俳〉が表す踊る動き?

 

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オランウータンか妖怪か(ショウジョウウミウシ)

2017-05-02 19:14:43 | ウミウシ

後半ドンヨリな空模様になった本日のやんばるです。

気温はほぼ夏日だったので、まあ穏やかな心地よさでしたけど。

連休の後半は、晴れマークと雨マークが混在する予報になってますが、つまり今後も予報が変化しやすいということなのでしょう…。

それはともかく、海はベタ凪です。

風は東。晴れのち曇。

■■

その昔、揚子江の傍らにある金山に高風(こうふう)という名の男がおりました。ある夜高風は、市場で酒を売れば多くの富を得られるだろうというお告げの夢を見ました。それに従い、高風は市場で酒を売り始めました。すると毎日店に来る客の中に、いくら飲んでも顔色が変わらず、酔うような気配すらない者がいることに気づきました。不思議に思った高風が名を尋ねると、その者は猩々(しょうじょう)という海中に住む者だと答えて去って行きました。そこで高風は月夜の晩に、川辺で酒を用意して猩々を待っていると、水中より猩々が現れました。二人は共に酒を酌み交わし、舞を踊りました。猩々は高風の徳を褒め、泉のように尽きることのない酒壺を与えて帰っていきました。

これは能の『猩々』のあらすじです。

これを見る限り、〈猩々〉とは水中に住む精霊、あるいは半神半人のような存在なのでしょうか。

しかし尽きることのない酒壺を持っていたのに、どうして毎日酒を買いに行ったりしてたのでしょう…とか思ったり…。

■■

さて…

〈ショウジョウウミウシ科ショウジョウウミウシ属ショウジョウウミウシ Madrella ferruginosa 17年3月28日 沖縄島安和〉

〈猩々〉は、民話や伝説としても日本の各地に残っています。

そのほとんどが海に住み、全身を赤毛で覆われた姿をしています。

いわゆる妖怪的なイメージのようです。

本種のミノ状突起は赤毛というよりは茶色または赤茶色という感じですが、刺激を与えるとその突起を逆立てたりして、その様は妖怪チックに思えたりも…。

学名種小名は『鉄さび色の』の意。

こちらの方が、実際の色に近いですね。

■■

ところで…

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

〈猩々〉はオランウータンの漢名でもあります。

どうでしょう…

オランウータンっぽく見えますか?

それとも妖怪っぽく見えますか?

 

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