Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

未来の海の王者(リュウキュウウミシダ)

2019-03-26 19:19:07 | 水中生物

風はヒンヤリでしたが、空模様はまずまずの青空だった本日のやんばるです。

ウエットスーツのまま器材を洗っていても寒ないくらいにはポカポカしていました。

明日は南寄りの風。週の真ん中頃は夏日になりそうな予報です。

風は北西~北、のち北~北東。概ね晴れ。

■■

〈クシウミシダ科リュウキュウウミシダ属リュウキュウウミシダ Oxycomanthus bennetti 18年5月17日 沖縄島安和〉

画像はまだ幼い個体。

ウミシダはヒトデと同じ棘皮動物ですが、その姿はかなり違いますね。2億年前から生存し、生きた化石と考えられているのだとか。

その生息域はめっぽう広いのだそう。赤道付近から北極域まで、あるいは逆に南極地方までにも。そして浅海から深海までにも分布しているのだとか。どこにでもいる感じですね。まあ、当地でもどこにでもいます。

そのウミシダ、未来の浅瀬の王者になるかもしれないのだそうです。

ウミシダの腕は切れた場合にもゆるやかに、そして無限に再生するのだそう。海水温の上昇でサンゴが大きなダメージを受けたりしている昨今ですが、この海水温の上昇がウミシダには有利にはたらくと考えられているのだとか。海水温が上がると、ウミシダの再生能力は高まるのだそうで、逆にウミシダの幼体を食べる生物は海水温の上昇によって打撃を受けるみたいで…。

つまりウミシダが生き残りやすくなり、捕食者に腕を切られても再生しやすくなるというわけ。

しかもサンゴがダメージを受けても、ウミシダの個体数には影響を及ぼさないと考えられているのだそうです。

海は着実に温暖化しているようで、ウミシダが浅海に君臨する日が近づいているのかもしれません。

〈同種別個体 19年2月12日 沖縄島安和〉

こちらの画像はかなり幼体。

生き残りやすくなるのであれば、この子にとっては嬉しい変化なのかもしれませんが…。

ところでウミシダの寿命はよく解らないようで、不死なのではと考える研究者もいるそうです。

するとこの子も王者になるときまで生き続けるのでしょうか…。

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たまてばこ(クロスジリュウグウウミウシ属の1種)

2019-03-19 18:47:17 | ウミウシ

特に後半綺麗に晴れ渡った本日のやんばるです。

風は北寄りでヒンヤリしていましたが、日差しのおかげで心地よい一日になりました。

このまま明日も晴れ渡りそう。早朝に放射冷却するくらいに…。

そして風が南寄りになり、明後日には夏日になりそうな予報です。

風は北~北西。概ね晴れ。

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『L08-E1』

何を表す記号かわかりますか? これ、場所を表しています。ここから、というか地球から約3億キロ離れた小惑星上の場所を。

先月の22日、つまり2月の22日は『ニャンニャンニャン』で猫の日だったそうですが、この日の午前7時29分に、小惑星探査機『はやぶさ2』が小惑星『リュウグウ』へのタッチダウンに成功しました。はやぶさはタッチダウンの瞬間に弾丸を発射して、小惑星の表面を砕きサンプルを採取するのですが、その発射信号も確認され、採取にも成功したとみられています。

このタッチダウン、実はかなりドラマチックだったよう。

当初、はやぶさのプロジェクトチームは100m四方のエリアでタッチダウンさせるつもりでいたそうですが、リュウグウに着いてみるとその表面は岩だらけで、とてもそんな広い平地を見つけることは出来なかったのだとか。それでも詳細に探し、何とか直径20m位のエリアを見いだしたのだそう。そしてそこにタッチダウンをアシストするマーカーを投下。ところがこのマーカーの着地点がずれて…。

その結果、そのマーカーを使用するならば、直径約6mのエリアにタッチダウンさせなければならなくなりました。

そのエリアを表しているのが、前述の『L08-E1』というわけ。

約3億キロ離れたはやぶさを6mのスペースに着地させる。専門家でなくても、それがものすごく難しいことだと解りますよね。しかもはやぶさの全長が6mなんですよ…。

これを成功させたJAXAすごいなー、と深く思えたり…。

成功時の管制室からの中継で、カメラの前に『初号機とは違うのだよ、初号機とは!』と書かれた紙を掲げている研究者の方がおられました。これガンダム、それにエヴァですよね。こういうのを見ると愉しくなったり…。

『見せてもらおうか、JAXAの探査機の性能とやらを』とか心の中で呟いてみたり…。

この着陸地点は、『たまてばこ』と名づけられたそうです。

■■

さて…

〈フジタウミウシ科クロスジリュウグウウミウシ亜科クロスジリュウグウウミウシ属の1種 Nembrotha sp. 19年2月12日 沖縄島安和〉

小さなリュウグウ…。

 

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現役の城(ヤマブキハゼ)

2019-03-12 19:34:44 | ハゼ科

朝から一日中気持ちのいい青空だった本日のやんばるです。

風は北寄りですが十分に弱く、エキジット直後も心地よい感じ。

Tシャツで丁度良い陽気でした。

風は北~北西。晴天。

■■

『七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき』

室町時代の話。太田道灌(おおたどうかん)という武将が、父親を訪ねて越生という地に来たときに、突然のにわか雨に遭ったので蓑(みの)を借りようとある農家に立ち寄ったのだとか。

すると出てきた娘が蓑ではなく一輪の山吹の花を差しだしたのだそう。蓑を貸してくれと言っているのに、何で山吹? と道灌は内心かなりイラッとしたのだとか。後日そのエピソードを家臣に話したら、平安時代の兼明親王(かねあきらしんのう)の歌に掛けてあるのです、と教えられたのだそう。それが前述の歌です。

この歌は『七重八重と積み重なるように咲くのに、山吹には実が一つもない』といった意味らしく、『実の一つだになきぞ悲しき』を『蓑一つだになきぞ悲しき』に掛けてあるのだそう。つまり娘は、「我が家は貧しいのでお貸しできる蓑は一つもありません」ということを奥ゆかしく道灌に伝えたということなのだそうです。

道灌よりも農家の娘の方が教養が高かったということでしょうか。

そして道灌は古歌を知らなかったことを恥じて歌道に励み、歌人としても名高くなったのだそうです。

この太田道灌という武将は、江戸城を築いたことでも有名な人物。

なんて書いてますけど、実はつい最近まで江戸城は徳川家康が築いたのだと思ってました…。自身の日本史力のなさを痛感してみたり…。

そしてこの江戸城は、日本で唯一の現役の城なのだそう。なるほど、考えてみればその通りですね。江戸城は明治になって宮城、すなわち皇居になったわけですから。

■■

さて…

〈ハゼ科ハゼ亜科ダテハゼ属ヤマブキハゼ Amblyeleotris guttata 19年1月24日 沖縄島安和〉

学名種小名は『斑点のある』の意。

山吹色の斑点模様を全身に纏っています。

七重八重って感じですかね…。

 

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病草紙(ハナグロイソハゼ)

2019-03-05 19:43:11 | ハゼ科

風はヒンヤリでしたが十分に弱く、日差しタップリだった本日のやんばるです。

Tシャツ&ハーフパンツ姿で心地よく器材を洗えたり…。

明日からはしばらく雨交じりの日が続きそう。

そして週の後半に一時的に寒さが戻りそうな予報です。

風は北東のち南東。概ね晴れ。

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世界的に麻疹が流行しているのだとか。麻疹はインフルエンザの10倍以上の感染力なのだそう。

この高い感染力の原因は、免疫細胞の乗っ取りにあるのだとか。

麻疹ウイルスに最初に感染するのは『肺胞マクロファージ』と呼ばれる免疫細胞で、この細胞は気道を巡回し、吸い込んだ異物を片っ端から取り込み分解する役目を担っているのだそう。

ところがこの細胞が麻疹ウイルスに感染すると、本来破壊すべきそのウイルスを最寄りのリンパ節まで運ぶシャトルとして機能してしまうのだとか。

恐るべし、麻疹ウイルス。まあ、予防接種を受ければいいのですが。

しかし一錠飲めばすっかり治る、なんていう麻疹の薬はできないものですかねぇ。『iPS角膜移植了承』なんてニュースを見たりすると、こっちの方も最先端の医学で何とか出来るのじゃないかとか思えたりもするのですが。

医学といえば…

平安時代末期から鎌倉時代初期に描かれた『病草紙(やまいのそうし)』という絵巻物があります。

当時の種々の奇病や治療法など風俗を集めたものなのだとか。全部で21段あり、説話風詞書に一図の絵が添えられている構成なのだそう。内9段は国宝に指定されていて、現在は京都国立博物館蔵となっているのだとか。

題材を見るとかなり奇天烈な印象を受けたりもするのですが、それぞれの病を精細に描写していて、医学史の資料として有用なのだそう。さらには当時の風俗や生活を知るうえでも貴重な資料なのだそうです。

その『病草紙』の最初の題材は『鼻黒の親子』というもの。下級武士の夫婦子供の5人家族中、妻以外は全員鼻先か黒い、という病。現在の医学的に考えると、酒渣の症状がひどくなったものか、回虫の寄生によるものかと推測されているようです。

因みにこの『鼻黒の親子』の段、現所蔵先は不明なのだとか。

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さて…

〈ハゼ科ハゼ亜科イソハゼ属ハナグロイソハゼ Eviota shimadai 19年1月24日 沖縄島安和〉

学名種小名は『島田氏の』の意。

元沖縄県農林水産部の魚類学者、島田和彦氏に因んでいます。

ところでこの子の鼻、黒いですか?

画像の個体だけではなく、前鼻管が黒いという印象はないのですが。

どちらかというと暗い褐色って感じではないでしょうか。

まあ、ハナクライカッショクイソハゼでは呼びにくいですけど…。

 

 

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