Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

毛槍(カタマキケヤリムシ)

2021-03-30 18:45:12 | 水中生物

雨交じりの空模様…。時々激しく降ったりした本日のやんばるです。

ただ風は南寄りで暖かく、インターバルも快適に過ごせました。

水中は少し薄暗い感じだったけど…。

明日まではこの空模様を引きずりそう。

それ以降は晴れアイコンが見られる予報になってます。

風は南~南西、のち北西。雨のち曇。

■■

浮世絵師歌川広重の代表作と言えば『東海道五十三次』ですね。

幕府の年間行事である『御馬献上』に同行し、江戸から京都まで東海道を旅したときのスケッチを元に55枚のシリーズを出版した、とされていました。

現在では実は旅はしていなくて、以前に描かれた絵を模写して制作したとする説が有力なのだとか。

それはともかく、『東海道五十三次』の巻頭は『日本橋 朝之景』。参勤交代の大名行列が朝早く江戸を出発する様子が描かれています。

先頭には先箱を担ぐ二人の髭奴、その後ろには二本の毛槍を掲げる髭奴が続いている絵です。

大名行列にとって毛槍は、特徴的かつ重要なアイテムなのだそう。毛槍とは長柄の槍の鞘の部分に鳥の羽や動物の毛などをつけて装飾とした儀仗用の槍のことです。

その材料には中国やチベット高原に住むヤクの尻尾の毛がよく使われたのだとか。白くて艶があったのだそうです。広重の絵の毛槍も白ですから、ヤクの毛なのかも知れません。

毛槍には幕府から各大名家ごとに許可された特徴的な装飾形式があり、遠くからでもどこの家中かが分かったのだそう。またその本数も大名家の格式によって異なっていたのだそうです。

参勤交代の行列は出立の際や宿場に入る時、国入りの際などには、毛槍を持たせた中間達は家ごとに独特の所作を取り、人々を注目させたのだとか。これが民俗芸能の『奴振り』として今も各地に残っているのだそうです。

■■

さて…

〈ケヤリムシ科Bispira属カタマキケヤリムシ Bispira tricyclia 21年2月3日 沖縄島安和〉

学名種小名は『三輪車』の意。

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

ケヤリムシのケヤリは前述の毛槍からですが、本種も大名行列の先頭を飾っても違和感のない美しさに思えたり…。

 

 

 

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あらゆる可能性を試した結果(ユリヤガイ)

2021-03-23 20:19:10 | ウミウシ

昨日今日と、冬に逆戻りしたようなやんばるです。

仕舞った冬服を慌てて引っ張り出すことに…。

明日明後日は雨になるようですが、代わりに南から暖気が上がってきて気温は上がりそう。

そのままうりずんに戻ってくれそうです。

週末にかけては夏日になりそうな予報にもなってます。

風は北東。概ね晴れ。

■■

貝をイメージするとき、大抵の人は巻き貝か二枚貝の姿を浮かべるのではないでしょうか。

でも貝は巻き貝類と二枚貝類だけではありませんよね。その他にもヒザラガイ類、一枚殻類、ツノガイ類、そしてイカ・タコ類(オウムガイ類も含む)と6グループあるのだとか。

これらの6グループの祖先は一つであったと考えられていて、イモムシのような形であったのだとか。

そして殻はなく、たくさんの石灰質の小さな針を纏い、身を守っていたのだそう。その針がくっついて現在のような殻になったと考えられているのだそうです。

貝殻の特徴は固いこと。防御のためのものですから、当たり前ですね。しかしそのために困ったことも。それは成長に関すること。

貝殻は変形もせず膨らみもしないので、成長するときには継ぎ足していくしかありません。

継ぎ足しても全体の形が変わらないためには、円錐形でなければならなかったのだそう。つまり貝殻の基本形は円錐形のみなのだそうです。

そこから『頂点角度』・『曲げ角』・『ひねり角』という三つのパラメーターを変動させることにより、様々な貝殻の形が生まれたのだとか。

これは巻貝と二枚貝という一見かけ離れた形にも当てはまるのだそう。つまりどちらも円錐形を基本に三つのパラメーターによって出来上がっているのだとか。

多様な貝の形は、固い殻を成長させるという制約の中で、進化があらゆる可能性を試した結果なのだそうです。

■■

さて…

〈ユリヤガイ科ユリヤガイ亜科ユリヤガイ属ユリヤガイ Julia exquisita 21年2月3日 沖縄島安和〉

学名種小名は『洗練された』の意。

ウミウシはもちろん巻き貝の仲間ですが、本種は二枚貝状の貝殻を有しています。

これも可能性を試した結果なのでしょうか…。

 

 

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Silky(キヌハダウミウシ属の1種)

2021-03-16 19:10:22 | ウミウシ

風は南からで、ほぼ夏日な感じまで気温が上昇した本日のやんばるです。

日差しもたっぷりで、ポカポカ陽気な一日でした。

週の後半に向けて夏日が続きそうな予報になってます。

■■

『シルクロード』

広義にはユーラシア大陸を通る東西の交通路の総称であり、具体的には北方の草原地帯のルートである『草原の道』、中央の乾燥地帯のルートである『オアシスの道』、そしてインド南端を通る『海の道』の3つのルートをいうのだとか。

狭義には最も古くから利用されていた『オアシスの道』をさしてシルクロードというのだそう。

この道は中国からローマへと、重要な交易品として絹が運ばれたことから、『絹の道』すなわち『シルクロード』と呼ばれたわけです。

絹の生産は紀元前3000年頃の中国で始まったのだそう。他の地域では養蚕や絹の製法は伝わらず、シルクロードを通って中国から輸出されたのだとか。古代ローマでは上流階級の衣服として絹は好まれたのだそう。

日本には弥生時代に既に養蚕と絹の製法は伝わっていたそうですが、品質が中国絹に及ばず、日本の貴族階級も中国絹を珍重したのだとか。

明治以降日本が近代化を進める上で、養蚕は重要な基幹産業になりました。1900年代の初め頃には、清を上回り世界最高の生産量になったのだとか。富岡製糸場などは有名ですよね。

近年は世界第5位の生産高なのだそうですが、1位から3位の国で全体の9割を占め、4位の国も日本を大きく引き離しているそうですから、衰退してしまった感は否めませんね。

まあ現在国内の製紙会社は2社のみなのだそうですから…。

絹の長所は軽く丈夫なこと。そして滑らかな肌触りも。

美しい肌は『絹のような肌』と言いますね。お肌のキメが細かく整った肌は質感が滑らかなので、こう呼ばれるのだそうです。

中国から高品質の絹が輸入されなければ、このような表現も生まれなかったのでしょうね。

■■

さて…

〈キヌハダウミウシ科キヌハダウミウシ属の1種 Gymnodoris sp. 21年1月26日 沖縄島安和〉

見た目は確かにシルキーな感じがしますけど、さわり心地はどうなのでしょう…。

滑らかなのでしょうか?

 

 

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驚愕の再生能力(ツノクロミドリガイ)

2021-03-09 19:45:49 | ウミウシ

予想よりも晴れ間が多かった本日のやんばるです。

風も弱く日差しありで、エキジット後も過ごしやすい一日でした。

今後も暖かい日が続き、晴れアイコンが目立つ予報になってます。

風は東のち南西のち北西。概ね晴れ。

■■

実は今日は全然違う話題で書こうと思っていたのですが、インターバルにスマホでニュースサイトを見ていたらびっくりするニュースを目にしたので急遽変更しました。

そのニュースのタイトルは…

『ウミウシが頭部から体全体を再生 大部分切断でも』

というもの。

ね、びっくりでしょう? 僕これを目にしたとき、「マジで!」って声出してしまいましたよ…。

なんでもウミウシの一種が、心臓など体の大部分を自ら切断した後、残った頭部から体全体を再生できることを奈良女子大の研究グループが発見したのだとか。

心臓を再生って、じゃあ再生が完了するまで心臓なしなの? というか頭部を自切出来るなんて…、って感じでしょう?

『嚢舌類』の『コノハミドリガイ』と『クロミドリガイ』で確認されたのだそう。

自切してから1週間以内に体の再生が始まり、3週間後にほぼ完全な状態となったのだとか。

自切の原因は不明なのだそうですが、寄生生物からの『自己防衛』を図った可能性があるのだそう。

『嚢舌類』のウミウシには『盗葉緑体』の能力があるのだそう。つまり捕食した藻類の葉緑体を細胞内に取り込み、細胞内共生して光合成に利用しているのだそうです。

頭部だけでも生存し再生できた大きな要因は、この光合成ではないかと考えられるのだそうですよ。

ちなみに、切り離された体部分から頭部は再生されなかったそうです…。

■■

今後再生医療などに活用できる可能性があるのだそうですが…

〈チドリミドリガイ科ゴクラクミドリガイ属ツノクロミドリガイ Elysia asbecki 21年1月15日 沖縄島安和〉

本種も同じ『嚢舌類』のウミウシ。

『コノハミドリガイ』や『クロミドリガイ』と同属のウミウシです。

『嚢舌類』の中でも『盗葉緑体』の能力が高いものもいれば低いものもいるようですが、それと再生能力には相関があるかも知れませんね。

この子にはどのくらいの再生能力があるのかな…。

 

 

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荒風(シマアラシウツボ)

2021-03-02 18:32:10 | ウツボ科

目まぐるしくというほどではないですが、速いテンポで風が変化しているこの頃です。

今日は特に一日を通して風が変化していった感じのやんばるです。

空模様もすっきりと晴れてはくれませんでした。

すっかり春になっていた気がしていたのですが、少しだけ足踏みした感じ…。

今日明日はひんやり、それ以降はまた暖かな感じで推移しそうな予報になっています。

風は西のち北西のち北。曇時々弱雨。

■■

タイトルの『荒風』は、昨年末に活動を休止した国民的アイドルグループの名前の語源です。

元々は山から吹き下ろしてくる風のことをこう呼んだのだそう。

万葉集では『山風』、『下風』、『山下』の漢字が当てられていたりもするのだとか。

全て『あらし』と読みます。そう、『嵐』のことです。

形容詞である『荒し』が名詞化したとも考えられているのだそうでうすが、『し』は『風』を意味し『荒い風』の意とするのが一般的なのだとか。

『し』は『風』の古語で、他の語と組み合わせて用いられるのだそうで、例えば『旋風(つむじ)』などにも見られます。

『嵐』は自然現象・気象の一つとして捉えると、強い雨を伴う暴風のことを指します。

しかし『嵐』は正式な気象学の用語ではないのだとか。地震学用語で言うところの『直下型地震』みたいなものですね…。

また文学的表現の『嵐の前の静けさ』も、気象学的には正しくはないのだそう。

実際の嵐は、襲来する前に辺りが一時静まりかえるということはなく、いくつもの予兆があり徐々に風雨が強くなっていくのが一般的なのだそうですよ。

■■

さて…

〈ウツボ科ウツボ亜科アラシウツボ属シマアラシウツボ Echidna polyzona 21年1月15日 沖縄島安和〉

学名種小名は『多数の帯の』の意。

和名を漢字表記にすると『縞嵐鱓』ですが、どの辺りが嵐なのでしょうか?

ちなみに画像の個体は下顎にパラサイトたちが…。

アクセサリーみたいに並んでいたり…。

 

 

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