Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

最上級正装…(エンビキセワタ・エンビノアルダガイ)

2016-07-29 19:25:19 | ウミウシ

相変わらず陽光ギラギラ、風は弱~く海は凪。

そんな日が続いてますやんばるです。

熱帯低気圧は次々と生まれていて、そのまま台風に発達しそうなものもありますが…。

全部直接的には、沖縄島に関係なさそうです。

もっとも間接的な影響はありそうで、来週は不安定な空模様になりそう。

まあ、スコール系の雨は気持ちいいので大歓迎ですが。

風は北東。快晴。

〈カノコキセワタガイ科エンビキセワタ属エンビキセワタ Odontoglaja guamensis 16年6月13日 沖縄島崎山〉

エンビはもちろん燕尾からでしょう。

つまりツバメの尾。まあ、後ろの方がそのまんまの形をしてますからね。

燕尾といえば燕尾服。

19世紀中半以降の正装。

戦前日本の服制を定めた『明治5年太政官布告第339号』というものがあるのだそう。

そこでは、燕尾服が『通常礼服』とされていたそう。小礼服とも呼ばれ、下級官吏や民間人の最上級正装とされていたのだとか。

もともとは乗馬服だったそうです。裾が割れているのは、乗馬のときに鞍の上でもたつかないためなのだとか。

最上級正装を纏ったウミウシ…といいたいところですが、その体色が……。

燕尾服は黒が正式な色なのだそうですから。

まあ、警告色なのでしょうけど。

エンビという響きには、艶美という言葉もあります。

その意味は、あでやかで美しいこと。つややかでなまめかしいこと。

こちらの方が、似合っているようにも思えますけど…。

燕尾服を纏ったウミウシには他にもこんなのが↓

〈カノコキセワタガイ科ノアルダガイ属エンビノアルダガイ Noalda sp. 16年6月13日 沖縄島安和〉

こちらも黒ではないですね。

白い燕尾服…。

新郎さんっぽい感じに思えたり…。

 

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大口・小口…(ハナヒゲウツボ・ケラマハナダイ・セソコテグリ)

2016-07-26 19:32:36 | 水中生物

陽光サンサンで灼熱~な日が続いてますやんばるです。

ただ一時的に降る強雨のときには、少し肌寒いほどにヒンヤリ涼しくなったり…。

風は極ゆる~く、海はベタ凪続き。

台風2号も熱帯低気圧も、遠すぎて何の影響もなく。

となるとサンゴがまた心配な状況に…。

ダイバーとしては、快適なコンディションなのですけどねぇ……。

風は北西、一時南西のち北東。晴れ一時強雨。

〈ウツボ科ウツボ亜科ハナヒゲウツボ属ハナヒゲウツボ Rinomuraena quaesita 16年6月2日 安和グスク〉

大きく口を開く魚。

様々なシチュエーションでそうしている彼らに出会ったりします。

上の画像はまあ、明らかに威嚇でしょうね。

実際に攻撃の準備態勢に入っているのか、それとも大きさを誇示しているだけなのか、その辺りはよく解りませんが。

〈ハタ科ハナダイ亜科ナガハナダイ属ケラマハナダイ Pseudanthias hypselosoma 16年6月2日 沖縄島安和グスク〉

お次はあくび。

魚のあくびは、一説によると他の魚に対する警戒や緊張の表現だとか。

上の画像はたぶん僕に対する警戒や緊張なのかも。

あるいは、口から多くの海水を取り入れてエラから出し、ゴミのついたエラを洗う行為だとか。

同時に新鮮な海水から、多くの酸素を身体組織に行き渡らせようとしているのだという説も。

見ているぶんには、ゆったりリラックスしているようにも思えたりしますけど。

〈ネズッポ科コウワンテグリ属セソコテグリ Neosynchiropus morrisoni 16年6月13日 沖縄島崎山〉

最後はこれ。

小さすぎて開いてるのかどうか解りづらいですが…。

この画像は…、さてどんな感じでしょう。

なんか、愚痴ってるようにしか見えなかったり…。

 

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大暑(テングチョウチョウウオ)

2016-07-22 19:20:35 | チョウチョウウオ科

本日は二十四節気の大暑ですが、まさに大暑…って感じのやんばるです。

もううだるような暑さ…という表現がよく似合う一日でした。

風も弱~く、半島の南北どのポイントもOKなコンディション。

この状態が何日か続きそうな雰囲気です。

風は北西。快晴。

〈チョウチョウウオ科チョウチョウウオ属テングチョウチョウウオ Chaetodon selene 16年6月2日 安和グスク〉

画像は幼魚。

学名種小名は『月』の意。

もっとも、そもそも selene はギリシャ神話の月の女神のことですが。

まあ、女神的な要素があるかどうかはともかくとして…

体色と結びついた名前なのでしょう。

和名のテングは天狗からでしょう。

こちらは体形と結びつく名前ですね。

一つの魚の姿に、ある人は色から月を見いだし、別の人は形から天狗を見いだす。

何となく面白く感じたり。

天狗は伝説上の生き物で、山の神。

すると、学名も和名も神の名前が由来ということで共通していたりも…。

 

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暑い…(カガミチョウチョウウオ)

2016-07-19 19:11:00 | チョウチョウウオ科

連休中に唐突に発生した熱帯低気圧は、沖縄島を足早に通過していきましたが、海には特に影響なく…。

本日も特にうねりもなく、水温が下がることもなく、透明度にも影響なく…、少々風が強まったかな…という感じ。

陸上は陽光サンサンでスコール系の雨にも出会わず、灼熱~。

明日からは風も弱まって、さらに灼熱~になりそうです。

何でも7/17~7/27までの十日間が沖縄では1年で最も暑い期間なのだそう。

紫外線も、この期間に最も強くなるのだそうです。

暑いはずです……。

風は南西。晴天。

〈チョウチョウウオ科チョウチョウウオ属カガミチョウチョウウオ Chaetodon argentatus 16年5月27日 沖縄島安和〉

和名のカガミは鏡のようですが、どの辺りが鏡なのでしょう。

形も模様も色彩も、僕には鏡っぽくは見えないのですが…。

学名種小名は『銀色の』の意。

銀色的要素も、僕には見つけられません…。

〈同種 同個体 同日 同ポイント〉

因みに一般的な鏡は、ガラスの片面にアルミニウムや銀などを蒸着したもの。

高級品では、銀鏡反応を利用して薄い銀の膜を貼り付けた物などもあるのだそう。

そうすると、鏡と銀には関係がありそうですが……。

 

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高温注意…(トウモンウミコチョウ)

2016-07-15 18:54:04 | ウミウシ

連日高温注意情報が発表されてますやんばるです。

明日からの連休も、紫外線注意・熱中症警戒な日々になりそう。

いや連休中のみならず、今後一週間の予報を見ても晴れマークしかなかったり…。

相変わらず強い南寄りの風が吹いてますが、こちらは弱まっていく予報です。

風は南西~南。晴れのち曇。

〈ウミコチョウ科ムラサキウミコチョウ属トウモンウミコチョウ Sagaminopteron psychedelicum 16年5月27日 沖縄島安和〉

学名種小名は『サイケデリックな』の意。

サイケデリックという言葉は、アートやミュージック・ファッションなどの用語としてよく目にしたりしますが、サイケデリックそのものの意味は……

LSDや幻覚剤によってもたらされる心理的感覚……

あるいは極彩色のぐるぐる渦巻くイメージ……

それらによって特徴付けられる視覚・聴覚の感覚の形容表現なのだそう。

精神科医の造語なのだそうです。

前半部分の psyche は古代ギリシャ語で、心・魂・蝶を意味するのだとか。

ウミコチョウ科だけに……とか思ってみたり。

心と魂はわかりますけど、それと蝶が同じ言葉だというところも面白いですよね。

心や魂は、蝶のようだということなのでしょうか。

〈同種 同個体 同日 同ポイント〉

和名の方は黒で縁取られた橙色紋を全身に纏っているからなのでしょう。

こちらは名は体を表す系ですね。

 

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夏模様な…(ラベンダーウミウシ)

2016-07-12 19:16:10 | ウミウシ

キラッキラした青空の周辺部に、モクモクと立ち上がるボリューミーな白い雲…。

典型的な真夏の空模様だった本日のやんばるです。

まだ少し風が強いですが、今週は安定したコンディションが続きそうです。

風は南。晴天。

〈イロウミウシ科シノビイロウミウシ属ラベンダーウミウシ Thorunna halourga 16年5月27日 沖縄島安和〉

ピースサインは、一説によると百年戦争時にイングランドの弓兵が、敵であるフランス軍を挑発するサインとして使用したのが発祥であるといわれていたりします。

現代では勝利のアピールを行うためのサインだったり、平和を祈るためのサインだったり…。

まあ日本人にとっては、写真を撮るときのお決まりポーズだったりしますが。

〈同種 同個体 同日 同ポイント〉

画像の個体は小指の爪サイズで、撮影しているときは気づきませんでしたが、片方の触角がピースしてました。

さらに触角の下をよく見ると……

〈同種 同個体 同日 同ポイント〉

コペポーダがピースサインしてました…。

 

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スーパーだったそうですが…(ウミウシ3種+α)

2016-07-08 19:00:04 | ウミウシ

台風1号の影響は、特になし…なやんばるです。

まあ沖縄島からは離れたコースを足早に去って行ったという感じでしたから。

ただこの台風1号、スーパータイフーンに分類される勢力だったそう。

進路上の海水温が深いところまで高く、エネルギー源の水蒸気が多く発生したためだとか。

5日正午から6日正午までの24時間で、中心気圧が70ヘクトパスカルも低下したそうで、これは極めてまれなのだそう。

これからうねりが入るような気もしますが……どうかな。

風は南東。曇ときどき強雨。

〈オオミノウミウシ科Bulbaeolidia属シロミノウミウシ Bulbaeolidia alba 16年4月27日 沖縄島崎山〉

学名種小名は『白い』の意。

黒に続き白。

前回にも書きましたが、可視光のすべての色が乱反射されたときに知覚される色。

黒よりも目につく印象。

雪原や氷原なら、保護色なのでしょうけど。

この画像の個体も極小サイズで、白色でなければもっと目立たなかったように思えたり。

あるいは…

〈イロウミウシ科シノビイロウミウシ属トルンナ・ダニエラエ Thorunna daniellae 16年5月17日 沖縄島安和〉

この個体もかなり小さいサイズでしたが、やっぱり目につく。

もっとも、この個体は白以外の色も目立ちますが。

あるいは…

〈ネコジタウミウシ科ネコジタウミウシ属の1種 Goniodoris sp. 16年5月17日 沖縄島安和〉

この個体なんかは、口触手や外套膜周辺、あるいは触角の色が全体の模様に広がっていれば、もっともっと目立たなかったはず。

さらには……

〈ヒラムシの1種 POLYCLADIDA sp. 16年5月17日 沖縄島安和〉

小指の爪よりも小さいこの個体も、白でなければ目につかなかっただろうなぁ…。

 

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北上中、発達中…(スミゾメキヌハダウミウシ&オオクロネズミ)

2016-07-05 18:57:10 | ウミウシ

ほぼ予想通りに台風1号が発生し、現時点では予想通りのコースを北上しています。

近海の海水温が高いので、順調に発達中…。

明後日くらいから、天気は下り坂。海もうねりが高まりそうです。

程よい感じにかき混ぜられればいいのですが。

とりあえず今日はまだ風も弱~く、灼熱~なやんばるでした。

風は南東。晴天。

〈キヌハダウミウシ科キヌハダウミウシ属スミゾメキヌハダウミウシ Gymnodoris nigricolor 16年5月11日 沖縄島安和グスク〉

学名種小名は『黒で覆われた・黒い外見の・黒色の』の意。

和名がスミゾメ(墨染め)、つまり墨で染められたキヌハダウミウシですから、まあどちらも同じ、名は体を表す系ですね。

黒いウミウシといえばこんなのも↓

〈カノコキセワタガイ科ニシキツバメガイ属オオクロネズミ Chelidonura sp. 16年5月17日 沖縄島安和〉

こちらには学名がまだありませんが、外見通り和名にはクロ(黒)が入っています。

ところで……

黒という色は存在しないのだそう。

光は単色ではなく広いスペクトルからなっていて、黒はほとんどの帯域の光をすべて吸収するので、特に色がなく黒に見えるのだとか。

プリズムによる光の拡散実験を、たぶん誰もが体験していると思いますが…。

つまり色とは可視光を形成している虹の七色の、どの帯域を吸収してどの帯域を反射しているのかということ。赤く見えるなら赤を反射しているし、すべてを反射していれば白、ほぼすべてを吸収していれば黒く見えるということ。

上記の二種は、ほぼすべての光を吸収しているのでしょうか。

ウミウシの多くがカラフルなのは、警告色だとあちらこちらで目にしますけど、色を持たない彼らは大丈夫なのでしょうか。

隠蔽色になっているようにも思えないのですが…。

 

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文月(キホシスズメダイ)

2016-07-01 19:11:11 | スズメダイ科

7月になっても相変わらずというか、7月だから当然というか…、灼熱~な感じになってますやんばるです。

台風がひとつも発生しないうちに7月になってしまったなぁ…。

さて、昨日沖縄地方の1ヶ月予報が発表されました。

それによると、高温・多雨・日照少なめな1ヶ月になるのだそう。

具体的には、1~7日はカンカン照り。8~14日は雨交じり。15~月末はまたカンカン照りになるのだとか。

で、8~14のタイミングに台風の発生が合えば、沖縄地方に接近するかも…だそう。

これは太平洋高気圧の張り出しの関係で。

windytyでその辺りを探ってみると、5~6日頃に南の海上で台風が発生して、7~8日頃に先島地方から台湾へ、そこから北上して朝鮮半島へ、という予想になってたりしてました。

まあ、現時点では熱帯低気圧も発生していませんが…。

風は南東~南。晴天。

〈スズメダイ科スズメダイ亜科キホシスズメダイ Chromis flavomaculata 16年5月11日 沖縄島安和〉

画像は幼魚。

学名種小名は『黄色い斑点のある』の意。

和名のきほし(黄星)も同じ由来なのでしょう。

その斑点は、鱗1枚1枚にあるのだそう。

『キホシスズメダイ ウロコ』で検索すると、黄色い点が鱗の1枚1枚にあるけれど、標本にしないとわからない。

という文章があちらにもこちらにも散乱しているのですが……。

これって、黄色斑点が細かすぎるから、標本にしてじっくり見ないとわからないということなのでしょうか。

それとも生きている内は黄色斑点は目立たず、標本に固定するとはっきりと現れるということなのでしょうか。

どちらにしても生きているときには見えない星を、見えない黄色の星を纏っているということですね。

星といえば……

高原の空の正午の太陽は、かなり黄色っぽいのだとか。

けれど天空の青色が色みに影響していて、実際には白(白昼色)に感じられるのだそう。

こちらも見えない黄色…とか思ってみたり。

 

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