Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

Bioluminescence(ヒメエダウミウシ)

2020-07-28 18:45:20 | ウミウシ

鋭すぎる日差し、スコールにも出会わず、灼熱~で夏全開な本日のやんばるです。

風も夏の南東風。やや強めですが、半島の南北どちら側のポイントでも選択できるコンディションが続いています。

ところで台風が発生していません。

台風2号が発生した6月12日を最後に一ヶ月以上発生していません。もし7月に一つも発生しなければ、統計開始以来初めてのことなのだとか。

明日からの3日間で発生しますかねぇ…。

熱中症厳重注意な日々が続きそうです。

風は南東。晴天。

■■

生物が光を生成し放射する現象を『生物発光』といいます。英語では『バイオルミネセンス(Bioluminescence)』といい、これはギリシャ語のBio(生物)とラテン語のlumen(光)との合成語なのだそう。

生物発光する無脊椎動物は多く、水中ならサンゴや貝、クラゲやオキアミやイカ等、陸上ならヤスデ、ムカデ、そしてホタルなど。

一方脊椎動物で生物発光するのは魚類のみなのだとか。つまり陸生の脊椎動物にはいないということですね。

生物発光システムの代表的なものは『ルシフェリン・ルシフェラーゼ反応』ですね。これは発光物質ルシフェリンがルシフェラーゼという酵素によって酸化反応を加速され、分子結合が切れて光の粒子を放出するというメカニズムなのだそう。

発光する理由はまあ様々で、はっきりと解っていないものも多いようですが、例えば深海魚なら発光することによって自身の輪郭を消す、迷彩効果・隠蔽擬態効果を利用するためだったり。

イカや小型の甲殻類などでは、発光物質を煙幕のように使い、捕食者を混乱させ撃退するためだったり。

光ることで獲物を誘き寄せたり、交配相手にアピールしたり、自身が捕食者に狙われたとき、その捕食者を捕食するさらに大きな捕食者を引き寄せるために発光するものも。これらは誘引のための発光。

さらには仲間と直接的にコミュニケーションするために発光する通信的な利用だったり、周囲を探索するための照明として発光したりするものもいるのだそう。

実に様々な事情で、生物は発光するようです。

■■

さて…

〈フジタウミウシ科ハナサキウミウシ亜科エダウミウシ属ヒメエダウミウシ Kaloplocamus acutus 20年6月27日 沖縄島新里〉

学名種小名は『鋭い』の意。

本種は同属のエダウミウシのように発光するウミウシなのだそう。

エダウミウシは刺激を受けると光ったり、光が強くなったりするのだそうですが、本種もそうなのでしょうか。

そうであるなら、本種が発光する理由は外敵に対する威嚇のためなのでしょうか。

 

 

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吸収率99.9%以上(インドカエルウオ)

2020-07-21 19:06:54 | イソギンポ科

日差しが強すぎる…、そして風は弱すぎる…、何もしなくても汗が噴き出る…、という感じだった本日のやんばるです。

もちろん海はベタ凪でした。半島南側にも北側にも好きなポイントに好きなタイミングでエントリーできる感じ。

明日もほぼこんなコンディションだと思われます。

当分このコンディションが続けば良いのになぁ…。

風はごく弱い南。晴天。

■■

"Vertically Aligned NanoTube Arrays"

これは『垂直に並べられたナノチューブの配列』を意味します。この頭文字を取った、"VANTA BLACK(ベンタブラック)"という新素材があるのだとか。

なんと光の99.967パーセントを吸収してしまう塗料なのだそう。

光の全てを吸収してしまうブラックホールを眼で見ることは出来ませんが、もし近所にブラックホールがあったとしたら(まあ、そういう状況もあり得ませんけど)、こんな風に見えるのではないかというのを体感できる完全な黒なのだとか。

例えば黒板の吸収率は約93パーセント、アスファルトなら約96パーセントなのだそう。だから僕らはその表面の材質感や細かな凹凸を認識することが出来ますよね。

対してベンタブラックはというと、くしゃくしゃに皺だたせたアルミホイルをコーティングすると、真っ平らにしか見えなくなるのだそうです。

この塗料、何に使えるのかというと取り敢えず考えられるのは宇宙望遠鏡なのだとか。光学望遠鏡に使用して光を吸収することで、散乱光が影響して観測が困難になる微細な光の星や遠くの銀河を捉えることが可能になるのだそう。

多分これから他にもたくさんの使用用途が考え出されていくのでしょうね。

水中での利用法って、何かありますかねぇ…。

■■

さて…

〈イソギンポ科インドカエルウオ属インドカエルウオ Atrosalarias fuscus holomelas 20年6月11日 沖縄島安和〉

画像はまだ幼い個体。

学名を見て頂ければ解りますが、三語名法(三名法)になってます。

通常魚の学名は二語名法(二名法)ですが、本種は亜種なので、こうなっています。

つまり本種は種小名と亜種小名を持っています。

種小名は『黒ずんだ』の意。

亜種小名は『すべて黒い』の意。

吸収率の高い黒、って感じの学名です。

 

 

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トイレの妖怪(ムナテンベラ)

2020-07-14 20:44:44 | ベラ科

風向・風速共に良い感じの日が続いてるやんばるです。

夏凪…という感じのコンディションでした。

午後の遅くにざっと一雨。空模様も典型的な真夏…、と思える一日でした。

明日からはまた少し南西風が強まりそう。空模様も不安定になりそうな予報です。

風は南南西。晴れ、一時雨。

■■

ときは慶長年間のこと。時代で言えば安土桃山時代から江戸時代にかけてのあたり。

笠松甚五兵衛という村人の家で甚五兵衛の妻が便所に入ると何者かに尻を撫でられるという怪異が起きた。

甚五兵衛は狐狸の仕業かと思い、刀を用意して便所に入ると、毛むくじゃらの手が出てきたため、これを刀で切り落とした。

数日後、三人の僧が甚五兵衛の家に現れ「この家には怪しい相がある」と言うので、甚五兵衛は切り落とした手を見せた。

すると手を受け取った僧の一人が「これは人家の便所に住み着く黒手というものだ」と言った。

さらに別の僧が手を受け取り「これはお前に斬られた我が手だ」と叫ぶと九尺(約2.7m)もの丈のある正体を現し、手を奪って三人もろとも消えてしまった。

それから何日か後、甚五兵衛は突然空から降りてきた衾(ふすま)のようなものに包み込まれ、6~7尺(約1.8~2.1m)も宙に持ち上げられて落とされた。気づいたときには、彼の懐から黒手を切った刀が奪われていたという。

これは能登(現在の石川県)、戸板村というところでの出来事。

妖怪『黒手』のお話です。

3m位もある大きな身体でトイレに潜んで、来る人のお尻を撫でる…。怖さよりも滑稽さを感じてしまったり…。

水木しげるの『妖怪大図鑑』にも描かれている妖怪なのだそうですよ。

■■

さて…

〈ベラ科カンムリベラ亜科キュウセン属ムナテンベラ Halichoeres melanochir 20年5月27日 沖縄島新里〉

画像は幼魚。

学名種小名は『黒い手』の意。

成魚の鰭を手と表現しているのだそうです。

 

 

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synonym(ユリタツノコ)

2020-07-07 19:37:53 | ヨウジウオ科

朝の時点では後半雨交じりな空模様になりそうな予報だったのですが…、雨の欠片にも出会えず灼熱~な感じだった本日のやんばるです。

遠くの方に雨雲っぽいのは見えたんですけどねぇ…。

明日は気圧の谷の影響で、しっかりと雨が降る予報で、雷もともないそう。

そして週末は再び灼熱~な感じになりそうです。

風は南~南西。晴れ。

■■

生物の種、および分類につけられる世界共通の名称を『学名』といいますよね。

僕たちは普段魚の名前を『和名(標準和名)』で呼んでいますが、これは当然日本人の間でしか通用しません。

学名には規則があり、動物の学名であれば『国際動物命名規約』というものがあり、いろいろなルールが決められています。

例えば、ラテン語の文法に則ったラテン語形で表記されるとか、種の学名すなわち『種名』は『属名+種小名』で構成されるとか。

あるいは、一つの種に対して有効な学名は一つ切りでなければいけないとか。

とはいえ、二つの異なる種だと思われていて二つの名前がついていたけれど、実はその二つは同じ種だったことが判明した、何てこともあるじゃないですか。

このように同一の種が異なる名前を持つことは、『シノニム(異名・同物異名)』と呼ばれます。

このため、国際動物命名規約では学名の後ろに命名の情報を付加することを推奨しています。

具体的には学名の後ろに命名者を付加し、学名と命名者の間には句読点を打たず、命名者の後ろに公表の日付を付加し、命名者と公表の日付の間にはカンマを打つという書式を強く推奨しているのだとか。

つまり同一の種に別々の人物が異なる学名を命名して記載論文を発表した場合、この日付に従い、原則として先に発表された学名が有効となるのだそうです。

これは先取権の原則と呼ばれています。

もっとも分類学関連の著作以外では省略して構わないことになっているそうで、僕らが使う普通の魚類図鑑なんかだと、学名(属名+種小名)のみの表記になっていますよね。

■■

さて…

〈ヨウジウオ科タツノオトシゴ亜科タツノオトシゴ属ユリタツノコ Hippocampus pontohi 20年5月22日 沖縄島安和〉

画像の個体は以前ならHippocampus severnsi だとされていました。

しかしその後遺伝的データによって、H.pontohiH.severnsi は同種内の体色変異であることがわかりました。

つまりシノニムであったわけです。

国際動物命名規約に基づき先取権があるH.pontohi が正式名とされ、H.severnsi は異名とされました。

従って画像の個体は、ユリタツノコの体色変異型となったわけです。

 

 

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