Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

東の彼方の異界(トウモンリュウグウウミウシ)

2022-03-29 21:05:54 | ウミウシ

一日中ドンヨリ…な空模様かと思っていたら、意外と日差しを浴びられた本日のやんばるです。

でも明日からもず~と曇と雨アイコンが並ぶ予報になってます。

晴れアイコンが見えるのは一週間後…。

とはいえ、今日みたいな日差しがあるのかもしれませんが…。

風は北東~東。曇ときどき日差し。

■■

『水晶宮』、『水府』、『龍の宮(たつのみや)』、『龍の都(たつのみやこ)』、あるいは『海宮(わたつみのみや)』

これ皆『竜宮(龍宮)』のことです。『竜宮城』も竜宮のことなのだとか。つまり竜宮にある城という意味ではないのだそう。

中国や日本の昔話、伝説、物語などに登場する海神の宮ですね。

海の中に存在すると考えられているものであり、海神あるいは水にまつわる神が主であり、そこにおもむいた者へ(礼品として)宝物が与えられる、という点が数々の伝説に共通しているのだとか。

竜宮が登場するもっともポピュラーな昔話は、やっぱり『浦島太郎』ですよね。亀に乗って海の中に行き、主である乙姫から玉手箱を貰って帰ります。

それ以外にも『山幸彦と海幸彦』に海神が住む宮として登場します。そこを訪れた山幸彦は帰りに霊力のある玉を貰っています。

陰陽師安倍晴明の物語にも竜宮は登場します。亀を助けてそのお礼に竜宮に連れて行かれた安倍晴明は、動物の言葉が理解出来るようになる『龍仙丸』を貰ったのだそう。前半は浦島太郎ですよね…。

中国では『西遊記』で、孫悟空が大暴れする場所として竜宮(水晶宮)が登場するのだとか。

当地には『儀来』というニライカナイをさす言葉があるのだそうですが、昔話の中では竜宮と同義語として使われることがあるのだとか。

ニライカナイとは遙か遠い東の海の彼方、または海の底、地の底にあるとされる異界。

豊穣や生命の源であり、神界でもあるのだそう。太陽の神を主神とする神の世界で、火や稲もそこから将来されたとする伝えもあるのだそう。

当地では生者の魂もニライカナイより来て、死者の魂はニライカナイへと去ると考えられているのだそうです。

■■

さて…

〈フジタウミウシ科クロスジリュウグウウミウシ亜科クロスジリュウグウウミウシ属トウモンリュウグウウミウシ Nembrotha livingstonei 22年2月4日 沖縄島安和〉

画像は幼体。

学名種小名は献名ですね。

体色や模様の変異が著しいウミウシです。

 

 

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アヤミハビル(サラサハゼ)

2022-03-22 20:11:39 | ハゼ科

前線通過で一時強い雷雨になった本日のやんばるです。

通過の前後で風向もガラリと変化しました。

雨が上がったあともスッキリとしない空模様が続いた一日でした。

今週は雨交じりの日が多い感じになりそうです。

風は南~南西のち北西~北。曇、一時強雨。

■■

春といえば花が咲く季節、そして花から花に蝶が飛ぶ…というイメージが一般的なのではないでしょうか。

その蝶に対しては『きれい』、『かわいい』という印象なのに、よく似た昆虫である蛾に対しては『汚い』、『気持ち悪い』という印象を持つ人が多いのだとか。

でも蝶と蛾は学術的には大差はなく、その境界も明確ではないのだそう。

例えば触角の形態的違いや、とまり方の違い、あるいは繭を作る作らないなどの違いがあるとされていますが、これらには例外が存在し、あくまでも一般的な違いなのだとか。

そもそも蛾という夜行性の昆虫がいて、その進化の過程で昼間に活動するものが出現し、それが現在蝶と呼ばれる昆虫になったのだそう。

その過程で昼行性の蝶は繁殖のための視覚的要素が強まり、夜行性の蛾はフェロモン的要素が強いのだとか。

まあ、真っ暗な中では姿は見えないですからね…。

しかしながら派手な模様や美しい模様を羽に纏った蛾も沢山います。

「蝶と蛾の違いは、蝶はきれいだけど蛾は美しい」

これは日本蛾類学会会長の言葉ですが、名言ではないでしょうか。

八重山諸島には『ヨナグニサン』という固有種の蛾がいます。

これも美しい模様の羽を持つ蛾で、与那国方言では『アヤミハビル』と呼ばれています。

『アヤミ』とは『模様のある』、『ハミル』とは『蝶』という意味なのだそう。

つまり蝶という名の蛾というわけ。

やっぱり、蝶と蛾は近しいのだと思えたり…。

■■

さて、蛾といえば…

〈ハゼ科ハゼ亜科サラサハゼ属サラサハゼ Amblygobius phalaena 22年1月20日 沖縄島安和〉

学名種小名は『蛾または鯨』の意。

鯨的な要素はどこにも見つけられませんけど…。

 

 

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歌謡、ふんどし、苗字…(コヤナギウミウシ)

2022-03-15 20:10:58 | ウミウシ

意外に曇りがちな空模様でしたが、それでも夏日近くまで気温が上がった本日のやんばるです。

風はゆるやか~で、数字以上に暖かく、いや暑く感じた一日でした。

この先一週間は、期間の半ばと終わり頃に雨交じりになりそうですが、気温は高いまま推移しそうです。

風は弱い北東。晴れときどき曇。

■■

『小柳』その一

平安末期に行われた雑芸(ぞうげい)の一つ。雑芸とは平安後期から鎌倉時代にかけて流行した歌謡の総称なのだとか。

古典的、貴族的なものに対して、民間から出たものなのだそう。

『小柳』その二

小柳繻子(しゅす)、またはそれでつくった帯のこと。本絹繻子の一つで黒地を主とし、力士の褌(ふんどし)などに用いられるのだそう。

一説によると力士の小柳が用いたことがこの呼び名の由来なのだとか。

第六代横綱阿武松緑之助が『阿武松』を名乗る前の四股名が小柳だったそうで、前述の力士とは阿武松緑之助のことのよう。

もの凄い大食漢で、婦人に人気のあった力士だったそうです。

『小柳』その三

地名や苗字。

苗字としては九州北部に多く、特に佐賀県に集中するのだとか。

有名人で小柳姓といえば、小柳トム(ブラザー・トム)、小柳ゆき、そして小柳ルミ子が僕的にはぱっと浮かぶ感じ…。

全員歌手ですね。ご先祖を辿ると歌謡の小柳に繋がったりして…。

■■

さて、この子は小柳ルミ子と直接的な繋がりが…

〈Janolidae科コヤナギウミウシ属コヤナギウミウシ Janolus toyamensis 22年1月13日 沖縄島崎本部〉

学名種小名は『富山産の』の意。

たぶんこの富山は富山湾のことなんでしょうね。

そして和名のコヤナギは小柳ルミ子から。

本種の記載年である1970年が小柳ルミ子のデビューした年であることに因んでいます。

 

 

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人形緑黄色野菜(ニンジンヒカリウミウシ)

2022-03-08 20:08:26 | ウミウシ

風はヒンヤリでしたけど、たっぷりと降り注ぐ陽光が心地良かった本日のやんばるです。

このまま週末まで陽光が気持ちいい日が続きそう。

最高気温も日増しに高まりそうで、週末には夏日になるかも…。という感じです。

風は北~北東。晴れ。

■■

『ニンジン』

漢字で書くと『人参』ですね。

セリ科ニンジン属の二年草。根菜。

漢字表記の人参は、人の形に似ていることからその名になったのだそう。

但しこの人参は奈良時代に渡来し、薬用として栽培されていたウコギ科の『朝鮮人参(オタネニンジン)』のことだったのだとか。

食用のニンジンは、根が朝鮮人参に、葉がセリに似ていることから当初は『セリニンジン』と呼ばれていたのだそう。

でもこちらの方が主流になると、セリ科の方を指して人参と呼ぶようになり、ウコギ科の方を朝鮮人参と言うようになったのだとか。

ニンジンの学名種小名である『carota』は、英語のキャロット(carrot)の語源であり、カロテン(carotene)の語源でもあります。

根菜の中で唯一カロテン含有量が多く、緑黄色野菜に分類されるニンジン。緑黄色野菜の中でもトップ3に入るくらいに豊富なカロテンが含まれているのだそう。

ビタミンA・B1・B2・C、カリウム、食物繊維も多く、栄養的価値が高い野菜なのだそうです。

ところで日本ではニンジンといえば馬、というイメージが強いのではないでしょうか。

これは日本では馬に飼料として安価なニンジンを用いたからで、ヨーロッパではリンゴやパン・角砂糖が用いられているのだとか。

つまり日本で生まれ育った馬はニンジンを好みますが、他国育ちの馬はニンジンを好まなかったり、むしろ嫌うこともあるのだそうです。

■■

さて、こちらは光るニンジン…

〈フジタウミウシ科ハナサキウミウシ亜科ヒカリウミウシ属ニンジンヒカリウミウシ Plocamophenrus pecoso 22年1月13日 沖縄島崎本部〉

学名種小名は『そばかすのある』の意。

外套縁に3対の短い発光瘤を持つウミウシです。

 

 

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明かりをつけましょ…(ボンボリイソハゼ)

2022-03-01 19:23:42 | ハゼ科

先週末は、もう春だなぁ…って感じの陽気でした。

そして週が明けると、もう初夏ですか? って感じの暖かい日が続いてるやんばるです。

今日も陽光たっぷりで、そのうえ南風。気持ちのいい一日でした。

このまま暖かい日が続きそうです。

風は南。晴天。

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明後日はひな祭りですね。ひな祭りは中国の五節句の一つである『上巳(じょうし)の節句』が日本に伝わってきたのがその由来なのだとか。

中国では桃の花に長寿や魔除けの力があると考えられ、上巳の節句のときには桃の花のお酒を飲んだり、桃の葉のお風呂に入ったりして厄払いをしたのだそう。

ひな祭りが『桃の節句』ともいわれるのは、この辺りに由来しているのだそうです。

季節の節目である『節』の時期は、昔から邪気が入りやすいといわれていたのだとか。

上巳の節句では、邪気を払うために川で身を清める習慣があったのだそう。

それが日本に伝わったときに人形に穢れを移し、川に流して邪気払いをする行事へと変化していったのだとか。

この風習が『流し雛』となり、人形制作の技術の発展と共に、川に流すのではなく飾る習慣へと変化していったよう。

これが平安貴族の間で流行っていたおままごと遊びの『ひひな遊び』合わさって、『ひひな』が転じて『ひな』となり、ひな祭りの形が出来上がったのだそうです。

当地には旧暦3月3日に『浜下り』という女の子の行事を行います。

ビーチに行って潮だまりで身を清めるという風習ですが、これも元を辿れば上巳の節句に繋がるのかもしれませんね。

■■

さてひな祭りといえば、定番の歌がありますね…

〈ハゼ科ハゼ亜科イソハゼ属ボンボリイソハゼ Eviota ancora 22年1月13日 沖縄島崎本部〉

学名種小名は『フック状に曲がった、錨』の意。

和名は胸鰭前後に並ぶオレンジ斑と白色斑を雛飾りのぼんぼりに見立てたのだそうです。

明かりをつけましょ ぼんぼりに~♪

 

 

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