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Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

官位の色(アカエリサンゴガニ)

2018-06-25 19:14:10 | エビ・カニ類

梅雨明けと共に灼熱~な感じになってますやんばるです。

昨日まで強く吹いていたカーチバイ(夏至南風)も、今日は段段と弱まってきました。

明日以降、風向も風速も真夏な感じ。

もちろん気温も真夏日続きの予報で、さらに灼熱~な日々が続きそうです。

水温もグングン上がってます。

■■

『赤襟』という言葉からどんなイメージが浮かびます?

例えば夏目漱石の『坊ちゃん』とか? 登場人物に『赤シャツ』がいるじゃないですか。シャツが赤いのだからその襟も赤いはず、とか思ってみたり…。

まあそんな遠回りなイメージじゃなくても、『赤襟』という言葉には赤い襟というそのままの意味の他に別の意味があるのだとか。

それは年の若い芸妓、半玉のこと。京都なら舞妓さんのこと。

舞妓さんは着物に赤い半襟をかけるからなのだそう。そして芸妓へのお披露目のときに白襟に変えるのだとか。これを襟替えと称するのだそうです。

またこの赤襟のルーツを追いかけたりすると、『赤裏襟返し』という言葉に繋がったりします。

これは京都島原の芸妓の最高位にあたる太夫が、長襦袢の襟の一部を返して、襟裏の赤が見えるようにした着付けのことです。

島原太夫は、かつて天皇への謁見も許されていた大名並みの高い官位で、宮中では高貴な身分の女性にしか許されていない緋袴の着用も許されていた『正五位』を賜っていたのだだとか。

しかし太夫は袴を履きませんので、襟の裏に緋色を使い、裏返して見せて公式の装いに代えていたのだそう。

一説によると、それによって御所の門を通るときに位が分かるようにしたのだそうです。

『赤襟』は花街に繋がる言葉だと知ると、何だか艶やかな言葉に思えたりもします。

■■

さて…

〈サンゴガニ科サンゴガニ属アカエリサンゴガニ Trapezia guttata 18年5月22日 沖縄島安和〉

学名種小名は『斑点のある』の意。

歩脚に散在する赤褐色の斑点のことでしょうか。

甲の前縁の赤(赤襟)だけでなく、はさみ脚や歩脚の模様も綺麗なカニです。

 

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皮切り(ヤイトサラサエビ)

2018-04-20 19:26:00 | エビ・カニ類

気持ちいい青空、気持ちいい凪の海だった本日のやんばるです。

気温も夏日で陽光サンサンでした。

このまま暖かい日が続く予報です。

水温も順調に上昇中です。

風は東。晴天。

■■

物事のし始めや手始めのことを『皮切り』といいますよね。

例えば『○○を皮切りに××が始まる』とか。

アーティストの全国ツアーや、巡回美術展なんかでこんな表現を目にしますよね。

この『皮切り』の語源をご存じでしょうか?

実はこの語源、かなり”痛い”由来があるのです。

「皮切りは女に見せる顔でなし」

という川柳があるのだとか。これはお灸にまつわる川柳です。

最初のお灸は特に熱く、その苦痛から閻魔様のような恐ろしい形相になるのだそう。

この熱いお灸は、皮を切られているような痛みなのだとか。

で、そのときの表情を『皮切りの閻魔』と言ったのだそう。

そんなひどい顔は女性には見せられない、という意味を読んだのが前述の川柳。

そんな最初にすえるお灸のことを『皮切り』と言うようになり、それが転用されて現在使っているような意味になったのだそうです。

灸という字は『きゅう』あるいは『やいと』と読みますが、ご存じですよね?

念のためにざっくり紹介しておくと、三千年前の古代中国で発明されたとされる東洋医学の治療法。

日本には遣隋使や遣唐使によってもたらされたのだとか。

僕の幼少時代には、祖母が日常的にお灸をしてました。もちろん張るヤツじゃなくて、もぐさを直接皮膚にのせて火をつけるヤツ。

見ているほうが熱そうで、痛そうで…。

で、叱られるときに「やいとするぞ」って言われると、かなり怖かったです。

今どきの子供たちは、きっとこういう怒られ方はしていないのでしょうね…。

■■

さて…

〈サラサエビ科サラサエビ属ヤイトサラサエビ Rhynchocinetes conspiciocellus 18年3月12日 沖縄島安和〉

画像はまだ幼い個体。

第3腹節の背面にある暗褐色の斑点が、和名の由来。

『やいと』はされていますが、閻魔顔ではありませんね…。

 

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音楽的喜怒哀楽(オドリカクレエビ)

2018-04-10 18:04:43 | エビ・カニ類

昨日辺りからまた気温も上がり、本日は気持ちいい陽気になったやんばるです。

青い空、凪の海で、いうことなしの一日でした。

今週は何だか変わりやすい天気になるようですが、暖かい日は続きそうです。

風は南東~南。晴天。

■■

昔話の浦島太郎は、亀に連れられて竜宮城に着いたあと、鯛や比目魚の舞い踊りで歓待されますよね。

『舞』と『踊り』の違いって解ります?

何でも、メロディーに合わせた旋回運動を主としたものを『舞』というのだとか。

一方、リズムに合わせた跳躍運動を主としたものを『踊り』というのだそう。

本来は『舞』と『踊り』は厳然と区別されていたそうですが、最近はそうでもないみたいです。

『ダンス』の和訳として『舞踊』という言葉が使われるようになったのが、その原因だとか。

『踊り』は人間の喜怒哀楽を表すのに適した音楽的な動きなのだそうで、民衆から生まれたもののようです。

その起源は一説によると、『念仏踊り』なのだとか。

『念仏踊り』とは、念仏を唱えながら踊るという日本の伝統芸能で、こちらの起源は『雨乞いの踊り』なのだそう。

なるほど、喜怒哀楽に直結してそうな気がしますね。

また『盆踊り』は、この『念仏踊り』から派生したものなのだとか。

さらにはそこから、『阿波踊り』や当地の『エイサー』と繋がっていくのだそうです。

まさに〈民衆から生まれたもの〉という感じがしますね。

■■

さて…

〈テナガエビ科ホンカクレエビ属オドリカクレエビ Periclimenes magnificus 沖縄島安和グスク〉

画像は雌個体。

イソギンチャク類やナガレハナサンゴ等と共生するクリーナーシュリンプ。

学名種小名は『華麗な』の意。

外見からなのでしょうけど、雄よりも雌により相応しい学名ですね。雄には斑紋がほとんどありませんから。

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

和名のほうは、身体を左右に振って踊るようなしぐさをすることが由来。

実は喜怒哀楽を表現していたりして…とか思ってみたりも……。

 

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伽羅(ベニワモンヤドカリ)

2018-03-30 19:07:24 | エビ・カニ類

北からの風は少々強めですが、陽光が十分にパワフルでポッカポカな本日のやんばるです。

週間予報を見ると、この先一週間、最高気温・最低気温共にほとんど変わらず。

予報マークも晴れときどき曇がずらーっと並び…。

この状態の天気が続きそうです。

風は北東。概ね晴れ。

■■

『紅』

この漢字、何と読みました?

『こう』、それとも『べに』、それとも『くれない』ですか。

もちろんどの読み方も正しいわけですが、それぞれで意味が違ってきます。

『こう』は女性のこと。紅一点とかの紅ですね。

『べに』は色のこと。鮮明な赤色で、紅花の汁で染めた色。あるいは、その色の化粧品。

そして『くれない』と読めば、それは伽羅(きゃら)の一種を意味するのだとか。

伽羅?

伽羅とは良質の沈香(じんこう)のことで、非常に貴重なものなのだそう。ワシントン条約の稀少品目にも指定されているとか。

沈香?

沈香とは、香木の一種でジンチョウゲ科の常緑高木。あるいはそれからとった香料のこと。

つまり伽羅とは、最優品のお香のこと。

因みに、595年の4月に淡路島に漂着した香木が、日本に伝来した沈香の最古の記録なのだそう。漂着木片を火にくべると良い香りがしたので、その木を朝廷に献上したところ重宝されたのだとか。そういう伝説が、『日本書紀』に記されているそうです。

ときの天皇は推古天皇ですから、女帝もこの香りを愉しんだのかもしれません。

この伝説に因んで4月の、そして香の字を数字に分解した一、十、八、日で、毎年4月18日は『お香の日』なのだそうですよ。

久しぶりにお香を焚いてみたりしようかな…。

■■

さて…

〈ヤドカリ科ワモンヤドカリ属ベニワモンヤドカリ Ciliopagurus strigatus 18年2月23日 沖縄島安和〉

学名種小名は『あぜのある、みぞのある』の意。

歩脚とはさみ脚に纏っている赤褐色と黄橙色の輪状縞模様のことでしょうか。

和名もこの赤い輪模様からなのでしょうね。

 

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コスプレーヤー(コノハガニ)

2018-03-23 19:22:21 | エビ・カニ類

春分の日から寒~い日が続いてますやんばるです。

特に昨日は寒かった…。絵に描いたような寒の戻りでした。

まあ、寒いのは今日までで、明日からは寒さもやわらぎそう。

そして明後日からは春の陽気を気持ちよく感じられる日が続きそうです。

風は北西。晴れ。

■■

『そこら中に潜む 怪しげなひとつ

 当たり前に見える そこになんだか違和感が

 じっと見たら動いたんだ

 いつもとやっぱり違ってた にせ

 どこにでも潜む 怪しげなひとつ

 なんでもないように見える そこになんだか違和感が

 じっと見つめ気づいたんだ

 いつもとやっぱり違ってた にせ にせ

 本物の中に偽物が まぎれ込んで並ぶのさ

 見つかったなら走り出す なぜ』

これ、『にせ~擬態のテーマ~』という歌です。

最近この歌を知りまして、水中で擬態を見るたびに頭の中でリフレインするように…。

興味のある方はYouTubeで聴いて下さい。

ダイビングで擬態あるいはそれに類するものに出会わないことってまずないですから、最近の脳内ヘビロテ曲になってます。

■■

さて…

〈クモガニ科コノハガニ属コノハガニ Huenia heraldica 18年2月9日 沖縄島安和〉

額に海藻類をつけてカモフラージュする本種、画像の個体も隠蔽擬態中です。

本人的にはこんな感じになってるだろうということなのでしょうか↓

『なんでもないよに見える そこに何だか違和感が♪』

という感じです…。

■■

ところで…

こういうのを見るといつも思うことがあって、それは彼らがこの行為をどんな風に感じているのかなぁ…ってこと。

このカモフラージュが彼らの生存率を上げるのだとして、それを彼らは自覚しているのでしょうか。

それとも無自覚な行動なのでしょうか。

つまり、何となく額に海藻類をつけてみたくなる。その衝動を抑えきれなくてつけてみる。すると生存率が上がる。そしてそういう個体がよりたくさんの次世代を残し、〈海藻つけたくなる衝動〉がたくさんの個体に受け継がれ、さらにそれらが次の世代へとより拡がっていく…みたいな…。

そうするとこの行為は、生き残り戦略や防衛行動というより、〈コスプレ〉に近い行動なのではないか…とか思えたり…。

彼らにはDNAレベルで〈コスプレ嗜好〉が記述されているのかも…とか思えたりも。

 

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crypto-(イソギンチャクモドキカクレエビ)

2018-02-12 19:20:04 | エビ・カニ類

寒風きびし~本日のやんばるです。

日差しはタップリだったのに、それでも寒い…。

明日まではこの寒さが続きそうです。

風は強めの北西。晴れときどき曇。

■■

少し前に、多額の仮想通貨が流出したことがニュースになってました。

もちろん僕は仮想通貨の取引をしたことがありませんので、仮想通貨というものがどういうものなのかも詳細には知りません。この先もすぐに仮想通貨に関わることもなさそうなので、事件の詳しい内容も、その後の経過も正確に把握しているわけではありません。

ただ今回のニュースで一つ知ったことがあります。

それは、仮想通貨の英語。

仮想の通貨だから〈Virtual-currency〉だと思っていたら、〈Cryptocurrency〉という言葉があるのだとか。

たぶん最もメジャーな仮想通貨のビットコインの正式名称が、〈Cryptocurrency Bitcoin〉だったことから、〈Cryptocurrency〉という言葉が世界で普及したのだそう。

ところでこの〈Cryptocurrency〉は日本語にすると『暗号通貨』。

〈Crypto-〉は『隠れた・秘密の・暗号化された』という感じの意。〈currency〉は『通貨』の意。

僕らが『仮想通貨』だと思っているものは、世界的には『暗号通貨』なのだそう。

では何故日本では『仮想通貨』と呼ばれているかというと、マスメディアが一般の人にイメージしやすいとして用いているから。

おっとこれは『直下型地震』と同じ感じですね。

『直下型地震』という言葉も、地震学の学術用語にはありません。

この言葉もマスメディアによって広められ、イメージとして捉えやすいとして定着した言葉なのだそうです。

正式名称だと思っていたら通称だった、なんて言葉は意外と多いのかもしれませんね。

■■

さて…

〈テナガエビ科イソギンチャクモドキカクレエビ属イソギンチャクモドキカクレエビ Pliopontonia furtiva 18年1月8日 沖縄島新里〉

学名種小名は『秘密の・秘された・密やかな』の意。

自身を暗号化して、オオイソギンチャクモドキから流出しないようにしているのかも…、とか思ってみたり…。

 

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摩利支天の呪術(カゲロウカクレエビ)

2018-02-02 18:26:53 | エビ・カニ類

前半は心地よい日差しあり、後半はドンヨリときどきパラパラ…という感じだった本日のやんばるです。

まあ、晴れている間に潜ったので、エキジット後もポッカポカな感じで過ごせました。

週末は曇の予報ですが、今日みたいな晴れ間があるとぐっと快適になるのですが…。

風は北。晴れのち曇一時弱雨。

■■

仏教には摩利支天という守護神がいるのだとか。

呪術を使って自身の姿を隠して見えなくすることができ、自在の通力を有しているとされているのだそう。

このため、武士の間に摩利支天信仰があったのだとか。

楠木正成や毛利元就、山本勘助や前田利家なども、摩利支天を信仰していたそうです。

合戦で、姿を隠すことが出来る能力にあやかりたかったのでしょうか。

『春や夏の晴れた日に、地面が熱せられて空気密度が不均一になり、通過する光が不規則に屈折して、ゆらゆらと揺れて見える現象』

これは陽炎のこと。

前述の摩利支天は、実は陽炎を神格化したもの。

陽炎は実体がないので、捉えられず、焼けず、濡らせず、傷つかない。それが隠形という摩利支天の特性になったよう。

また陽炎は、糸遊ともいわれます。

その原義は、『晩秋の晴天の日にクモが糸を吐きながら空中を飛び、その光が屈折してゆらゆらと光って見える現象』のこと。

陽炎は、とらえどころがないもの、はかないものの例えとして用いられますが、さらにそこに美しさもプラスされたイメージが浮かんだりします。

■■

さて…

〈テナガエビ科カクレエビ亜科ホンカクレエビ属カゲロウカクレエビ Periclimenes galene 17年12月18日 沖縄島安和〉

透明な身体に、陽炎が立ちのぼっているような金や黒色の細い破線模様を纏っているところが和名の由来です。

模様だけに注目すると、僕的には陽炎というより糸遊というほうがより似合っているように思えたりもしますが…。

刺胞毒を持つハネガヤ類と共生し、さらにまるで摩利支天の呪術のように、その模様で姿を隠すように宿主に溶け込んでいます。

 

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大砲といえば…(ドドンシュリンプ)

2018-01-22 19:03:48 | エビ・カニ類

前線通過で前半は雨交じり、後半は晴れ間も…、という感じだった本日のやんばるです。

ただし風は前半の方が圧倒的に弱く、当然海況も凪でした。

後半少々風は強まりましたが、思っていたほどでもなく…。

強い冷え込みもなかった一日でした。

風は南東のち南西、のち北西。雨のち曇、のち晴れ間。

■■

門という言葉からは、どのくらいの大きさをイメージします?

門と言っても分類の界・門・綱・科・属・種の門ではなくて、お家の門のほう。

僕のイメージだと、結構立派なお家にしかない、大きな出入り口という感じだったのですが…。

何故門のイメージが気になったのかというと…

大砲は1門、2門という数え方をしますよね。あれ、門には、かろうじて通ることの出来る狭い口という意味があり、狭い筒の中から弾丸が飛び出すことから、門と数えるのだとか。

狭い感じと門、あるいは狭い感じと大砲という言葉、僕のなかではちょっとしっくりこなかったりするのですが、どうでしょう。

ところで大砲のことを調べているときに、明治時代に大砲万右エ門という横綱がいたということを知りました。大砲は『たいほう』ではなく『おおづつ』と読むのですが。

この横綱、身長が197cmもあったのだとか。明治時代の男性の平均身長は155cmだったそうですから、相当でかい人物ですよね。文字通りの大横綱…。

やっぱり大きな方が、大砲というイメージにあっているように思えたり。

で、何故大砲のことを調べたりしてのかというと…

大砲の音と言えば、どどん。『どどん 意味』で検索すると「砲、銃、太鼓の鳴る音を表す語」と出てきますから。

チャイムといえば『ピンポン』、電子レンジといえば『チン』というのと同じような感じでしょうか。

つまり大砲といえば『どどん』、最終的にこれがいいたかっただけです。

■■

さて…

〈テナガエビ科カクレエビ亜科Harpilius属 Harpilius sp. 17年12月7日 沖縄島安和〉

学名種小名、標準和名共にまだついていません。

通称は「ドドンシュリンプ」

ただし大砲の音とは何の関係もありません。

本種を見つけた人の名前が通称になっているのだそうです。

〈同種同個体 17年11月7日 沖縄島安和〉

〈同種同個体 17年11月7日 沖縄島安和〉

 

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invisible or visible ?(イソギンチャクモエビ)

2017-11-20 18:36:55 | エビ・カニ類

週が明けてもまだやや寒いやんばるです。

空も雲が多く、日差しが足りない感じ…。

今日からインターバルにポータブルストーブを使い始めました。

2~3日は陽光の少ない空模様が続きそうな予報ですね…。

風は北東。曇、ときどき晴れ、のち雨。

■■

『ある物質と電磁波との間に相互作用が起こらず、電磁波の吸収および散乱が生じないこと』

このことを、僕たちは『透明』といいます。

逆に言えば、ある物質が電磁波を吸収すれば、その物質は色づいて見えます。

その場合、物質は吸収した波長の補色に色づいて見えるのだそう。

例えば葉緑素に光が当たると、葉緑素は赤色の波長を吸収するため、その補色である緑色に見えるのだとか。

また電磁波を散乱した場合にも、物質は色づいて見えます。

湯気や霧が白く見えるのはこのためなのだとか。

ここまでに書いた〈電磁波〉や〈光〉とは、〈可視光線〉のことです。

光は、可視光線だけではありませんよね。

だから透明な窓ガラスも、それは可視光線に対して透明なだけで、もし私たちの目が〈紫外線〉を感知することができたなら、透明ではなくなるのだそう。

あるいは、私たちの目が〈X線〉を感知することができたなら、周囲の人が半透明に見えるのだそうですよ。

透明性を表す英語の形容詞に〈transparent〉という言葉がありますが、この語は〈trans〉と〈parere〉が組み合わされた語なのだとか。

〈trans〉は〈through(通す・通る)〉のこと。〈parere〉はラテン語の『現れる』の意味なのだそう。

つまり『対象を通過して、その向こう側に像や事象が立ち現れる』ということを意味しているのだとか。

なるほど、まさに透明だ…と思えたり…。

■■

さて…

〈モエビ科ヒメサンゴモエビ属イソギンチャクモエビ Thor amboinensis 17年10月10日 沖縄島安和〉

画像は幼体。

飴色を〈纏う前系〉の幼体で、白斑以外はかなり透明です。

この透明に近い部分は硬いのでしょうか。

とても柔らかそうに見えるのですが…。

もちろん、摘まんでみたりはしていないので、真相は分かりません。

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

向こう側のイソギンチャクが見えてますから、まさに〈transparent〉ですが、白斑があるので全てが透過しているわけではありませんね。

でも全体の形はとても認識しづらくなっていますから〈invisible〉って感じでしょうか。

色を纏わないことが、幼体の生き残りを助けているのかもしれません。

……が、僕は可視光線しか感知していません。

この透明部分、紫外線に対しても透明なのでしょうか。

何故なら、魚は紫外線の一部を感知していますから。まあ、全ての魚ではないようですが。

紫外線を感知できる魚には、この子はどんな風に見えているのでしょうか。

〈invisible〉なのでしょうか、それとも〈visible〉なのでしょうか。

どちらにしても、イソギンチャクから離れなければ問題ないのかもしれませんけど…。

 

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なまくら…(マダライシガニモドキ)

2017-11-10 19:05:31 | エビ・カニ類

タップリと陽光を浴びて、ハッキリとした雨にうたれた本日のやんばるです。

風は弱く、海はベタ凪でした。

立冬は過ぎましたけど、夏日が続いてます。

風は東~南東。曇、ときどき晴れ、一時雨。

■■

『塙凹内名刀之巻』

これ、『はなわへこないめいとうのまき』と読むのだそうです。

これは、現存する日本最古のアニメーション作品のタイトルです。

1917年(大正6年)に公開された短編アニメーション映画だそうですが、日本のアニメってそんなに古くからあったのですね。

昭和になってから生まれたものだとばかり思ってました。

この『塙凹内名刀之巻』は、そのストーリーから『なまくら刀』とも呼ばれています。

〈なまくら〉とは、切れ味の悪いこと。そのさまやその刃物のこと。

あるいは、力が弱いこと、意気地がないこと。そのさまやその人のこと。

さらには、腕前が未熟なこと。そのさまやその人、という意味も。

前述のアニメも、まさにこれらの意味がしっくりくる内容になってます。

〈なまくら〉は、漢字では〈鈍〉と書きます。

切れ味が鋭くない、すなわち切れ味が鈍い、ということなのでしょうね。

■■

さて…

〈ワタリガニ科イシガニ属マダライシガニモドキ Charybdis obtusifrons 17年9月25日 沖縄島安和〉

学名種小名は『鈍い額』の意。

本種の額は幅広で先が丸いそうですから、そのことなのでしょうね。

夜行性で昼間は岩の隙間などに隠れているそうですが、画像の個体はサンゴの狭間からこちらを窺っていました。

なかなかに、デイダイブで全身の姿をじっくり撮影することができない印象ですが…

〈17年9月21日 沖縄島安和〉

脱ぎ捨てた殻なら、じっくり撮影できたり…。

そしてこの殻が、なかなかにフォトジェニックに感じたりもするのですが…。

 

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セーフルーム(サンゴヤドリガニ)

2017-09-11 19:34:00 | エビ・カニ類

台風18号が発生しています。

予想進路によると、先島の南側を台湾に向けて足早に進んでいきそう。

本部半島は強風域に入るかなぁ…、今のところ微妙な感じに思えたり。

明日以降、沖縄島もうねりが高まっていく予報です。

取りあえず今日は、灼熱~で凪~なやんばるでした。

風は南東~南。晴れ。

■■

セーフルームという設備をご存じでしょうか。

セーフルーム(Safe room)とはパニックルーム(Panic room)とも呼ばれ、不法侵入者から身を守るために住宅に設置された避難部屋のこと。

大抵は、隠し部屋になっているのだそう。

欧米では酸素供給装置や電源・トイレを備えるものもあり、水や食料を貯蔵しておき、外部との連絡・通信手段も考えられているのだとか。

所謂シェルター的な役割もあるということでしょうか。

たぶんまだ日本の住宅では、こういう設備を有しているものはほとんどないのでしょうね。

もちろん我が家にもありません。

ただ自然災害が激しさを増し、危険な飛翔体が上空を通過するような昨今、日本の住宅にも必要なんだろうなぁ…とか考えてみたり。

そう、今日は9月11日ですから。

■■

さて…

〈サンゴヤドリガニ科サンゴヤドリガニ属サンゴヤドリガニ Hapalocarcinus marsupialis 17年8月8日 沖縄島新里〉

イシサンゴ類に瘤を作り(というか作らせ)、その中で生活する本種。

画像はトゲサンゴのセーフルームに溶け込むように宿る雌個体です。

トゲサンゴの枝は本来細い円柱状ですが、本種が定着するとサンゴの枝が横に薄く広がりだし、平行する枝とくっつき合うのだそう。

そして最終的には、画像のような立派な隠れ家が形づくられるのだとか。

どうやってサンゴをコントロールしているのでしょう。

まるで魔法のように思えたり…。

こういう隠れ家に住むのは雌だけで、隠れ家の中で雌が十分に成熟した頃、雄が訪れて交尾が行われ、雌はこの中で抱卵するようです。

■■

学名種小名は『有袋類』の意。

本種の腹部は袋状に大きく広がり、胸部下面まで及ぶのが形態上の特徴ですので、そのことからなのでしょうね。

そしてその〈袋〉を用いて抱卵するようです。

 

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立物…(ムシャカニダマシ)

2017-08-25 20:03:05 | エビ・カニ類

本日、台風14号が発生しました。

が、13号よりもさらに南側のコースを進む予報で、沖縄島には直接的な影響はなく、間接的な影響も…。

少しばかり空模様が不安定になるかな…という感じです。

というわけで本日も灼熱~なやんばるでした。

雨雲が見えているのに雨には出会えず…。

風は南東。晴れ。

■■

古より、人類の戦闘に置いて最も危険でなおかつ狙われやすい身体の部位は頭部でした。

そこで、その頭部を守る防具として『兜』が生み出されました。

その起源はハッキリしませんが、ギリシャ神話のなかでヘラクレスが、自身が倒した獅子の毛皮を防具として頭に被っていたそうなので、相当昔から『兜』のようなものは存在したのでしょうね。

日本でも古墳から発掘されているそうなので、古代からあったようです。

まあでも僕らが『兜』といって真っ先にイメージするのは、〈五月人形〉みたいな、中世以降のものではないでしょうか。

そんな日本の『兜』は、本体といえる頭部を守る〈鉢(はち)〉、後頭部や首筋を守る〈錣(しころ)〉、日よけ雨よけと共に額を守る〈眉庇(まびさし)〉、固定するための〈忍緒(しのびのお)〉などから構成されているのだとか。

特に中世以降の『兜』には、〈立物〉と呼ばれる装飾物が取り付けられるようになったのだそう。

〈五月人形〉にも必ずといっていいほど付いている、クワガタムシの大顎みたいな金色の飾り物です。

実際にあれは〈鍬形〉という名称なのだとか。いやクワガタムシの由来がこちらなのですが。

武士がその存在を誇示するために取り付けたそうですから、動物が威嚇のために行うディスプレーと同じような感じですね。

ただ外部から強い衝撃が加わったときには、それが壊れたり外れたりすることによって、衝撃がダイレクトに頭部に伝わらないようになっていたらしいので、実用的な役割もあったということでしょうか。

■■

さて…

〈カニダマシ科アカホシカニダマシ属ムシャカニダマシ Neopetrolishes spinatus 17年7月18日 沖縄島ホーシュー〉

その様相が甲冑を着用した武者を想像させることが、和名の由来なのだとか。

学名種小名は『棘のある』の意。

本種は眼上に棘を備えていることが特徴ですので、それのことなのでしょうね。

〈同種別個体 同日 同ポイント〉

同じイソギンチャクにペアでいました。

目の上あたりに〈立物〉を付けた鎧兜を纏う武者です。

この〈立物〉にも、何か実用的な役割があるのかな…。

 

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妖精の装い(イソバナガニ)

2017-08-21 19:38:24 | エビ・カニ類

台風13号が発生中ですが、沖縄島に接近することはなさそうです。

海にも今のところ影響は出ていません。

空模様は不安定ですが、それが涼しさを運んできて過ごしやすい感じに。

暑すぎない一日だった本日のやんばるです。

風は南東。晴れときどき弱雨。

■■

〈カモフラージュ〉あるいは〈カムフラージュ〉という言葉は、フランス語なのだそう。

その意味は、今更説明する必要はないかもしれませんが……

『敵の目をくらますために、軍艦・戦車・建造物・身体などに迷彩などを施すこと』なのだとか。

兵士の使用する迷彩服などは典型的なカモフラージュですが、色彩だけでなく実際の環境を身につけることもあるのだそう。

それはすなわち、現地の植物をくくりつけたネットを被せたりしたスーツを着用することで、このスーツは『ギリースーツ』と呼ばれているのだとか。

『ギリースーツ』の『ギリー』ですが、その語源はスコットランドの『ギリードゥ(Ghillie Dhu:暗い若者の意)』からきているのだそう。

それはスコットランドに伝わる妖精のことで、白樺の林や茂みに住み、木の葉や苔でできた服を着用していたと伝承されているのだとか。

■■

さて…

〈クモガニ科イソバナガニ属イソバナガニ Xenocarcinus depressus 17年7月13日 沖縄島ホーシュー〉

学名種小名は『扁圧した、凹んだ』の意。

本種の甲は扁平な円筒形なので、そのことでしょうか。

それとも額の先端が二つに分かれる(凹んでいる)のですが、そのことでしょうか。

■■

イソバナの枝間に住み、宿主に擬態した姿を持つ本種、でもそれだけではありません。

今までいろんな種の体色や体模様を〈纏う〉と比喩的に表現してきましたが、本種は文字通り〈纏う〉のです。

すなわち宿主のポリプを体に付けて擬装するのだとか。

環境を纏う、まるで『ギリースーツ』のよう。

あるいは妖精のような装いというべきでしょうか。

 

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相席で…(ウミシダヤドリエビ)

2017-03-03 19:48:53 | エビ・カニ類

数字的には平年を下回る寒さだった本日のやんばるです。

でも北寄りの風は弱まり、後半は日差しもタップリ。

体感的には心地よい一日でした。

風は北東。曇のち晴れ。

■■

片利共生という言葉をご存じでしょうか。

片利共生とは共生の一形態で、一方が共生によって利益を得るけれど、もう一方にはその共生によって利害が生じないこと。

因みに共生とは、複数種の生物が相互関係を持ちながら同所的に生活する現象のこと。

つまり異種の生物が一緒に暮らしているときに、片方は得をして、もう片方は損も得もしていないように見える関係。

■■

この子たちの関係もそのようです。

〈テナガエビ科カクレエビ亜科ホンカクレエビ属ウミシダヤドリエビ Periclimenes commensalis 17年1月30日 沖縄島安和〉

片利共生は、英語で〈commensalism〉

これは〈commensal〉という単語に由来する言葉なのだとか。

〈commensal〉は『食事仲間・食物の共有』という意。

そしてその〈commensal〉は、ラテン語の〈commensa〉に由来するのだそう。

これは、『テーブルを共有するもの』の意。

というわけで、学名種小名もこの辺りの意味になるのでしょう。

つまり、「相席お願いします」ってことですか。

■■

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

ウミシダは、羽根で採取したプランクトンを腕や羽根の中心にある食溝を通して口盤に運ぶ食餌方法なのだそう。

本種はその途中でプランクトンを横取りして食べてしまうのだとか。

相席の上につまみ食いまで…という感じですか。

片利共生には3種類あるそうで、本種は着生型片利共生。

すなわち、別の生物を住処として生活するタイプの片利共生。

本種も宿主と同じような色彩を纏い、隠れ場所としての利益も得ているわけです。

居候して、勝手に食卓に着き、つまみ食いまでしてしまう……

そう考えると、とても大胆なヤツですね。

 

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南の守護神(スザクサラサエビ)

2016-12-23 19:36:57 | エビ・カニ類

北風がビュービュー…な本日のやんばるです。

日差しはタップリだったのですが、それでも寒い~。

明日はもう少し寒くなるのだそう…。

まあ、クリスマスっぽくっていいのかもしれませんけど。

風は北西。晴れ。

〈サラサエビ科サラサエビ属スザクサラサエビ Rhynchocinetes durbanensis 16年11月11日 沖縄島安和グスク〉

西暦794年から1869年まで、日本の首都は平安京でした。

泣くよ(794)ウグイス平安京…、なんてつぶやいて覚えましたよね。

現在の京都府京都市であるこの都市は、〈四神相応〉の都市でした。

〈四神相応〉とは、大地の四方の方角を司る「四神」の存在に最もふさわしいと、伝統的に信じられてきた地勢や地相のことだそう。

つまり平安京は四つの方角のそれぞれを、伝説上の神獣に守られている場所に建設された計画都市なのです。

その神獣とは…

東を司る青龍、西を司る白虎、北を司る玄武、そして南を司る朱雀。

そう、本種の和名にくっついている朱雀(すざく)。

朱雀は鳥の形で表される神獣。

でもまあ、本種は鳥のような形にはまったく見えませんから、形からの名前ではないでしょう。

朱雀の朱は赤。五行説での南方を表す色で、朱雀のパーソナルカラー。

本種の赤い模様を朱雀に見立てたのでしょうか。

『シュイロサラサエビ』や『アカサラサエビ』とかじゃないところが、格好いいなぁ…とか思えたり。

一方…

本種の学名種小名はダーバンという都市。タイプ産地ですね。

ダーバンがある国は、南アフリカ共和国。

あっ、南だ……。

微妙~に朱雀と繋がってるなぁ…とか思えたりも…。

 

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