Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

傲慢さのシンボル(テングヘビギンポ・テングカワハギ)

2017-09-29 19:42:12 | 水中生物

気持ちのいい青空だった本日のやんばるです。

風は北寄りの乾いた風。

日中の気温は真夏日まで上がりましたけど、この風のおかげで心地よい一日でした。

秋を感じたり…。

風は北~北東。晴天。

■■

〈天狗〉という妖怪というか伝説上の生物というか…、の起源は中国の火球にあることは以前に書きました。

でも僕らが〈天狗〉といわれてパッと浮かぶイメージは、赤い顔に高い鼻ですよね。

これは〈鼻高天狗〉という天狗なのだそうで、密教が日本に伝わった後に、山岳信仰がらみで生まれたのだとか。

山伏みたいな格好をしてますしね。

あの高い鼻は傲慢さを表しているのだそうで、現世において知識だけを追い求めて精神的な修行を怠った者が〈天狗〉に変化してしまうのだそうです。そして〈天狗道〉といういわゆる〈外道〉へと墜ちてしまうのだそうですよ。

まあ、これらは仏教的概念ですね。

しかし傲慢さのシンボルが、何故『高い鼻』なのでしょうね。

飛び出た目とか尖った耳とかではなくて…。

知識って、目や耳からインプットするじゃないですか。

だから知識ばかりに固執する者の特徴なら、目や耳に大きく現れてもよさそうに思えたりするのですが。

〈伎楽面〉という鎌倉時代初期まで行われていた仮面音楽劇では、〈鼻高天狗〉に似た面が用いられていたのだそう。

これは古代西方世界人、つまり昔の外国人(白人)がモデルで、赤い顔や高い鼻という特徴もそこからだったのだとか。

大昔に日本人が出会った外国人はかなり傲慢な印象だったのでしょうか…。

■■

さて…

〈ヘビギンポ科クロマスク属テングヘビギンポ Helocogramma rhinoceros 17年8月14日 沖縄島安和〉

学名種小名は『サイ(犀)』の意。

一目で納得ですよね…。

〈カワハギ科テングカワハギ属テングカワハギ Oxymonacanthus longirostris 17年8月22日 新里〉

学名種小名は『長い嘴の』の意。

こちらも特徴そのままですね。

そしてそう、どちらの〈天狗〉も突き出ているのは鼻ではなく口(吻)…。

というか、〈テング〉のつく魚のほとんどがそうじゃないでしょうか。

でも違和感を感じるかといわれれば、全然感じてなかったり。

どうしてでしょう。

この感覚、ちょっと不思議に思えたり…。

 

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水中で引く(ツマジロオコゼ)

2017-09-25 18:50:05 | ハオコゼ科

空模様は曇ベースだった本日のやんばるです。

前半は雲の合間から鋭い日差し、後半はムシムシときどき雨…という感じでした。

台風の後カクンっと下がった水温もすっかり戻り、湾内のポイントでさえ綺麗な透明度。

陸上は真夏日で、いい感じのコンディションが続いてます。

風は南西。曇ときどき晴れ、のちときどき雨。

■■

その昔、小野妹子が隋から帰国した際、同行した答礼使が持参した貢ぎ物には、紅白の麻紐が結ばれていたのだとか。

そこから、宮廷への献上品には紅白の麻紐で結ぶ習慣が生まれたのだそう。

その後、室町時代後期に現代のような和紙をこより状にして糊で固めたもの、つまり和紙でできた紐のようなものになったのだとか。

様々な結び方があり、色やその組み合わせにもそれぞれの意味がありますから、間違わないように注意しないと…。

『水引』のことですよ。

『水引』は、祝儀や不祝儀の際に贈答品や封筒につけられる飾り紐のこと。

『水引』という名称は、まだそれが麻紐だった頃、着色水に浸して引きながら染めたことに由来しているのだとか。

その着色技法が名前になったということですね。

■■

さて…

〈ハオコゼ科ツマジロオコゼ属ツマジロオコゼ Ablabys taenianotus 17年8月14日 沖縄島安和〉

画像は幼魚。

学名種小名は、『紐の背・リボンの背』の意。

紐のような背あるいはリボンのような背、ということでしょうか。

まあ、どちらにしても特徴的な背鰭のことなのでしょうね。

背中に紐をつけた本種。といっても水引のように結ばれてはいませんが。

背にリボンを配したということなら、バックリボンのコーデですから、オシャンティな子なのかも…。

 

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魂を逃がさないために…(アカスジウミタケハゼ)

2017-09-22 18:27:26 | ハゼ科

痛いくらいに強い日差し、と思っていたらあっという間に強雨、そしてまた鋭い日差し…。

そんなメリハリの激しい空模様だった本日のやんばるです。

海は穏やか~な凪の一日でした。

明日は秋分の日ですね。

昼の時間と夜の時間が等しくなる日。

でも実際には、まだ昼の方が少し長いのだそうですよ。

昼と夜の長さが逆転するのは、約1週間後なのだとか。

日中の暑さも、まだまだ続きそうです。

風は南~南西。晴れときどき雨。

■■

・室傍核のオキシトシン神経から『これ』の指令シグナルは発せられている。

・『これ』は、発生学的に古い行動だと考えられている。

・いくつかの文化においては、人前で『これ』をするのは無礼なことだと考えられている。

『これ』とは、『あくび』のことです。

『あくび』の生物学的意義は…

・肺での酸素‐二酸化炭素交換を高める。

・顔面のストレッチ。

・内耳の圧力を外気と調整する。

・脳の温度を調節する働きがある。

とまあいろいろな仮説が提案されていますが、現時点では未解明なのだそう。

古代ギリシャでは、『あくび』は人間の魂が天へ逃げようとしているときに起こるのだと信じられていたのだとか。

だから『あくび』のときに、魂を逃がさないために口に手をあてるのだそう。

当地では驚いたときに〈マブイ(魂)〉を落とすと言われていますが、ギリシャでは『あくび』でなのですね。

魂のためにもマナー的にも、『あくび』のときには口に手をあてないと…とか思ったり……。

■■

さて…

〈ハゼ科ハゼ亜科ウミショウブハゼ属アカスジウミタケハゼ Pleurosicya micheli 17年8月14日 沖縄島安和〉

口にあてる手のないこの子は、大丈夫なのでしょうか…。

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

しばらく観察してましたが、大丈夫そうでした…。

 

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神の枕詞(チハヤニセツノヒラムシ)

2017-09-19 19:45:00 | 水中生物

台風18号の影響も消え、雲のない青空になった本日のやんばるです。

朝晩は涼しく秋めいてきましたけど、日中はまだ色の濃い夏という感じ…。

こんな感じの日が、当分続きそうです。

風は弱~い南。晴れ。

■■

『ちはやふる 神代も聞かず 竜田川 からくれないに 水くくるとは』

百人一首の一句。在原業平の句です。

『竜田川が(紅葉で)こんなに美しい紅色に染まることを、ちはやふる神々の時代でさえも聞いたことがない』

という感じの意味なのだとか。

といってもこの在原業平という人物は、当代きってのプレーボーイとして有名な男性なのだそう。

だからこの句も、今は人妻になっているモトカノに、「まだ熱烈に好きだ」という気持ちをほのめかしているものなのだとか。

和歌ってホントこのパターンが多いように思えたり…。

ところで神の前に〈ちはやふる〉という言葉がありますよね。

これは、『激しい勢いで、素早く振る舞う』という意味で、神を修飾する枕詞なのだとか。

まあ、神ってる様子を表す言葉って感じですかね…。

〈ちはや(千早)〉だけだと、神事の際に主に女性が着用した衣装のことなのだそう。

神に憑依され神のように振る舞うために、つまり『ちはやふる』ために纏った衣装ということなのでしょうか。

神事を行う、例えば卑弥呼のような女性が、神のお告げを荒々しい口調で叫んでいるようなイメージが浮かんだり…。

■■

さて…

〈ニセツノヒラムシ科ニセツノヒラムシ属チハヤニセツノヒラムシ Pseudoceros imperatus 17年8月8日 沖縄島新里〉

画像はまだ幼い個体。

学名種小名は『管理する・統制する』の意。

何となくこれも神に繋がる言葉のように思えたりも…。

 

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取り替え…(シロブチハタ)

2017-09-15 19:30:01 | ハタ科

ず~と18号の強風域から抜け出せない状態が続いてます沖縄島です。

夕方の台風情報によると、時速6キロだとか。

ジョギングで追い抜けますね…。

明後日まで強風域に入ったままになりそうな予報です。

長いなぁ……。

風は南。概ね曇。

■■

今年のイグ・ノーベル賞が14日に発表されました。

イグ・ノーベル賞とは、『人を笑わせ、そして考えさせてくれる研究』に与えられる賞です。

ノーベル賞のパロディですが、もちろんその研究内容は大真面目。

まあ、だからこそ笑ってしまうのですが…。

今年の生物学賞を受賞したのは日本人の研究チームで、〈トリカヘチャタテ〉の交尾に関する研究での受賞です。

チャタテムシの仲間であるこの虫は、なんと雌が〈ペニス〉のような生殖器官を持ち、それを使って交尾をするのだとか。

研究者はこの虫の生態を詳しく観察し、実際に雌雄の交尾器官が逆転して機能することを解明したのだそう。

『交尾するトリカヘチャタテ』で画像検索すると、その様子が確認できます。

まさに究極の〈肉食系女子〉…。

交尾時間は40~70時間だそうで、その間この体長約3ミリの虫の交尾をず~と観察していたのでしょうか。

その情熱がすごいと思えたり…。

和名の『トリカヘチャタテ』の『トリカヘ』は、男女の入れ替わりを描いた平安時代の古典『とりかへばや物語』から獲ったのだそうで、このセンスもいいなぁと思えたりも…。

■■

さて…

〈ハタ科ハタ亜科マハタ属シロブチハタ Epinephelus maculatus 17年8月8日 沖縄島新里〉

画像は幼魚。

ハタ科の多くが隣接的雌雄同体魚、すなわち性転換する魚です。

本種も雌性先熟(雌として成熟し、のちに雄に性転換)する魚なのだそう。

前述の〈トリカヘチャタテ〉ほどのインパクトはないかもしれませんが、こちらは自身のなかで性別を取り替えることのできる魚です。

哺乳類は性染色体によって性が決定されますが、性転換する魚たちは、その性染色体を持たないのだそうです。

■■

名前のほうは…

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

学名種小名は『斑点のある』の意。

体側に密に分布する眼形大の黒色円形斑の模様からでしょうか。

和名の『シロブチ』は漢字にすると『白縁』なのだそう。

黒色円形斑が網目状に白く縁取られているところからなのだとか。

幼魚のときほどよく目立つ白斑のこと、つまり『白い斑(ぶち)』からかと思っていたのですけど…。

 

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セーフルーム(サンゴヤドリガニ)

2017-09-11 19:34:00 | エビ・カニ類

台風18号が発生しています。

予想進路によると、先島の南側を台湾に向けて足早に進んでいきそう。

本部半島は強風域に入るかなぁ…、今のところ微妙な感じに思えたり。

明日以降、沖縄島もうねりが高まっていく予報です。

取りあえず今日は、灼熱~で凪~なやんばるでした。

風は南東~南。晴れ。

■■

セーフルームという設備をご存じでしょうか。

セーフルーム(Safe room)とはパニックルーム(Panic room)とも呼ばれ、不法侵入者から身を守るために住宅に設置された避難部屋のこと。

大抵は、隠し部屋になっているのだそう。

欧米では酸素供給装置や電源・トイレを備えるものもあり、水や食料を貯蔵しておき、外部との連絡・通信手段も考えられているのだとか。

所謂シェルター的な役割もあるということでしょうか。

たぶんまだ日本の住宅では、こういう設備を有しているものはほとんどないのでしょうね。

もちろん我が家にもありません。

ただ自然災害が激しさを増し、危険な飛翔体が上空を通過するような昨今、日本の住宅にも必要なんだろうなぁ…とか考えてみたり。

そう、今日は9月11日ですから。

■■

さて…

〈サンゴヤドリガニ科サンゴヤドリガニ属サンゴヤドリガニ Hapalocarcinus marsupialis 17年8月8日 沖縄島新里〉

イシサンゴ類に瘤を作り(というか作らせ)、その中で生活する本種。

画像はトゲサンゴのセーフルームに溶け込むように宿る雌個体です。

トゲサンゴの枝は本来細い円柱状ですが、本種が定着するとサンゴの枝が横に薄く広がりだし、平行する枝とくっつき合うのだそう。

そして最終的には、画像のような立派な隠れ家が形づくられるのだとか。

どうやってサンゴをコントロールしているのでしょう。

まるで魔法のように思えたり…。

こういう隠れ家に住むのは雌だけで、隠れ家の中で雌が十分に成熟した頃、雄が訪れて交尾が行われ、雌はこの中で抱卵するようです。

■■

学名種小名は『有袋類』の意。

本種の腹部は袋状に大きく広がり、胸部下面まで及ぶのが形態上の特徴ですので、そのことからなのでしょうね。

そしてその〈袋〉を用いて抱卵するようです。

 

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スイッチを失い歩きだす…(イッポンテグリ)

2017-09-08 19:23:05 | ネズッポ科

暑い…、ムシムシした暑さだった本日のやんばるです。

天気図を見る限り沖縄島は秋雨前線の南側、つまり暖気のエリアにありますので、まあ当然なのですが…。

その前線の南下で明日は雨交じりの予報。

で、少し涼しくなると天気予報では言ってましたけど、今日よりもムシムシ感が増すだけじゃないかなぁ…。

風は南西のち西。晴れ。

■■

ヒトに近い類人猿とヒトを比べたとき、その違い、すなわちヒトらしさとはなんでしょう。

もちろん違いはいくつもあるでしょうが、ヒトとしての特徴的かつ重要な違いの一つに直立二足歩行をあげることができるのではないでしょうか。

ゲノムの解析によると、他の哺乳類にあってヒトでは失われたDNA配列が500カ所以上見つかったのだとか。

その中から調べられた3つの配列は、遺伝子を調節するスイッチとして機能していたものなのだそう。

つまりその配列を失うということは、スイッチを失うということです。

失われたスイッチの一つは、足の指の発達に関与する遺伝子をオンにするスイッチだったのだとか。

そのためヒトの足の第2指から第5指までは、類人猿に比べると短いのだそう。

しかしそれこそが、直立二足歩行に向いた形なのだそう。

ヒトはスイッチを失うことで、2本の足で歩きだしました。

ヒトとしての特徴は、DNAを失うことによって獲得されたということです。

進化というものに対するイメージが、少し違ったものになったように感じたり…。

■■

さて…

〈ネズッポ科イッポンテグリ属イッポンテグリ Dactylopus dactylopus 17年8月8日 沖縄島新里〉

中成魚くらいのステージ。

腹鰭の棘と第1軟条が付着し、1本の指のように他の軟条から遊離していることが本種の特徴。

もちろん和名の由来はそこからです。

学名種小名は『足の指』の意。

たぶん同じような由来なのでしょうか。

 

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スクラッチ…(クロマスク属の1種)

2017-09-04 19:18:07 | ヘビギンポ科

見上げると半分はドンヨリ、残りの半分は明るい青…という感じの空模様だった本日のやんばるです。

まあでもはっきりとした雨に出会うことはなく、明るい青からの日差しで暑い一日に。

風は弱く、海は快適な凪でした。

風は緩やかな南東。晴れたり曇ったり。

■■

スクラッチという言葉から何をイメージしますか?

宝くじ(今ならウルトラマンスクラッチ)でしょうか。

それともDJのターンテーブルスキルでしょうか。

あるいは小学生の親世代ならば、教育用のプログラミング言語かも。

さらにはスクラッチ画と呼ばれる絵画の技法とかも…。

スクラッチ(scrtch)は英語で、『かすり傷、ひっかき傷、そしてひっかく行為とその擬音』を意味するのだとか。

この言葉から僕が真っ先にイメージしたのはスクラッチ画……ですが、正確にはそれに類似したもの。

小学生時代に図画工作でやった〈クレヨンスクラッチ〉というヤツです。

やったことありますか?

まず画用紙にクレヨンで適当な面積で何色もの色を塗ります。そしてその上から全面に黒を塗り重ねます。その後でそこにクギで線画を描いていくという感じの手順です。

実は子供時代、このクレヨンスクラッチが大好きだったんですよね。なんというんでしょうか、ほぼ毎回自分の予想とかけ離れた絵ができあがるところが。

『クレヨンスクラッチ』で検索すると、ものすごく綺麗な絵がいっぱい出てくるのですが、どうやったらあんなのが作れるのかなぁ…。

■■

さて…

〈ヘビギンポ科クロマスク属の1種 Helcogramma sp. 17年7月25日 沖縄島安和〉

画像は幼魚。

当地ではどこでもいつでも出会える本種ですが、名前(学名も和名も)はまだついていません。

頭部に明瞭な黒点が散在している特徴から、〈頭テンテン〉と呼ばれています。

この黒点は幼魚ステージが一番明瞭なのだとか。

学名属名は『傷またはひっかく+絵』の意。

つまりスクラッチ画ですよね。

というわけで、僕は勝手に〈スクラッチ〉あるいは〈スクラッチ・ワン〉と呼んでいます。

 

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番狐…(キツネウオ)

2017-09-01 19:46:46 | イトヨリダイ科

朝晩がだんだんと涼しくなってきてるこの頃、少し秋を感じたり。

風も北寄りが続いてます。

もっとも沖縄島周辺は、相変わらず高気圧の張り出しが強く、台風が近づかない状態も続いてます。

陽光は少しも衰えることなく強烈で、日中はもちろんまだまだ真夏なやんばるです。

風は北~北西。晴天。

■■

・巻き上がった尻尾や垂れ耳。

・ぶちの入った毛皮。

・丸みを帯び鼻面が尖っていないという幼い顔の特徴を成体でも維持していること。

・繁殖が季節にあまり縛られないこと。

これはイヌの特徴です。

まあ、イヌはあまりにも多様な犬種があるので、その全てには当てはまらないでしょうけど。

この特徴は〈家畜化症候群〉と呼ばれる形質で、従順な個体を選抜して育種した副産物なのだとか。

もちろんオオカミを家畜化したわけです。

この家畜化を再現する実験を、約60年かけて行ってきたロシアの研究者がいるのだそう。

その実験ではオオカミではなく、同じイヌ科のキツネが用いられました。

その結果…

わずか6世代目の子ギツネに、尻尾を振り、クンクンと甘えるように鳴き、イヌのように人をなめ、名前を呼ぶと顔を上げるものまで現れたのだとか。

さらに15世代目のキツネは、家の外の物音に対して、番犬と同じ吠え声で吠えたのだそう。

現代この実験は58世代目で、見かけも行動もイヌそっくりなのだとか。

番犬ならぬ番狐という感じかな。

イヌとキツネの種の距離は、思っていたよりもずっと近いのだと感じたり。

■■

さて…

〈イトヨリダイ科キツネウオ属キツネウオ Pentapodus caninus 17年7月25日 沖縄島安和〉

画像は幼魚。

学名種小名は『イヌ』の意。

そして和名は『キツネ』。

なんだかイヌとキツネの近しい距離感を表している名前のように思えたり…。

 

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