Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

玉頭(フタスジタマガシラ)

2022-10-25 20:12:11 | イトヨリダイ科

北寄りの風がなかなかに強い日が続いているやんばるです。

エキジット直後にその風に吹かれて、寒さを感じる季節に……。

と言っても日差しはまだまだ鋭いので、すぐに心地良くなりますけど。

明後日以降から週末にかけても夏日が続きそうな予報になっています。

風は北~北東。概ね晴れ。

■■

『天に二日なく、地に二王なし』

「天に二つの太陽がないように、一国に二人の君主があってはならない」という意味だとか。

儒教の経典の一つに孔子の言葉として載っているのだそう。

ところで将棋の駒の大将格には、『王将』と『玉将』がありますよね。でも、もともとは『玉将』しかなかったのだとか。興福寺から出土した最古の将棋駒も『玉将』のみだったのだそう。

それが時代と共にいつの間にか『王将』も使うようになったのだとか。今は『王将』と『玉将』を一枚づつ使いますが、それは前述の言葉に基づいているのだそうです。

『玉(ぎょく・たま)』といえば丸い球体のことですが、それ以外にもいろいろなものを指すことがあるようで……

例えば神社の御霊代や宝石のことだったり。あるいは寿司屋では卵焼きの口語表現として使われたり、幕末の薩摩・長州藩士は天皇を意味する隠語として使用したりしたのだとか。

さらには『美しい』を意味する接頭辞であったりもするのだそう。

『玉手箱』

もちろんこれは浦島太郎が乙姫から受け取るお土産的な小箱。

手箱とは手回りの小道具や化粧道具を入れておく箱。玉手箱とは『美しい手箱』という意味になるのだとか。

話を将棋に戻して、将棋では次の自分の手番で勝利が確定することを『王手』と言いますよね。相手の大将格の駒が『王将』でも『玉将』でも『王手』と言います。

じつは『玉手』というと『美しい手』という全然違う意味の言葉になってしまうので、『王手』と言うのだそうです。

■■

さて、玉といえば……

〈イトヨリダイ科ヨコシマタマガシラ属フタスジタマガシラ Solopsis bilineata 22年9月22日 沖縄島安和〉

画像は幼魚。

学名種小名は『二つの線条のある』の意。

和名を漢字にすると『二条玉頭・二筋玉頭』で、成魚の体側には二本の筋模様があります。

二本筋のあるタマガシラ(イトヨリダイ科タマガシラ属)というわけですが、タマガシラの玉頭は神奈川県江ノ島周辺の呼び名らしく、意味は不明なのだそう。

単純に考えると、『美しい頭』という意味なのでしょうか……。

ただタマガシラは頭だけじゃなく鰭も身体もきれいなんですけど……。

 

 

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white spot(ハクテンハタ)

2022-10-18 10:57:56 | ハタ科

昨日の午後から断続的に強雨が……、夜には北寄りの風が強まり……、本日は11月並の気温……。

というややコンディションハードな一日になったやんばるです。

まあ、明日からはまた気温が上昇し、週の後半には晴れ空の夏日になりそうですけど。

日差しぶりにガッツリ雨に降られた感じで、それはそれで新鮮でしたけど、やっぱり晴れ空の方がいいですから……。

風は強めの北~北東。雨のち曇。

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『白点』

鋼材に生じる破壊の原因となる欠陥のこと。破面に白斑を生じることからこの名前があるのだとか。

あるいは……

胡粉や白墨で加点した訓点のこと。

胡粉? 白墨? 訓点? って感じになりました? 僕はなりました。

胡粉とは、東洋画に用いられる白色顔料の一種。貝殻を焼いて粉末にしたものだそうで、ようは日本画の絵具。

白墨とは、高温度で粉末にした焼石膏を棒状に固めたもの。ようは黒板に字を書くのに使うチョークのことです。ところで今も学校では黒板とかチョークって使われているのでしょうか?

訓点とは、漢文訓読のために原漢文に記入した文字や符号の総称。句読点、返り点、送り仮名、振り仮名なんかですね。

なんでも漢文訓読は飛鳥時代からあったそうで、仏教伝来と共に漢文の読解が必要になったということなのでしょうか。

現在型の学校教育における漢文訓読法は、明治の末年に確立されたのだそう。それまでは地域によって異なるスタイルの漢文訓読が行われていたのだとか。

というか、今も学校で漢文訓読ってやっているのでしょうか?

僕は遙か昔にやった記憶がうっすらと残っていますが、今はたぶん読めないだろうなぁ……。

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で、白点といえば……

〈ハタ科マハタ属ハクテンハタ Epinephelus coeruleopunctatus 22年9月12日 沖縄島安和〉

画像は幼魚~中成魚って感じでしょうか。

学名種小名は『青い(黒ずんだ)斑点のある』の意。

和名と斑点の色が違うのですが……。

 

 

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寝たふり(タヌキオハグロベラ)

2022-10-11 20:04:15 | ベラ科

青空もちらほら見えるけど基本曇り空……。北寄りの風がなかなかに強く肌寒い感じだった本日のやんばるです。

明日以降も曇ベースのよう。さらに週の後半は雨交じりの空模様になりそうです。

南の海上には熱帯低気圧。さらにもう一つ熱帯低気圧になりそうなやつも……。

後者は沖縄島に近づくかもしれません。

風は北~北東。概ね曇。

■■

『狐七化け狸は八化け』

狐は七つのものに化けることが出来るが、狸は八つのものに化けることが出来る。

つまりは上には上がいるという意味のことわざなのだとか。

ところで日本ではどうして昔から狐と狸が化けるものとされているのでしょう。

その由来は中国の神話からなのだそう。

中国の古代神話には『狐狸(こり)』という神獣(神の使い)が登場するのだそうですが、この神獣が時代の途中から人を騙す妖怪に変化したのだとか。

この狐狸が飛鳥時代に仏教と共に日本に伝わり、狐と狸という二つの化かす存在に別れたのだそう。

そしてそれぞれの字がきつねとたぬきに当てはめられ、日本各地に拡がったのだそうです。

狸という漢字は中国から伝わったものですが、『たぬき』という言葉はもともと日本にあったもの。

その語源は『たまぬき(魂が抜けた状態)』からなのだとか。つまりたぬきは寝たふり(死んだふり)をすることからなのだそう。

タヌキは臆病な動物で、驚いたときは倒れて一時的に気を失い、眠ったようになります。この習性からということですね。

まさに狸寝入りするからタヌキということですね……。

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さてタヌキといえば……

〈ベラ科カンムリベラ亜科オハグロベラ属タヌキオハグロベラ Pteragogus turdus 22年9月8日 沖縄島安和〉

画像は幼魚。

学名種小名は『ツグミのような』の意。

頭部の白線模様が鳥類のツグミに似ていることに因んでいます。

 

 

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鞍掛(クラカケウツボ)

2022-10-04 20:05:37 | ウツボ科

気持ちのいい空模様、心地いい風、凪の海……。

って前回も書きましたけど、つまりそんなコンディションが続いてるやんばるです。

明日以降少し北風が強まりそうですが、気温の推移を見る限り、寒気の影響は沖縄島にはなさそうな感じです。

週の半ばに一時的に崩れそうですが、その後はまた気持ちのいい秋晴れが続きそうな予報になってます。

風は北東のち南東。概ね晴れ。

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『鞍』

人が馬に騎乗する際に用いる馬具の一種。

紀元前7~4世紀には原型が生まれたとされていて、3~7世紀頃の古墳時代に中国から日本へ伝来したのだとか。

鞍の字が示すとおり、近代以降の鞍は圧倒的に皮製が多いのだそう。

ただ日本の近代以前では、木製の鞍が存在したのだとか。

何故日本において鞍が木製であったのかというと、戦場においての必要性から。

鞍の前後の高くなっている部分を前輪(まえわ)、後輪(しずわ)と呼ぶのだそうですが、馬上組み討ちの際にこの前輪に相手の首を押さえつけて絞め殺すという戦い方があったのだそう。

『鎌倉殿の……』にも登場していた巴御前は、『平家物語』のなかで敵の首を前輪に押さえつけてねじ切るという描写があるのだとか。

これはさすがに誇張された描写ですが、鞍が馬具であると同時に武具でもあったことは確かなよう。

まあ、女武将としての巴御前は史実的に疑問があるそうですが……。

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さて鞍といえば……

〈ウツボ科ウツボ属クラカケウツボ Gymnothorax rueppellii 22年9月8日 沖縄島安和〉

学名種小名は『リュッペル氏の』の意。

ドイツの博物学者、エドゥアルト・ジモン・リュッペルに因んでいます。

魚の名前で『クラカケ』とつけば、それは鞍状斑のこと。

つまり一方の体側から背中を越えてもう一方の体側に繋がる模様があるということ。

ただくらかけ(鞍掛)という言葉を検索すると、それは鞍を掛けておく四脚の台のこと。あるいは踏み台や腰掛けを意味する言葉。

魚類用語の『クラカケ』と普通名詞の『鞍掛』は違うみたいです……。

 

 

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