Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

朝は福、夜は盗人(クモガニ)

2021-09-28 19:48:59 | エビ・カニ類

わずかにうねりが入ってるかな…、いや気のせいかな…、って感じだった本日のやんばるです。

AFNのウェザーフォーキャストでは西海岸はコーションになってましたけど、少なくとも半島南側はそんな感じは見受けられませんでした。

予報によると明日の後半から明後日の前半にかけてうねりが強まりそうなのですが…。

空模様は陽光サンサンな日が続いてます。

風は北東。晴れ。

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『朝蜘蛛は殺すな、夜蜘蛛は殺せ』

あるいは、『朝の蜘蛛は福が来る。夜の蜘蛛は盗人が来る』

とかいう迷信というか言い伝えがあるのだとか。

詰まるところは、朝の蜘蛛は縁起が良いけど、夜の蜘蛛は縁起が悪いということのよう。

その由来は色々とあるようで、例えば蜘蛛は晴天の日にしか巣を張らないのだそうで、『朝蜘蛛=晴天=縁起が良い』という発想だったり。

蜘蛛はお釈迦様の使いといわれていて、縁起の善し悪しを図る象徴という認識からだったり。

さらには陰陽論からだったりとかも…。

日本書紀にも蜘蛛によって吉凶を図るエピソードがあるそうで、昔から日本人はそういう兆しを蜘蛛から見いだしていたのかもしれません。まあ、それほど蜘蛛は身近な虫だということでしょうか。

近年では姿や印象から蜘蛛を嫌う人が増えているのだとか。それで『不快害虫』にカテゴライズされてしまうこともあるのだそう。

しかし蜘蛛は紛れもない『益虫』です。いわゆる衛生害虫(ハエ、蚊、ダニ、ゴキブリなど)を捕食してくれます。

我が家でも時々ハエトリグモを見かけたりします。見れば見るほど可愛い蜘蛛です。

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この子はクモではなくカニなのですが…

〈クモガニ科クモガニ属クモガニ Oncinopus aranea 21年8月19日 沖縄島安和〉

学名種小名は『クモ』の意。

この画像を撮影したのは朝だったから、縁起の良い兆しかも…。

 

 

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Mutualism(アカシマシラヒゲエビ)

2021-09-21 19:25:31 | エビ・カニ類

台風14号の影響が消えてから凪の海が続いているやんばるです。

日中は鋭い日差しの真夏日続き。今日は午後の遅くにザッと一雨降ったりして、まだ真夏感たっぷりの日々です。

さすがに朝晩はそれなりにヒンヤリするようになってますけど…。

明日は前線通過で真夏日にはわずかに届かないようですが、その後はまた真夏日続きになりそうな週間予報です。

風は南東~南西。晴れ一時雨。

■■

影響し合う2種の生物の種間関係は、捕食・被食関係と競争関係が主流だと以前はされていたのだとか。

いわゆる弱肉強食的な関係ですね。

しかしその後理解が進むにつれ、寄生を含む共生も普遍的な現象であり、生態系を形成する基本的で重要な種間関係の一つであることが認識されてきたのだそう。

水中世界で言うなら、クマノミとイソギンチャクの関係や、サンゴと褐虫藻の関係、あるいはソメンヤドカリやキンチャクガニとイソギンチャクの関係などがよく知られていますね。

共生はざっくり4つのタイプがあり、双方が利益を得る場合は『相利共生』、片方のみが利益を得る場合は『片利共生』、片方のみが害を被る場合は『片害共生』、片方のみが利益を得て片方のみが害を被る場合は『寄生』と呼ばれるのだとか。

ところがこれらのタイプの間には明確な境界がなく、同じ生物の組み合わせなのに時間的に利害関係が変化したり、環境の影響を受けて関係が変化したりすることもあり、単純にこの4タイプにあてはめることは難しいのだそう。

どこか人間関係にも似てるなぁ…、とか思えたりも…。

■■

さて、こちらの共生は…

〈モエビ科ヒゲナガモエビ属アカシマシラヒゲエビ Lysmata amboinensis 21年8月19日 沖縄島安和〉

学名種小名は『アンボン島の』の意。

タイプ産地であるモルッカ諸島アンボン島に因んでいます。

岩穴に住み、魚の体表を這って食べかすや寄生虫を食するクリーナーシュリンプ。

魚もこの子も利益を得ていますから、相利共生(Mutualism)ですね。

本種の特徴的な体色と白く長い触角を振り回す動作が、クリーナとしての標識の役割をしていると考えられています。

 

 

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禁色(ウルマカエルアンコウ)

2021-09-14 20:27:56 | カエルアンコウ科

台風14号は遠ざかったところで停滞ぎみになり、まだその余韻がたっぷりと残っているやんばるです。

空模様もすっきりとしない感じです。明日もまだこんな感じが続きそう…。

週末までには空も海も良好な感じになるでしょうけど。

風はやや強めの南西。晴れたり曇ったり、一時雨だったり。

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『ふかきくれない』『こきくれない』『こきべに』

これらは漢字にすると全て同じ『深紅』になります。

もちろん普通はこの漢字は『しんく』と読みますね。

字を見て分かるとおり、『深紅』は赤系統の色。平安時代は貴族の着物の色として扱われていたのだとか。

『深紅』は紅花で染め上げる色なのだそうですが、1回の染色では桜色くらいにしか染まらないのだそうで、『深紅』に染め上げるためには12回以上染色しなければならなかったのだとか。

当然『深紅』に染め上げるためには大量の紅花が必要になり、平安時代には『深紅』の着物は贅沢品で貴族の特権と考えられていたのだそう。

そこで『禁色(きんじき)』とされ、身分の低い者は着用を許されない色であったのだそうです。

海外でも『深紅』は古くから王家や貴族に愛用されてきた色なのだとか。

もちろん染色が大変な贅沢品であったこともありますが、『深紅』が権威や崇高さのシンボルとして捉えられていたということもあるのだそうです。

神戸市を舞台にした稲垣足穂の短編『星を造る人』には、中心人物として稀代の魔術師が深紅のマスクつけて登場したりします。

このマスクの色に『深紅』が選ばれているのも、前述のシンボルに繋がるような意味があるのかもしれませんね…。

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深紅といえば…

〈カエルアンコウ科カエルアンコウ属ウルマカエルアンコウ Antennarius coccineus 21年7月12日 沖縄島安和〉

画像はまだ幼い個体。

学名種小名は『紅色の、深紅色の』の意。

学名を見る限り、タイプ標本は高貴な深紅色を纏っていたのでしょうね…。

 

 

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透明な頭飾り?(スミツキイソハゼ)

2021-09-06 20:07:28 | ハゼ科

9月に入ってから8月よりも真夏っぽい毎日になっているように思えるやんばるです。

真夏の季節風、真夏の鋭すぎる陽光、そして夏凪のコンディションが続いています。

ただ南の海上には昨日台風13号が、そして今日14号が発生しました。

今のところの進路予想では、13号の影響はなさそう。

14号は今後の進路しだいでは沖縄島にも影響が出るかもしれません…。

風はゆるい南西~南。晴れ。

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『頭飾り』

と聞いてどんなものをイメージします?

言葉の意味を調べてみると、「髪飾りのこと。髪の乱れを防ぎ、頭髪を飾るもの」という意味だとか。

つまり『頭飾り』と『髪飾り』はほぼ同じものを指すよう。

『頭飾り』を画像検索してみると、花の髪飾りや王冠やティアラのようなもの、あるいはカーニバルに使うようなものや、さらにはネイティブアメリカンの羽根冠のようなものまで…。

これを見ると、いわゆる髪飾りよりももう少し大がかりに装飾するものといったイメージなのかもしれません。

ネイティブアメリカンの羽根冠は『ウォーボンネット』という名称なのだそうで、非常に栄誉ある地位の男性が身につける冠なのだとか。

戦場の他、儀式のときにも着用され、民族の精神的・政治的に非常に重要なアイテムとされているのだそう。

この羽根冠には『レガリア』の意味があるのだとか。

『レガリア』とは、王権などを象徴し、それを持つことによって正当な王や君主であると認めさせる象徴となる物品なのだそう。

『レガリア(regalia)』はラテン語のregalisの複数形で、『王の物』を意味するのだとか。

日本にも『レガリア』はあって、それは『三種の神器』ですね。

そう考えると『ウォーボンネット』はものすごい権威の象徴に思えたり…。

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さて、そんな頭飾りですが…

〈ハゼ科ハゼ亜科イソハゼ属 スミツキイソハゼ Eviota infulata 21年6月29日 沖縄島新里〉

学名種小名は『頭飾りで飾られた』の意。

どこがどのように飾られているのか、僕にはよく解りません。

頭飾りのような形態でもないし、そのような模様があるとも思えませんし…。

透明な頭飾り? としか思えないのですが…。

 

 

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