Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

荒風(シマアラシウツボ)

2021-03-02 18:32:10 | ウツボ科

目まぐるしくというほどではないですが、速いテンポで風が変化しているこの頃です。

今日は特に一日を通して風が変化していった感じのやんばるです。

空模様もすっきりと晴れてはくれませんでした。

すっかり春になっていた気がしていたのですが、少しだけ足踏みした感じ…。

今日明日はひんやり、それ以降はまた暖かな感じで推移しそうな予報になっています。

風は西のち北西のち北。曇時々弱雨。

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タイトルの『荒風』は、昨年末に活動を休止した国民的アイドルグループの名前の語源です。

元々は山から吹き下ろしてくる風のことをこう呼んだのだそう。

万葉集では『山風』、『下風』、『山下』の漢字が当てられていたりもするのだとか。

全て『あらし』と読みます。そう、『嵐』のことです。

形容詞である『荒し』が名詞化したとも考えられているのだそうでうすが、『し』は『風』を意味し『荒い風』の意とするのが一般的なのだとか。

『し』は『風』の古語で、他の語と組み合わせて用いられるのだそうで、例えば『旋風(つむじ)』などにも見られます。

『嵐』は自然現象・気象の一つとして捉えると、強い雨を伴う暴風のことを指します。

しかし『嵐』は正式な気象学の用語ではないのだとか。地震学用語で言うところの『直下型地震』みたいなものですね…。

また文学的表現の『嵐の前の静けさ』も、気象学的には正しくはないのだそう。

実際の嵐は、襲来する前に辺りが一時静まりかえるということはなく、いくつもの予兆があり徐々に風雨が強くなっていくのが一般的なのだそうですよ。

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さて…

〈ウツボ科ウツボ亜科アラシウツボ属シマアラシウツボ Echidna polyzona 21年1月15日 沖縄島安和〉

学名種小名は『多数の帯の』の意。

和名を漢字表記にすると『縞嵐鱓』ですが、どの辺りが嵐なのでしょうか?

ちなみに画像の個体は下顎にパラサイトたちが…。

アクセサリーみたいに並んでいたり…。

 

 

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ネアカ(ネアカミノウミウシ)

2021-02-23 20:11:17 | ウミウシ

風と陽光のバランスが心地良かった本日のやんばるです。

今週は暖かな日が続きそう。

水温もボトムは過ぎたような気がしたり…。

南風の比率も増えているような気もしたり…。

春が着実に近づいている感じ。

あちらこちらの路上にサトウキビが落ちてるこの頃です。

風は北東。晴れたり曇ったり。

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少し前から『陽キャ・陰キャ』って言葉をよく目にするようになりました。YouTubeなんかで。

陽気なキャラクターを『陽キャ』、陰気なキャラクターを『陰キャ』と言うのだそうですが、元々は1990年代後半から2000年代半ば頃に、近畿地方の学校で一部の生徒が使用していた言葉なのだとか。

いわゆるスクールカーストに関する言葉なのだそうで、中学生の学校生活を描く某ドラマでも取り上げられたことがあるのだとか。

ですがこの言葉は全国区にはならず、2010年代に入る頃には死語になっていたのだそう。それが2016年頃からネットスラングとして再び使用されるようになったのだとか。そして全国区の言葉になったよう。言葉ってこんな風に流行ったり廃れたり、いつの間にか意味が変化したり…、とかして面白いですね。

『陽キャ・陰キャ』と同じような表現として、『ネアカ・ネクラ』という言葉が以前からありました。

どちらの言葉で表現するかで、世代が別れてしまいそうですね…。

『ネアカ・ネクラ』という言葉は、ずっと以前からある言葉なのだろうと思っていたら、そうではありませんでした。

この言葉は漫画家のいしかわじゅんによる造語で、1970年代後半から森田一義、つまりタモリさんが流行らせた言葉なのだそう。

意外と、というか全然最近生まれた感じですよね。僕の方が先に生まれてますから…。

『ネアカ・ネクラ』の意味なんですが、ネアカは根っからの明るい人。ネクラは根が暗い人。これって、対義語として微妙におかしくないでしょうか。

『ネアカ・ネクラ』が対義関係なら、根が明るい人と根が暗い人、になるのでは…とか思えたり。

実はタモリさんも本来はこういう意味で使ったのだとか。つまり見た目や立ち居振る舞いが暗く見えても根が明るい人間はいる、という意味。またはその逆の人間もいる、という意味で。

この言葉も少し意味合いが変化しているように思えたり…。

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さて…

〈ヨツスジミノウミウシ科ハクセンミノウミウシ属ネアカミノウミウシ Cratena sp. 21年1月15日 沖縄島安和〉

背側突起の中腸腺が透けて見え、その根元が赤い本種。

つまり本種のネアカは、根が赤いという根赤の方ですね。

ただの赤の語源は明るいの明(アカ)ですから、全くかけ離れていると言うわけでもないような…。

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

この個体は卵を背負っていました。

どうやら寄生者の卵のよう。

ネアカミノウミウシの背側突起は、先細った先端が刺胞嚢。

戦略としては的確なのではないでしょうか。

 

 

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鬱金(ウコンハネガイ)

2021-02-16 18:48:36 | 水中生物

北寄りの風は冷たく、最高気温も20℃を下回った本日のやんばるです。

ですが風速は弱くたっぷりの陽光ありで、数字以上に暖かく感じた一日でした。

明日、明後日とさらに冷え込みそうですが、週末にはまた暖かな日が戻りそうです。

と言うか、今年の冬は暖かな日が多いような…。

水中は、エントリーした瞬間からザトウクジラの鳴音が聞こえてくるこの頃です。

風は北東のち北西。晴れ。

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『鬱金』

何と読むでしょう?

ショウガ科クルクマ属の多年草で、ヒンディー語では『ハルディ』、インドネシア語では『クニッツ』、ハワイ語では『オレナ』として知られる植物。

英語では『ターメリック』、そして当地では『うっちん』と呼ばれています。

もうお分かりでしょうけど、『ウコン』のことです。

インドの伝統医学『アーユルヴェーダ』やインド料理に使われ、根茎に含まれるクルクミンは黄色い染料の原料として用いられてきたのだとか。前述の『鬱金』の原義は、『鮮やかな黄色』なのだそう。

ウコンは世界中に53種あるのだそうですが、日本で主に栽培されているのは『紫ウコン』、『春ウコン』、『秋ウコン』の三種なのだとか。

紫ウコンは精油成分の豊富な希少品種。春ウコンは食用には不向きですが、健康食品などに使われているのだそう。そして秋ウコンは衣服の染料に使われたり、食用にも適しているのだそう。カレー粉やたくあんの着色料の原料として使用されているのだそうです。

ウコンにはたくさんの効能があることが知られていて、その成分は1000種類以上あることが分かっているのだとか。

当地では居酒屋のメニューに『うっちん茶』が普通に記載されてますけど、これは沖縄だけでしょうか。

『うっちん』は、琉球王朝時代には厳しい管理のもと、専売制度が敷かれたほど珍重されていたのだそうですよ。

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さて…

〈ミノガイ科ハネガイ属ウコンハネガイ Ctenoides ales 21年1月15日 沖縄島安和〉

学名種小名は『翼のある』の意。

和名のウコンはどこからでしょう?

鮮やかな黄色…ではありませんよね。貝殻は黄白色ですけど…。

秋ウコンの根茎は橙色なのだそうですが…。

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

本種は外套膜に光を反射する細胞を持ち、外部からの光で輝いているように見えるという特徴を持っています。

この特徴から、別名『イナズマガイ』とも呼ばれています。

 

 

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寂と錆(サビウツボ)

2021-02-09 19:02:56 | ウツボ科

一日中ドンヨリ曇りな予報だったのですが、けっこう陽光を浴びられた本日のやんばるです。

ちょっと日焼けしたかも…。

明日の夕刻からは雨交じりになりそう。そして明後日はどストライクで沖縄島を前線が通過するようで、陸も海も荒れ模様になりそうです。

まあでも、週末にはまた陽光が戻ってくる予報になってますけど。

風は北~北東。晴れたり曇ったり。

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『閑寂さのなかに、奥深いものや豊かなものがおのずと感じられる美しさ』

これは寂のこと。日本の美意識の一つである『わび・さび(侘・寂)』の寂です。

本来は時間的経過によって劣化した様子を意味しているのだとか。それが転じて人がいなくなって静かな状態を『寂れる』と表すようにもなったのだそう。

侘が心の不足を表すのに対し、それが外部にまで滲み出てくることを、寂と表すのだとか。

それが何故美意識なのかというと、貧粗・不足のなかに心の充足を見いだそうという意識が、人の世の儚さ、無情であることを美しいと感じる美意識なのだということのよう。

悟りの概念に近い思想なのだそうで、悟りにはほど遠い僕にはまあぼんやりとしか分かりません…。

同じ音で『錆』という言葉がありますね。

金属表面の不安定な原子が、酸素や水分などと反応して生成される腐食物のこと。

錆もまた時間の経過によって劣化することで現れますよね。つまり金属表面に現れる『寂』に『錆』という漢字が当てられたのだとか。

この二つの言葉は共通の起源を持つ『同根語』なのだそうです。

そう考えると錆びたものも美しく感じたり…、とはなりませんが…。

なにせ何でもかんでも油断するといつの間にか錆びている、という場所に棲んでいますから…。

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さて…

〈ウツボ科ウツボ亜科ウツボ属サビウツボ Gymnothorax thyrsoideus 20年12月24日 沖縄島安和〉

画像はペア。つまりサビとサビ…。

学名種小名は『テュルソスの様な形の』の意。

テュルソスとは酒神の杖のこと。ローマ神話ならバッカス、ギリシャ神話ならディオニューソスの杖ですね。

和名は錆を帯びたような色、すなわち錆色に因んでいます。

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

イチャイチャしてました…。

 

 

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脱ぎ捨てられた薄衣(ウツセミミノウミウシ)

2021-02-02 20:42:16 | ウミウシ

前線通過で雨交じりだった本日のやんばるです。

通過後は気持ちいい青空に…。でも風はひんやり…。

明日も少しひんやりな日になりそうですが、それ以降週末にかけはまた暖かな日が続きそうです。

今日は節分でしたね。2月2日が節分になるのは124年ぶりなのだとか。と言うことは次に2月2日が節分になるのは2145年ですか…。

とか思っていたら、次は2025年なのだそう。つまり4年後ですね。しかも当分は4年おきに2月2日になるのだとか。

暦は難しいな…。

風は南西のち北西~北。曇のち雨のち晴れ。

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『空蝉の身をかえてける木のもとになほ人柄のなつかしきかな』

源氏物語第三帖の『空蝉』で、光源氏が空蝉という通称の女性に送った歌。

光源氏が本格的にプレーボーイとして始動した17歳の夏に、最初にアタックした(夜這いした)女性です。

でもそれを察知した空蝉は薄衣一枚を脱ぎ捨てて逃げ去り、光源氏はあえなく初戦敗退って感じになってしまいます。

もっともその場にいた別の女性と、ちゃっかり一夜を共にしたりしてますが…。

空蝉が残した薄衣を持ち帰った光源氏は、それを空蝉(蝉の抜け殻)に見立てた歌を空蝉に送ります。それが前述の歌。

『蝉の抜け殻のように脱ぎ捨てられたあなたの衣を抱きしめて、私はあなたの容姿や身分、立場にではなく、あなたの中身、人柄に魅力を感じたのだなあと、あらためて思っています』

って感じの歌。ただしこれは僕の超訳ですので、そのまま信用しないでくださいね…。

この歌にもあるとおり、空蝉は小柄で美貌というわけでもなく地味な女性ですが、品の良い女性として描かれています。このキャラクターのモデルは作者自身、つまり紫式部だと言われているのだとか。

ところで空蝉は人妻、だからこの恋は今で言うところの不倫ですね。そして空蝉にふられた夜に光源氏が一夜を共にしたのは空蝉の継娘…。

平安の恋はどろどろしてますねぇ…。そこが面白いんですけど。

源氏物語は全巻読みました。といっても漫画の『あさきゆめみし』の方ですけど…。

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さて…

〈ヨツスジミノウミウシ科トモエミノウミウシ属ウツセミミノウミウシ Favorinus mirabilis 20年12月24日 沖縄島安和〉

学名種小名は『驚くべき、驚異の』の意。

背側突起は透明で中腸腺が透けて見え、中腸腺の色は餌に由来するのだとか。

餌による微妙なカラーバリエーションが豊富なウミウシです。

空蝉が脱ぎ捨てた薄衣も、こんな綺麗な感じだったのでしょうか…。

 

 

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