ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

性的マイノリティの成人式

2013年01月23日 | その他

 先ほどNHKの某番組で、成人式を取り上げていました。

 少し遅すぎはしませんかと思いましたが、それはゲイやレズビアン、性同一性障害の者など、性的マイノリティばかりが集う成人式でした。
 体は男性だけど心は女性の者が振袖を着てきたり、その逆の者はスーツや紋付袴で現われたり。
 彼ら彼女らは、一様に誇らしげで、楽しそうでした。

 おそらくは、幼少の頃、物心ついた時から世間の常識に違和感を持ち、差別や偏見にさらされ、親や家族からも理解されずに過ごしてきたであろう20年間を吹き飛ばすような、晴れやかな笑顔でした。

 人間というもの、少数派を差別するのが本能であるかのごとくに感じられます。
 心ならずも少数派に生まれついてしまった人々の心中を思う時、人間であること、わけても私自身が少なくと性的には多数派の異性愛者であることに、恥ずかしさすら感じました。

 わが国は伝統的にトランス・ジェンダーということに寛容というか、むしろ積極的にそれらの存在を自然の一部として受け入れ、歌謡や芝居などではそれらの存在をごく当たり前の者として描いてきました。

 それは国際的にみて、奇跡のような大らかさで、わが国が誇って良い文化であると思います。

 例えば今がまさに絶頂期のAKB48の歌を見ると、ほとんどが、少女たちのグループでありながら、「僕」という男性一人称の少年の目線で歌われています。
 そのようなことは、Kポップにしても、欧米の若い女性歌手にしても、まず見られない倒錯した詞です。

 これはおそらく、宝塚や歌舞伎などの性別を超えた芸能と連なるもので、現代の若者の心性にも、それら性をやすやすと乗り越えるわが国の伝統文化が息づいているために受け入れられたのだろうと推測します。

 わが国がトランス・ジェンダーに最も差別的だったのは、明治維新以降、急速に近代化を押し進め、時代の必然として帝国主義的政策を取らざるを得ず、軍国化していった頃だろうと思います。
 戦後も、急速な経済発展を求めるがゆえに男は外で働き女は家庭を守るみたいな、いびつな性差による役割分担を国家が求めたため、それは続いたように思います。

 わが国の伝統文化に反する、恥ずべき時代だったと言わざるを得ません。

 しかしやっと、欧米中心の価値観が、わが国の伝統文化である、トランス・ジェンダーに寛容なそれに追いついてきたように思います。
 わが国もまた、世界の価値観の変容に伴って、遅まきながらトランス・ジェンダーに寛容な風潮に回帰してきたようです。

 それは誠に喜ばしいことです。

 私は高校生時代、何度もゲイと思しきおじさんから痴漢に会いました。
 それは今思い出しても気色の悪い経験でしたが、当時同性愛やバイ・セクシャルの文学や芸術に憧れていた私にとって、自分がどこまでいっても異性愛者だと思い知らされる、屈辱的な経験でもありました。

 そういった痴漢を除いて、高校生の頃、一度だけ、二つ下の後輩男子から口づけされたことがあります。

 あれは今になってみると不思議な感覚でした。
 痴漢に会うのとは違って、嫌悪感はなく、むしろ甘美なものだったと思います。
 後輩がどういうつもりでそういう挙に出たのか、知るよしもありません。
 高校卒業以来会った事もありません。
 彼が今どうしているのかも知りません。

 私はその後異性愛者として性欲の赴くままに行動し、若い頃には常軌を逸した行動に出たこともあります。

 そして今は、精神障害の後遺症か、男性機能を失いました。

 そんな私にとって、あの後輩の思い切った行動は、その後のあまたの女性たちとの狂気じみた交渉よりも、少年時代の甘い記憶として、鮮烈に残っているのです。

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済みました

2013年01月23日 | その他

 今日の休暇最大の理由、障害者自立支援法の継続申請と車の定期点検が済みました。

 千葉市の区役所はわが家から徒歩7分の好立地。
 区役所職員の応対は昔に比較してずいぶん良くなりました。
 昔、役人の態度はひどかったですからねぇ。

 そういう私も木っ端役人の端くれ。
 ただ私の場合、文部科学省所管の国立大学や国立研究所を転々としているので、一般人を相手にすることはありません。
 相手にするのは同業者と、研究者。
 区役所職員はやくざだろうが認知症気味の高齢者だろうが平等に接しなければならず、その苦労がしのばれます。

  ディーラーまでは車で5分ほど。
  駅前に住むと大抵の施設が近くにあって極めて快適です。

  車の定期点検は、車購入の際半年に一度無料で点検してもらうオプションを選んだものですが、今回初めて不具合が見付かりました。
 不具合といっても、タイヤに釘が刺さっていたというもの。
 釘が抜けなかったために空気がほとんど漏れず、パンクに気付かなかったようです。
 こういうことがあると、きちんと点検をすることの必要性を痛感します。
 パンク修理代だけ実費で約1,500円。
 痛い出費というほどではありません。

 ただ、今の車は購入して5年が過ぎ、走行距離も45,000キロを越えたため、営業マンはそろそろ次の車をと、色々勧めてきて面倒です。
 同じディーラーで購入し続けてもう3台目なので、次もそこで購入するものと決めてかかっているようです。

 でも今私が興味があるのはレクサスの250。
 排気量のわりにボディが小さく、タイヤが太いのが魅力です。
 でも高いんでしょうねぇ。
 私は4台続けて日産車に乗っていますが、今日産車で欲しいと思う車はありません。

 消費税が8%に上がる前には本格的に検討しなければなりませんね。

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マンク~破戒僧~

2013年01月23日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 今日は休暇を取りました。
 障害者自立支援法の継続申請を行うためと、車の定期点検のためです。

 朝一番で、悪を描いた文芸大作「マンク~破戒僧~」を鑑賞しました。

 

 160年もの長きに渡ってフランスで発禁処分を受けていたといういわくつきの暗黒文学が原作になっています。

 17世紀スペイン、マドリード。
 赤子の時にカトリック修道院の前に捨てられたアンブロシオは、町中の人に尊敬される優秀な神父に成長しました。
 すべての欲を絶ち、規律を重んじて粛々と日々を送るアンブロシオですが、出生の謎と、ひどい頭痛に密かに悩まされています。 

 ある日、傷ついた顔を隠すために仮面をかぶっているという見習い修道士がやってきます。
 “彼"は、なぜかアンブロシオの頭痛を和らげる力を持っていました。
 しかしその正体は、彼に近づく為に修道士に扮した魔性の女だったのです。
 その美しい女の誘惑にかかり、アンブロシオは戒律を破ってしまいます。
 破戒僧となった彼は、欲望を抑えることが出来なくなり、魔性の女の意のままに、黒魔術に手を染め、聖なる教会を黒ミサで汚し、強姦、窃盗、殺人とあらゆる悪徳に身を沈めていくのです。

 女色に目覚めた彼は、熱心に修道院に通ってくる町の中流家庭の美少女に懸想します。
 じつは彼は商人の娘と大貴族の子息の間に生まれた子で、幼少のみぎり、大貴族の命により使用人に殺害されていたはずでした。
 しかし使用人は赤ん坊を不憫に思い、修道院の玄関に捨てるのです。
 その肩には大きなあざがあります。

 魔性の女に不思議な花をもらい、その花の匂いがかがせればどんな女も落ちる、とささやかれます。

 情欲の虜となった彼は、密かに美少女の家を訪れ、姦通。
 それを見つけた美少女の母親を刺殺してしまいます。
 まさに死のうとする瞬間、母親は彼の肩に刻まれたあざをみて、死んだはずの長男だと確信します。
 彼は信者との姦通だけでなく、知らず知らずのうちに近親相姦の罪をも背負ってしまったのです。

 仮面をかぶって修道院に入り込んだ魔性の女こそが、悪魔の化身と見てよいでしょう。
 しかしその正体、目的ははっきりせず、強いて言えばアンブロシオを悪の道に引きずり込むこととしか思えません。


 ここら辺の入り組んだ因果を伴う演出は、悪を描かせれば世界一の舞台芸術である歌舞伎と相通ずるところがあります。

 それにしても中世のキリスト教圏というのは不思議な点が多々あります。
 人間が作り出したに過ぎない悪魔という概念に怯え、常に悪魔との戦いの準備をしています。

 わが国を始めとするアジア諸国では、ついに絶対悪という概念を持つに到りませんでした。
 善悪は相対的なものであり、簡単に互いが置換するという感覚は、日本人なら子どもでも自然に身につけます。

 まして女色が悪というのはおかしいですね。
 人類が生き残るためには絶対に必要なことですから。

 キリスト教原理主義者は生殖のための性交しか認めておらず、従って子が出来るはずのない同性愛や肛姦を禁じるばかりか、コンドームをつけての性交も禁じているとか。

 肉の穴に肉の棒を差し込む程度のことで大騒ぎするのは滑稽でさえあります。

 古来わが国では性に大らかで、異性愛も同性愛も粋な遊びとされてきました。
 その伝統は今に引き継がれ、性は楽しむものであって禁忌するものではありません。

 性に大らかな国、時代に生まれて良かったと、心の底から思います。

マンク 破戒僧 [DVD]
ヴァンサン・カッセル,デボラ・フランソワ,セルジ・ロペス,ジェラルディン・チャップリン,ジョセフィーヌ・ジャピ
角川書店

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