今日、私が今担当している仕事を補佐してくれていた非正規雇用の女性職員が退職します。
私の前任者が有り得ないミスを連発し、それを彼女の落ち度だと強弁して彼女は激しく反発し、前任者と彼女の関係性は修復不可能なまでに悪化してしまいました。
研究教育職員達からは前任者への不信から事務体制の立て直しを求められ、見かねた管理職が昨年10月に担当替えを決め、私が担当することになり、今日にいたります。
その後は彼女の表情も穏やかになり、生き生きと働いてくれるようになりましたが、過去のいざこざに嫌気が差し、早い段階から就職活動をしていたようです。
私との関係性は良好で、豊富な経験から様々なアドヴァイスをしてくれていただけに、残念でなりません。
言わば私の知恵袋でした。
前任者とは口も聞かないような状況でしたので、彼女の豊富な経験を活かせるようになっただけでも、担当替えは成功だったと言えます。
今、非正規雇用と正規雇用の所得格差が社会問題になっていますね。
一説によると、正規雇用の生涯賃金は2億円を超えるが、一生非正規雇用で働き続けた場合、その生涯賃金は7千万円程度だとか。
3分の1ちかい格差です。
これでは結婚してマイホームを買って子どもを育てて、なんていうことは夢のまた夢です。
私の職場でも、小泉構造改革以来、非正規雇用が激増しました。
正規雇用の退職者が出たら、その穴埋めを非正規雇用に切り替えるというのが主な方法です。
当然、正規雇用の採用は激減。
賃金が安いのでコスト・カットにはなりますが、5年連続して雇ったら本人が希望すれば正規雇用として雇わなければならないという法律があるため、概ね3年で非正規雇用者は解雇されます。
雇用する時からそういう条件を付けているため、承知で入ったということになり、立場が弱い非正規雇用者は文句が言えません。
派遣職員というのはかつては通訳など特殊な職種にのみ認められていましたが、今は単純労働や一般事務も認められます。
派遣職員は成績が悪ければすぐに派遣会社に連絡が行き、別の者に交代させられます。
自由で公正な競争が行われ、結果として努力した者や才能ある者が報われる社会を目指したはずの小泉構造改革。
しかし小泉元総理は、重大なことに気付いていなかったのか、あるいは気付かぬふりを決めこみました。
すなわち、社会は圧倒的多数の怠け者で才能もない凡人で成り立っているということ。
かくいう私も怠け者の凡人です。
怠け者の凡人でも、無難に仕事をこなせばそこそこの給料がもらえ、将来に展望が開ける社会がよろしかろうと、凡人の私は考えます。
それを社会の基礎として、その上で才能ある人や意欲のある人が競争すれば良いのです。
そんな競争に参加したくなくても、まともに暮らせるようにしなければなりません。
私はバブルの終わり頃、公務員試験を受けて正規雇用の木っ端役人になりました。
当時友人たちは何社からも内定をもらい、金融機関などに勤めていきました。
某証券会社に入社した友人の初めてのボーナスが80万円で、私は40万円に届きませんでした。
役人になるなんて馬鹿だねと言われる時代でした。
しかし、それから数年でバブルは崩壊。
役人は人気の職業になり、公務員試験に合格するのは困難になりました。
安月給の代名詞だった公務員の給料が、今では高給取りのように言う人も増えました。
そのような時代の移ろいを考える時、未来永劫安定して多くの国民が幸福に生きられる社会体制というのは、おそらく存在しないのだろうと思います。
いつの時代にも何かしらの問題や矛盾を抱え、それを解決してはまた新たな問題が発生するという永久機械のようなものが、現世だというべきでしょう。
精神障害を患った私ですが、幸いにして正規雇用だったため、手厚い福利厚生に助けられて今も働いています。
そのことには感謝しつつ、人間の営みというものを、どこか斜めに見てしまう癖は、治りそうにありません。