ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

ケプラー22b

2011年12月07日 | その他

 先般、NASAが驚愕の発表をしましたね。

 地球から600光年離れた場所に、地球とよく似た、水があり、気温が22度程度と推定される惑星を発見したというのです。
 大きさは地球の2.4倍。
 テレビでは天文学者がハイ・テンションでこの発見を喜んでいました。

 名付けて、ケプラー22b

 ケプラー22bです。

 
人類が生まれて文明を築き、滅ぶまで、宇宙の歴史から見たら一瞬です。
 一瞬しかない文明と、やはり一瞬しかないであろう他の星の文明が邂逅することは、ほとんど奇跡としか言いようがない事態です。
 おそらくケプラー22bの文明も、すでに滅んでしまったか、あるいはこれから興ると考えるのが妥当でしょう。
 そうだとすれば、人類が生存している間にケプラー22bの生物と出会うことは無いと言ってよいと思われます。

 しかしそれでも、この広大な宇宙に地球とよく似た星があり、文明があった、もしくはこれから興ると考えることは、とても楽しいことですし、地球人類が絶対的孤独を生きているわけではないと思うこともできます。

 私は地球のように青く輝く星を見て、まだ見ぬ異星人や異星文明を想像し、一人にんまりするのです。

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恐怖症と谷崎文学

2011年12月07日 | 文学

 世の中には様々な恐怖症を持った人がいますね。

 一般的なところでは、高所恐怖症や対人恐怖症、水を異様に怖がる人や、暗い場所を怖がる人、日本にはあまりいませんが、欧米では広場恐怖症という人が大勢いるようです。

 私は病気というほどの強い恐怖ではありませんが、斑点恐怖症先端恐怖症と言われるような気持ちを持っています。
 斑点恐怖症とは、虫がたくさんあつまっている所とか、イクラ丼とか、大雨とか、粒々がたくさんあると、ぞっとすることです。
 この前ペットボトルのお茶を箱で買って、ふたを開けたらペットボトルの蓋がきれいに並んでいるのが粒々に見えて、非常に不快な思いをしました。
 ひどい人になると粒々を見ただけで熱が出たりするらしいですから、不快に思う程度はなんてことないのですが、やっぱり気になります。

 先端恐怖症を意識したのは、中学生の頃、谷崎潤一郎「春琴抄」を読んだときですね。

 「春琴抄」は盲目の三味線の美人師匠と、それに仕える丁稚の佐助の物語ですが、ある時春琴が熱湯を浴びて顔に大やけどを負い、それ以来人と会おうとせず、佐助と会うことまで嫌がるに及び、春琴を慕い尊敬する佐助は、自ら針で目を突いて盲目となり、春琴は盲目ならばと、佐助を傍におくようになる、という話です。
 この二人、肉体関係があるらしく、春琴は佐助とそっくりの子供を産みますが、二人とも頑として関係を認めず、子供は里子に出し、夫婦になることもなく、師匠と弟子兼お世話係として長く添い遂げます。

 この作品は一般に佐助のマゾヒズムを格調高い芸術作品として描いた作品と解釈されています。

 そのマゾヒズム的喜悦の絶頂である、佐助が目を針で突くと言う行為に、少年だった私は戦慄したわけです。
 
 それ以来、針でも錐でも、先が尖った物を強く意識するようになり、おかげで今も針に糸をとおすことができません。

 粒々といい、尖った物といい、じつは世の中にはあふれています。
 開けたばかりの煙草の箱に、びっしりと煙草が詰まっているのも、削ったばかりの鉛筆の先も、私には不快な物です。

 しかし谷崎的美意からいえば、不快な物に進んで身を投じることこそ、美しいのかもしれませんねぇ。
 でも怖いものは怖いですからねぇ。

  一体谷崎潤一郎は、「痴人の愛」にしても「異端者の悲しみ」にしても、かなりストレートに女神もしくは悪魔のような女性に翻弄される男のマゾヒズムを描いた作品が多いですね。
 そのマゾヒズムは、三島由紀夫「破滅に向かって突き進んでいく者だけが美しい」という自滅を美とする考えと、少し違っているように思います。
 谷崎的美は女性的であり、三島的美は男性的です。
 私はその両方を愛しながら、しかしどちらにも共感できないでいます。

 どちらも凡人たる私には激しすぎるのですよねぇ。
 もう少し穏やかな美を、好みたいと思っています。 

春琴抄 (新潮文庫)
谷崎 潤一郎
新潮社
痴人の愛 (新潮文庫)
谷崎 潤一郎
新潮社
刺青・秘密 (新潮文庫)
谷崎 潤一郎
新潮社

「異端者の悲しみ」が所収されています。

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ハムスター

2011年12月07日 | 文学

  今年度末で、就職して丸20年が経過します。

 その間ずいぶん色々なことがありましたが、何かもどかしい思いを禁じ得ません。
 20年、走ってきたことは間違いないでしょう。
 それによって体力がついたか、あるいは消耗したかは不明ですが。

 通常、走ればどこかへ行くものです。
 しかし私は、ケージの中で回し車を走り続ける
ハムスターのように、同じところをただぐるぐる回っていただけのような気がしています。

 仕事に関する知識や経験、人間関係、そういったものは蓄積されていますが、無駄に蓄積されただけで、一歩も進んでいないような気がします。

 ハムスターを主人公にした児童文学に、「フレディ」シリーズという作品があります。
 このフレディの思いが、不思議なほど私の心に刺さります。

 
ケージの中で回し車を回して一生を終えるなんて、ごめんだね。
 いつか自由になれるっていう『ハムスター伝説』を信じて待ってたってだめさ。
 自由を手に入れる方法は、自分で考えて、自分で探し出すんだ。

 
まあ児童文学ですから、子供騙しといえば子供騙し。
 しかし文学というもの、もともと大人の男の嗜むものではありません。
 差別的表現になりますが、あえて言えば女子供のもの。

 二葉亭四迷が文学を志した時、父親に「くたばってしめぇ」と罵倒された言葉をペンネームにしたほどの文学オタクですが、後年、文学は男子一生の仕事にあらず、と言って実業家を目指しました。

 その程度のものにうつつを抜かすから面白いんでしょうけどねぇ。
 あんまり意義深い仕事に携わるのはなんだか怖ろしいですから。

 フレディはおのれが回し車を回して日々を過ごしていることを自覚しているだけ立派だと思いますねぇ。

 私はそのことに気付くのに20年もかかった上、この期に及んで回し車から逃れようなんて思わないのですから。

フレディ―世界でいちばんかしこいハムスター (旺文社創作児童文学)
しまだ しほ,Dietlof Reiche,佐々木 田鶴子
旺文社
フレディ〈2〉世界でいちばんねらわれたハムスター (旺文社創作児童文学)
しまだ しほ,Dietlof Reiche,佐々木 田鶴子
旺文社
フレディ〈3〉ハムスター救出大作戦 (旺文社創作児童文学)
しまだ しほ,Dietlof Reiche,佐々木 田鶴子
旺文社
フレディ〈4〉ハムスターとゆうれいの大決戦 (旺文社創作児童文学)
しまだ しほ,Dietlof Reiche,佐々木 田鶴子
旺文社
フレディ〈5〉ハムスターのタイムトラベル大冒険 (旺文社創作児童文学)
しまだ しほ,Dietlof Reiche,佐々木 田鶴子
旺文社

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