ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

カダフィの残党

2011年12月01日 | 社会・政治

 リビアのカダフィ大佐、哀れな末路を迎えて、もう一か月以上が過ぎました。


元気な頃のカダフィ大佐です。

 リビアでは選挙によって、イスラム原理主義国家が生まれる可能性が高まっています。

 そんな中、アルジェリアに亡命したカダフィ大佐の長女、アイシャ氏が、シリアの放送局を通じ、カダフィ大佐の残党に武装蜂起を促したそうです。

 
アイシャ氏です。

 やりますねぇ。

 そもそもアルジェリアがアイシャ氏の亡命を認めたのは、一切の政治活動を行わない、と約束したからであったはず。

  時代の流れがわからないと言おうか、愚かと言おうか、浅知恵と言おうか。

  なんだか切なくなってきます。

 このたびの現政府への反乱の呼び掛け。

 そんなことをしたら、アフリカの多くの国がそうであるように、何十年も続く泥沼の内戦になってしまいますよ。

 ここは潔く負けを認めて、カダフィ大佐をはじめとする一連の内乱で命を落とした者たちの菩提を、敵味方関係なく、弔いながら静かに余生を過ごしたらどうでしょう。

 それはあまりに日本人的な感覚でしょうかねぇ。

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戦争の法

2011年12月01日 | 文学

  現在活躍中の小説家で、最も上質という言葉が似合うのは、佐藤亜紀だと思います。
 最近は早稲田大学や明治大学の客員教授として創作の作法を教えているとか。
 たいそうなご活躍です。

 主にヨーロッパを舞台にした作品が多いですが、「戦争の法」は日本を舞台にしていて、しかもどこかブラック・ユーモアみたいなものが効いている異色の作品です。

 平野啓一郎「日蝕」をひっさげて颯爽とデヴューした時、佐藤亜紀は自身の作品「鏡の影」のパクリだと、小説家にとってはこれ以上ない侮辱を浴びせたことを懐かしく思い出します。
 平野啓一郎佐藤亜紀なる小説家の存在も知らないし、その作品を読んだこともないし、今後も読むことはない、と完全否定しました。
 佐藤亜紀はこれに対し、盗作をしたかどうかはともかく、彼が嘘つきだということははっきりした、と言って応戦しました。

 「鏡の影」「日蝕」も新潮社から出版されていたところ、新潮社は「日蝕」の出版に合わせるように「鏡の影」を絶版にしてしまいました。
 二人を比べて、平野啓一郎の将来性に賭けたということでしょうか。

 しかし、現在の活躍を見る限り、新潮社の判断が正しかったとは言い難い状況です。

 「戦争の法」は、1970年代、N県が突如日本からの独立を宣言、日本とN県が戦争状態に陥ります。
 N県には当時のソビエト連邦から大量の兵が送り込まれ、日本軍はこれに対するためにゲリラ戦をしかけます。

 戦争の悲惨さや非人間性を、乾いた硬質な文体で笑い飛ばすその器は、まさに上質な小説の名に恥じないものです。

 小説を読むということの醍醐味を堪能させてくれる、お手本にしたいような文体、ストーリーの面白さ、小説としてほぼ完璧なのですが、その完璧さが「戦争の法」の難点になっています。

 千利休はきれいに掃き清められた庭園を良しとせず、わざと落ち葉を散らしたとか、一部欠けた茶碗を好んだとかいう話を聞きます。

 小説にも茶器や茶の舞台装置に通じるところがあって、どこか破綻している点があるほうが、魅力的だったりするのですよねぇ。

 同じく現在活躍中の小説家では、小林恭二がそれにあたるような気がします。
 デヴュー作の「電話男」なんて、小説としてはほぼ破綻しています。
 しかしその破綻がたまらない魅力なのですよねぇ。

 私は佐藤亜紀を尊敬し、小林恭二を偏愛するものです。
 平野啓一郎は、敬遠しているかんじですかねぇ。

戦争の法 (新潮文庫)
佐藤 亜紀
新潮社
鏡の影 (講談社文庫)
佐藤 亜紀
講談社
日蝕 (新潮文庫)
平野 啓一郎
新潮社
電話男 (ハルキ文庫)
小林 恭二
角川春樹事務所

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師走

2011年12月01日 | 文学

  今日から師走ですね。

 暦どおり、今日の関東地方は真冬の寒さ。
 今シーズン一番の冷え込みだそうです。
 私は今日、この冬初めてダウンのコートを着て、マフラーを巻いて出勤しました。

 今年はウォーム・ビズということで暖房は控えめ。
 先日ドンキ・ホーテで購入した膝かけが大活躍しています。

 12月には
春待月(はるまちづき)という洒落た別称もありますね。
 でも実感としては、やっと冬に入ったところで、まだ春を待つという気分にはなりません。
 
 私は30過ぎまで手足の先が氷のように冷たくなる冷え性でしたが、冬は嫌いではありませんでした。
 凛とした冷たい空気が、しゃんとする感じがして好ましく思えたのです。
 30代半ばくらいから、冷え性は肥満とともに良くなりましたが、逆に冬の寒さを辛く感じるようになりました。

 不思議ですね。

 
冬菊の まとふはおのが ひかりのみ  水原秋桜子

 名句ですねぇ。

 冷たい冬の空気の中、確かな生命の輝きを感じさせる、力強い句です。

 できることなら私も、冬菊のようにおのれの光のみを頼りに、後半生を生きたいものです。

新装版 水原秋櫻子 自選自解句集
水原 秋櫻子
講談社

  水原秋桜子集 (朝日文庫―現代俳句の世界)
水原 秋桜子,堀口星眠
朝日新聞社

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当事者主義

2011年12月01日 | 社会・政治

 昨夜、NHKで、25年前に起きた女子中学生殺害事件で犯人とされ、1997年に服役、2004年に出所した前川彰司さんの再審請求が認められたことに関連し、わが国の司法制度を問う番組が放送されました。

 そこで、私はこれまで知らなかったわが国の司法制度の根本的欠陥とでもいうべきものを突きつけられました。

 すなわち、当事者主義。

 わが国の司法制度においては、検察、弁護側双方がそれぞれに有利な証拠を持ち寄り、裁判が行われることになっているそうです。
 つまり自分たちに不利な証拠は開示しなくてもよい、ということです。

 それはないでしょう。

 検察は警察が捜査した証拠をすべて持っているばかりでなく、強制力を伴った捜査権限を持っています。
 しかし弁護側には捜査権限が皆無です。

 これでは、素人が飛車角落ちで名人と将棋を指すようなもの。
 将棋界では素人と将棋を指すとき、名人が飛車角落ちで戦うのです。
  逆ではありませんか。

 このたび、
裁判所の勧告により、検察がこれまで開示しなかった証拠を開示したところ、裁判所はとても有罪にはできないと判断し、すでに刑期を終えている前川さんの再審を行うことになったとのことです。

 怖ろしいことです。

 ある日突然刑事がやってきて、お前は殺人犯だと言って逮捕され、いくら無実を主張しても検察側に都合の悪い証拠は秘匿され、最悪の場合処刑されてしまいます。

 私はそんな怖ろしい国に住んでいたのですね。

 一方検察庁や法務省は、証拠をすべて開示しては真犯人の逃亡を手助けすることになる、と言って証拠の全面開示には反対しています。

 真犯人が逃亡するよりも、犯人ではない人を犯人に仕立て上げることのほうがよほど罪ではありませんか?

 ことは司法関係者に限ったことではありません。
 あと一分後に刑事が現われ、殺人犯に仕立て上げられてしまうかもしれないわが国民すべての問題です。

 それにしても、昭和61年、前川さんを犯人に仕立て上げたとき、検察は当然前川さんが無罪であることを示す証拠を知っていたわけです。

 検察関係者の取材で、元検事は、当事者主義を採っているわが国の検察官が検察側に不利な証拠を提出しないのは当たり前だ、と言っていたそうです。

 検察官が胸に着けているバッジは伊達ですか。
 それとも酔狂ですか。

 無実の若者を殺人犯に仕立て上げ、よく平気で眠れたものです。

 法務関係者は深く反省し、直ちに当事者主義を改め、すべての証拠を開示する義務を検察に課しなさい。

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