ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

謀反

2011年12月13日 | 文学

  西暦658年の12月13日、有間皇子が謀反の疑いをかけられて処刑されました。

 享年19歳。

 従兄の中大兄皇子に命を狙われていることを知り、精神を病んだふりまでして命長らえようとしましたが、中大兄皇子の意を汲んだ蘇我赤兄に謀反を唆され、中途半端な回答をしたことが命取りになりました。

 中大兄皇子から尋問された折、
天と赤兄と知らむ、我もはら解らず」と、悔しい胸のうちを一言だけ述べたそうです。

 「万葉集」に、皇子が亡くなる前の歌が二首載っています。

 
いは代の 浜松が枝を 引き結び 真幸くあらば また還り見む

 願いかなって無事であったなら、また帰って来てこの松を見よう、というほどの意ですが、刑場に連れて行かれる途中で詠んだ歌と知れば、哀切極まりないものです。
 
 
家にあれば 笥に盛る飯を 草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る

 これも切ないですねぇ。
 家で食事をする時は食器に飯を盛るが、旅の途中なので椎の葉に盛る 、という、なんていうことのない歌のようですが、その旅が死地に向かうものなんですからねぇ。

 昔の皇族は戦国大名のように、身内同士で血で血を洗う戦いを続けていたのですねぇ。

 今の平和を祈る天皇というイメージは、今上陛下からですね。
 昭和陛下には先の大戦の大物というイメージがどうしても付きまといますからねぇ。

 有間皇子ももう少し後の、戦は武士に任せて皇族や貴族は和歌を詠んだり蹴鞠をしたりしていれば良かった時代に生まれていれば、多くの秀歌を残したでしょうに。

 残念ですねぇ。

万葉集 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
角川書店
角川書店
新訂 新訓・万葉集〈上〉 (岩波文庫)
佐佐木 信綱
岩波書店
新訂 新訓・万葉集〈下〉 (岩波文庫)
佐佐木 信綱
岩波書店

にほんブログ村 本ブログ 純文学へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ

↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
素晴らしいすごいとても良い良い


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

教育ママ殺し

2011年12月13日 | 社会・政治

 韓国の高校三年生男子が、母親を殺害、遺体を一室に放置して匂いが漏れないよう部屋のドアの隙間をガムテープで貼ったうえ、八か月も一人暮らしを続け、平然と学校にも通っていた、という戦慄すべき事件が発覚しました。

 父親は離婚して別の場所に住んでおり、たまたま母子の住む家を訪れた際、息子が父親を家に上げることを拒んだため、不審に思った父親が警察に通報して事件が明るみに出たそうです。
 生活費は離婚した父親から月12万円をもらっており、それで一人で暮らしていたそうです。

 母親は強烈な教育ママで、ソウル大学法学部に入らなければならない、と毎日小言を言い、全国統一の模擬試験で一番をとれなかったといって、ゴルフクラブやバットで10時間も叩き続けるなど、ほとんど虐待と言えるほどの体罰を加えていたようです。

 泣かせるのは、全国模試の実際の成績は2,000位くらいだったのを、これを見せたら殺されると考え、64位に偽造したということです。
 しかも偽造は、中学3年生の頃から行っていたと言います。

 でも母親は64位に納得せず、体罰に及んだとか。

 直接の殺害理由は、家庭訪問が近づいて、成績を改竄したことがばれたら大変なことになると考え、徹夜で勉強することを命じられた夜、就寝中の母親を刃物で襲い、刺し殺したそうです。

 やれませんねぇ。

 韓国マスコミはこの事件に衝撃を受け、過熱する受験競争に警鐘を鳴らしているそうですが、そう簡単にことはおさまらないでしょう。
 学歴重視のなれの果てですねぇ。

 わが国は巷間言われているほど学歴社会ではありません。
 というか、他の先進国と比べて、エリートと言われる人々とそうでない人々の賃金格差は驚くほどわずかです。

 最近格差社会と言われるのは、非正規雇用などが生活保護なみかそれ以下の収入しか得られないことを指しているもので、正規の会社員や正規の肉体労働者と幹部社員との格差を指しているわけではありません。

 しかし伝え聞くところによると、韓国では大学受験の結果が人生を左右するほどの重い意味を持っているそうですから、ことは深刻です。
 名門大学に入れればお金持ちクラブの切符を手に入れることができ、そうでない場合一生安月給でこき使われるというわけです。

 でも不思議ですねぇ。

 韓国の大統領経験者は、哀れな末路をたどる人が多いのですよねぇ。

 初代の李承晩は失脚して亡命。
 三代目の朴正煕は在任中に暗殺。
 四代目の崔桂夏はクーデターにより失脚。
 五代目の全斗煥は退任後、光州事件などで死刑判決が下され、後に恩赦となって寺に籠りました。
 六代目の慮泰愚は退任後光州事件などで懲役刑。
 九代目の慮武鉉は退任後自殺。

 今の李明博は十代目ですから、10人のうち6人が悠々自適の晩年とは程遠い過酷な老後を過ごしました。

 これらの人々は多くが名門大学出のパワー・エリートだと思われますが、こんな晩年を迎えるために必死で勉強したわけではありますまい。

 立って半畳寝て一畳とか申します。
 食事だって飯と漬物と具が多い味噌汁があれば十分でしょう。

 人間慾をかくとろくなことがありませんねぇ。

 でも私は、できれば豪邸に住んで何人も美女を侍らせ、高級車を乗り回す生活に憧れたりする俗物なので、他人様に偉そうなことを言えた義理ではありませんが。

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ

↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
素晴らしいすごいとても良い良い


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

生贄の館

2011年12月13日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 昨夜はフランスのホラー「生贄の館」を鑑賞しました。

 雑誌の記者が人間狩りを楽しむお金持ちの秘密クラブに潜入するマン・ハント物ですが、さすがにフランス。
 サディズムの元祖、サド侯爵を生んだ国だけあって、残虐極まりない殺人ゲームを、優雅な貴族の遊びのように描いていて、好感が持てます。

 ただし、映像美や雰囲気は抜群に良いのですが、マン・ハンティングの緊迫感が決定的に欠けています。

 なにしろ怖くないのです。
 ホラーとしてはそこが難点ですねぇ。

 一種のゴシック・ロマンとして観ればなかなかなんですけどねぇ。

  生贄の館 [DVD]
ジェラッリ・モユイナ
ビデオメーカー

にほんブログ村 映画ブログ ホラー・サスペンス映画へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ

↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
素晴らしいすごいとても良い良い


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする