今日は、癌の話でも、胃がんのこと。
国機関などが、17日に画期的な発表をした。
「スキルス胃がん」は、治療が難しいとされているが、その治療の標的となる遺伝子の異常を特定したと国立がん研究センター研究所他が発表した。
癌の個別治療、遺伝子変異からのアプローチはどんどん進んでいく。
今日の後半で、その今回の発表の公式データと報道にリンク、一部を抜粋しておく。
なお、昨日8月19日の私のブログへのアクセスは「閲覧数2,083 訪問者数1,061」。
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★ 2021 年 8 月 17 日
●全ゲノム解析によってスキルス胃がんの治療標的を同定
難治性がんに対する新たな治療法開発の可能性
2021年8月17日 国立研究開発法人国立がん研究センター 慶應義塾大学医学部 国立研究開発法人日本医療研究開発機構
発表のポイント
難治性であり、かつ病態解明が困難であるスキルス胃がんについて、腹膜播種による腹水細胞を用いた全ゲノム解析等によって、疾患に特徴的なゲノム異常を解明しました。
治療標的となり得る複数のゲノム異常を発見するとともに、マウスモデルを用いた研究では、治療標的となり得る分子を阻害することで、がん細胞の増殖抑制または腹膜播種の消失を確認しました。
今後、がん患者さんを対象とした臨床開発への検討を重ね、がん遺伝子パネル検査への実装や分子標的治療薬の開発を目指します。
・・・(略)・・・
難治がんであり、また検体の入手や解析が難しく発がん機構やゲノム異常がほとんど明らかになっていないスキルス胃がんについて、しばしば病初期から存在することが知られる腹膜播種による腹水細胞を対象として全ゲノム解析等を行い、病態の解明と治療標的の同定を試みました。
その結果、スキルス胃がんに特徴的な遺伝子異常を数多く同定し、しかも全体の約4分の1が既存の分子標的薬剤の有効性が期待できることを見いだしました。さらに、腹水中のがん細胞から樹立した細胞株を用いて腹膜播種モデルマウスを作成し、各阻害剤を投与したところ、がん細胞の増殖抑制または腹膜播種の消失を確認しました。
スキルス胃がんは、早期発見が難しく、おなかの中にがん細胞が散らばる腹膜播種により治療も難しいため、発がんや腹膜播種を抑制する治療が求められています。今後、がん患者さんを対象とした臨床開発への検討を重ね、がん遺伝子パネル検査への実装や分子標的治療薬の開発を目指します。
・・・(略)・・・
研究結果
ポイント1
受容体型チロシンキナーゼ―RAS―MAPK経路(注6)の遺伝子群の高度増幅・遺伝子融合による発がん機構がスキルス胃がん全体の約半数に存在していることが明らかになりました。その少なくとも半数は既存の分子標的治療薬の治療が有効なことが実験で確認されました。
・・・(略)・・・
ポイント2
遺伝子発現プロファイルから全体が大きく2群に分類され、片方のグループには上皮間葉転換(epithelial mesenchymal transition: EMT)(注7)に関わる遺伝子が高発現していました。EMTが亢進している群にはTEAD1遺伝子の高発現も認められ、その活性を阻害することが治療効果につながることが腹膜播種モデルマウスを用いて確認されました。
・・・(略)・・・
今後の展望
本研究成果により、スキルス胃がんの詳細なゲノム異常が明らかになりました。特に受容体型チロシンキナーゼ―RAS―MAPK経路の遺伝子の高度増幅が特徴的です。
また、マウス実験で多くの分子標的薬の有効性も確認されたことから、今後は同様な患者さんのがん遺伝子パネル検査への実装や分子標的治療薬の開発への展開が期待されます。
またTEAD経路の阻害が全く新しいスキルス胃がんの治療薬剤として開発される可能性があります。
●「スキルス胃がん」遺伝子異常特定 薬の効果を確かめる研究へ
NHK 2021年8月17日
治療が難しいとされる「スキルス胃がん」で治療の標的となる遺伝子の異常を特定したと国立がん研究センター研究所が発表しました。有効と考えられる薬はすでにあるということで、今後、実際の患者に投与して効果を確かめる研究を進めたいとしています。
スキルス胃がんは、発見時には治療が厳しい状態になっていることが多く、5年生存率はおよそ10%とされ、治療が難しいがんの1つです。
国立がん研究センター研究所の間野博行所長らのグループは、内臓を覆う「腹膜」にがんが広がったスキルス胃がんの患者、およそ100人について、おなかにたまった「腹水」と呼ばれる液体からがん細胞を取り出し、その遺伝子を解析しました。
その結果、スキルス胃がんに特徴的な遺伝子の異常を数多く特定することに成功したということです。
がんの一部では特徴的な遺伝子の異常があると、それによって現れるたんぱく質などを狙い撃ちにする「分子標的薬」という種類の薬が有効とされ、さらに調べたところ、患者全体の4分の1には、薬の効果が期待できる遺伝子の異常があったということです。
また、スキルス胃がんのマウスを使った実験では、すでにある薬で効果も見られたということで、研究グループは患者に有効な薬を開発できる可能性があるとしています。
間野所長は「希望としては、1年以内に実際の患者に投与して効果を確かめる研究につなげたい」と話しています。
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