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てらまち・ねっと



 昨日18日の最高裁大法廷の判決。
 55年前の亡霊のような判決を「変更」した。

 公務員は(解職の)直接請求の代表者にはなれない、との国の見解があり、当時の最高裁判決もこれにならっていた。

 今回の高知県東洋町のケースの原因は、次。
 国が進める高レベル放射性廃棄物の処分場を全国に公募しているところ、それに勝手に以前の町長が応募。
 議会の反対、町民による町長リコールのあとの町長選、候補者がいなくて、隣の室戸市の市議でオンブズ 活動をしていた人が立候補、当選。

 その後、何かに町長の施策に反対する「町議をリコール」する署名に関して、選挙管理委員会が「代表者の一人に『農業委員』がいるから、署名は全部無効」と決定。

 町民の異議申し立ても認めず、地裁も「署名は無効」と判決。
 それに対する最高裁の今回の判決。

 昨日の最高裁の判示。

 「・・請求代表者の資格について準用し,
    公務員について解職請求代表者となることを禁止している。
    これは,地自法85条1項に基づく政令の定めとして
    許される範囲を超えたものであって,
    その資格制限が請求手続にまで及ぼされる限りで無効と解する」

 私たちは、いろんなことで10回ほど直接請求してきた。
 そのときいつも気をつけることの一つが「請求代表者」のこと。
 解職請求でない場合はいいとはいえ、気になること。
 今回の最高裁大法廷の判決で、ずいぶんと気楽になる。

 ともかく、法律的にも、市民運動的にも、両面で注目し、かつ、面白いケースなので以前から注目していたこと。

(関連) 2009年11月18日ブログ
      ⇒ ◆速報/きょう、大法廷で最高裁判例見直/高知県東洋町議リコール手続き訴訟/署名無効決定を取り消す

最高裁判決の概要 (ブログ末で判決全文などにリンク・再掲)

「地方自治法施行令115条,113条,108条2項及び109条の各規定のうち,公職選挙法89条1項を準用することにより,公務員につき議員の解職請求代表者となることを禁止している部分は,その資格制限が地方自治法80条1項の請求手続にまで及ぼされる限りで,同法85条1項に基づく政令の定めとして許される範囲を超え,無効である。」

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●リコール署名代表、公務員でも有効 最高裁が判例変更
          朝日 2009年11月18日22時53分
 地方議員の解職請求(リコール)をめぐり、解職を求める署名集めの代表者に公務員がいた場合、署名全体が無効になるかどうかが争われた訴訟の上告審判決が18日、あった。最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)は地方自治法施行令のうち、「公務員は代表者になれない」と資格を制限している部分は無効だと判断。「資格制限は有効」とした54年の最高裁判例を変更し、署名は無効にならないと結論づけた。

 最高裁が「法律の定めに反している」ことを理由に施行令などの政令を無効としたのは、児童扶養手当法の施行令(02年)以来で、4件目。

 今回の訴訟は、高知県東洋町で、町長と対立関係にあった町議に対するリコール運動での署名をめぐって起こされた。町民の有志が08年4月、有権者の3分の1を超える1124人分の署名を町選管に提出。ところが、6人の請求代表者のうち1人が農業委員であることを理由に署名が無効とされたため、署名の効力の有無が訴訟に持ち込まれた。最高裁では「解職の投票に公選法の規定を準用する」と定めた地方自治法の解釈が争点となった。

 リコールは解職を求める署名が規定数に達した場合、有権者による投票へ進む二段階の手続き。大法廷は、公務員の選挙活動を制限する公選法の規定を、後段の投票手続きにあてはめることは合理性があると認めた。だが、前段の署名集めまで資格制限している地方自治法施行令は「許される範囲を超え、無効だ」と述べた。

 この政令が無効とされたことで、農業委員に限らずほとんどの公務員が解職請求の代表者となることが可能になった。

 この日の最高裁判決を受けて住民が改めて請求すれば、東洋町選管は再び署名の有効性を判断することになる。(中井大助)

●東洋町議リコール署名訴訟、1審判決を破棄…最高裁
          2009年11月19日02時32分 読売新聞
 高レベル放射性廃棄物の最終処分場誘致問題などを巡り、高知県東洋町の農業委員会委員(当時)らが、同町議に対するリコール(解職請求)を求めて集めた署名の有効性が争われた訴訟の上告審判決が18日、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)であった。

 1審・高知地裁判決は、公務員である農業委員がリコールの代表者となって集めた署名を無効とした1954年の最高裁判決を踏襲した。しかし大法廷は、公務員が請求の代表者であるとの理由で署名を無効とすることはできないと判断し、54年判例を変更したうえで1審判決を破棄。署名をすべて無効とした同町選挙管理委員会の決定を取り消した。

 住民側が住民投票の請求を行い、町選管が受理すると、受理の告示から60日以内に住民投票が行われる。

 15人の裁判官のうち、12人の多数意見。堀籠幸男裁判官ら3人は「公務員が代表者になることで投票の公正が害されることを防止しようとする地方自治法の趣旨に反する」と反対意見を述べた。

 リコールは「請求」と「投票」の2段階に分かれているが、この日の判決で、首長など公権力を行使する立場の公務員も請求段階の代表者になれることになったことから同法の改正論議につながる可能性もある。

●リコール訴訟:公務員も請求代表者可能 最高裁判決
        毎日新聞 2009年11月18日 22時02分
 地方議会議員の解職請求(リコール)を巡り、公務員が請求代表者になれるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允=ひろのぶ=長官)は18日、「なれない」とした地方自治法施行令の規定は無効と判断した。そのうえで、公務員を請求代表者として集めた署名を無効とした1954年5月の最高裁判例を55年ぶりに変更した。判決は裁判官15人のうち12人の多数意見。

 高知県東洋町議に対するリコールで、公務員の農業委員が請求代表者の1人になって集めた署名を町選管がすべて無効としたため、住民側が提訴した。大法廷は「農業委員が含まれることを理由に署名の効力を否定することは許されない」と述べ、請求を棄却した高知地裁判決(08年12月)を破棄し、町選管の決定を取り消した。

 請求代表者は、請求に必要な署名を集めるほか、住民投票の際は開票立会人の選任や結果への異議申し出などを行う。

 大法廷は、地方自治法がリコールについて請求と投票の2段階に分けて規定を設けていることを挙げ、「公務員が請求代表者になることの禁止は投票段階にだけ適用される。施行令が請求段階について規定することは許されず、請求代表者の資格制限部分は無効」と結論づけた。最高裁が、法施行に必要な細則を定める政令について、法律違反として無効判断したのは5例目。

 住民側は、核廃棄物最終処分場の調査受け入れを主導したなどとして、町議1人のリコールを計画。請求に必要な有権者の3分の1を上回る1124人分の署名を集めた。地方自治法の規定に従い、2審を経ずに、1審判決を不服として上告していた。

 判決後に会見した住民側の中北龍太郎弁護士は「直接請求制度の不当な制限が取り除かれ、高く評価できる」と指摘。傍聴した沢山保太郎町長は「個人としては正しい判決が出たと考えている」と述べた。今後は改めて請求手続きが進められるが、任期満了に伴う町議選が来年1月に予定され、住民投票の実施は不透明という。【銭場裕司】

 ◇リコール
 直接請求の一つで、地方自治体の公職にある人を、任期が終わる前に住民の意思で解職する制度。原則として有権者の3分の1以上の署名で、都道府県知事、市町村長、議員の解職や議会の解散を請求できる。請求から60日以内に賛否を問う住民投票が行われ、有効投票総数の過半数が賛成すれば、首長や議員などは失職する。

●最高裁が昭和29年の判例変更 高知・東洋町のリコール訴訟
         サンケイ 2009.11.18 18:23
・・ 農業委員が請求代表者となった署名の効力を否定した昭和29年の最高裁判決が判例となり、同種訴訟で踏襲されてきたが、この判例が55年ぶりに変更された。今回の判決で、農業委員に限らず、すべての公務員が議員の解職請求で代表者になれることになる。

 大法廷は、公務員が解職請求代表者となることを禁止した政令を違法と判断。その上で、「請求代表者に資格制限を設けるなら、制限の及ぶ範囲は法律で明確に規定されていることが望ましい」と付言した。

 反対意見をつけた3人の裁判官は「請求代表者の資格はいかなる公務員でも無制限と宣言したもので、多数意見には到底賛同できない」と述べた。

 住民側の代理人は「住民の直接請求の権利が不当に制限されてきた。これが拡張されたことは高く評価できる」とした。

●公務員もリコール請求可能 最高裁、55年ぶり判例変更
         2009/11/18 20:45 【共同通信】
 高知県東洋町議のリコール(解職請求)をめぐり、公務員の農業委員が請求代表者として集めた署名の有効性が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)は18日、判例を55年ぶりに変更し「公務員が請求代表者になることを禁じた地方自治法施行令の規定は無効」との判断を示した。

 その上で「農業委員が代表者の1人として集めた署名は無効」とした高知地裁判決を破棄、有効と訴えていた原告住民の請求通り、町選管決定を取り消した。

 竹崎裁判長は、地方自治法上の解職手続きは「請求時」と「投票時」の2段階に分かれ、公務員が代表者になれないとの資格制限は投票段階に関する規定だと指摘。請求段階にまで適用した施行令は無効と判断した。

 一方で「請求段階でも資格制限するなら、法律に基づき明確に規定することが望ましい」とも言及。資格制限の是非自体は判断しなかった。

 判決は15人の裁判官のうち12人の多数意見。政令を違法で無効とする最高裁判決は5件目。

 1954年の最高裁判決や行政実務は、施行令に基づき公務員が代表者になれないとしてきた。

 ● 判決の概要

 ●判決全文 (各裁判官の補足意見は長文につき、リンク先を)

平成21(行ヒ)83 解職請求署名簿無効決定異議申立棄却決定取消請求事件  
平成21年11月18日 最高裁判所大法廷 判決 破棄自判 高知地方裁判所

主文
原判決を破棄する。
別紙決定目録記載の決定を取り消す。
訴訟の総費用は被上告人の負担とする。

理由
上告代理人中北龍太郎の上告受理申立て理由及び上告代理人樺島正法,同小西憲太郎,同佐竹明の上告受理申立て理由(ただし,排除されたものを除く。)について

1 本件は,東洋町選挙管理委員会(以下「処分行政庁」という。)が,東洋町議会議員A(以下「A議員」という。)に係る解職請求者署名簿の署名について,解職請求代表者に非常勤の公務員である農業委員会委員が含まれているとして,そのすべてを無効とする旨の決定をし,さらに,請求代表者等の関係人である上告人らによる異議の申出も平成20年5月20日付けの決定(以下「本件異議決定」という。)により棄却したことから,上告人らにおいて本件異議決定の取消しを求める事案である。

2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。
(1) 上告人X1を含む6名(以下「本件代表者ら」という。)は,処分行政庁に対し,平成20年3月14日,A議員に係る解職請求書を添えて,本件代表者らがその解職請求代表者である旨の証明書の交付を申請し,同月17日,処分行政庁からその旨の証明書の交付を受けた。当時,上告人X1は,非常勤の公務員である農業委員会委員であった。

(2) 公職選挙法(以下「公選法」という。)89条1項本文所定の公務員は,同項ただし書所定の者を除き,在職中,公職の候補者となることができないが,地方自治法(以下「地自法」という。)及び地方自治法施行令(以下「地自令」とい。)は,公選法89条1項を議員の解職の投票に準用するに当たり,「公職の候補者」を「普通地方公共団体の議会の議員の解職請求代表者」と読み替え,かつ,同項ただし書(同項2号に関する部分を除く。)の準用を除外している(地自法85条1項,地自令115条,113条,108条2項,109条。以下,地自令の上記4条項のうち,公選法89条1項を準用することにより議員の解職請求代表者の資格を制限している部分を併せて「本件各規定」という。)。

したがって,本件各規定によれば,農業委員会委員は,公職の候補者となることができる場合であると否とを問わず,在職中,議員の解職請求代表者となることができないこととなる。

(3) 本件代表者らは,処分行政庁に対し,同年4月14日,上記解職請求書に係る1124名分の署名簿(以下「本件署名簿」という。)を提出し,同月17日に受理されたが,処分行政庁は,本件各規定により農業委員会委員は議員の解職請求代表者となることができないことを前提に,同年5月2日付けで,本件署名簿の署名をすべて無効とする旨の決定をした。

(4) 上告人らが上記決定に対し異議の申出をしたところ,処分行政庁は,本件署名簿の署名は農業委員会委員を解職請求代表者の1人とする署名収集手続において収集されたものであって,すべて成規の手続によらない署名であるなどとして,同月20日付けで,異議の申出を棄却する本件異議決定をした。

3 原審は,上記事実関係等の下において,次のとおり判断して,上告人らの請求を棄却した。

本件各規定の委任の根拠規定である地自法85条1項は,議員の解職請求に係る投票手続のみならず,これと一連の手続の中で密接に関連する請求手続についても,公務員の職務遂行の中立性を確保し,手続の適正を期する観点から,公選法の規定の準用を認めたものであって,本件各規定はその委任の範囲内の適法かつ有効な定めと解されるから,農業委員会委員を解職請求代表者の1人とする署名収集手続において収集された本件署名簿の署名は,すべて成規の手続によらない署名として無効である。

4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。

(1) 普通地方公共団体の議会の議員の選挙権を有する者は,法定の数以上の連署をもって,解職請求代表者から,当該普通地方公共団体の選挙管理委員会に対し,当該議会の議員の解職の請求をすることができ(地自法80条1項),選挙管理委員会は,その請求があったときは,直ちに請求の要旨を関係区域内に公表するとともに(同条2項),これを選挙人の投票に付さなければならないこととされている(同条3項)。

このように,地自法は,議員の解職請求について,解職の請求と解職の投票という二つの段階に区分して規定しているところ,同法85条1項は,公選法中の普通地方公共団体の選挙に関する規定(以下「選挙関係規定」という。)を地自法80条3項による解職の投票に準用する旨定めているのであるから,その準用がされるのも,請求手続とは区分された投票手続についてであると解される。このことは,その文理からのみでなく,

① 解職の投票手続が,選挙人による公の投票手続であるという点において選挙手続と同質性を有しており,公選法中の選挙関係規定を準用するのにふさわしい実質を備えていること,

② 他方,請求手続は,選挙権を有する者の側から当該投票手続を開始させる手続であって,これに相当する制度は公選法中には存在せず,その選挙関係規定を準用するだけの手続的な類似性ないし同質性があるとはいえないこと,

③ それゆえ,地自法80条1項及び4項は,請求手続について,公選法中の選挙関係規定を準用することによってではなく,地自法において独自の定めを置き又は地自令の定めに委任することによってその具体的内容を定めていることからも,うかがわれるところである。

したがって,地自法85条1項は,専ら解職の投票に関する規定であり,これに
基づき政令で定めることができるのもその範囲に限られるものであって,解職の請
求についてまで政令で規定することを許容するものということはできない。

(2) しかるに,前記2(2)のとおり,本件各規定は,地自法85条1項に基づき公選法89条1項本文を議員の解職請求代表者の資格について準用し,公務員について解職請求代表者となることを禁止している。これは,既に説示したとおり,地自法85条1項に基づく政令の定めとして許される範囲を超えたものであって,その資格制限が請求手続にまで及ぼされる限りで無効と解するのが相当である。

したがって,議員の解職請求において,請求代表者に農業委員会委員が含まれていることのみを理由として,当該解職請求者署名簿の署名の効力を否定することは許されないというべきである。

最高裁昭和28年(オ)第1439号同29年5月28日第二小法廷判決・民集8巻5号1014頁は,以上と抵触する限度において,これを変更すべきである。

(3) 処分行政庁は,本件異議決定において,本件署名簿の署名は農業委員会委員を解職請求代表者の1人とする署名収集手続において収集されたものであって,すべて成規の手続によらない署名であるから無効であると判断し,原審も前記のとおり同様の判断をしたものであるところ,上記のとおり,本件各規定は少なくとも請求手続に適用される限りでは違法,無効な定めといわざるを得ないから,これに基づいて上記署名を成規の手続によらない署名であるとすることはできない。

なお,公務員は一般職,特別職を問わず議員の解職請求の請求手続の当初から解職請求代表者となることができないとするのが,地自法85条1項に関する従前からの一貫した行政解釈であり,前記の最高裁昭和29年5月28日第二小法廷判決,これを是認するものであった。それにもかかわらず,本件代表者らにおいて上告人X を含めて請求代表者証明書の1 交付を申請し,処分行政庁もこれを交付した理由は,定かでないが,上記の行政解釈が地自法の法文の文理とは整合しないものであり,解職請求代表者の資格制限を定める本件各規定が明確性を欠いていることも一因であることがうかがわれるところである。地自法の定める直接請求に関し請求代表者の資格制限を設けるのであれば,住民による利用の便宜や制度の運営の適正を図る見地からも,制限の及ぶ範囲は,法律の規定に基づき,可能な限り明確に規定されていることが望ましいことはいうまでもない。

5 以上によれば,本件署名簿の署名をすべて無効とした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,前記説示によれば,本件異議決定は違法であり,その取消しを求める上告人らの請求は理由があるから,本件異議決定を取り消すこととする。

よって,裁判官堀籠幸男,同古田佑紀,同竹内行夫の反対意見があるほか,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。なお,裁判官藤田宙靖,同涌井紀夫の各補足意見,裁判官宮川光治,同櫻井龍子の補足意見がある。
(以下、リンク先を)



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