チューリップの球根などを冷蔵したり、冷凍したりすることで開花期を自由にコントロールする栽培方法がある。家庭の冷蔵庫でも開花時期を早めることができるため人気が出ている。 いま始めると3月の卒業シーズンに間に合うといい、すてきなプレゼントになりそうだ。 東京都立川市の国営昭和記念公園で10月下旬、子ども向けの「球根植え付け教室」が開かれた。会場には通常4~5月に開花するチューリップが花を咲かせており、参加者を驚かせた。 チューリップの花は、冷蔵庫で冷やした球根を取り出し、鉢で成長させたものだ。主催したオランダ国際球根協会(東京)の中村貴子さんは「秋植え球根は気温が下がると生育が促される。冷蔵庫で真冬の状態を作ることで、球根が『冬を越した』と感じ、発芽するのです」と説明する。 冷蔵庫(室温5度)で球根を8~9週間保管し、取り出して鉢に植えてから8~9週間で花が咲く。開花させたい時期の16~18週間前に球根を冷蔵庫に入れる計算だ。園芸専門家によると、球根の状態や品種によって異なるが、この方法による開花時期は12月~3月が適当という。 栽培のポイントは、球根を冷蔵庫に入れたとき、乾燥しないように紙などで包むこと。また、球根を鉢に植えた後、水やりを欠かさないことも重要。球根が地中にあって見えないため、水やりを忘れる人が少なくない。その季節に咲く花を同じ鉢に植えると忘れにくく、冬ならパンジーやビオラなどがお勧めだ。 「球根を冷蔵庫に入れて育てると、花や丈が小ぶりになることがあります。それでも、花の少ない時期に一足早い春を迎えることができます」と中村さんは話している。 ◎ 発根したチューリップの球根を植えた鉢を冷凍庫で凍らせる栽培方法もある。解凍温度の調整などが難しいので家庭向きではないが、こうした処理をした球根が市販されている。 種苗会社「サカタのタネ」では、この方法を用いて12月上・中旬に開花させる「クリスマスチューリップ」を一昨年から販売している。同社が運営する「ガーデンセンター横浜」(横浜市神奈川区)などで11月中旬から売られるほか、通信販売(11月15日申し込み締め切り)もある。品切れの品種も出ているほどの人気という。 同社広報の淡野一郎さんは「暖かい日本の春では、チューリップは約1週間で花が散ってしまう。寒い時期に花が咲けば、1か月ぐらい花がもつ点も特長」と話している。 チューリップ産地の富山県砺波(となみ)市にある観光施設「チューリップ四季彩館」では、球根を冷蔵庫や冷凍庫に入れる栽培方法を組み合わせ、一年中花を咲かせている。(2005年11月5日 読売新聞) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・