多重債務問題、今年 1月の最高裁判決 をうけて、2月ごろから政府も金利下げの動きがでました。そして、 アイフル・営業停止 のあと、先日、金融庁貸金業懇の中間報告でのグレーゾーン金利廃止で一致となりました。その影響で、岩手県貸金業協会は廃業が増えることから解散の方針決定、しかし、プロミスはグレーゾーン金利を当面継続、としています。
名古屋では6月に高金利引下げ大集会が行われます。
●今年2月ごろの動き●「灰色金利」撤廃へ法改正 債務者救済図る 金融庁 2006年02月22日 朝日
現在の貸付金利規制とみなし弁済の仕組み
金融庁は、貸金業者が利息制限法を上回る金利をとっても刑事罰に問われない「グレーゾーン金利」を撤廃する法改正に着手する方針を固めた。グレーゾーン金利を事実上否定した1月の最高裁判決などの流れを受け、今年中にも関係法律の見直し案をまとめ、07年の通常国会に提出する方向で検討している。各省庁で縦割りとなっている貸金業の法制度も2年後をめどに見直し、横断的に業者を規制する新法「消費者信用法」(仮称)の制定をめざす。
・・・・・ 関係法の改正は、(1)貸金業規制法の「みなし弁済」規定を廃止する(2)出資法と利息制限法の上限金利を一致させる――の二つの案を軸に調整する。貸金業規制法は議員立法で、出資法と利息制限法は法務省の管轄のため、金融庁は与党や関係省庁との協議を本格化させ、今年中にグレーゾーン撤廃の具体的な方策をまとめる考えだ。
金融庁は当面の対策として、貸金業規制法の施行規則をこの夏に改正。顧客の返済が一度でも滞れば、業者が一括弁済を求めることができる特約については、先行的にグレーゾーン金利を適用できなくする。また、経済的に困窮している人への「過剰貸し付け」に明確な規制を設け、違反した業者は業務停止命令など行政処分の対象とする。
さらに、金融庁は、05年4月に閣議決定された「消費者基本計画」に基づき、貸金業全体を包括的に規制する「消費者信用法」(仮称)を2年後をめどに制定する方針だ。消費者金融や商工ローンなどを対象とした貸金業規制法は金融庁の管轄だが、クレジットカードなどの割賦販売法は経済産業省、利息制限法や出資法は法務省と縦割りとなっている業者規制を見直し、契約条件や取り立て行為への規制を統一的に整え、消費者保護を重視した制度に改めることが柱になる。
●グレーゾーン金利廃止で一致 金融庁貸金業懇が中間報告 4月22日 中日
消費者金融の規制強化などを議論する金融庁の有識者懇談会は二十一日、中間報告をまとめた。貸出金利の上限を20%に引き下げる方向としたほか、社会問題化している多重債務・過剰貸し付けで包括的な対策をとる内容になった。六月に最終報告をまとめて、秋からの関連法案の改正論議などに反映させる。
中間報告は、利息制限法の上限金利(年15-20%)と出資法の上限金利(29・2%)の間のグレーゾーン金利について、「廃止すべきだ」との認識で一致。その上で「利息制限法の水準に引き下げる方向で検討する意見が大勢」と明記した。一方、少額、短期の貸し付けについては、高金利を望む貸金業者側の意見も付記した。
金利を引き下げた場合は、融資を断られた人がヤミ金融に流れるのを防ぐため、公的支援を充実させたり、警察の取り締まりを強化して対応するようにした。
多重債務・過剰貸し付けの防止策では(1)悪質業者が参入しにくい制度づくり(2)たばこ並みの広告制限を加えるなど貸金業者の規制強化(3)過剰貸し付けをした業者に対する行政処分-などを盛り込んだ。
借り手の所得に見合った金融経済教育や多様な相談窓口の設置も盛り込んだ。複数社からの借り入れ情報を把握できる「信用情報機関」の有効活用にも言及した。
●灰色金利廃止で解散の方針決定・岩手県貸金業協会 日経 4月24日
岩手県貸金業協会は24日までに、出資法の上限金利(29.2%)が利息制限法の上限(15―20%)まで引き下げられ、いわゆるグレーゾーン金利が廃止された場合、解散する方針を決めた。出資法など関連法制が改正された後、総会を開いて正式決定するという。
同協会は同県内の消費者金融会社など122社で構成。業者が県や財務局に登録する際の受付業務は解散後、県に返上する見通し。同協会は「規制が強化されれば廃業する会員が増え、協会の存続が難しくなる」(大泉衆一会長)と話している。 (23:39)
●プロミス、「グレーゾーン金利」を当面継続 ニュース アイ 4月24日
消費者金融大手のプロミスは、最高裁で違法との判決が出た、20%を超える、いわゆるグレーゾーン金利での融資を当面は続ける考えを示しました。
プロミスは利息制限法が定める20%の上限金利を上回るグレーゾーン金利での融資について、返還請求の訴訟などに備えるため、来年3月期の決算で239億円の引当金を用意すると発表しました。
出資法では認められている29.2%以下での融資は「現時点では違法と決まったわけではない」との判断で当面は継続。金融庁などで現在進めている上限金利の見直しについて、法律改正などの結論が出た後で、改めて対応を検討する方針です。
一方、今年3月期の連結決算は、融資を回収できなかったために発生した貸倒費用が29%増えたことから、本業の利益を示す経常利益は46%余りの大幅な減少となっています。(24日21:52)
●高金利引下げ大集会in名古屋
詳しいことや参加申し込みは 4月12日のブログ
高金利引下げ大集会in名古屋
~サラ金・クレジットの高金利被害をなくそう~
★★★ どえりゃー高い金利をなんとかしよまい!! ★★★
日時 平成18年6月24日(土)
午後1:30から午後4:00
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やりましたね。金融庁がアイフル全店の一部もしくは大部分の営業・業務停止命令を、と。
昨日のクローズアップ現代 で高金利の問題をとりあげたし、名古屋では 6月24日に大集会 が企画されているし・・・・ 私の取り組みは、このブログのカテゴリー クレ・サラ・多重債務 をさかのぼってください。
ともかく、大規模訴訟を起こしている アイフル被害対策全国会議 が注目です。
「・・アイフルは,サラ金業者の中でも売上を伸ばし,チワワのCMなどソフトなイメージで顧客を獲得しております。しかし,その陰では執拗な取立行為や多重債務者への過剰な融資,不動産担保ローンによる高齢者や障害者などを含む連帯保証人からの不動産の収奪,取引履歴の不開示など様々な被害があることが分かってきました。・・」
そのWebのトップページは、テレビでよくやっているアイフルの宣伝、あのオジサンが犬を抱いた写真(模擬)と次のコピー。
家は取られました。 残ったのは, , , この子だけです。
今日の各社報道のキッカケとなった報道は 日経ネット
金融庁、アイフル全店の業務停止命令へ・3―25日間
金融庁は13日、消費者金融大手アイフルに対し、強引な取り立てが相次いだことを理由に、国内約1700のすべての営業店舗を対象に3―25日間の業務停止命令を出す方針を固めた。消費者金融大手に対して全店を対象に業務停止を命じるのは初めてで、異例の厳しい処分になる。消費者金融の規制強化の議論にも大きな影響を与えそうだ。
行政処分は14日にも発表する。強引な取り立てのほか、契約者から無断で委任状を取っていたことなどが貸金業規制法に違反したと判断したもよう。業務の停止は、違法な行為があった北海道や九州など5店が20―25日間、その他の全店が3日間。業務停止期間中も開店し、利用者の自主的な借金返済を受け付けるが、新規の貸し出しや勧誘、貸し出しの回収などそのほかのすべての業務ができなくなる。 (07:00)
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追記* これを投稿して約1時間後に、業者とおぼしきブログがこの記事にトラックバックしてきました。トラックバックのタイトルは『多重債務者必見 ためになる消費者金融一覧サイト』。 それで、そこのブログタイトルや冒頭部分を紹介し、記録しておきます。
ブログ・審査激甘!消費者金融一覧
審査激甘!消費者金融一覧 消費者金融・信販会社の一覧
OMCゼロプランカード(ハローキティ)
2006/04/13(木) 23:28:31 オーエムシーカード | トラックバック(0) | コメント(0)
OMCカード(ハローキティ)の7日間無利息キャッシング
7日間無利息キャッシング「ゼロプラン」を訴求したOMCカード(ハローキティVer.)
テーマ:インターネット申込/消費者金融 - ジャンル:ファイナンス
OMCが発行する妊娠中や育児中のママをサポートする「はっぴーママ」カード
・・・・・
私は、お返しにトラックバックしておきました。
インターネットでみると、困窮者向けの一見お助け風で、実は、悪質勧誘のブログやWebサイトが一杯あります。私は、以前から、それらのリストを作って、注意を喚起しようと思っています、ヒマができたらね(笑)
このブログの訴訟関係は、カテゴリー 行政訴訟
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6月24日の名古屋での大集会のことは、昨日 載せました。
そこに、「あす、NHKクローズアップ現代で放送」と、かおるさん からコメントいただきましたので、紹介します。
放送予定 (最初の放送後、すぐに次の番組組み案内に変わるみたいです)
4月13日(木)放送予定
どうなる消費者金融
~金利めぐる攻防~
総合 午後7時30分から7時56分
BS2 午後11時00分から11時26分
消費者金融会社に対して「払いすぎた借金を返して欲しい」という訴えが、全国で相次いでいる。焦点になっているのは「グレーゾーン金利」。利息制限法(年15~20%)を超えているにもかかわらず、出資法(年29.2%)の範囲にとどまるため、一定の条件の下で許されてきた利息分である。貸出残高11兆円にのぼる消費者金融では、グレーゾーン金利での貸付けが日常的に行われている。その一方で個人破産は20万件(2004年)に及んでいる。こうした中、金融庁ではグレーゾーンの廃止をにらんで、懇談会で議論を始めた。しかし、低い利息制限法に一本化すべきという意見と、逆に上限金利を下げたら、お金を借りられなくなる人が出て、ヤミ金融の被害が増えかねないという意見が真っ向から対立し、結論は出ていない。「グレーゾーン金利」の最前線を取材し、消費者金融の金利のあり方について考える。
(NO.2226)スタジオゲスト:柴田武男さん(聖学院大学教授)
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多重債務に熱心に取り組んでいる人から、「大規模な集会をするのでピーアールして欲しい」と、呼びかけがありました。 (転載、転送大歓迎)
(この部分13日朝追加⇒ クローズアップ現代で消費者金融問題・4月13日夜放送)
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高金利引下げ大集会in名古屋
~サラ金・クレジットの高金利被害をなくそう~
★★★ どえりゃー高い金利をなんとかしよまい!! ★★★
日時 平成18年6月24日(土)
午後1:30から午後4:00
(午後1:00開場)
会 場 中区役所ホール(名古屋市中区栄4-1-8)
会場の地図
市バス「栄」下車 徒歩3分
地下鉄「栄」下車 12番出口東50メートル 徒歩3分
基調講演
弁護士 宇 都 宮 健 児 氏
NHK「プロフェッショナル」出演
ヤミ金・金利問題のスペシャリスト
スケジュール
1:00 開場
1:30~2:30 開会・基調講演
2:40~4:00 リレー報告
報告者 金城学院大学人間科学部助教授 大 山 小 夜 氏 ほか
※集会閉会後午後4:30頃よりデモ又は街頭集会・署名活動実施(予定)
主 催 高金利引き下げを求める愛知連絡会
参加費 無料
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高金利引下げ大集会in名古屋・参加申込書締切6/20
住 所 〒
氏 名
電 話 - -
ファクス - -
所属団体 (差し支えなければご記入ください)
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集会事務局へ郵送又はファクス0586-48-4251にてお申し込み下さい。
【集会事務局】
〒491-0912 愛知県一宮市新生4丁目4番7号 サンシャインマンション1階
司法書士 福井武男事務所
電 話 0586-48-4250 ファクス 0586-48-4251
※上記申込書記載の内容は,高金利引き下げを求める愛知連絡会からの連絡,集会資料作成等に必要な範囲に限り利用いたします。
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私のどうしても見たいテレビ番組。
宇都宮健児という人、前から面白そうな人、と思っていました。
最近、サラ金問題にかかわると、より名前が目につきます。
NHKが今度、番組にして流すようです。
◆プロフェッショナル
仕事の流儀
「人生も仕事もやり直せる
~弁護士・宇都宮健児」
7日(火)後9:15~10:00
ヤミ金融と闘う人権派弁護士、宇都宮健児(59歳)。
生活苦からヤミ金融に手を出し、泥沼に陥った人々が最後の救いを求めて駆け込んでくる。宇都宮は20代のころ、人付き合いが苦手で、顧客を開拓できずに事務所を首になった。専門学校講師の仕事をしながら食いつないだ。そんな時、誰も面倒で手がけなかったサラ金問題の仕事に関わる。「人生はやり直せる」社会の敵に敢然と立ち向かう人権派弁護士の仕事に迫る。
予告・(順番に変わりますが) ←予告映像リンクや「再放送時間」の明示あり
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山県市の広報2月号で多重債務者問題の解説がされました。
もう全戸に届いているころでしょうか。
インターネットにも掲載されています。
広報のトップ (ここは毎月変わると思いますので2月中だけ)
なんと、表紙に続く「第2ページから4ページまで」の、A4版全3ページ。
2.3ページ 4ページ (固定リンク)
12月議会の一般質問で、広報について市は「前向きに検討する」と答えてくれていましたが、ここまでとは。
その報告や、答弁全文へのリンクあり
市は昨年9月に行われた 行政の多重債務者対策 についてのシンポにも幹部が出席して勉強してくれていました。
困窮者を作らないことやその対策への意欲があることは喜ばしいことです。
(後で、市長や部長にお礼を伝えたいと思います)
なお、2月4日(土)は名古屋で公開講座があります。
どなたでも参加できるそうです。
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多重債務の講座のご案内
「多重債務の現実を知る」
日 時:2月4日(土) 午前10時~12時
場 所:名古屋市教育館 第7研修室
講 師:白井康彦氏(中日新聞生活部記者)
会 費:800円(会員外1000円)
主 催:「女性を議会に! ネットワーク あいち・ぎふ・みえ」
地図と交通
地下鉄 栄駅 10B出口すぐ
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昨日1月13日、最高裁は、「期限守れなければ一括返済」という特約をした(普通は全てこの契約)場合の超過利息は違法と初めて判決しました。
● 消費者金融や商工ローンなど貸金業者の大半は「分割返済の期限を守らない時には、一括返済しなければならない」とする特約を結んだ上で、利息制限法の上限金利(年15~20%)を超える利息を徴収してきました。
● 利息制限法の上限を超える利息は本来無効ですが、出資法で刑事罰が科せられるのは年29.2%を超える高金利です。この中間の金利について、貸金業規制法は(1)返済期間や回数などを明示する(2)弁済の都度ただちに受領証を出す(3)任意の支払いであるという3要件を満たした場合に限り、「みなし弁済」として例外的に超過利息の徴収を認めています。
● 最高裁は、ローン契約で一般的な「分割返済の期日までに利息を支払わなければ、直ちに一括返済を求める」との特約について、「期日通りに約束した利息を支払わないと残った元本をすぐ一括して支払わなければならないうえ、遅延損害金も支払う義務を負うことになるという誤解を与え、上限を超える利息の支払いを事実上強制している」としました。
● また、返済の度に債務者に渡さなければならない受領証について、貸金業規制法が債務者がどの借金を返しているのか分かるように、「契約日や金額を書くこと」を求めているのに対し、内閣府令が契約番号だけでいいとしていることについても、「内閣府令を無効」とする初判断を示しました。
● この訴訟は、消費者金融大手「アイフル」傘下の商工ローン会社「シティズ」(京都市)が、鳥取県内の債務者と連帯保証人に、年利29%で貸し付けた300万円のうち、未返済の約190万円の支払いを求めたものです。
● 最高裁第二小法廷は、業者側勝訴とした1、2審判決を破棄し、超過利息の額などを審理するため、広島高裁に差し戻しました。
今回の判決で、特約を結んだケースでの超過利息の徴収は原則違法となるため、業者側は既に受け取った超過利息の返還など厳しい対応を迫られます。波及効果はきわめて大きいと見られます。
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岐阜県は多重債務110番を開設
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1月13日の判決の要点は以下のようです。
要旨:
1 貸金業法施行規則15条2項は法に適合せず無効
2 債務者が利息制限法所定の制限を超える約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の特約は無効
3 前記特約の下での制限超過部分の支払は任意とはいえない
内容:
件名 貸金請求事件 (最高裁判所 平成16年(受)第1518号 平成18年01月13日 第二小法廷判決 破棄差戻し)
原審 広島高等裁判所松江支部 (平成16年(ネ)第30号)
主 文
原判決を破棄する。
本件を広島高等裁判所に差し戻す。
理 由
第1 事案の概要
1 原審の確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
(2) 被上告人は,平成12年7月6日,上告人Y1に対し,300万円を,次の約定で貸し付け,上告人Y2は,同日,被上告人に対し,上告人Y1の本件貸付けに係る債務について連帯保証をした。
ア 利息 年29%(年365日の日割計算)
イ 遅延損害金 年29.2%(年365日の日割計算)
ウ 返済方法 平成12年8月から平成17年7月まで毎月20日に60回にわたって元金5万円ずつを経過利息と共に支払う。
エ 特約 上告人Y1は,元金又は利息の支払を遅滞したときには,当然に期限の利益を失い,被上告人に対して直ちに元利金を一時に支払う(以下「本件期限の利益喪失特約」という。)。
(3) 被上告人は,本件貸付けに係る契約を締結した際に,上告人Y1に対し,「貸付及び保証契約説明書」及び「償還表」と題する書面を交付した。
貸付及び保証契約説明書には,利息の利率を利息制限法1条1項所定の制限利率を超える年29%とする約定が記載された後に,本件期限の利益喪失特約につき,「元金又は利息の支払いを遅滞したとき(中略)は催告の手続きを要せずして期限の利益を失い直ちに元利金を一時に支払います。」と記載され,期限後に支払うべき遅延損害金の利率を同法4条1項所定の制限利率を超える年29.2%とする約定が記載されていた。
(4) 上告人Y1は,被上告人に対し,本件貸付けに係る債務の弁済として・・「入金額」欄記載の各金額を支払った。・・本件各受取証書には,貸金業の規制等に関する法律施行規則15条2項に基づき,法18条1項2号所定の契約年月日の記載に代えて,契約番号が記載されていた。
2 本件は,被上告人が,本件各弁済には法43条1項又は3項の規定が適用されるから,利息制限法1条1項又は4条1項に定める利息又は賠償額の予定の制限額を超える部分の支払も有効な債務の弁済とみなされるなどと主張して,上告人らに対し,本件貸付けの残元本189万4369円及び遅延損害金の支払を求める事案である。
3 原審は,本件各弁済には法43条1項又は3項の規定が適用されるとして,被上告人の請求を全部認容すべきものとした。
第3 上告受理申立て理由二(2)について
1 原審の判断は,次のとおりである。
施行規則15条2項は,貸金業者は,法18条1項の規定により交付すべき書面を作成するときは,当該弁済を受けた債権に係る貸付けの契約を契約番号その他により明示することをもって,同項2号所定の契約年月日の記載に代えることができる旨規定しているのであり,契約年月日の記載がなくとも,契約番号の記載により,弁済を受けた債権に係る貸付けの契約を特定するのに不足することはないから,契約年月日の記載に代えて契約番号が記載された本件各受取証書は,法18条1項所定の事項の記載に欠けるところはない。
2 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。
(1) 法18条1項が,貸金業者は,貸付けの契約に基づく債権の全部又は一部について弁済を受けたときは,同項各号に掲げる事項を記載した書面を当該弁済をした者に交付しなければならない旨を定めているのは,貸金業者の業務の適正な運営を確保し,資金需要者等の利益の保護を図るためであるから,同項の解釈にあたっては,文理を離れて緩やかな解釈をすることは許されないというべきである。・・同項6号に,「前各号に掲げるもののほか,内閣府令で定める事項」が掲げられている。・・同項は,交付すべき書面の記載事項は,同項1号から5号までに掲げる事項及び法定事項に追加して内閣府令で定める事項であることを規定するとともに,18条書面の交付方法の定めについて内閣府令に委任することを規定したものと解される。したがって,18条書面の記載事項について,内閣府令により他の事項の記載をもって法定事項の記載に代えることは許されないものというべきである。
(2) 上記内閣府令に該当する施行規則15条2項の・・規定のうち,当該弁済を受けた債権に係る貸付けの契約を契約番号その他により明示することをもって,法18条1項1号から3号までに掲げる事項の記載に代えることができる旨定めた部分は,他の事項の記載をもって法定事項の一部の記載に代えることを定めたものであるから,内閣府令に対する法の委任の範囲を逸脱した違法な規定として無効と解すべきである。
(3)法18条1項2号所定の契約年月日の記載に代えて契約番号が記載された本件各受取証書は,同項所定の事項の記載に欠けるところはないとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。
第4 上告受理申立て理由二(3)について
1 原審の判断は,次のとおりである。
貸金業者において法43条1項の規定に基づき取得を容認され得る約定利息の支払を債務者が怠った場合に期限の利益を喪失する旨の合意は,何ら不合理なものとはいえず,また,債務者が,この合意により,約定利息の支払を強制されることになるということはできないから,上告人Y1のした利息の制限額を超える額の金銭の支払は,同項にいう「利息として任意に支払った」ものということができる。
2 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。
(1) 法43条1項は,貸金業者が業として行う金銭消費貸借上の利息の契約に基づき,債務者が利息として支払った金銭の額が,利息の制限額を超える場合において,貸金業者が,貸金業に係る業務規制として定められた法17条1項及び18条1項所定の各要件を具備した各書面を交付する義務を遵守しているときには,その支払が任意に行われた場合に限って,例外的に,利息制限法1条1項の規定にかかわらず,制限超過部分の支払を有効な利息の債務の弁済とみなす旨を定めている。・・法の趣旨,目的(法1条)等にかんがみると・・適用要件は厳格に解釈すべきである。
そうすると,法43条1項にいう「債務者が利息として任意に支払った」とは,債務者が利息の契約に基づく利息の支払に充当されることを認識した上,自己の自由な意思によってこれを支払ったことをいい,・・債務者が,事実上にせよ強制を受けて利息の制限額を超える額の金銭の支払をした場合には,制限超過部分を自己の自由な意思によって支払ったものということはできず,法43条1項の規定の適用要件を欠くというべきである。
(2) ・・本件期限の利益喪失特約のうち,上告人Y1が支払期日に制限超過部分の支払を怠った場合に期限の利益を喪失するとする部分は,同項の趣旨に反して無効であり,上告人Y1は,支払期日に約定の元本及び利息の制限額を支払いさえすれば,制限超過部分の支払を怠ったとしても,期限の利益を喪失することはなく,支払期日に約定の元本又は利息の制限額の支払を怠った場合に限り,期限の利益を喪失するものと解するのが相当である。
そして,本件期限の利益喪失特約は,法律上は,上記のように一部無効であって,・・この特約の存在は,通常,債務者に対し,支払期日に約定の元本と共に制限超過部分を含む約定利息を支払わない限り,期限の利益を喪失し,残元本全額を直ちに一括して支払い,これに対する遅延損害金を支払うべき義務を負うことになるとの誤解を与え,その結果,このような不利益を回避するために,制限超過部分を支払うことを債務者に事実上強制することになるものというべきである。
したがって,本件期限の利益喪失特約の下で・・支払った場合には,・・上記特段の事情がない限り・・債務者が自己の自由な意思によって制限超過部分を支払ったものということはできない。
そうすると,本件において上記特段の事情の存否につき審理判断することなく,上告人Y1が任意に制限超過部分を支払ったとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,原判決は破棄を免れない。
第5 結論
以上のとおりであるから,原判決を破棄し,更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。
・・・・・・・・・・・・・・・
念のため 判決の概要
事件番号 平成16(受)1518
事件名 貸金請求事件
裁判年月日 平成18年01月13日
法廷名 最高裁判所第二小法廷
裁判種別 判決
結果 破棄差戻し
判例集巻・号・頁 第60巻1号1頁
原審裁判所名 広島高等裁判所 松江支部
原審事件番号 平成16(ネ)30
原審裁判年月日 平成16年06月18日
判示事項 1 貸金業の規制等に関する法律施行規則15条2項の法適合性
2 債務者が利息制限法所定の制限を超える約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の特約の効力
3 債務者が利息制限法所定の制限を超える約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の特約の下での制限超過部分の支払の任意性の有無
裁判要旨 1 貸金業法施行規則15条2項の法適合性
2 債務者が利息制限法所定の制限を超える約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の特約の効力
3 債務者が利息制限法所定の制限を超える約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の特約の下での制限超過部分の支払の任意性の有無
参照法条 (1~3につき)利息制限法1条1項
最高裁判決全文はこちら
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岐阜県が、多重債務110番を開設しました。
私は、山県市議会で 04年12月、続いて 05年12月 と一般質問し、無党派・市民派 自治体議員と市民のネットワークも 講演会 を開きました。
そんな現場からすると、嬉しいことです。
岐阜県の1月6日 発表
岐阜県では、多数寄せられる多重債務に関する相談に対応を図るため、県弁護士会、県司法書士会の協力を得て電話相談を開設します。
開設日:平成18年1月15日(日) 10:00~16:00
電話番号:058-265-0999
(岐阜県消費生活センター 岐阜市佐久間町4番地)
相 談 料:無 料
相談対応者:消費生活相談員、弁護士、司法書士
※当日は、多重債務に関する相談以外の受付は行いませんのでご注意ください。
※電話相談が基本ですが、来所での相談も受付けます。当日あらかじめ電話にてご予約ください。
問合せ先
岐阜県消費生活センター 058-265-0999
岐阜県県民生活安全室 058-272-1111 内線2392
ただ、今回については、一般の皆さんにどれだけ伝わっているかを少し懸念しますが・・
山県市では、大部分の世帯が加入している公営のテレビで、終日、字幕で流しています。インターネットで流さないのは残念ですが・・・
(写真をクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)
他の自治体では、 可児市 関市 中津川市 がインターネットで流しているようです。
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昨夜は毎月のニュースづくりに印刷。
夜9時半ころ済んだのでそれから、さっと夕食をつくりました。
(写真をクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)
ハイライトは、「薪ストーブで3日ことことしたニンジンと大根」と黒系の小松菜。
ニンジンは一晩で柔らかくなりました。が大根は、失敗。
なぜかというこのストーブの上は沸騰するほどの高温にはならないので、大根は一度先に火を通しておく必要がある、そういうことが分かりました。「ちょっと固め」だけなので、そのまま食べました。
小松菜は醤油やかつをに合うので、軸の部分を醤油とダシで十分煮ました。
上の葉は、湯通して(かごにあった期限切れの缶の)シーチキンとともに。結構、合います。
スティック・セニョールは、今日はレンジで3分。ブロッコリーというよりアスパラ、これは当たっていますね。
(他は、冷凍のホタテと牡蠣、煮豆)
ところで、明日3日は名古屋で講座があります。
お気軽にお越しください。
公開講座 行政の多重債務者対策の充実を!
多重債務の問題では全国で多くの人が悩み苦しんでおり、自殺、犯罪、夜逃げ、離婚などの悲劇が日常化していると言われます。が、サラ金の広告やCMの関係でマスコミ報道は抑制されています。債務者が危機的状況に陥る前に救済するシステムや体制が待たれ、実際に、「解決方法があることや相談先を教えてもらって本当に助かった」という人がたくさんいます。
自治体議員の立場にある人は、相談などを受けた経験のある人は少なくありません。しかし、的確なアドバイスが出来なかった、という苦い経験の人も多いでしょう。また、自治体にとっても、各種の税の滞納などによる歳入の欠損、場合によっては放棄せざるを得ない場合も少なくありません。自治体にとって、困窮者の救済と財源の確保は今や急務の課題です。
「行政の多重債務者対策を充実させる全国会議」は、行政に対策強化を訴えるシンポジウムを名古屋市内で開催しました(9月24日)。当事者の声とともに、行政関係者から見た現状、議会議員としての行動などのほか、弁護士から「サラ金会社への過払金を回収して税金の支払いに当てた実績」など興味ある報告がされました。そこで、このシンポ開催の裏方を務めた白井康彦さん(中日新聞記者)を講師として、課題への対応を学びたいと思います。
白井さんは「自治体が積極的にかかわって多くの多重債務者が窮地を脱すれば、多重債務が原因の自殺や犯罪、夜逃げ、離婚などが減る。」といいます。そして、早くから積極的に動いてきた鹿児島県・名瀬市の担当者の弁として「多重債務を脱した人が支出を増やすことによる経済刺激効果は無視できない。こうした人の税金、公営住宅家賃などの滞納が解消されることも自治体にはプラス」と説明する、と紹介しています。
中日新聞・生活面でときどき「多重債務」関係の特集を組むとそのたびに大きな反響があるそうです。そして当事者などから相談を受けた件数は1000件を越えるとのこと。
みなさま、ぜひお誘い合わせてご参加下さい。
2005年12月3日(土)午後2時から4時半
講師 白井康彦さん
(内容)
・多重債務者および対策の実態
・すぐにでき、そしてやってほしい議会での一般質問
・過払金回収で税金など滞納の整理もできる
・行政の体制づくり
・その他
(参加費) 無料(会場定員50人)
想定参加者(多重債務者、市民、行政関係者、議員)
於 名古屋市中区 東別院会館
(会場TEL 052-331-9576)
アクセス
市バス「東別院前」バス停降車→西へ徒歩3~5分
地下鉄名城線「東別院」駅下車→4番出口より上がって、西へ徒歩3分
主催 無党派・市民派 自治体議員と市民のネットワーク
(問い合わせ)
鈴木至彦・愛知県師勝町議
(TEL・FAX 0568-23-9130)
杉本信之・三重県鈴鹿市議
(TEL0593-83-2472 FAX-83-2490)
寺町知正・岐阜県山県市議
(TEL・FAX 0581-22-4989)
メールはこちら ⇒ tera-t@ktroad.ne.jp
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私は東海地区の無党派・市民派の市町の議員や市民と「無党派・市民派 自治体議員と市民のネットワーク(略称 自治ネット)」という集まりをもって勉強会などを行っています。
実は、 会のWebページ はヤフーの無料サイトを利用して即興で作っていました。ところが、ヤフーのシステム変更でこちらからページ編集画面にアクセスできなくなってしまい、2年間放置状態。(そのことも内容も)お恥ずかしい限り。
あらたなWebページづくりを会内で相談してきましたが、まとまりませんでした。誰が「世話」をするかもあって(笑)
そんな中で、今年1月、「ブログとも組み合わせたら」という意見が出て、試しに私もこのブログを2月に始めた、というのが私のホンネです。 ブログを始めた他のメンバー
この会で、先月、 愛知県の健康プラザ を利用して合宿をしました。
さすが裕福な愛知県。立派な施設が値打ちに借りられます。右の高い建物が宿泊・会議室棟で天然温泉つき。
(写真をクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)
そこで、当面の行事が決まったので、公開講座のご案内をいたします。
①多重債務者問題への取り組み(12月3日)
②ユニークな自治体の視察(1月中旬)
③公共事業改革を提案する建築会社「希望社」の社長・桑原さんの講演会開催(来年2月12日)
①と③はどなたでも参加できる公開で行います。
今日は、まず①をご案内します。
このブログも下記のチラシも転載・転送歓迎です。
PDF版 99KB テキスト版 4KB
公開講座 行政の多重債務者対策の充実を!
多重債務の問題では全国で多くの人が悩み苦しんでおり、自殺、犯罪、夜逃げ、離婚などの悲劇が日常化していると言われます。が、サラ金の広告やCMの関係でマスコミ報道は抑制されています。債務者が危機的状況に陥る前に救済するシステムや体制が待たれ、実際に、「解決方法があることや相談先を教えてもらって本当に助かった」という人がたくさんいます。
自治体議員の立場にある人は、相談などを受けた経験のある人は少なくありません。しかし、的確なアドバイスが出来なかった、という苦い経験の人も多いでしょう。また、自治体にとっても、各種の税の滞納などによる歳入の欠損、場合によっては放棄せざるを得ない場合も少なくありません。自治体にとって、困窮者の救済と財源の確保は今や急務の課題です。
「行政の多重債務者対策を充実させる全国会議」は、行政に対策強化を訴えるシンポジウムを名古屋市内で開催しました(9月24日)。当事者の声とともに、行政関係者から見た現状、議会議員としての行動などのほか、弁護士から「サラ金会社への過払金を回収して税金の支払いに当てた実績」など興味ある報告がされました。そこで、このシンポ開催の裏方を務めた白井康彦さん(中日新聞記者)を講師として、課題への対応を学びたいと思います。
白井さんは「自治体が積極的にかかわって多くの多重債務者が窮地を脱すれば、多重債務が原因の自殺や犯罪、夜逃げ、離婚などが減る。」といいます。そして、早くから積極的に動いてきた鹿児島県・名瀬市の担当者の弁として「多重債務を脱した人が支出を増やすことによる経済刺激効果は無視できない。こうした人の税金、公営住宅家賃などの滞納が解消されることも自治体にはプラス」と説明する、と紹介しています。
中日新聞・生活面でときどき「多重債務」関係の特集を組むとそのたびに大きな反響があるそうです。そして当事者などから相談を受けた件数は1000件を越えるとのこと。
みなさま、ぜひお誘い合わせてご参加下さい。
2005年12月3日(土)午後2時から4時半
講師 白井康彦さん
(内容)
・多重債務者および対策の実態
・すぐにでき、そしてやってほしい議会での一般質問
・過払金回収で税金など滞納の整理もできる
・行政の体制づくり
・その他
(参加費) 無料(会場定員50人)
想定参加者(多重債務者、市民、行政関係者、議員)
於 名古屋市中区 東別院会館
(会場TEL 052-331-9576)
アクセス
市バス「東別院前」バス停降車→西へ徒歩3~5分
地下鉄名城線「東別院」駅下車→4番出口より上がって、西へ徒歩3分
主催 無党派・市民派 自治体議員と市民のネットワーク
(問い合わせ)
鈴木至彦・愛知県師勝町議
(TEL・FAX 0568-23-9130)
杉本信之・三重県鈴鹿市議
(TEL0593-83-2472 FAX-83-2490)
寺町知正・岐阜県山県市議
(TEL・FAX 0581-22-4989)
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多重債務者問題*シリーズ①
消費者金融(サラ金)会社や信販会社など数社から借金して返済に行き詰まる多重債務者が増え続けています。自己破産する個人は、国民の500人に1人とか。破産予備軍はそれより一桁位多いともいわれます。
多重債務者になると、本人だけでなく、家族の生活も困窮してしまいます。
私のところにも、相談が何度かありました。交通整理をしてあげたり、弁護士のところに一緒にいったり、法廷に付き添ったこともあります。
それらケースのいつくかをブログでときどき紹介し、対応や一助としたいと思っていたところ、ちょうど、多重債務者の救済と行政の役割についてのシンポが開かれます。シンポは今度の土曜日、9月24日。そこで、第一回は、シンポの案内にしました。
私は、昨年の12月議会でこの問題を一般質問しました。
2004年12月議会の一般質問と答弁
山県市は、すぐできることとして、とりあえずは公報で周知したらということを受けて、「市の広報・くらしのカレンダー」のページの「弁護士相談」のところに「※多重債務関係の相談は弁護士相談で受付ます」と目立つよう触れています9月号・公報・28ページ PDF版
部長には、行政対応のことだから参加して勉強してはどうか、と伝えておきました。
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「行政の多重債務者対策を充実させる全国会議」シンポジウム
多重債務者の救済に行政が積極的にかかわるよう求めている弁護士、司法書士などでつくる「行政の多重債務者対策を充実させる全国会議」が、9月24日午後1時から、名古屋市中区大須2の名古屋中小企業福祉会館でシンポジウムを開きます。
講師・パネラーは、金城学院大学の大山小夜助教授や弁護士の森弘典さん、中日新聞の白井康彦記者など。
全国で多くの人が悩み苦しんでおり、自殺、犯罪、夜逃げ、離婚などの悲劇が日常化しているとききます。しかし、サラ金の広告やCMをマスコミが大量に流していることもあって、この問題のマスコミ報道は抑制されています。
シンポジウムでは、この問題の最前線で活動している人たちが報告。
ホームレス問題なども合わせた議論も展開し、この問題に行政がかかわることの必要性を訴えます。
みなさま、ぜひお誘い合わせてご参加下さい。
以下は、行政充実対策会議シンポジウム(9月24日開催)についての、中日新聞9月15日付記事です。
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多重債務者の救済
気軽に相談できるホットライン常設
消費者金融やクレジットの使いすぎで返済に行き詰まる多重債務者が、自殺したり犯罪を起こしたりする悲劇が絶えない。そんな中で「多重債務者の救済に自治体も積極的にかかわるべきだ」という声が弁護士や司法書士の間で強まっている。地方議会でも多重債務者対策の充実を促す質問が相次いでおり、対策強化を模索し始めた自治体もある。 (白井 康彦)
「返すために借りる自転車操業を五年間していました。内証の借金だったので、相談機関にも行きにくかったのです」
首都圏の学者、司法書士、消費生活アドバイザーらでつくる「多重債務者問題研究会」が八月二十日に名古屋市内で開いたフォーラムで、東海地方に住む主婦A子さん(51)が体験を打ち明けた。
生活苦から二十二年前、消費者金融に手を出した。次第に借入先が増え、昨年春には四社への借金残高が約三百五十万円に膨れ上がっていた。
本紙生活面の多重債務に関する記事を読んだことがきっかけで、相談機関に駆け込んだ。特定調停や過払い金返還請求訴訟といった方法で借金地獄から脱出。「解決方法があることや相談先を教えてもらって本当に助かりました」と振り返る。
多重債務の解決策には破産、個人再生、特定調停などがあり、弁護士会や司法書士会、市民団体などの相談機関も各地にある。ただ、法的手続きに無知な人が多く、弁護士会や司法書士会への心理的な「敷居の高さ」もあって、悩みを抱え込んでしまう人が多い。
こうした状況の解消策として多重債務者問題研究会が提唱しているのが常設の「多重債務者ホットライン」の設置だ。運営するのは、自治体から委託を受けたNPOまたは自治体自身。
相談電話が入ったら解決方法を分かりやすく説明し、必要なときは弁護士会や司法書士会などを紹介する。ホットラインの電話番号は住民に広く知らせ、気軽に相談できるようにする。
既に対策強化を打ち出している自治体もある。長野県は、県や県弁護士会、県司法書士会などで構成する長野県多重債務問題研究会の会合を昨年七月から繰り返し開き、多重債務者の救済を進める方策を練っている。
鹿児島県奄美大島の名瀬市では、市民生活係長の禧久孝一さんらが十数年前から多重債務者の相談に乗っている。解決策を詳しく説明。裁判所への付き添いといったところまで援助する。
自治体が積極的にかかわって多くの多重債務者が窮地を脱すれば、多重債務が原因の自殺や犯罪、夜逃げ、離婚などが減る。禧久さんは「多重債務を脱した人が支出を増やすことによる経済刺激効果が無視できない。こうした人の税金、公営住宅家賃などの滞納が解消されることも自治体にはプラス」と説明する。
多重債務者対策の強化を求める議会質問は昨年から今年にかけて、愛知県、愛知県豊明市、岐阜県、岐阜県山県市、香川県と相次いでいる。
愛知県は議会質問を受けて、県が設置している貸金業対策連絡会議の中に多重債務問題部会を置き、その第一回の会合を今月七日に開いた。県の関係各部、県警、県弁護士会、県司法書士会などがメンバー。県は「多重債務の解決方法を解説し相談先を網羅したパンフレットを作りたい」と、当面の方針を説明した。
愛知県警は議会答弁で、県内で昨年、借金など経済生活問題を苦にして自殺した人が三百十一人、借金返済を動機とした犯罪が四百八十件に上ったと明らかにした。
景気がいい愛知県ですら、この深刻さ。多重債務者の救済に当たっている人たちの「自治体も積極的にかかわって」という声は悲鳴に近い。
× × × ×
全国各地の弁護士や司法書士らでつくる「行政の多重債務者対策を充実させる全国会議」は二十四日午後一時から、名古屋市中区大須2の名古屋中小企業福祉会館で、行政に対策強化を訴えるシンポジウムを開く。
多重債務やホームレスの問題に詳しい学者、弁護士、司法書士らがパネリスト。資料代五百円。
中日新聞9月15日付記事
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