Sunday Song Book #1190

2015年08月02日 | Sunday Song Book

2015年08月02日プレイリスト
「SONGS-40TH ANNIVERSARY ULTIMATE EDITION- 特集」
1. いつも通り / シュガー・ベイブ "ソングス" '75
2. 今日はなんだか / シュガー・ベイブ "ソングス" '75
3. 雨は手のひらにいっぱい / シュガー・ベイブ "ソングス" '75
4. 過ぎ去りし日々 / シュガー・ベイブ "ソングス" '75
5. SUGAR / シュガー・ベイブ "ソングス" '75
6. 新春放談 with 大瀧詠一 06/01/01
7. ナショナルまきまきカール "山下達郎CM全集 Vol.1" '75
8. すてきなメロディー(REMIX)/ シュガー・ベイブ "ソングス" '75
9. パレード(LIVE)/ シュガー・ベイブ 76/04/01 荻窪ロフト
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■内容の一部を抜粋
・近況
先週は休みをもらって大阪の国立文楽劇場で文楽を鑑賞したそうだ。「『生写朝顔話(しょううつしあさがおばなし)』観てまいりました。桐竹勘十郎さんの萩の祐仙という医者の役が本当に素晴らしくて、人形が命を持つというか、そういう瞬間が。本当に感動いたしました。また、来月も行ければなと思っております。あまり仕事しないでそんなことばかりしてもしょうがないんですが」と達郎さん。ちょっとのんびりして今週もあまり忙しくないとか。
いよいよ今週はシュガーベイブの『SONGS』40周年記念盤『SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition-』が8月5日に発売になる。今回は40周年なので取材はあまりしなくてもいいかなと思っていたそうだが、雑誌取材、最近はインターネット関係のウェブ・インタビューがあって、雑誌みたいに文字数の際限がないので「てにをは」を直す原稿直しにものすごく時間がかかるのだとか。インタビューは喋り言葉がそのまま記事になるので、そのままだとぞんざいなものにしかならず、思いつきのまま話した内容を直すのに時間がかかってヒイヒイ言ってるという。

・SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition- 特集
先週に引き続いて『SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition-』特集。達郎さんは今年デビュー40周年。いちばん最初に所属したグループ、シュガーベイブのただ一枚だけのアルバム『SONGS』は1975年4月25日にリリース。ナイアガラ・レーベル第一弾アルバムとして発売された『SONGS』も今年で40周年を迎えた。先週は『SONGS』のアナログのA面を特集して、今週はアナログのB面とリミックス・ヴァージョン。できたらボーナス・トラックの紹介。

先日、natalieというウェブの取材を受けたときのこと。「戦後70年で『SONGS』が40周年ってすごいですねって、それかなりビビリましたね。そうか、そうだったのか!」と達郎さん。出たときは22歳だった。

・いつも通り
『SONGS』のアナログB面の一曲目は大貫妙子さんの「いつも通り」。シュガーベイブのメンバーとして曲を作っていくうちに曲作りに目覚めて大貫妙子調という独特の作風が開花した一作。メロディの進行とコードの転調のセンスがユニークで特にフックのところの展開が素晴らしいと達郎さん。生まれてはじめてストリングスを書いた曲で、このころはまだ慣れてなくて一所懸命やったそうだ。コーラスと同じでラインを考えることがそんなに苦じゃなかった、コーラスをやっていたのが幸いしたとか。

『SONGS』のリマスター、リミックスをやって感じたのはバンドのアルバムというよりかは作家的、編曲家的なアルバムで、レコーディング中にドラマーを変えて複数のドラマーで演奏、バンドでありながらストリングスが入ってるし、ブラス入ってる不思議な作品で、結果的に曲調が多岐にわたっていてワンパターンではないアルバムに仕上がってる。

B面の二曲目は「すてきなメロディー」。達郎さんと大貫さんの双頭ヴォーカル。男性ヴォーカルと女性ヴォーカルのバンドだったのでデュエットをやろうということになり、レコーディングがはじまってから作った曲。
リマスターは1975年に製作したステレオのマスター・テープを現代的なEQをかけたり、コンプをかけたり、いろいろな付帯機器で音質補正をするというもの。リミックスというのはオリジナルの16トラックのアナログ・マルチテープからもう一度バランスをとって、エコーをかけ直して新しいステレオ・マスターを作ることをいう。
今回はリミックス・ヴァージョンをオンエアするので後回し。

・今日はなんだか
B面の三曲目は「今日はなんだか」。ライヴをやってる中でバラード、ミッドテンポ、スローテンポの曲が多かったので、アップテンポというか賑やかな曲をやろうということで達郎さんが書いた曲。ライヴ向きに作ったのでレコーディングでは歌が硬い、態度が硬い感じがするとか。「これは今でもライヴでよくやります。結構好きな曲でライヴではもう大幅にもっとテンポ・アップします。今年もやりたいなとは思ったりしています」と達郎さん。

・雨は手のひらにいっぱい
四曲目は「雨は手のひらにいっぱい」。もともとは8ビートのサザン・ポップ、B.J.トーマスとかトニー・ジョー・ホワイトとかいう感じで作った曲。大滝詠一さんがこれをウォール・オブ・サウンドでやってみようというアイディアを出して、スタジオの中で急遽アレンジを変えて、ライヴでは達郎さんがギターを弾いて演奏していたがアコースティック・ピアノに回り、大貫さんがエレピを演奏した。『SONGS』の中では珍しいキーボード主体のアレンジになった。ストリングスまで入れてウォール・オブ・サウンド風に作った。下北沢あたりの狭いバス通りを歩いていて、バスが水をはねあげながら走っているのを見てインスパイアされて作った曲。『SONGS』は当時のロック・メディアにはあまりいい評価を受けなくて、いわれなき批判をずいぶん受けて、まだ21、22歳で若く落ち込んでいたところ、当時の事務所のマネージャーは浅川マキさんの元マネージャーで、浅川マキさんから「今時こんなバスなんて言葉使う子はなかなかめずらしいわよ。あなた頑張りなさい」と褒めてもらいすごく救われたとか。その浅川マキさんもお亡くなりになった。達郎さんは個人的にアルバム『SONGS』のベスト・トラックだと思ってるそうだ。

・過ぎ去りし日々
大貫妙子さんの曲は転調とメロディ・ラインの意外性を優先して作った。達郎さんは同じパターンを延々と繰り返すパターン・ミュージックが好きで「過ぎ去りし日々」はもともとギター一本ではじめて延々と続く典型的なパターン・ミュージック。これが高じてのちの「BOMBER」とか全部そういうパターンになってる。この時代からやっている。ニューヨーク・テイストの曲で、ちょっと60'sテイストの曲なので伊藤銀次さんが既成の曲のタイトルを織り込んで行く手法を取り入れてアメリカのヒット・ソングのタイトルを取り入れつつ歌詞を書いた。今回のリマスターは音が生々しいのでエレックのスタジオの情景が目に浮かぶという。「しかし声が尖ってますね、本当に。21歳の生意気盛りの声がしとりますね。だいぶ丸くなりましたが」と達郎さん。

・SUGAR
B面のラストは「SUGAR」。ライヴで映える曲として書いたがあまり受けなかった。この曲もパターン・ミュージック。インストゥルメンタルだがあいだに歌がちょっと入る。大滝さんはじめ布谷文夫さん、スタッフが騒ぎに騒いでクレイジーなテイクになった。発売当時はいろいろと物議を醸したが今となってはいい思い出。

・SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition-
DISC 1は『SONGS』の2015年最新リマスター。DISC 2はオリジナルの16トラックのアナログ・マルチテープからもう一度リミックスしたリミックス・ヴァージョン。この二枚組にボーナス・トラック、ライヴ、カラオケ、その他を入れるだけで入れて全37トラック、『SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition-』として発売。二枚組になったのでライナー・ノーツを新規書き直して、写真、資料、トータル40ページ以上のブックレットを封入する。アナログ盤も同日8月5日発売。180g重量盤二枚組仕様。

・SUGAR BABE 40周年記念
ワーナーの山下達郎スペシャル・サイトでは「竹内まりや 佐橋佳幸 スペシャル・アンケート」、1975年に渋谷のヤマハで行われたシュガーベイブ店頭ライヴを観たふたり。佐橋さんは中学生、まりやさんは大学生だった。それに引き続いて「山下達郎 × 大貫妙子スペシャル対談」が掲載されている。近々、達郎さんのインタビューがアップされる予定。
http://wmg.jp/tatsuro/

・Tatsuro Yamashita 40th Anniversaryサンデー・ソングブック増刊号~シュガー・ベイブ スペシャル~
8月9日よる7時からJFN系列38局ネットで『SONGS』の特別番組「Tatsuro Yamashita 40th Anniversaryサンデー・ソングブック増刊号~シュガー・ベイブ スペシャル~」が放送されることになった。出演は達郎さんと鈴木万由香さん。浜田省吾さん、サンボマスターの山口隆さん、OKAMOTO'Sのハマ・オカモトさんからのメッセージ、『SONGS』についてのコメントを交えてオンエア。AIR-G'は午後8時から、FMぐんま、広島、愛媛はよる9時、沖縄はよる10時、FM長崎は10日よる7時から。
詳しい情報はワーナーの山下達郎のサイトで。
http://wmg.jp/tatsuro/

『SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition-』のDISC 2は『SONGS』のリミックス・ヴァージョン。オリジナルの16トラックのアナログ・マルチテープからミックス・ダウンして2トラックのステレオ・マスターを作る同じ作業をもう一度行った。リミックスは元のソースとは似て非なるものを作るのだが、今回はオリジナル・マスターとはほとんど違わない近似的なミックスを作ろうという目的ではじめた。いろいろと理由はあるが将来のハイレゾとかストリーミングというメディアに即応するためで、CDは44.1kHzの16bitだが今回のリミックスは48kHzの24bitという少しハイエンドなもので、これで来るべき事態に備えようというのがいちばんの目的。達郎さんがリミックスをそれほど好きじゃないのは同じソースとは違う聴感なものがあまり欲しくないということだった。リミックスはオリジナルのマルチトラックがなければできない。『SONGS』のオリジナル・マルチトラックは行方不明だったが、『SONGS』の30周年記念盤のときに大滝さんが新春放談でそのことに触れている。

・新春放談 with 大瀧詠一 06/01/01
達郎「こっちの16トラックのマスターは、僕はひところ紛失したって聞いてたんですよ。'70年代」

大滝「16? ありますよ」

達郎「だからいつ頃から... それははじめからずっとあったもの?」

大滝「いや一回どっかで無くなったっていう噂があって。今はちゃんとナイアガラ・エンタープライズが保管してあります」

達郎「なるほど。あの... 訊くまで知らなかった(笑)」

大滝「30周年が終わって、また更に山下くんのリミックスとかいうのが40年目にあってもいいんじゃないかなという意味合いで。今回は30周年でナイアガラ・レーベルの30周年ということでやらしていただきました。あのー、エンジニアの笛吹童子といたしましては僕を使ってくれたのは山下くんと大森さんだけなんですよ」

達郎「そうそう(笑)」

大滝「大森さんは僕がやるから仕方なくやったんだと思うんだけど(笑)。で要するにこれ以外でも使ってもらったのは山下くんだけなんですよ」

達郎「あぁ、そうなんだ」

大滝「あの、まきまきカールと、あの、電リク'75」

達郎「そういえばそうでしたね。電リク'75、200トンの雨のもと」

大滝「ふむ(笑)。電リク'80まで録ったんだけど'78年くらいで終わったんだよね、電リク。あれ持ってないんですか、音?」

達郎「あれ、マスターが紛失してるんですよ」

大滝「あっ、そう。あのター坊の、電リク...」

大滝・達郎「はちじゅう~」

達郎「よかったですよね(笑)」

大滝「ふふふ」

達郎「そうなんだ」

大滝「おかしい(笑)」

「テンポ間が同じだという。久しぶりに聴きますと」と達郎さん。今回の『SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition-』ライナーでは大滝詠一さんのエンジニア笛吹童子としての側面をかなり掘り下げて書いてるという。CMのときに何回か大滝さんにエンジニアをお願いしたことがあるそうだ。

・ナショナルまきまきカール
1975年のナショナルのヘアドライヤー「まきまきカール」というCMソングを笛木童子さんにミックスしてもらった。ちゃんと『SONGS』と同じ音している。演奏は上原裕さん、寺尾次郎さん、村松邦男さんのギター、達郎さんがキーボード、ター坊がコーラス。

大滝詠一さんがミックスしたおかげで他の同時代のロックのレコードちょっと音が違うことがプラスに作用して『SONGS』というアルバムは特殊な響きをしている。

・すてきなメロディー(REMIX)
リミックス・ヴァージョン。ラジオで『SONGS』について何の知識もなく聴いたら、聴き比べたら一体どこが違うのかというぐらい似ている。間奏にもともとカズーが入ってたけれど本チャンでは消えてる。大滝さんが間違って消してしまったとか。それを大滝さんが持っていた仮ミックスのテープから抜き出してカズーを復活させた。『TASURO FROM NIAGARA』のボーナス・トラックに入ってた幻のカズー・ヴァージョンから抜き出して40年ぶりにカズー入りのリミックス・ヴァージョンが作ることができた。

・パレード(LIVE)
『SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition-』のボーナス・トラックで「パレード(LIVE)」。1976年4月1日に荻窪ロフトで行われたシュガーベイブの解散ライヴから。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係

08月09日は「納涼リクエスト大会」
http://www.tatsuro.co.jp
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