Sunday Song Book #1189

2015年07月26日 | Sunday Song Book

2015年07月26日プレイリスト
「SONGS-40TH ANNIVERSARY ULTIMATE EDITION- 特集」
1. DON'T WORRY BABY / ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY '72
2. ココナツ・ホリデー / ココナツ・バンク "73.9.21 ライブ / はっぴえんど" '73
3. パレード(DEMO) / SUGAR BABE
4. 想い / SUGAR BABE '74/4/16 池袋シアターグリーン
5. SHOW / SUGAR BABE "ソングス" '75
6. DOWNTOWN / SUGAR BABE "ソングス" '75
7. 蜃気楼の街 / SUGAR BABE "ソングス" '75
8. 風の世界 / SUGAR BABE "ソングス" '75
9. ため息ばかり / SUGAR BABE "ソングス" '75
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■内容の一部を抜粋
・近況
先週から仕事が立て込んできて番組は久しぶりに前倒しで収録しているそうだ。

・SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition-
達郎さんは今年デビュー40周年。いちばん最初に所属したグループ、シュガーベイブのただ一枚だけのアルバム『SONGS』は1975年4月25日にリリース。ナイアガラ・レーベル第一弾アルバムとして発売された『SONGS』も今年で40周年を迎えた。CD化してこれまで何度かデジタル・リマスターで再発されてきた。40年の時を経て今年は40周年記念盤を出すことになり、8月5日に『SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition-』としてリマスター、リイシュー。DISC 1は『SONGS』の2015年最新リマスター。DISC 2はオリジナルの16トラックのアナログ・マルチテープからもう一度リミックスしたリミックス・ヴァージョン。当初はプロモーションをするつもりはなかったが、いろいろウェブや新聞、雑誌の取材、いつものオリジナル・アルバムほどではないとしても、ずいぶん今回も取材を行い、自分の番組で聴いてもらうのがいちばんいいだろうということで、今週来週の二週間は『SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition-』を特集することになった。達郎さん自身が40周年なので、ほんの少しだけ「HISTORY OF TATSURO YAMASHITA」みたいなことを絡めつつ、如何なる経過で大貫さんと一緒にシュガーベイブをやって『SONGS』というアルバムに至るかを話しつつ、『SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition-』の内容を喋る。今週は『SONGS』に至るまでの経過、そして『SONGS』が発売されてからの、『SONGS』の具体的な内容、来週はリマスターからリミックス、そしてボーナス・トラック、今回の『SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition-』の細かい内容まで、純粋に音楽的な話を中心に特集する。

達郎さんは中学からアマチュア・バンドを作って高校までやっていた。大学に入るときに、それまでやっていた活動を記念して自主制作を作った。『ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY』というタイトルのアルバムでグループの名前はなかった。ちょっとオタクな集団だったので、当時日本では人気がどん底だったビーチボーイズのカヴァーのアナログ盤、A面がビーチボーイズのカヴァー、B面がドゥーワップとかロックンロール・ソングのカヴァーで100枚自主制作盤を作った。ここから全ての音楽家としての人生がはじまる。

・DON'T WORRY BABY
1972年、達郎さんが19歳のとき友人と作った自主制作盤『ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY』からビーチボーイズのカヴァーで「DON'T WORRY BABY」。アルバム『ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY』は山下達郎オフィシャル・ファンクラブで通販で販売している。

このアルバム『ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY』をきっかけにして二つの道ができた。
当時、四谷にあったディスクチャートというロック喫茶で『ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY』を聴かせたところ、仲よくなった友達がいて、その友人がシュガーベイブの初代のマネージャーになる。ここで毎週一回、お店がはねた深夜にセッションをやっていて、そのセッションに遊びに来ないかということで行ったら、アマチュアのミュージシャンがたくさん集っていて、その中に大貫妙子さんがいて、みんなで大貫妙子さんをデビューさせるべく、彼女の作品をアレンジしたり演奏したりというようなことをセッションで行っていた。そのときの大貫さんの曲が「午后の休息」でファースト・アルバム『GREY SKIES』に入ってる曲、すごくいい曲で大貫妙子さんの歌はひじょうに個性があったので、達郎さんもその仲間に加わりいろんなことを手伝ってるうちに、大貫さんから「バンドをやろうか」というそういう話になった。メンバーは『ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY』を一緒にやっていたメンバー、そこで働いていたメンバーが合わさって5人組のシュガーベイブというバンドができた。1973年のこと。
1973年の同じ時期に『ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY』が高円寺のロック喫茶でかかっていた。達郎さんの友人のミュージシャンにアンプを借りて、そのお礼に一枚あげたアルバムが回り回って高円寺のロック喫茶でかかっていたのを、たまたま居合わせた伊藤銀次さんが聴いた。当時、福生に住んでココナツ・バンクというバンドをやっていた。大瀧詠一さんにプロデュースを仰いで福生に住んでいたが、ここで大滝さんにこの自主制作盤が渡ることになった。
1973年の夏の話で、折しも大滝さんははっぴいえんどを解散して、9月21日にはっぴいえんどの解散コンサートを行うことになっていた。はっぴいえんどの4人がそれぞれ分かれて細野晴臣さんと鈴木茂さんはキャラメルママ(後のティン・パン・アレイ)を結成。松本隆さんはドラマーから作詞家への道というものを模索している時代。大滝詠一さんは1973年にソロ・アルバムを出した後にコマーシャルいろいろその他をやっていた時期。大滝さんは「9.21」と呼ばれる解散コンサートで伊藤銀次さんのココナツ・バンクをバックにソロ作品、CM作品そういうものをやったが、達郎さんと大貫妙子さんとギターの村松邦男さんが3人で参加して、シュガーベイブというクレジットで参加してバック・コーラスをやった。これがはっぴいえんどの解散ライヴで今でも残っている『73.9.21 ライブ』に収録されている。

・ココナツ・ホリデー
伊藤銀次さんと大滝詠一さんの共作で「ココナツ・ホリデー」。1973年9月21日はっぴいえんど解散ライヴから大滝詠一 with ココナツ・バンク with シュガーベイブ。裏声で気張ってるのが達郎さん。ここでシュガーベイブという名前が当時の日本のフォーク、ロックのメディアに認知された記念すべき一日。昨年のマニアック・ツアーでも「ココナツ・ホリデー」は演奏されたし、20年前の「SINGS SUGAR BABE」でもやってる。機会があればまた演奏したいとのこと。

はっぴいえんど解散ライヴから大滝詠一さんのプロジェクトに参加することとなった。大滝さんはナイアガラ・レーベルを立ち上げたばかりで、第一弾としてココナツ・バンクがデビューする予定だったが、ココナツ・バンクは解散してしまったのでシュガーベイブに白羽の矢が立った。ナイアガラ・レーベルの第一弾としてシュガーベイブがデビューする準備が出来上がった。1974年のこと。1974年の4月に準備段階としてシュガーベイブはニッポン放送(JOLF)のスタジオで4曲デモ・テープを録音する。これを「LFデモ」という。『SONGS』が1994年にリマスターでリイシューされたときボーナス・トラックとして収録した。2005年に大滝詠一さんが自らリマスタリングされたところにもこのデモは収録された。2回ボーナス・トラックで収録されたので今回の『SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition-』には入ってない。

・パレード(DEMO)
1974年の4月に行われたLFデモから「パレード」。4トラックでレコーディングされたもの。エンジニアは大滝詠一さん。

こんなふうな具合でシュガーベイブのレコーディングの準備が整ってきた。ライヴも1974年から活発にできるようになってきた。その頃はライヴを行う場があまりなくて、一時代前のグループ・サウンズのライヴ会場だったナイト・クラブが発展したかたちのところかディスコ、目的が違ったけれどそういう場がなかった。しかし1974年ごろからだんだんそういう場ができてきて、その中の一つに池袋のシアター・グリーンというもともとは芝居小屋だったところにレコード会社が出資して、「ホーボーズ・コンサート」という当時の日本のロック・バンド、フォーク・シンガーが定期的にライヴができる会場として提供され、シュガーベイブも出演した。そのときのライヴから2ミックスで状態が悪いが録音したそういうレコーディングがある。

・想い
1974年4月16日にシアター・グリーンでレコーディング。2005年の『SONGS』30周年記念盤にボーナス・トラックとして収録されている「想い」。

いよいよデビュー・アルバムのレコーディングが1974年の9月からスタート。

・SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition-
DISC 1は『SONGS』の2015年最新リマスター。DISC 2はオリジナルの16トラックのアナログ・マルチテープからもう一度リミックスしたリミックス・ヴァージョン。この二枚組にボーナス・トラック、ライヴ、カラオケ、その他を入れるだけで入れて全37トラック、『SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition-』として発売。二枚組になったのでライナー・ノーツを新規書き直して、写真、資料、トータル40ページ以上のブックレットを封入する。アナログ盤も同日8月5日発売。180g重量盤二枚組仕様。詳しい情報はワーナーの山下達郎のサイトで。
http://wmg.jp/tatsuro/

・W購入特典
『SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition-』はCDがワーナーミュージック・ジャパンでアナログ盤はソニーミュージック・レコーズから発売されるが、この2タイトル購入者を対象に応募抽選で400名に非売品の「DOWN TOWN」復刻アナログ・シングルをプレゼント。詳しくはCD、もしくはアナログ盤の封入のチラシでご確認をとのこと。

・Tatsuro Yamashita 40th Anniversaryサンデー・ソングブック増刊号~シュガー・ベイブ スペシャル~
8月9日よる7時からJFN系列38局ネットで『SONGS』の特別番組「Tatsuro Yamashita 40th Anniversaryサンデー・ソングブック増刊号~シュガー・ベイブ スペシャル~」が放送されることになった。達郎さん以外のいろいろな方からのコメントを交えて放送する。浜田省吾さん、サンボマスターの山口隆さん、OKAMOTO'Sのハマ・オカモトさんが『SONGS』について語っているそうだ。出演は達郎さんと鈴木万由香さん。AIR-G'は午後8時から、FMぐんま、広島、愛媛はよる9時、沖縄はよる10時、FM長崎は10日よる7時から。
詳しい情報はワーナーの山下達郎のサイトで。
http://wmg.jp/tatsuro/

シュガーベイブはレコーディングの途中でメンバーが変わってドラムが複数になっている。バンドの演奏なのにブラスとか弦が入ってるので、割と作家的なアルバムになっている。曲を書いてるのは達郎さんと大貫妙子さんの二人に、ギターの村松邦男さんの作品も入っていて、作風が多岐に渡っているという特徴がある。ロックというよりかはどちらかというとミドル・オブ・ザ・ロードのアルバムなので、同時代のバンドより曲調が広範になっている。当時としてはそういう音を出してるバンドは他になかったので、あるところではひじょうにカルトな評価を受けたが、あるところでは全く的外れの評価もあった。

・SHOW
『SONGS』のA面の一曲目「SHOW」。2015年リマスター・ヴァージョン。

達郎さんも大貫妙子さんもほとんど洋楽で育ったので、洋楽的な曲を作ろうという当時の日本の'70年代の頭、昭和歌謡と呼ばれるものからだんだん洋楽的なものにシフトが移っていくという時代。ジャズ、ボサノバのコード進行のモダンさ、日本の歌謡界の趨勢としてコードが難しくなればメロディが複雑になって売れにくいし、普通の人が歌えない、口づさめないから難しいコードを使っちゃダメだった。だから「SHOW」のいちばん最初の分数和音、A分のGみたいなコードを使うと忌み嫌われた。歌謡界の作曲技法としては。達郎さんたちは洋楽しか知らないのでそういうコードが綺麗だと思ったそうだ。分数和音を多用することによってモダンさが出るということを大貫さんと二人で討議し合いつつ曲を書きはじめたのがシュガーベイブというバンドだった。同じような志を持つ人たちといろいろとディスカッションしながら、スタッフもミュージシャンも曲を作っていった。

ちょうどそのときに大滝詠一さんと東京の福生で近所付き合いをしていた伊藤銀次さんと洋楽ポップスの話をするうちに仲よくなり、彼は作詞に興味があった人なので達郎さんと二人で曲を作ることになった。当時人気のあったキング・トーンズはキャンプ回りしながらプラターズのカヴァーをしながら演奏活動をしていた人たちで、当時のムード歌謡の人たちよりも全然モダンなので、彼らのために曲を書く企画があり、達郎さんと伊藤銀次さんで何曲か作って持って行ったが企画自体が潰れてしまい、その中で気に入った曲をシュガーベイブでやろうということになりレコーディングしたのが「DOWNTOWN」。それがシングルとなって世に出て代表曲になってしまうから世の中はわからない。

・DOWNTOWN
当時の達郎さんと伊藤銀次さんの洋楽的な思考が出た一曲。
達郎さんが生まれて初めて16ビートの曲を作ったのがこの「DOWNTOWN」だった。
40年間ずっとアイズリー・ブラザーズの「IF YOU WERE THERE」のパクリとか言われてきたが、イントロがちょっと似てるからって二十歳とか二十一の少年が洋楽に憧れて作った曲をあげつらうことを得意技みたいにしてる人がいるけれど、当時の他の邦楽のほかのレコードと比べてこういうような音で完成させたものはこれしかない。R&B風とかあるけれどスタジオ・ミュージシャンがやった音楽は別として、バンドのサウンドとしてこうした16ビート・ミュージックの構築をしたのはシュガーベイブだけ、と達郎さん。
「それは大滝さんの言葉の受け売りですけれどね(笑)。大滝さんはそう言ってくれました。でも、それは大滝さんのミキシングのそうした勝利というのもあります。今回のライナーでは力説しておりますけれども、大滝さんのエンジニアリングというものの純粋さというのは今回のライナーで僕だいぶ書かしてもらいましたけれども。これが当時のメジャーなレコード会社のハウス・エンジニアだとか専属ミキサーだとかそういう人たちはほとんどロックに興味なかったし、歌謡曲の専属アレンジャーがハイ、本番やってーと言って、僕たちの音を録ると、あーこいつら下手だなって終わるんですね。そうしたグルーヴだとか全くなおざりされて、下手なグループやっちゃってさ今日ってそういうふうに言われる時代でした。それは本当に大滝さんがエンジニアリングをやってくれたことでそういうことが払拭されたような思い出と共にあるDOWNTOWNであります」

・蜃気楼の街
「蜃気楼の街」は大貫妙子さんの曲。シンブルな曲なのでレコーディングするときに平坦にならないようにするとディスカッションをしたとか。それまでの演奏をやめて新しくアレンジしたという。アルバムで村松邦男さんはほとんどの曲をフェンダーのストラトキャスターでレコーディングしたが、この曲だけギブソンのレスポールにし、達郎さんはマーチンのアコースティック・ギターを借りてきて演奏している。スタジオ・ミュージック的な工夫がある曲。今回リマスターしてあの時代のスタジオの空気が蘇ったそうだ。

・風の世界
「風の世界」はライヴで演奏していた曲なのでアレンジが固まっている。大貫さんはこの時代の曲について不満がいっぱいだといつも話してるとか。彼女の二十歳の感性がよく出ているけれどバンドの演奏能力として十分再現できてないのが原因だと達郎さん。

シュガーベイブの『SONGS』は基本的にギター・バンドのサウンド。当時、ライヴを含めてP.A.がそんなに発達した時代ではなくてピアノの音をあまり前に出すことができなかった。結果的に演奏形態はギターが中心になった。『SONGS』はギターが前面に出たサウンド。特にA面はそう。サウンドの中心は村松邦男さんの役割でバンド・サウンドの要になっている。それに達郎さんたちの歌が乗っかるというかたちで出来上がっている。それを大滝さんは意識してミックスしている。どの曲でも村松さんのギターが効果的に入ってくる。

・ため息ばかり
そうしたリード・ギター村松邦男さんの曲がA面の最後に入ってる「ため息ばかり」。昭和二十年代の日本の耽美主義文学といわれるいわゆる怪奇ものだとかそういうものに造詣が深い人なので、彼の作る曲というのは不思議なペシミズムが遺憾なくこの曲に発揮されている。サウンドはリトル・フィートはじめとするギター・オリエンテッドなサウンドになっている。そのアンバランスがまた面白い。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係

08月02日は引き続き
「『SONGS-40TH ANNIVERSARY ULTIMATE EDITION-』特集」
http://www.tatsuro.co.jp
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BLOOD MOON大阪キャンペーン

2015年07月26日 | 佐野元春

佐野元春『BLOOD MOON』大阪キャンペーンでの話です。
全番組は聴けてないんですが「MARK'E MUSIC MODE」で
今年の冬、12月頃からはじまるホール・ツアーの話題がありました。
来年3月まで続くらしいのですが
関西では久しぶりの京都公演が実現しそうとのこと。
大阪公演はフェスティバルホールで、
「もしかしたら自分の誕生日(3月13日)にできるかもしれません」みたいなことを言ってました。
よく考えたら来年の誕生日で元春は還暦ですね。
まぁ、本人は還暦なんてどうでもよさそうな感じですが。
実現したらうれしいです。
写真はタワーレコード梅田大阪マルビル店。
隣接してスタジオがあって「MARK'E MUSIC MODE」の公開放送が行われてます。
昨日、寄ってみましたらアルバム『BLOOD MOON』のディスプレイに元春の直筆サインがありましたよ。

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