一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

11月5日 その3

2020-11-05 09:55:14 | 雑記

      晶子は誰はばかることなく 不倫の道をまっしぐら。

      やがて「みだれ髪」を上梓した晶子は、
      家を出て、鉄幹のもとに走ります。

      付け加えると、
      前妻が家を出た その日、
      鉄幹は晶子を駅に迎えにゆき、家に入れています。

      与謝野家に古くからいる お手伝いの ばあやは
      「旦那さんは おばけのような女を 連れてきた」
      と、前妻に告げたそうです。
      (晶子は 若い時から 髪が豊富で 乱れがち)

      鉄幹は晶子と結婚して 順風満帆。
      全盛期を迎えます。

      しかし、それは長くは続きませんでした。

      なぜなら 海外から新しい文化が入ってきて、
      『明星』のローマン派(唯美主義)はすたれ、
      自然主義的文学の風潮が はじまるのです。

      これまで『明星』の重要メンバーだった
      北原白秋、吉井勇 木下杢太郎らが こぞって脱退。

      これには 尾ひれがついて、 与謝野家を訪れた
      白秋が 便所の落とし紙に 自分らの原稿が
      使われていて 激怒したともいわれています。

      これだけではないでしょうが、
      雑誌を出すたびに 赤字で 与謝野家の家計が
      ひっ迫していたことは事実。
      
      晶子は歌だけでなく 雑誌や新聞の雑文もことわらず
      必死で 家計補助のために働いていたのですが、
      追いつかなかったようです。

      その後、新聞社から前借して、
      落ち武者のように 覇気のなくした鉄幹をフランス留学
      までさせるのですから 晶子は大した女性です。

      一方の 山川登美子は 帰郷して結婚しますが、
      一年で夫に結核で死なれ、日本女子大に入って
      教師をめざす。
      『明星』にも復帰するものの、
      自らも結核におかされ、29歳で夭折。
      悲運の女「ひと」として 伝説で語られています。
     
      

      
      
      

11月5日 その2

2020-11-05 09:39:57 | 雑記
        「白はぎ」(晶子)、「白ユリ」(登美子)と
        呼び合う女2人は 姉妹のような仲。

        しかし それぞれの状況がシビアであったことは
        確か。

        福井県の旧家に生まれ、良家の子女として
        つつましく育った登美子は、このとき
        親から結婚をせまられ、悩んでいました。

        家父長時代にあって、親の命に背くなんて不可能なこと。
        苦悩の末に 目の前にいる師を仰ぎみて、こんな歌をよむ。

        「それとなく 紅き花 みな友にゆづりそむきて
                        泣きて わすれ草つむ」

        なんとなく 心情がよめる歌ですね。

        それに比し、大阪堺の老舗・和菓子店に育った晶子は、
        「清水の祇園を よぎる桜月夜 こよい逢うひと 
                        みな 美しき」
        と詠んだ後で、
        官能的な歌を ストレートに師にぶつけます。

        「春みじかし 何に不滅の命ぞと ちからある乳を
                         手に まぐらせぬ」
        「やわ肌の あつき血汐に ふれもみで 
                    さびしからずや 道を説く君」

        ※ 写真は 山川登美子

11月5日は何の日?

2020-11-05 09:20:57 | 雑記

      霜月になったと思ったら もう5日。

      11月5日は何の日?
     
      どうでもいいことだけど、 実は
      与謝野鉄幹が若い女弟子2人をさそって
      紅葉の京都・粟田山(あわたやま)に
      一泊した日なのです。
 
      称して「粟田山の一夜」
  
      鉄幹27歳、晶子21歳、山川登美子20歳。

      晶子も 登美子も 歌誌『明星』の投稿者で
      すでに異彩をはなっていた存在。

      2人の女性にとって、
      新詩社という結社を興し、『明星』を率いる鉄幹は
      まぶしくて 仰ぎ見る対象でした。

      二番目の妻との間に長男をもうけた鉄幹ですが、
      妻との関係が冷えてきて、クサクサしていた時期。

      では彼に 下心があった?
      三角関係といった 通俗的な表現をするつもりは
      ありませんが、若い弟子を迎えて
      プレイボーイの血が 湧かないはずはありません。

      じゅうぶん 刺激的な夜。
      3人は 夜を徹して恋歌を交わしあいます。