いつごろだったろう。
アメリカの研究者は風邪予防に大量のビタミン剤を
飲むと聞いたのは。
日本でもミカンのビタミンCは風邪予防にいいとは、
古来から云われてきた。
しかしビタミン剤をわざわざ買って必要以上に
飲むことは考えられなかったし、周囲にそういう
人もいなかった。
ところがどうだろう。
昨今ではTVでタレントが数種のビタミン剤を
手のひら一杯に飲む光景をみたりする。
「それって、本当に効くんですか」
という質問には、
「どれが効いているか分からないから、これ全部
飲んでいる」
と、平然と答えたりしている。
金銭的なこともさることながら、
私は風邪薬もなるべく飲みたくない。
というか、
わずか3~4粒の薬さえ、よほど「これから薬を
飲むよ」と言い聞かせないと、喉を通ってゆかない
のである。
まして、(薬ではないとはいえ)あんなに大量の異物
(ビタミン剤)を水のごとく飲むなんて!!
しかし、世間には根強いビタミン信仰があるらしい。
忙しいサラリーマンや、フルタイムで働くキャリア女性
は
「美肌や病気予防など特定の目的をもって飲んでいる
わけではない。日頃の不規則な生活を補うため」
つい手軽に摂取しているのだという。
どうやら、
サプリメントが日常食のようになっているらしい。
一方で、
アンチ・エイジングによいといわれるビタミンEを
大量に摂取すると、ガンにかかりやすいとか、死亡率
を高めるといわれて警鐘をならす傾向も出てきた。
そもそも日本人が健康食品に手を出すようになったのは、
80年代から。
経済的に豊かになって、外食する機会が増えたといった
背景もあるだろう。
またTVのCMで疲労快復や体力増進の好イメージも
加担しているに相違ない。
驚いたことに、
サプリメントは若い人たちのものと思っていたら、
70歳以上のサプリメント年間支出は2万3600円。
これは30歳未満の10倍以上だという。
よほど私の認識が遅れているのか、
70歳以上の高齢者がこれほどまでにサプリメントを
摂取しているとは思わなかった。
現状はどうかというと、
サプリメントが必要な人は摂取せず、
不必要な人が摂取している傾向にあるらしい。
要するに、「基本は毎日の食生活」にある。
現在ではサプリメントの摂り過ぎがむしろ、
健康被害を起こすのだとか。
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