新聞で「彼岸過ぎまで七雪」ということわざがある
ことを初めて知った。
春の彼岸が過ぎても雪がたびたび降るという意味で
「彼岸過ぎても七はだれ」
ともいうのだそうだ。
「はだれ」というのも初耳だが、
万葉の時代からある由緒ある言葉で、はらはら降る
雪のことだとか。
また新潟県の魚沼地方では
「彼岸の塗り雪」
ともいい、汚れて黒ずんだ積雪の上に春の雪が
積もって美しく雪化粧するさまをいうらしい。
こんな美しい表現のある春雪だが、
今回の悲惨な雪崩は一瞬にして身も凍るような事故
であった。
栃木県那須町のスキー場で高校生と教師8人の命を
奪った雪崩による事故。
太平洋上で発達した低気圧により、夜半から朝の間に
現場近くでは30㎝以上の積雪があったという。
その新雪が古い積雪の上を一気に走り下る表層雪崩
だった。
亡くなった生徒7人は高校の山岳部員で、どんなにか
山を愛し、自然が好きで、雪もいとわない、純粋で
さわやかな青年だったろうと思うと、涙がこみあげて
止まらなくなる。
春はおだやかそうでいて、いっぺんに天候が荒れくるう
ことも珍しくない。
そういえば、
「彼岸ざくら」
というのも春の雪模様の荒天をいうのだと、今回知った。
取り返しのつかない事故で、ご遺族の方々の悲しみを
思うと胸がつかえるが、
せめて亡くなった高校生のご冥福を祈りたい。
※ かろうじて救助された高校生に「眠るな」と激励
しながら雪山を降りる救助隊の新聞写真