一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

他愛もない話

2013-01-26 16:57:22 | 雑記


     損にもならないが益にもならない、他愛もない話。
     なので読みとばして欲しい。

     いまだ田舎者の域を出ていない私は、たまに用事が
     あって東京にいってもスムーズに目的地に着いた
     ことがない。帰りも然りで、必然的にロス時間ばか
     り多くなる。

     先日も「山の上ホテル」を出たはいいが、入るとき
     と出口を違えたばっかりに分からなくなった。
     「あれ?あれ?」っていう感じで坂道をウロウロ。
     (ホテルの導入口はちょっと坂になっている)

     ちょうど通りかかった男性(中高年)が声をかけて
     くれた。
     「どちらに行かれるんですか」
     「お茶の水駅なのですが……」
     「私も駅までなので行きましょう。こっちの道の方
      が近いので」

     というわけで大通りを1本脇に入った道を歩き出した。

     「ここは○○予備校」
     側にある高い建物をみて男性がいう。田舎者の私でも
     聞いたことのある一流(?)予備校である。
     「昔、通(かよ)ったとか」
     「そう」
     「じゃあ、大学はT大学?」
     「いや、予備校だけ一流」(笑)
     「娘、息子もここに通って。娘はキャリア・ウーマン
      とやらで未婚。息子は大学を中退して現在は東北に
      住みついて被災地のボランティア活動に邁進中」
     「ほう」
     「親が一切、子供の将来について口出ししなかったら
      こういうことになった」
     「いいんじゃないですか。娘さんも息子さんも自分の
      人生だもの」

     ここまで速足(はやあし)で歩きながらの会話である。
     駅が近くなって、寄り道したかった私は礼をいって
     別れた。
     
     顔もしかと見ない。
     雰囲気からして、ほぼ同年齢とおぼしき男性である。

     愚痴でもなく、ため息でもなく、誰にでも他のみず知
     らずの人にもらしたくなることがある。
     はなしたからといって解決するわけでもなく、結論は
     変わらないのだが。


     私たち中高年は男女にかかわらず、体のなかに物語を
     いっぱい溜めているのだ。
 
     私が有能な小説家だったら、これは短編の導入にはな
     るだろうと思った。

     
     男は家庭に悩みを持ち、女は数人の部下をもつ管理職
     で独身、実は長年付き合ってきた男性との不倫を清算
     しようと思っている……。
     ゆきずりの男と女は直接関係ないのだが、それをきっか
     けに、それぞれのドラマが展開する……。


     ふふふ……、私は有能な小説家ではないので書きません。
     そんな想像をしただけです。

     
     (写真は私が必ずといっていいくらい迷うお茶の水駅。
      右側がJRの駅で左側(地下)は東京メトロの駅)