一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

先を歩む先輩

2013-01-24 17:15:21 | 雑記



     小正月の少し前、数年つづいている人たちとの
     新年会があった。
     

     共通点は郷里を同じくする人たち。
     私はこの同郷というだけで何となく集まってワイワイ
     やるのは好きではないのだが、
     必然的に集まった人たちなのだ。

     何年か前、私の『清少納言 紫式部』
        副題「王朝イヌ派女VSネコ派女」という本を
     もとにしたミニ講演(カルチャセンターのようなもの)
     を、町田の方でやったことがある。


     全くの偶然だが、そこに聞きにいらした方が同郷だと
     名乗られてびっくりした。
     聞くところによると、故郷(現在の南相馬)で小学校
     の先生をしてらして、戦後、東京の町田で教員をして
     定年退職されたという。
     つまり、私の大先輩なのだ。


     お会いしたときHさんはすでに87歳。
     お元気な上にしっかりして、好奇心が旺盛で謙虚なこと。
     すでにご主人を亡くされて2人の娘さんは家を出ている
     ので一人暮らし。

     Hさんを中心に、その教え子のSさん、Uさんが集まり
     (ともに中学教師を定年退職・男性)
     その縁で退職後も自分で事業を起こしてやっていると
     いうTさん(故郷ゆいいつのエリート)が加わるという
     何とも奇妙な集まりではある。


     私がいちばん若輩といえばおおよそ想像がつくであろう
     が、あまり年寄り臭さがないところが、続いている理由
     であろうか。

     新年会は毎年、場所を変えるのだが、お茶の水の「山の
     上ホテル」はこれで2度目。

     ところが今年からHさんが出席できなくなった。
     去年の春、思いきって娘一家のいる長野に行くことに
     しますという、達筆の葉書を頂戴した。

     
     Hさんは現在、92歳。
     今年いただいた年賀状には「元気にしています」と
     付け加えてあったが。

     
     「年々歳々花あい似たり、歳々年々人同じからず」と
     いうけれど、やはり寂しい。

     Hさんの、郷里での若かりし頃の学校のことや、
     東京にきてはじめて大島への赴任を命じられ、
     ご主人と子供2人をおいての島での生活など、
     「24の瞳」の映画を思わす話を身近に聞けない
     のは残念である。

     Hさんは、あのようになりたいと私が思う先輩の
     一人なのだ。