一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

ねずみの奥さん

2011-02-09 02:15:45 | 読書
     これは子供のための本なのだろうか?
     私の貧しい読書遍歴の中でも特に気になって
     いる本。
     ただし、記憶では矢川澄子さんの訳で読んだ
     ような気がするのだが、いくら探しても見つ
     からないので、写真は下記のものを。

      『ねずみ女房』(福音館)
        R・ゴッデン作 石井桃子訳
       
     多少、訳者によってニュアンスが違ってくる
     かもしれないが、記憶にもとづいて記したい
     と思う。     

     主人公は一匹の奥さんねずみ、ごくありふれた
     家ねずみの♀。
     見かけといい、そのいとなみといい、とりたてて  
     他の家ねずみと変わったところはない。
     けれどもたった一点だけ、他のねずみと違うとこ
     ろがある。
     それは、何か足りないという気がしてならない
     ということ。
     それが何であるかは、奥さん自身にも分からない。

     旦那さんねずみは、それにひきかえ、目の前のこと、
     日々のエサのことしか頭にない。
     「何が不足なんだね?」
     時々じっと窓の外を見つめている奥さんに尋ねる。
     「なぜ、チーズのことを考えないんだね?」
     家ねずみにとっては、家の中がすべて。
     窓の外の天地は別世界、未知の彼方なのである。

     ある日、この家に一羽のハトが加わる。
     別世界からやってきて人間の手にとらえられた
     このハトは、狭い鳥籠にとじこめられ、エサさえ
     受け付けない。
     はじめはおそるおそるエサの豆をぬすみに鳥籠に
     出入りするようになった奥さんだが、いつしか
     このハトの身を案ずるようになる。
     ハトにとって奥さんの存在は救いであり、慰めで
     もあった。

     ハトは戸外の山野をのびのびと飛び回る自分た
     ちの生活を語りはじめる。でも、
     「飛ぶって、どういうこと?」
     としか云えない奥さん。
     ハトはあきれて、やって見せようとして籠の枠に
     ぶつかり、再び力なくうなだれる。
     ねずみの奥さんはなぜか、その姿に深く心を動か
     されはじめる。 

     (長くなるので次回に譲ります)