蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

〆切本

2021年09月23日 | 本の感想
〆切本(左右社)

書評に取り上げられたり、書店で見かけて面白そうというので買った本なのに、買ったとたんに積ん読状態になってしまい、何年もそのまま、ということがけっこうある。本書も4年前くらいに買ってそのままにしていた。
ところが、図書館で借りた本は返却期限があるので優先的に読んでしまう。まこと人間には締切が必要なのだと実感できる。

本書は締切に関する文筆家のエッセイなどを集めたもの。締切が迫るのに書くことができない苦しさなどを描いたものばかりでなくて、締切の随分前に仕上がるのが当然という作家のものもある。「人の不幸は蜜の味」ということで前者も面白いのだが、私としては後者のほうがより楽しめた。
後者の方の作家名をあげると吉村昭、森博嗣、中島梓。いずれも着手や書くスピード自体が早いことで有名だが、3人とも私好みの作家であるのも面白く感じる原因だろう。

締切を守れない(守らない?)ことで有名なのは江口寿史さん、締切厳守で有名なのは楳図かずおさんだと思うのだが、この両巨頭?の作品がなかったのは残念。また本書で初めて知ったのだが、手塚治虫さんは締切ギリギリということが多く編集者泣かせだったらしい。(同時進行の作品数が多すぎたせいだと思うが)

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