蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

のはなしし

2015年05月24日 | 本の感想
のはなしし(伊集院光 宝島社)

昔、メルマガ?向けに書いたエッセイに新作をくわえて、「あ」~「ん」で始まるタイトルをつけて並べなおしたエッセイ集。
かなり前に読んだ「のはなしに」がとても良かったのだが、「のはなしさん」が出ていたのは見逃していて、たまたま第4弾である本書を本屋で見かけて買った(が、なかなか読み始められなかった)。

「のはなしに」は冒頭の「「アウトセーフ」の話」がとても良かったのだが、本書では最後の「「んかきそこねものの巻」の話」が、それにも増していい。というか、今まで読んだエッセイの中で一番か二番かというほど感動した。
人間あるいはその家族にとって死とは何か、という重いはずの主題を、初代ドラクエのリスタートシステム(復活の呪文)にからめて、深刻ぶらずに浮かび上がらせている。ドラクエの復活の呪文の仕組みを知らない人には今一つピンとこないと思うが、逆にその体験者にとっては「なぜ復活の呪文を時系列にノートに書いておく必要があるか」という埋もれていた記憶を掘り起こされて(それだけでも)何ともいえないノスタルジーがあった。

その他では、「「孤独」の話」「「死ぬ」の話」(→伊集院さん、案外?繊細なのですね)、「「超合金」の話」(→同年代の人でなくても笑える(と思う))、「「ボンボン」の話」(→大映の永田オーナーの息子の話。ペーソスある笑い話がとてもいい)「「ロック」の話」(→忌野清志郎はかっこいいという話)、がよかった。

まだまだ昔書いたネタはあるとのこと。第5弾も早く出してもらいたいものです。(でも著者はかなり凝り性みたいでそう簡単にはいきそうにないようですが)

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