蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

思い出のマーニー

2015年05月29日 | 本の感想
思い出のマーニー(ジョーン・G・ロビンソン 新潮文庫)

主人公のアンナはロンドンでの里親との関係がうまくいかず、夏休みは里親の知り合いのいる海辺の町に滞在することになる。そこで大きな館で暮らす少女マーニーと知り合い、意気投合する。マーニーはなぜか近所の風車を恐れているが、アンナがそこでマーニーに出くわす。それ以来、マーニーは姿を消す。マーニーの館には新しい家族が引っ越してくる。館にはマーニーの日記が残されており・・・という話。

アニメは未見。
児童文学として書かれたものなので、子供が読むとアンナの気持ちはよくわかるのかもしれない。
しかし、大人の視線では、アンナは不安定で気難しく扱いにくい子供にしか見えない。(里親の知り合いの家にやっかいになっているのに、アンナはしょっちゅう無断で外泊しては行方不明になる。こんな子を預かっていたらイヤになっちゃうよなあ)

一方、マーニーの方も気まぐれな女の子っぽくて、後半の謎解きを読むまでは、この二人がなぜ仲良くできるのかはよくわからなかった。
もっとも、こうした設定は意図的なものであって、
「子供には子供の世界があって、それは大人になると理解できなくなるんだよ」
というのが著者の主張であるように思えた。

伏線が不足しているような気しあが、謎解き(というかそのプロセス)は、なかなかよかった。
普通の小説だとマーニーがアンナを立ち直らせた、みたいな筋になると思うのだけど、あえてそれを避けているように見えるたこともよかった。

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