蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

ジェノサイド

2014年05月27日 | 本の感想
ジェノサイド(高野和明 角川文庫)

アフリカの奥地のピグミーの村で、人類の知性レベルをはるかに超えた新人類の出現を察知したアメリカ大統領は、その抹殺を計画して傭兵部隊を派遣する。
傭兵部隊の長、イェーガーは現地の任務終了後は自分たちも始末されることを知り、さらに新人類を助けることで難病に苦しむ息子を救えることがわかり、新人類を救出することにする・・・という話。
(脇筋(というにはかなりのボリュームだが)でイェーガーの息子の難病を日本の学生が(新人類のヘルプで)創薬するというストーリーもあるが、主筋との絡みがイマイチだった)

各種ランキングで上位を占めただけあって、ページターナー的な作品で、特にアフリカからの脱出行はとても楽しく読めた。
しかし、メインなストーリーとはあんまり関係なさそうな時事・歴史解説みたいな部分も多くて、そのあたりはかなりステレオタイプな見方がされていることもあって退屈だった。
(「こんな書き方したら炎上ものだよな~」と誰でも思うような内容もあるので、作者の確信犯なのだとは思うが)

最終盤で、新人類はアメリカのインフラシステムへ侵入してそれを狂わせることでアメリカ側を脅迫するのだけど、
「そんなことが出来るのなら、最初からそうすればいいのに・・・」と思ってしまった。

この例のように、物語の中で新人類は目的のために手段を選ばない。傭兵部隊を自分に都合のよい人物で編制するために他の候補者をテロリストに殺させたり、イェーガーたちを追いかけるゲリラや兵士たちもいとも簡単に殺させる。

人類存続の脅威として抹殺を計画したアメリカ大統領は、実は正しかったのでは・・?なんてね。

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