蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

生物に学ぶガラパゴス・イノベーション

2021年09月06日 | 本の感想
生物に学ぶガラパゴス・イノベーション(稲垣栄洋 東京書籍)

ガラケーという言葉に代表されるように、ガラパゴス現象というのはネガティブな意味に用いられることが多い。著者は、島の生物の生存戦略を解説しながら、ガラパゴス的な性癖を持った日本の産業社会が目指すべき方向性を示唆する。

その、方向性を示唆する部分は、正直いってありきたりというか、「日本ってすごい」的な現状肯定の部分があってあまり面白くない。

しかし、ガラパゴス的進化?を解説した部分はそうでもない。
例えば、島のような周囲から隔絶された環境で進化?した鳥が飛行しなくなる理由。飛行には多大なエネルギーを要するので、鳥はできるだけ飛行したくない。なので敵がいなくなって逃げる必要がなくなった環境では鳥は飛行能力をなくすという。
逆にアオアシカツオドリ(時速100キロ超で海中に飛び込み魚を捕らえる)やアホウドリのように極限まで飛行能力を進化させると地上での行動能力を喪失することもある(ヨタヨタと歩行するのでアホウという名がついたそうである)。

この両極端の例の対称性が面白い。どうして進化の指向性は一定じゃなくて、同じ鳥でも全く逆方向に進んでしまうんだろう?
もしかして進化って、環境適応するために発生するんじゃなく、単なる偶然に過ぎず、偶然に環境に適した進化に当たった?種が生き延びているだけなのかも。


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