蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

歌の終わりは海

2021年12月10日 | 本の感想
歌の終わりは海(森博嗣 講談社)

高名な作詞家:大日向慎太郎の妻:聖美は、夫の浮気調査を探偵の小川令子に依頼する。令子は助手?の加部谷とともに慎太郎の豪邸を監視するが、浮気の兆候は全くない。そのうちその豪邸内で(敷地内の別棟で同居していた)慎太郎の姉の死体がみつかる、という話。

森さんの小説のうち、スカイ・クロラシリーズと自伝的内容のものは面白かったのだが、本家のミステリはどうにも性が合わなくて、いつも読んだことを後悔する。
それなのに本作を読んでみようと思ったのは、本屋でプロローグ(慎太郎の生い立ちが要約されている)を読んだら私好みの内容に思えたから。しかし、有体に言って、最後まで読んだ後、後悔した。

生き続ける意義と死の位置付けがテーマだと思うが、そのテーマに対する答も姉の死の真相も、読者の想像にお任せします、みたいなのはエンタテインメントとしてどうかな、と思う。著者ほど多作だと、形式的な謎解きやありきたりのエンディングは飽き飽きしているのだろうけど。

事件そのものより、ほんのちょっとだけ描写される女性の探偵二人の生き様みたいなものの方が興味深かった。後から知ったのだが、本作は小川令子が登場するシリーズものとのこと。

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