蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

スプートニクの恋人

2017年08月15日 | 本の感想
スプートニクの恋人(村上春樹 講談社文庫)

すみれは小説家志望で、部屋にこもって発表するあてもなく小説を書いている。さほど魅力的な外見ではないが、主人公はすみれに恋している。しかし、すみれは男には興味がなく、親戚の結婚式で知り合ったミュウ(女性の会社経営者)を慕っている。やがてすみれはミュウの会社で秘書として働き始め、ミュウと休暇旅行に行ったギリシャでミュウとは望むような関係になれないことを悟り失踪してしまう・・・

という主筋はあんまり面白くないのだが、最後から2番目のパート「15」はよかった。
主人公は小学校の教師で生徒の母親と不倫関係にある。その生徒が万引で捕まってしまう、という話なのだが、捕まえた警備員の悪役としての描写がうまくて追いつめられていく主人公との対比が鮮やかで、生徒が(警備員から問い詰められていた事務所から)こっそり盗んできたカギを捨ててしまうという結末も小さなカタルシスがあった。

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