蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

海辺の金魚

2021年09月06日 | 本の感想
海辺の金魚(小川紗良 ポプラ社)

児童養護施設で育ちまもなく高校を卒業しようとしている花は、施設から離れた後の進路をどうするか決めかねている。その施設に新しく入ることになった晴海の身体に、花は虐待の痕跡を認めるが・・・という話。

花が養護施設で生活することになった理由が、この手の話としてはユニークで感心したのだが、その設定を活かし切れてないかな、とも感じた。かなり深刻な事情なのだが、その割に主人公が割と平然と受け止めているように思えてしまった。

著者は映像作家で、本作は自身が監督した初の長編映画の原作(あるいはノベライズ?)とのこと。
映像でなら(役者の表情などから)より容易にいろいろな情報が伝えられるので、言語化するとつい説明過剰になることがあると思う。本作では登場人物の心情の描写がちょっと多すぎたような気がした。

と、文句ばかり書いたが、爽やかなラストで読後感は良かった。

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