蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

学問

2013年02月06日 | 本の感想
学問 山田詠美(新潮文庫)

後半になるまで、なんでタイトルが「学問」なのかわからなかった。
でも、謎解きされてみると、なるほど、不可思議なものを自分の経験や知見で謎解きして発展させていくことこそ「学問」なのかもしれないなあ、字義通り、と思った。

心太(と書いてトコロテンと読むのを初めて知った。ワープロでも変換するので驚いた)という登場人物は、貧乏な片親家庭に育ち、見かけは粗雑なガキ大将なのに、周囲の誰をも魅了してやまない。
その心太にひきつけられるように集まった3人(仁美、千穂、無量)の小学校時代から高校生くらいまでの結びつきを主筋にして、仁美の「学問」の進展具合を描いている。

心太を含む四人の、友情ともちょっと違うような、もっと血縁関係に近いような、固い結びつきがとても羨ましく思えたし、物語の中で、非常に魅力的な人物という設定の心太のふるまいやセリフは、確かにカッコよくて、ちょっとハードボイルドで、こんな人が近くにいたら、それだけで嬉しくなってしまいそうな気がした。

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