蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

裏切りのサーカス

2013年02月06日 | 映画の感想
裏切りのサーカス

英国諜報部の幹部だったスマイリーは引退を余儀なくされていたが、諜報部の内部に潜むモグラ(二重スパイ)を探り出す特命を受けて活動を始める。モグラの背後にはソ連の大物スパイ:カーラの姿が見え隠れし、スマイリーの妻:アンの浮気も絡んで捜査は難航する・・・という話。

原作を読んでいないと、映画を一回見ただけではストーリーを理解するのは難しいと思うが、誰がモグラなのかは、配役をだけで分かってしまう。というか、この配役だとこの人がモグラのはずだよね、という人がやっぱりモグラなのはどうよ、と思ってしまった。

なので、筋を追ってサスペンスを楽しむというより、冷戦時代の沈滞ムードのイギリス社会や風俗などを懐かしむ映画なのかなあ、と思えた。アクションシーンは皆無だし落ち着いた地味な画面なので若い人向きじゃないよね。
そういった意味でも、また、単なるスパイ映画としても成功していると思う。

原作を読んだといっても、もう数十年前なので、内容はほとんど忘れていた。私の記憶では、スマイリーはイギリス諜報部の守護神的存在で、モグラ以外の幹部たちも忠誠心にあふれた優秀なスパイ、という感じだった。
ところが、映画では終盤に至って、諜報部の幹部たちは多かれ少なかれソ連と癒着(そうでもしないと情報がとれない)していることがわかり、スマイリーは祖国のために頑張ったというよりも、諜報部の内部抗争に勝つことを目的としていて、ついにはそれを果たした、みたいな感じになっていた(←これ、私の勝手な解釈なので間違っているかも)ので、もう一度原作を読み直してみようかな、と思った。

映画でも最終盤に出てきた場面だが、原作で印象的だった部分を引用する。
***
「しかし、きみには一つ弱点がある―アンだ。迷いのない男の唯一の迷いだ。おれがアンの愛人であるという噂があちこちに広がったら、いざという時にきみの判断がくもるだろう、と彼は考えた」
迷い! ほんとうにそれが愛に対するカーラの呼び名なのか?そしてビルの?


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