蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

作家との遭遇

2022年08月07日 | 本の感想
作家との遭遇(沢木耕太郎 新潮文庫)

著名な作家の作品の評論集。
沢木さんの本業?ではないのだが、評論を書く時は、その作家のほぼすべての作品を読むというのだから、仕事に対する真摯さが並ではない。
それでいて、変にペダンティックにならずに自らの体験なども交えて、面白く読ませよういうサービス精神にも満ちていて、どれも楽しく読める。

評論として視点の鋭さや洞察の深さがすごいな、と思えたのが
「青春の救済」(山本周五郎)、「事実と挙行の逆説」(吉村昭)、「乱調と諧調と」(瀬戸内寂聴)
自らの体験を交えて面白かったのが
「必死の詐欺師」(井上ひさし)、「一点を求めるために」(山口瞳)、「運命の受容と反抗」(柴田錬三郎)

上記のように、ほとんどが超有名な作家ばかりなのだが、近藤紘一と高峰秀子は(そういう意味では異彩を放っている。たまたま私が好きで(著作も少ないこともあって)作品のほどんどを読んだ経験がある人たちだったので、ちょっと嬉しく感じた。

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