蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

タンノイのエジンバラ

2008年05月07日 | 本の感想
タンノイのエジンバラ(長嶋有 文春文庫)

長嶋さんは、タイトルをつけるのがうまいと思う。というか、私が気に入って読んでみたくなるようなタイトルの作品が多いように思う。

本書は、表題作以外(夜のあぐら、バルセロナの印象、三十歳)の短編のタイトルは(私的には)イマイチだが、表題作には目をひかれた。(それで実際に読んだ)
「タンノイ」って何? で「タンノイ」に関係がある「エジンバラ」って?(わかる人には多分常識レベルなのだろうが)と考えてしまうし、語感もなんだかここちよい。

表題作は、隣室のわけあり母から女の子を一晩面倒みてくれと押し付けられた失業中の主人公の一夜を描いている。失業者の生活ぶりは妙にリアルだが、事件らしい事件も起こらず、翌日にはちゃんと母が迎えに来るという話。しかし、タイトルに影響されたのか、なんとなく良い。失業生活も悪くないかも、と思わせてくれる。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ちくま日本文学006 寺山... | トップ | 詩歌の待ち伏せ(上) »

コメントを投稿

本の感想」カテゴリの最新記事