蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

博奕のアンソロジー

2020年11月01日 | 本の感想
博奕のアンソロジー(宮内悠介など 光文社)

ギャンブルをテーマにして、宮内さんが「この人に書いてもらいたい」という作家に執筆を(多分出版社を通じて)依頼するという企画物の短編集。

このような依頼があった場合、私だったら、既存のギャンブル(競馬とか麻雀とか)を題材にするか、個人間の賭け事あるいは賭けに似たような意思決定を迫られる場面を題材にするか迷うと思う。
既存のギャンブルだともともと知識がないと取材・調査が大変そうだし、世の中にはこうるさいマニアがいっぱいいそうでいろいろケチつけられそう、なんて思って後者の方をテーマにしちゃいそうだ。
同じように考えたのかどうかわからないが、ほとんどの作家が後者の方を選んでいる。

しかし、唯一前者を選んで競馬をテーマにした法月綸太郎さんの「負けた馬がみな貰う」が一番面白かった。
競馬という種目に深く立ち入らず、題名通り、ひたすら外し続けることを目指すという発想が面白い。実体験からも、買い忘れたレースの方が、結果を見る時、普通に勝った時よりドキドキする(買うつもりの目が出ていませんように、と)ような気がする。

桜庭一樹さんの「人生ってガチャみたいっすね」もよかった。賭け事とはほとんど関係ない内容ではあったが。

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