蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

お友だちからお願いします

2020年05月04日 | 本の感想
お友だちからお願いします(三浦しをん 大和書房)

三浦さんのエッセイ集はどれも面白いのだが、特定の俳優やキャラクター、歌手等に熱をあげて、滑稽な行動に走ってしまう自分自身をメタ的に描く内容のものが特にいい。
古くはヴィゴ・モーテンセン、最近だとエグザイル一族がそういう対象になっているのだが、本作はちょうど端境期に当たっていたのか、その手の内容が少なくて残念だった(少しだけエグザイルの話はあったが)。

いまやベストセラー作家で、相当に忙しいと思うのだけど、「文庫追記」として文庫化にあたって相当量の追補をしてくれているのも素晴らしい。
尾鷲に行った時にうたった短歌がその「文庫追記」で披露されていて、多分冗談半分なのだろうけど「これ、意外にいいんじゃない?」と思った。
“ビーサンは手にはめていけ流れつくさきで履くのだ と河童の師匠”(p210)
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アルキメデスの大戦(映画)

2020年05月04日 | 映画の感想
アルキメデスの大戦(映画)

原作はまだ連載中なのだが、人気が出て話を引き延ばそうとしているのか、当初の構想をはずれて迷走中(戦艦大和を否定することがテーマだったのに、主人公(帝大数学科の天才:櫂直)自ら大和をミサイル戦艦!とする建造の先頭に立っている。というか最近では大和建造も脇筋になってしまった)。

映画もなんかヘンテコなストーリーなんだろうなあ、あるいは続編含み?などと疑いながら見始めたのだが、中盤以降、原作の元々のテーマである?大和建造の是非をめぐる櫂(菅田将暉)と平山造船中将(田中泯)との緊迫感のある対決になって、「なるほど、そういう見方もできるわなあ」とそれなりに納得性がある結末にまとめられていて感心した。

冒頭の大和の沈没シーンのCGはかなりよく出来ていて、戦艦同士の砲戦とか日本海海戦をこのレベルで映画にしてほしいなあと思った(とても大変そうだけど・・・「坂の上の雲」を原作にして、海戦シーンだけの映画なんかヒットしそうだけどなあ)

櫂の世話役の田中少尉役の柄本佑がうまかった。
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ワンスアポンナタイムインハリウッド

2020年05月04日 | 映画の感想
ワンスアポンナタイムインハリウッド

ポランスキー監督と同居していたころのシャロン・テートが(主人公格で)登場するので、彼女の惨殺事件を描いた作品なのかなあ、と思って観ていたら、なんと歴史改変テーマのSF??なのだった。

まあ、ストーリーを追うような映画ではなく、題名通り、往年のハリウッドや映画界を振り返ることがテーマだと思うのでどうでもいいのだが。
そのあたりになじみがある人が見ればいろいろな仕掛けがあって楽しめそうなのだが、何かの寓意や暗示がありそうな場面を見ても、私にとっては「よくわからんなあ」という感じだった。

「アド・アストラ」と立て続けにブラッド・ピット主演の映画を見たのだが、本作でも彼はかっこいい。もうかなりのトシなのだけど、若い人の役をやっても違和感がないし、狂暴な性格を持ちながら友情には忠実で、リック・ダルトン(ディカプリオ)にはひたすら奉仕するという矛盾したキャラクターを演じても不自然さを感じさせない。
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